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(C) Eriki Kawaguchi 2019-08-18
アクアの所に贈られて来たバレンタインのプレゼントは2月16日の時点で合計10万個(大型トラック17台分)に達して、§§プロでは急遽貸倉庫をもうひとつ借りる羽目になった。2月7日の時点でアクア本人に来ているプレゼントの山を見せこれまでの§§プロのタレントに来たプレゼントと同様の処理する方針を決めたので、これを分別するためのバイトを100人くらい雇った。ちょうど学生の春休みの時期なのでこの人数をすぐ確保できた。早番(8-15時), 遅番(15-22時)の2班に分けて常時20人・14時間体制で作業をした。
チョコレート、ノンアルコール飲料、文具、などは本人の自宅に予め話し合いで決めていた量を届け、一部は事務所内部で分けて、残りは福祉施設などに寄付した。
洋服やアクセサリーなどは高価なものや制服系は衣装用としてプロダクションでキープ、デザインに難があるものは廃棄。まあまあの価格帯と思われるものでアクアの体型に合うものは本人へ。それ以外で研修生の中で欲しいという人があれば取ってもらい、残ったものは福祉施設へ。
こういう「処理ルール」は、§§プロのホームページにも以前から明示している。
しかし今回の仕分けや配送に掛かった費用は、倉庫の借賃も含めて5000万円ほどである。全く恐ろしい。
衣類は贈られてきたもの5000点の中で、この方針でアクア本人に渡すことになったものは3000点(約150箱)もあった。アクアのスリーサイズ(B:C70/W55-H82)がネットで拡散して、みんなちゃんとそのサイズで買って送って来てくれたのである。C70というブラサイズは、ドラマ撮影用のブレストフォームを付けた状態のバストサイズであり、龍虎が実際にCカップの胸がある訳ではない。ただアンダーは70無いと着けられない(無理にブラをする必要は無いが)。
「これ全部要る?」
「すみません。児童福祉施設とかに。とても、うちの家には入りきれません」
「だよね」
アクアは小柄なので、普通のおとなにはアクアのサイズの服は入らない。それで贈るとしたら児童福祉施設とかである。
「じゃ種類別に分別したものの各種類から1箱か2箱ずつ取ってよ。残りは適当に処理するから」
「分かりました」
「ちなみにスカートとかブラジャーとかパンティーとかも使うよね?」
「一応もらっておこうかな」
龍虎は種類別に分類された物から適当に1箱ずつ取り(ショーツの箱だけ2つ取った)、これは月原マネージャーが車でアクアの自宅まで運んであげた。アクアと体型がほとんど同じ西湖にも取らせたら、彼もアクアと同様に各種類1箱ずつ取っていた。彼にはついでにセーラー服&ブレザー類の箱も1箱渡した。これも月原が運んであげた。他に、§§プロの研修生・練習生たちにも自由に取っていいよと言ったら、少し減ったが、残りは児童福祉施設にプレゼントした。
ちなみにアクアに男物の衣類を送って来たファンは1人も居なかった!
2019年3月8日(日).
アクアのファンクラブが発足し、2月2日までに入会金と年会費を振り込んでくれた人に会報初号をアクアの生写真付きで、この日までに到着するよう配送した(一部離島を除く)。会報初号はその後も3月いっぱいまでに入金してくれた人には(生写真は付かないものの)同じ編集のものを配送することにしている。
会報の編集は、結婚のため2月いっぱいで退職(本当は年内の予定だった)した牛田典子マネージャーを中心に、休業中の明智ヒバリのバックバンドでギターを弾いていて、秋以降仕事にあぶれていた元サイドライトの槍田湖寿絵(ヤコ)、昨年11月にハワイでアクアの写真集を撮影した時の撮影助手・三輪志保、若手のイラストレーター岡戸青花、の4人を中心に、InDesignやPhotoshopが使える学生バイトを10人くらい臨時雇用していた。
様々な人に寄稿してもらうと共にヤコや牛田がけっこう自分でも文章を書き、三輪が写真を撮り、岡戸が可愛いイラストを描き(ほぼ女の子を描く感覚でアクアを描いている)、それを最終的に牛田がまとめ、B5で64ページもある会報を作り上げた。
内容的にはオーディションの様子(これが詳細にレポートされたことから翌年以降ロックギャルコンテストは“音楽志向の強い”参加者が増えた)、ハワイでの写真集撮影の様子、『性転の伝説Special』撮影の様子、ローズ+リリーのツアーに随行した時のこと、デビューシングルの制作の様子、他にネタ作りを兼ねて広島の宮島、福岡の宗像・筑紫大島に旅をしてきた時の様子(“アクア”という名前にちなんで、水の神様である宗像三女神を祭る神社に行って来た)、なども入っていた。バレンタインのプレゼントの巨大な山の前でチョコレートを手に持ち微笑むアクアの写真もある。
また放送局から提供してもらった『ときめき病院物語』の撮影の様子、通っていたバレエ教室から提供してもらったバレエ発表会の様子(男衣装を着けているスペインの踊り・中国の踊り)、学校の許可を得てアクアの友人(主として彩佳)から提供された、アクアの学園生活の写真も一部掲載されている(セーラー服を着ている写真が多く、学生服写真を選ぶのに苦労したのは秘密)。
この編集作業は1月に鱒渕が§§プロに(なしくずし的に)入社した後、牛田の作業を鱒渕が引き継いだが(鱒渕はInDesignもQuarkXPressも自由自在である)、すぐに鱒渕は多忙になるので、3月以降は、槍田が自分より文章が上手い!柿田江美を勧誘して、柿田が文章を書き槍田は編集に回った。
それで会報の2号(6月発行)では「日本語がまともになった!」とネットに随分書かれていた(2号以降は原則32ページ)。なお、写真の担当も2号以降三輪から、彼女の後輩の四家芳絵に引き継がれた。
会報初号はオークションなどへの流出防止のため、表紙に直接、配布した会員の住所・氏名を印刷している(窓開き封筒で発送)し、表紙を変更したものを後日、通販で1冊2160円+送料300円で販売することを予告している。
さすがに自分の住所氏名が印刷されたものをオークションに出す人はそうそう居ないだろうという考えである。またリーズナブルな値段で別途販売するのもオークション対抗策になる。
3月8日には、会員番号1番・ファンクラブ会長に選任された松浦紗雪さんほか、抽選で選ばれた3000人の会員を招いて中野のスターホールでミニイベントを行なった。
会員番号の1番に関しては20人以上の関係者から欲しいという声があった。特に無視できない9人(組)を本人や紅川・コスモスなどにリクエストされた順に並べるとこうなる。
南川彩佳 8.11
春風アルト 8.12
江藤愛来 10.18
荻田美佐子 10.20
中田政子 10.27
小野寺イルザ 12.12
スリファーズ 12.30 (1-3を希望)
佐々木川南 1.07
松浦紗雪 2.11
彩佳はロックギャルコンテストの翌日、コスモスが彩佳と極秘の面談をした時、自分は龍虎のことが好きだし、正直に言って龍虎と何度も寝ている(嘘ではない)けど、彼が歌手としてデビューすることになった以上、彼は自分の龍虎ではなくファンみんなの龍虎だから、自分は恋愛感情は抑えて、あくまで1人のファンとして応援していきたい。ファンクラブ会員番号1番でいい、などと言ったのである。
その翌日、紅川が上島雷太と話し合った時に、アルトが「龍ちゃんが歌手になるなら、私がファンクラブ会員番号1番になりたいなあ」と言った。
この2人が最も早い。
紅川、コスモス、ケイ、の3人で集まってこの問題について検討したところ、リクエストされた順序としては最後ではあるものの、やはりJ-POP界での位置づけを考えた場合、松浦紗雪が後見人のような立場に立ってくれると(派閥取り込み争いのような)余計な揉め事に巻き込まれなくて済むのでないかという意見になり、彼女に1番を進呈することにした。
松浦紗雪は1982年6月13日生れの双子座で現在32歳。元々は木ノ下大吉先生の歌でデビューしたが、後、上島雷太が作曲家として活動し始めた初期に、篠田その歌とともに、上島派の中核として大きなセールスをあげた。2年くらい前から上島ファミリーからは離れて自分で詩を書き、親友の藤崎亜夢が作曲する、セルフプロデュースに移行している。ローズ+リリーや貝瀬日南などと同様の“上島カズンズ”である。
松浦は人脈が広くて面倒見が良く、貧乏な歌手に御飯を食べさせてあげたり、仕事の無いタレントにドラマの役やバラエティ番組の雛壇要員などの口を紹介してあげたりしている。それで彼女を信奉する若手歌手は結構居て、しばしば会食などもしており、ゆるやかな派閥“松浦派”を形成している。紗雪は穏やかな性格なので敵が少ないし(睨んでいるのは芹菜リセくらいだが彼女は誰とでも対立する)、“松浦派”の若手歌手が他の大物歌手とも仲良くしていても全然平気である。それで後ろ盾にするには絶好の人物ということで、コスモスとケイの意見が一致した。政子とも仲が良い。
それで彼女を1番にし、政子を2番、そして最初にリクエストした彩佳を3番、アルトを4番にすることにしたのである。
その他、下記のように番号を定めた。
1.松浦紗雪 2.中田政子 3.南川彩佳(非公開) 4.春風アルト 5.荻田美佐子、10.小野寺イルザ 11.原田彩夏、12.矢島千秋、13.牧元春奈、14.水森優美香(AYA)、21.佐々木川南 22.白浜夏恋 23.村山千里 31.南川彩佳 32.入野桐絵 33.北山宏恵、34.唐本冬子 35.大宮万葉 36.江藤愛来 77.光帆 78.音羽 79.カノン 80.リノン、81.田代涼太 82.田代幸恵 83.志水英世 84.志水照代 85.高岡猛獅 86.長野夕香、87.高岡越春(予約) 88.長野支香 89.長野松枝 90.上島雷太 (81-90非公開)
彩佳には会員証を2つ渡す。3番の会員証は彼女が自分の恋心を30歳になるまで(コスモスとの約束)封印するための代償、愛の証で、通常は31番の会員証を使用する。同じく龍虎の親友である桐絵・宏恵にも32,33を渡す。
名目上の“アクア”の名付け親である荻田さんが5番である。6-9は将来どうしても1桁の番号を渡したい人が出た時のためにリザーブする。
81-82に田代夫妻、83-84に志水夫妻、85-86に実の親である高岡夫妻をアサインして親権者である支香は88を取る。87は、龍虎を高岡猛獅の子供だと認めてくれないものの、いつかは和解したい猛獅の父・高岡越春にリザーブし、夕香・支香姉妹の母・長野松枝に89、龍虎の父親代わりとしてこれまでずっと経済的に支援してきてくれた上島雷太が90である。
但し、3番、および81-90は非公開とする。
また1000番までは特別な人に贈るためにリザーブし、一般のファンクラブ会員の会員番号は1001番から出すことにした。ここから先は抽選にしたが、1001番を取ったのは、静岡県の女子高生・杉山雪花さんであった。当然彼女は今回のイベントに招待して、一般ファン代表として、アクアと握手してもらった。本人はキスしたいと言ったものの、握手で勘弁してもらった。
ところでファンクラブ会報“Aqua Pal-Pal”(原則季刊)は20万部の発送なので、3月1日から発送を始めたのだが、この会報初号には、一部鱒渕水帆が書いた文章も含まれていた。
それで、これを受け取ったファンの間で、このような呟きが多く見られた。
《編集者の中に明らかにアクアちゃんを女子だと思い込んでいる人がいる》
鱒渕自身がアクアの性別を知ることになったのは、ファンクラブ発足の前祝いをした、3月6日のお昼の食事会だった。
このお食事会には、会員番号1番・松浦紗雪、2番・マリ@ローズ+リリー、4番・春風アルト、5番・荻田美佐子、10番・小野寺イルザ、11-13.スリファーズ、14番・ゆみ、23番・醍醐春海、34番・ケイ@ローズ+リリー、36番・江藤愛来、77-78.XANFUS、120.和泉、121.美空、122.蘭子、123.小風、という18人のファンクラブ女性会員と、§§プロ側から、紅川社長、田所・沢村・鱒渕、先輩代表として秋風コスモス、司会役として川崎ゆりこが参加した。
この18人の会員には、コスモスが日付・宛名書きをした金色のサイン色紙を進呈した(その場でアクアが書いた)。
男性の成人タレントなら“鏡割り”などするところだろうが、未成年タレントで出席者も女性が多い(実際問題として明確に男性なのは紅川社長のみ)ので大きなケーキを飾り、アクアにケーキカットをさせた。
シャンパン代わりのサイダーで乾杯(音頭は松浦紗雪が取った)してアクアの前途を祝う。
それで紅川社長の挨拶、コスモスの応援メッセージの後、マネージャーの田所・沢村・鱒渕も「一言ずつ」と言われた。田所は
「うちの事務所始まって以来の物凄い数の人たちからのご支援を頂きまして、ありがたく思っています。本人はまだやっと最初のCDをリリースしたばかりで、まだこれからですが、よろしくお願いします」
と言った。沢村は
「会員登録作業にしても、会報の編集にしても、これ本当に3月8日に間に合うか?って、ヒヤヒヤでしたけど、たくさんの方々のご協力で何とかなりました。これからもよろしくお願いします」
と言った。そして鱒渕は
「右も左も分からない中、みなさんのお手伝いで猫の手程度には役立ったかなと思っています。でもこんな素敵な美少女アイドルは、やはり多くの人々に愛されていくと思いますし、あんまり売れるとアクアちゃんもなかなかお嫁に行けなくて困るかも知れませんが、彼女がみんなに愛されている限り、頑張って裏方として支えていきたいなと思っています」
と言った。
アクアは「美少女」と言われ「お嫁に行く」と言われ「彼女」と呼ばれ、大いに困った。ボクお嫁に行けと言われたらどうしよう?