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■娘たちの始まり(15)

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2014年7月9日(水).
 
昨日設置したアスファルトの上にユニットハウス方式の社務所と倉庫兼スタッフ休憩室を設置した。これはトレーラーで運んできてクレーンでポンと置くのである。倉庫の方は崖ぎりぎりに設置するので、その部分の内側手摺りを取り外し、外側手摺りとの隙間が30cm程度になるように設置した。
 
社務所の前面には廂(ひさし)を取り付けて、陽差しをやわらげるとともに、雨の日に参拝客が御守りなどを買いやすいようにした。また表側の社務所と裏側の倉庫の間にはプラスチックのパネルを組んで、地面には簀の子を設置して、サンルーム状の渡り廊下とした。つまり社務所と倉庫の間を靴を履かずに雨にも濡れずに行き来できる。また社務所より道路側の所にも同様にプラスチックパネルでサンルーム状の場所を設置したが、ここは簀の子は敷かないし、内部からはアクセスできない。ここは通勤用スクーター置き場として考えていたのだが、後述の事情により掃除用具置場にした(スクーターを置いてもよい)。
 
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また社務所と倉庫の上にはスロープユニットを設置してそこに太陽光パネルを並べた。するとこの太陽光パネルが生み出す電力で、社務所で使用する電気は全てまかなえてしまうのである。
 
この電気で敷地内6箇所に設置した街灯、8ヶ所に設置した防虫燈籠、祠に設置したランタンなども運用する。
 
またスロープユニットと太陽電池を置いたことで、これが実は廂(ひさし)部品の重しにもなってくれて、ユニットハウスとしてはわりと長い廂を突き出すことができた。
 

(再掲)

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社務所のユニットハウスにはオプション部品のトイレユニットを接続しているが、このトイレユニットにはドアが前と横の2方向に付いていて、ユニットハウス内からも直接入れるし、外側からも直接入れる。それで参拝者も自由に使えるし、社務所に居る人も外に出ることなく使用出来る。
 
ロックは電子式で、片方のロック操作で両方同時にロックされ、使用中ランプも両方点くようにしている。これはシャワートイレで、自動洗浄、音姫付きである。更に自動稼働の換気扇付きで臭いがこもりにくい。女性の勤務者が多いので、この付近は快適さにこだわった。
 

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太陽電池パネルを入れたのは、ひとつは電線工事の工期の問題もある。電気を契約したいと言って電力会社に申し入れた所、既存の電線からの距離が非常に遠いので、年末くらいまで待ってくれと言われてしまった。しかも結構な金額の負担金が出そうな雰囲気だった。それで大した量の電気を使うわけでもないし、自前で調達しようということにしたのである。
 
工期のことを言えば、実は上下水道も大変だった。最初は1〜2ヶ月で本管工事ができるだろうという話だったのだが、市の予算が逼迫していて、ここに本管を引いても、他の住宅等に接続するのにも使用出来る見込みがないので優先度が低くなると言われた。それで建設会社の人と一緒に市と交渉していたのだが、向こうはハッキリ言わないものの、1年くらいかかるかもという感じだった。
 
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そこで「もしご予算があり急ぐならこういう方法もあります」と建設会社の人に教えてもらった方法を採ることにした。
 
本管工事の費用(約500万円)を千里が負担する。するとその予算ですぐに工事をしてくれる。実際工事が始まったら1ヶ月で本管は神社前まで到達した。それで工事が終わった所でその上下水道本管を市に寄付!することにしたのである。
 
なぜ寄付するかというと、こちらの所有物のままにしておくと、災害などで本管が破損すると、その修理をこちらの費用でしなければならない。しかし寄付して市の所有物になっていれば、市が修理してくれるのである。
 
これは住宅開発の際に、時々使われるテクニックらしい。
 
なおここには固定電話は設置しないので、電話線工事は不要だった。但し将来光ケーブルなどを引く可能性はある。
 
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『ランタンは気に入ったぞ。明るくて良い』
と姫神様は嬉しそうに千里に言った。
 
『それはよかったです』
と千里も答えた。
 
『光に集まってきた虫が防虫器で死んで、祠に死骸が落ちないかと心配したが、深夜は防虫器は停めるのだな?』
 
『人が居ない時間帯に薬剤を撒いても仕方ないですから。タイマーで夜明けから日暮れまで稼働させています』
 
敷地内の数カ所に『防虫燈籠』を設置しており、そこに実はアースノーマットを置いているのである。ほんのり光るタイプなので、日が落ちると本当に燈籠に灯りが灯っているような風情がある。なお燈籠は倒れたりした時に怪我人が出ないように樹脂製である。但しパソコンで印刷した非光沢シートを貼り付けてあるので、遠目には普通の石灯籠に見える。通電のon/offは社務所内のスイッチで手動でもできるが、普段はマイコン制御で天文薄明している時間だけ自動通電する(雨の日や風の強い日も風量計・降水計からの信号で自動オフ:せいちゃんが工作した)。街灯は日没から日出まで点灯するので、実は両方動いてる時間帯が少しだけある。
 
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『それに防虫器が動いている時間帯は、敷地の外縁で虫は停まってしまうようだし」
『防虫器から出ている除虫菊の成分(ピレスロイド)が神社の敷地内をカバーしていますから。これは昆虫や両生類・爬虫類とかにだけ利いて、哺乳類や鳥類には利かないんですよ』
 
最初実は超音波方式のものを設置する予定だったが、電気工事の人が
「あれは全然利かないですよ」
と言っていたので、薬剤交換の手間はあるがアースノーマットにした。また、設置箇所を増やした。
 
千里の眷属の中で龍属の子たちは、元々アースノーマットの類いは全く平気である。蛙の精である《わっちゃん》は大丈夫だろうかと少し心配したのだが、彼女も
 
『私、アースノーマットも蚊取り線香も平気ですよ〜。屋外で作業する時、よくカトリス付けて動き回っています』
 
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と言っていたので、やはり蛙の精は身体(?)の作りが生(なま)の蛙とは違うようである。
 

『ただ、それでも朝にはやはり結構な虫が敷地の周囲で死んでいるのが少々問題だ』
と姫様は言う。
 
『誰かが毎朝掃除でもしてくれたらいいんですけどね』
『そなたは掃除してくれんのか?』
『私はたまに来るだけですから』
『では取り敢えず掃除用の竹ぼうき・塵取りをいつでも使えるようにどこかに置いておいてくれんか?あとペタルペールと』
『いいですけど』
 
まさか女神様が自分で掃除したりして?
 
それで千里は真新しい竹ぼうきと塵取り、ペタルペールを買ってきて、ペタルペールには不透明の白いビニール袋をセットした。これらを鳥居傍・社務所横のサンルーム状の場所に置くことにした(自然換気窓があるので室温は気温程度以上には上がらない)。
 
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『無人の時間帯が多いので、鍵(電子式)は一応掛けておきますけど、必要なら解除できますよね?』
『ああ、ちゃんと解除してまた施錠しておく』
『カードキー、1枚渡しておきましょうか?』
『じゃ念のためもらっておく』
 
ということで、千里はこの社務所のカードキーのNo.0(ゼロ)を女神様に渡した。
 
すると実際千里が来る度にペタルペールには、虫の死骸を含むゴミが結構入っていたし、土日祝日にこちらに詰めてくれる後輩の巫女さんたちの話でも掃除はされているということだったので、女神様は(多分)誰かに毎日掃除をさせるようにしたようである。また奉納されたまま放置されているお菓子やお酒などの類いも適宜回収されて、ここの棚に置かれていた。
 
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7月10日(木)には、上下水道の本管も神社の前の土地まで到達した。それで翌11日には社務所に上下水道を接続する工事が行われた。この工事が終わるまでアスファルト敷設を保留していた箇所をこの後で処理した。
 
その11日(金)には、隣接する土地に市が作っていた駐車場も完成した。この時期工事が多かったので、千里は《てんちゃん》と《いんちゃん》に、9-11日と14日、設置されたばかりの社務所に交替で居てもらい、必要な指示をしたり、また作業員さんたちに差し入れをしてあげたりしていた。
 
更に週明けの7月14日(月)には、駐車場の四隅と神社敷地内6ヶ所に街灯を作る工事も行われた。実際には駐車場の神社側の隅は神社内の街灯と兼用なので全部で8ヶ所で済む。
 
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これに使用する電気は当初は太陽電池の蓄電方式にすることも考えたものの、せっかく神社で発電しているので、その電気を使用することにして、駐車場の街灯分の電気代は、駐車場の使用料から相殺することで市とは話がまとまった。
 

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2014年7月13日(日).
 
この日貴司たちは7回目の体外受精を行った。
 
貴司は中国でアジアカップを戦っているので、阿倍子は金曜日にひとりでタクシーを呼び入院した。そして13日に卵子の採取を行った。
 
貴司の従兄・武彦は12日・土曜日朝の飛行機で大阪にやってきた。
 
新千歳7:40-9:35伊丹
 
千里は大阪から一晩掛けてインプレッサを運転してきた11日の午後、今度は新幹線で姫路まで行き、市川ラボに泊まった。そして12日の朝からA4 Avantを運転して伊丹に行き、武彦君を迎えた。
 
貴司の(同じ淑子の孫である)従兄は暢彦・武彦の兄弟がいる。その2人の妹が1月に結婚した美沙である。貴司がなぜ年長の暢彦ではなく武彦の方に頼んだのかは分からないが、暢彦が165cmくらいの優男(やさおとこ)で、女装させてみたい感じなのに対して、武彦は178cmでがっちりした体格で男らしい雰囲気なので、彼の方が精子が強いのではと思ったからでは?という気がした。
 
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「武彦さん、面倒なこと頼んでごめんなさいね」
「ああ。平気平気。それで赤ちゃんできた場合でも、俺は養育義務とか無いんだろ?」
「もちろん。AIDだから、生まれた子供の法的な父親は貴司だし、養育義務は貴司に発生するんですよ」
 
「でも千里ちゃん美人だよね。貴司の奥さんじゃなかったら、俺が口説きたいくらい」
などと武彦は言っている。
 
「何なら、私とセックスする?」
「え!?」
 
「精子採取して、私の子宮に投入するのが本則だけど、こっそり私と生でセックスしちゃっても、誰にも言わなければバレないよね。より新鮮な精子を使えるし」
 
「えっと・・・」
 
「まあ冗談だけどね」
「あのさあ、そういう冗談はやめといた方がいいよ。俺が本気になったらどうするのさ?」
 
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それで彼をホテルまで案内し、採精容器を渡して千里はロビーで待った。彼は30分ほどで降りてきた。
 
「はい、これ」
「ありがとう!助かる」
「出した後、うっかり眠っちゃって」
「貴司も出した後は眠っちゃう。男の人ってそういう構造なのかな」
「うん。多分そうだと思う。だから眠れない時にすると快適に眠れるんだよ」
「じゃ男の人は睡眠剤は要らないかも?」
「病院のベッドとかだと、できないからそういう薬欲しいかも」
「なるほどねー」
 
彼には往復旅費の他、USJのチケットとお小遣い3万円を事前に渡している。彼も一息ついたらUSJに行き、明日は大阪の町を色々歩いてみると言っていた。
 
「ちなみにここだけの話、女性経験は?」
「実は未経験。俺風俗とかには抵抗感じるし」
「結構まじめなんだ!」
「俺みんなから女遊びしてるように思われる」
 
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「貴司も風俗は抵抗があると言うけど、その代わり暇さえあれば浮気しようとするのが困るけどね」
「ああ。なんか詳しいことは聞いてないけど、理歌ちゃんが怒ってた。貴司君、浮気のやりすぎで精子弱くなっているのでは?」
 
まあ詳しい話を聞いたら仰天するだろうな。
 
千里は
「そうかもね〜。生産が間に合ってなかったりして」
と答えておいた。
 
「でも貴司君が俺に頼んだのは正解な気がするよ。兄貴だと本当に精子があるのか怪しい」
「無いの?」
「睾丸こっそり取ってないかという疑惑がある」
「女の子になりたいとか?」
「うん。怪しい怪しい。兄貴はたぶんホモかオカマかどちらかだと思う」
「へー」
「もし兄貴が女と結婚したら、俺、逆立ちで天橋立歩いちゃる」
「ふーん」
 
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その暢彦は2年後に本当に女性と結婚したので、武彦はこの時の発言を思い出し
「千里ちゃん、あれ十勝牛の詰め合わせか何かで勘弁してもらえる?」
などと、暢彦の披露宴の時に千里に言ってきた。
 

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武彦と別れた後、千里は精液を《りくちゃん》に頼んで産婦人科に届けてもらった。今回は《りくちゃん》は武彦君に擬態して届け、阿倍子さんに挨拶してから帰るという設定になっている。
 
今回阿倍子の卵子は6個採取して、その内の3個に貴司の精液(解凍)を掛け(WH)、3個に武彦の精液を掛けた(WC)。
 
その結果WHの1個とWCの2個が受精したので、医師は国際電話で貴司とも話し合った上で3個とも阿倍子の子宮に投入した。もし3個とも育った場合は、3つ子でもよいことにする(減数手術はしない方針)。
 

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「え〜?またスカートの衣裳なの?」
と西湖は言ったが、母は
 
「可愛くなるからいいじゃん。シワーライ(タイの女性の正装)もあるよ。この夏は倉緒ちゃん、高校受験前で合宿とかもするのよ。だから今回の公演では、あんたが宮廷少女を演じてよ」
 
「しょうがないなあ。でも女の子の衣裳つけるの恥ずかしい〜」
 
「何なら女の子になる手術受けちゃう?」
「何のために!?」
「女の子になっちゃえば、女の子の衣裳を着るのは当たり前だし」
「その論理はおかしい」
 
「取り敢えず睾丸だけ取るとか?」
「やだよぉ」
「中学生になる前に取っておけばセーラー服で通学出来るよ」
 
「・・・・・」
「ああ。やはりセーラー服着たいんだ?」
「べ、べつに!」
「じゃ睾丸取る手術、予約しておくね」
「そんな手術受けないって」
 
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「じゃ睾丸取らなくてもいいから、スカートに慣れるのにしばらくずっと女の子の服で過ごしなよ。どっちみち夏休みに入るし」
「じゃ夏休みに入ったらそうするよ」
「1学期の残りも女の子の服で学校に行っていいし」
「恥ずかしいよぉ」
と言った所で軽い咳が出る。
 
「風邪?」
「大丈夫とは思うんだけどね」
 
「じゃ、これ飲んで」
と言って錠剤を渡される。
「お水汲んでくるね」
 
それで西湖は母から渡された薬を飲んだ。
 
「これルルかと思ったら味が違う」
「それは女性ホルモンだけど」
「嘘!?」
 

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娘たちの始まり(15)

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