広告:ボクの初体験 1 (集英社文庫―コミック版)
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■娘たちの始まり(4)

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ところで龍虎の学校では技術家庭は男女共修だが、体育は同一時間に男女別授業となっている。龍虎は“一応”男子なので、他の男子と一緒に授業を受けるものの、龍虎の男子授業への参加は様々な問題を引き起こした。
 
取り敢えず柔軟体操が出来ない。
 
龍虎は女の子のような体格・体質なので、男子は誰も組みたがらないのである。
 
「先生、田代さんと組んだらチンコ立ってしまってまともに柔軟体操とかできません」
と男子たちは訴える。
 
だいたい龍虎は体育の時間はスポーツブラをしている!
 
結局龍虎はウォーミングアップ・準備体操までは女子と一緒にやって、その後、男子の方に来て、最後の整理体操も女子と一緒にするという処置がとられた。
 
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「授業本体も女子と一緒にした方がいいのでは?」
という意見もあったが保留となった。もっとも先生たちは龍虎の体力に考慮し、最初の授業で行われた持久走は、男子は3000m、女子は1500mだったが、龍虎は1500mでよいと言った。
 

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柔道については、龍虎は女子と組むように言われ、桐絵や佐苗たちから、投げられていた。
「龍ちゃんは凄く投げやすい」
「ボク、バレエでもリフトしやすいと言われる」
 
「龍ちゃんも投げるのやってみなよ」
「ボクの腕力では無理〜」
と言ったが
「龍ちゃんみたいな子は絶対痴漢に目を付けられるから投げ技は覚えた方が良い」
と言われ、比較的小柄な宏恵や麻由美などが投げられ役をしてくれて、だいぶ練習した。
 
ちなみに龍虎は女の子の身体に触っても何も感じない。また女子たちも龍虎に触られるのは何も意識しない。
 
「投げるのに腕力は必要無いんだね」
「そうそう。これは要領なんだよ」
 

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2014年4月20日(日)、貴司たちは4回目の体外受精を実施したが、今回は阿倍子の母の卵子、貴司の父の精子も使ってみることにした。
 
「阿倍子さんって女の親戚は全然居ないの?」
と千里は訊いた。
「お父さんは一人っ子で、その両親も各々一人っ子だったから、お父さんには全く親戚が存在しない」
と貴司。
 
「お母さんは?」
「お姉さんが名古屋に住んでいて、それでお母さんは名古屋の病院に入院しているんだけど、そのお姉さんは結婚はしていたけど子供ができなかった。お友だちの所からもらった養子さんの家に同居している」
 
「阿倍子さんって、もしかして元々子供の出来にくい家系なのでは?」
「ひょっするとそうかもという気はする」
「うーん」
 
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「実は実家の権利をめぐって揉めている保子さんの義理の従姉(保子の母の兄の養女:太平洋戦争で戦死した友人の子らしい)、輾子さんには40代の娘さんが居る。つまり阿倍子には義理の又従姉妹になる。その子供に20歳くらいの女性もいる。でも阿倍子は絶対に使いたくないと言っている」
 
「それは使いたくないだろうね」
 
「保子さんが入院している病院には、保子さんの小学校の時の友人のお医者さんがいて、それもあってそこに入院している。要するに保子さんのボーイフレンドっぽいんだよなあ」
 
「まさか不倫?」
「阿倍子はそれを疑っているみたい。ひょっとしたら自分はその人の子供なのかも知れないと言っている」
 
「複雑すぎて分からないや」
「そのお医者さんは既に奥さんは亡くなっているんだけど、子供は2人とも男の子で、孫も美事に男の子ばかりで女の子が全然居ない」
 
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「つまりもし阿倍子さんがその人の娘だったとしても、卵子が提供できる人は存在しないわけか」
「精子だったら確保出来るけどね」
 
「やはり貴司の卵子とその阿倍子さんのひょっとしたら従兄弟かも知れない人の精子の組み合わせで」
「卵子が無いよぉ!」
 

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阿倍子は金曜日から入院している。阿倍子の母・保子の卵子採取は保子が入院している病院に依頼している。貴司は19日の朝から新幹線で名古屋に向かい、この卵子採取に立ち会った。保子はとっくの昔に閉経しているのを2ヶ月前から、ホルモン剤を打って強制的に卵子を育てている。このホルモン注射がけっこう辛かったようである。それでも卵子が4個採取できた。ただ、病院の医師はたぶん卵子が採取できるのはこれが最後と言った。
 
採取した卵子は同行してくれた豊中の病院の看護師さんに持ち帰ってもらう。そして貴司は北海道に飛ぶ。
 
中部13:15-14:55新千歳
 
貴司の父にはあらかじめ採精容器を送っており、お昼過ぎに新千歳空港内でそこに射精してもらっている。
 
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「しかしもしこれで赤ちゃんできたら、それは遺伝子的には俺の子供になるのか?」
と父からは訊かれた。
 
「戸籍上は僕の子供になるから問題無いと思うよ」
と貴司は言った。
 
「子供が実は祖父の子供って話は昔から割とあるし」
「確かにそうだな!」
 

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それで貴司は大阪に戻った。
 
新千歳16:35-18:25伊丹
 
精液を病院に届けた後は、千里(せんり)のマンションに戻るが、そこに千里が来ている。
 
「名古屋から新千歳までお疲れさん」
と言ってキスした。
 
「今すぐ射精したい気分」
「できるだけ新鮮なのがいいから、朝まで我慢しなきゃね」
「辛いよぉ」
「貞操帯付ける?」
「我慢する」
 
それで一緒に晩御飯を食べたが、貴司はどうにも我慢出来ない様子だったので、結局、貞操帯を取り付けられてしまった。それで例によって客間の布団で一緒に寝た。千里はぐっすり寝たが、貴司はやはり眠れなかったようである。朝千里が起きてから貞操帯を外し、触るとすぐに出た。そして出すとすぐ眠ってしまう。もしかしてずっと起きていたのでは?という気がした。仕方ないので《りくちゃん》に届けに行ってもらった。
 
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一方阿倍子本人は20日のお昼から卵子の採取をおこなった。これにお昼近くにやっと目を覚ました貴司も立ち会った。また採取中はずっと阿倍子の手を握ってあげていた。
 

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それで今回は次のような組み合わせで受精をおこなった。
 
MF群 保子卵子×望信精子 2個
MH群 保子卵子×貴司精子 2個
WF群 阿倍子卵子×望信精子 4個
WH群 阿倍子卵子×貴司精子 4個
 
しかしさすがに保子の卵子を使ったものはどちらも受精自体はしたものの、途中で分裂が停まってしまった。
 
それでせっかく保子に頑張ってもらったもののこれは廃棄である。
 
WF群とWH群は全部、分裂は正常にしてくれた。それで今回はWF群とWH群から1個ずつ取り、2個阿倍子の子宮に投入した。残り3個ずつは冷凍保存する。
 
この投入をしたのが4月22日である。阿倍子22日の夕方、チーム練習が終わってから市川ラボでの練習を休んで病院に行った貴司と一緒に帰宅した。
 
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4月21日(月).
 
龍虎たちの中学校では部活動の紹介と入部受付が行われた。龍虎はあまり部活とかまでする気は無かったのだが、この学校では全員原則としてどれかの部活に入ってくれと言われたので、宏恵に誘われてコーラス部に入ることにした。
 
龍虎が学生服を着ているので
「あなた声域はテノール?バス?」
と訊かれたが、宏恵は
「この子はソプラノです」
と言った。
 
「嘘!?」
というので、音域を実際に確認するとA3からF6まで約2オクターブ半出ることが分かる。
 
「F6が出るって凄い」
「今日はたまたま調子良かったので出ましたけど、安定して出るのはD6までです」
と龍虎は言うが
「E6までは安定している気がする」
と宏恵は言う。
 
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「テノールの音域は出ないんですよね〜」
と龍虎。
「あなたG3が出ないからアルトも微妙よね」
と先生。
「だからこの子はソプラノに入れるしかないと思います」
と宏恵は言った。
 
「つまりまだ声変わりが来てないのね」
と先生は言うが
「声変わりは永久に来ないと思います。睾丸が無いから」
と宏恵は言った。
 
「無いの!?」
「あります」
「あれは既に機能停止しているから実質無いのも同然。機能停止したまま放置しておいて癌とかにならないように早めに摘出した方がいいと思うけどなぁ」
などと宏恵は言っている。
 
「睾丸が無いって、実は女子ということは?それで男装しているということは無いわよね?」
と先生は念のため確認した。
 
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「その疑惑は大いにあります」
と佐和美が言った。
 

2014年4月22日(火)、FIBAのパトリック・バウマン (Patrick Baumann 1967-2018)事務総長が来日し、昨年12月の警告にもかかわらず、一向に改革が進む気配もない日本バスケットボール協会に対して、強い警告をあらためて行い、回答の期限として10月末を指定した。
 
万一それまでにきちんとした改革の方針が示されない場合、日本バスケットボール協会の資格停止もあり得るとした。資格停止されると、日本は国際大会などに全く出場することができなくなる。
 
日本バスケットボール協会は過去にも埼玉で開かれた世界選手権で出た13億円もの巨額赤字(本来巨額の黒字が出るべき)の責任問題から役員人事が大混乱した結果、2008年3-9月にもJOC(日本オリンピック委員会)から資格停止処分をくらっているのだが、今度は更に深刻である。
 
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しかしその深刻さが幹部クラスに全く認識されていないことが本質的に深刻であった。
 

4月28日(月).
 
主要新聞に、海岸に立つAYAのゆみのセミヌード写真、そしてSaintes-Maries-de-la-Merという文字だけが書かれた全面広告が掲載された(広告料金は多分1.5億円程度)。
 
この広告手法は、40代以上の人たちには、1991年に出版された宮沢りえのヌード写真集『Santa Fe』の広告を思い起こさせた。
 
そして実際にこの日、全国の大型書店にはAYAのヌード写真集が大量に山積みされ、飛ぶように売れたのである。この日まで、この写真集のことは一切公開されておらず書店関係者も多くは荷を開けてびっくりだったらしい。中小の書店がうちでも売りたいと問い合わせ、すぐに出荷されて、2〜3日中には全国のほとんどの書店に並ぶこととなった。
 
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この写真集は最初の1週間で5万冊売れて、今年の写真集の売上げ冊数トップは確実と言われた。
 

でも最終的には鹿島信子がグァムで撮った“Lucifer Girl”に僅差で負ける。つまり聖女が悪魔に負けてしまった!
 
Luciferは「明けの明星」で、リダンリダンの楽曲『Hesper』に掛けている。Hesperは宵の明星だが、宵ではアーティストのスタートにはふさわしくないということで、写真集のタイトルは明けの明星のLuciferにしたのである。明けの明星はPhosphorusとも呼ばれるが、Phの音が読みにくいということでもうひとつの名前Luciferが使用された。これは半陰陽の信子を両性具有の悪魔にたとえたのもある。AV畑出身の室田英之さんが、まだ男の子っぽさが残る信子の“妖しい”魅力を引き出していた。表紙は実際にリダンリダンを連れて撮影に行った時に偶然撮影されたグァムの美しい明けの明星の写真である。
 
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Luciferがなぜ悪魔の象徴とされたかは、明けの明星が太陽(神様)が出てきても天空で最後まで光を放っている様子が「神に対抗するもの」と考えられたからである。つまり実はLuciferというのは光に満ちた存在なのである。そのため後には太陽を表す大天使ミカエルと地獄の主ルシファーは兄弟であるという考え方も強くなった(先に出てくるルシファーが兄で、後から地上に出てくるミカエルが弟)。
 
一方、Saintes-Maries-de-la-Mer (サント・マリー・ドゥ・ラ・メール)はマグダラのマリアがここに上陸してフランスにキリストの教えを伝えたとされる場所である。ゆみは今年の2月に渡仏し、この町に住む富豪の邸宅のプライベートビーチで1週間掛けてヌード写真の撮影をおこなった。撮影したのは新庄幸司で、ローズ+リリーの最初の写真集の撮影者でもある。概して美しい絵を撮る写真家と評されており、芸能人の写真集を多く手がけている。
 
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この年のこの2つの写真集の勝負は面白かったのだが、最終的には妖しい19歳信子の水着写真が、大胆な23歳ゆみのヌード写真に勝ってしまった。
 
もっともネットでは「やはり19歳と23歳の年齢差がいちばん大きい要素」とも言っていた。宮沢りえのヌード写真集が150万部も売れたのは何と言っても17歳(出版されたのは18歳になってから)の人気絶頂アイドルのヌードという衝撃があった。
 
 
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