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■娘たちの始まり(14)

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「それでさ、普段ならロイヤルホストのステーキなんて凄く美味しく感じるのに、帝国ホテルのディナー食べた後だと、何だかあまり美味しく感じられないんだよ」
と冬子は言った。
 
「ああ、それはさすがに比較の対象が悪すぎる」
と政子。
 
「プロフェッショナルの庭師が整備した素敵な花園を見た後で、素人の家庭花壇とか見たら、落差を感じるのと同じだろうね」
と千里は言った。
 
「うん、それに近いよね。ロイヤルホストはそれでも本職の料理人さんが各店舗に1人いるから、ファミレスの中では別格的に美味しいんだけどね」
と政子。
 
冬子は微笑んで会話を聞いていたのだが、突然ハッとしたような顔をした。
 
千里は《花園》と言った。
 
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花園・・・・『Flower Garden』か!
 
と冬子は気付いたのである。
 
その瞬間、冬子はなぜ千里が帝国ホテルのディナーをおごってくれたのか、その意図に気付いてしまった。《巫女》を自称する千里のことだ。恐らく彼女はその後で、自分たちがファミレスに来ることまで読んでいたんだ。
 
つまり制作中のアルバム『雪月花』をファミレスの食事にしてはいけない。
 
昨年の『Flower Garden』の素晴らしさに酔ったファンの人たちが『雪月花』を聴いてがっかりしてはいけないんだ。
 
そう思った冬子は『雪月花』の発売をずらしても充分な制作期間を取って満足の行くようにするべきだと思ったのである。
 
「ちょっと電話してきていい?」
と冬子は言って席を立つと★★レコードの町添製作部長に電話を掛けたようである。冬子は長時間部長と話していたので、政子は
 
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「この冬の残したステーキ食べちゃってもいいよね?」
と千里に訊いた。
 
「冷めちゃうし食べてもいいんじゃない?お腹すいたら、また頼めばいいし」
と千里は答えた。
 
「そうだよね。お代わりしちゃおう」
とマリは言って、ボタンを押してウェイトレスを呼んだ!
 
むろん千里が言ったのは、このステーキを政子が食べてしまったとしても、冬子が戻ってきてお腹が空いたら追加オーダーするだろうという意味である。
 

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電話から戻ってきた冬子は軽く興奮していた。そして『雪月花』の発売日を8月の予定だったのを12月まで延期するとともに、既に出来ている音源も含めて全面的に作り直すことにしたと言った。また制作に集中するため、予定されていた夏のツアーを中止することにしたと言う。
 
千里は特にコメントしなかったが微笑んでいた。
 

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3人はタクシーで千里が車を駐めている駐車場に移動した。それで冬子と政子に後部座席に座ってもらい、千里が運転して車を出した。インプレッサは千里(せんり)ICを登って、府道2号から名神に入る。
 
このメンツなので、冬子は政子のプライベートなことを話した。
 
「でもマーサ、今夜は彼氏(松山貴昭)とこちらで泊まるかと思っていたのに」
「うん・・・」
と言って、政子は黙り込んでしまう。
 
「彼とうまく行ってないの?」
「どうも彼、私以外にも恋人がいるみたいなんだよね」
「それはマーサの今までの態度なら仕方ないと思うよ。彼が恋人になりたいと言うのを、友だちのままでいたいなんて言っていたし」
 
「うん。あくまで貴昭とは友だち。でも私は貴昭と別れるつもりはないし、彼も私との関係は続けたいみたい」
 
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「まあ、二股もいいんじゃない?」
「うん。それでもいい。彼がもし向こうの彼女と結婚すると言い出したら仕方無いけど、そうなるまでは私も頑張ってみようかな」
 
そんなことを言っていたら、千里が大胆なことを言う。
 
「彼氏が結婚しちゃっても、好きだったら関係は続ければいい」
「おっ」
 
「と思わない?政子」
と千里。
「そうだなあ。そういうのもいいかな」
と政子。
 
「世間的には不倫だとか騒がれるかも知れないけど、マリちゃんの男性関係なんて、今更でしょ?」
と千里は言う。
 
「ああ。私って恋多き女と思われてるみたい」
と政子。
 
「いや、実際に恋多き女だと思う」
と冬子も言う。
 
政子は男性に対して無警戒なので、あまり恋愛とかを意識しないままデートくらいまではしてしまう傾向がある。ただ政子はセックスまでしたのは過去に3人しか居ないと言っていた。その3人目が実は今問題になっている松山君だ。
 
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「でも千里、まるで自分が不倫したことあるみたいな言い方」
「世間的には不倫と思われるかもね。私も彼もそういうつもりはないけど」
「不倫してるの!?」
 
「彼がたまたま他の女性と法的婚姻状態にあるだけだよ」
 
「出雲に行った時、部分的に聞いたけど、つまり元々付き合っていた彼氏を他の女性に略奪されたんだっけ?」
と冬子がダイレクトに訊いた。
 
「まあそんな感じかな。でも私と彼は交際していたといより事実上結婚していた。結婚式もあげていた。籍を入れてなかっただけ。その籍も入れようと言って結納も交わした直後に略奪された」
 
「ひどい」
 
「私が渡した結納金は返すと言われたけど受取拒否した。彼が私にくれた結納金は彼のお母さんが返却不要と言ったから、ぱーっと使っちゃった。彼がくれた婚約指輪は一応彼のお母さんに返したんだけど、彼自身は私が持っていていいと言っている。私が婚約指輪の御礼に彼にあげた腕時計は、彼はお風呂に入る時以外ずっと付けてると言っている」
 
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「それは婚約は解消されていない気がする」
と冬子は言った。
 
「だからこれを持っている」
と言って、千里は車をいったん非常駐車帯に駐めてから、バッグの中から指輪を出し、左手薬指に填めた。
 
「婚約指輪と結婚指輪がある」
「それ彼からもらったもの?」
「アクアマリンの指輪は彼からもらっていたもの。ダイヤの指輪をもらうまでのつなぎにもらったものだけど、返却は不要と言われている。プラチナの結婚指輪は今年になって彼のお祖母ちゃんから孫嫁の証(あかし)といわれて渡されたもの」
 
「へー!」
 
「ちなみにこういうものもある」
と言って、千里は右手の薬指にも、ダイヤの指輪とプラチナの結婚指輪を付ける。
 
「そちらは?」
「これは桃香からもらったもの」
「千里、重婚してるの?」
 
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「彼と破局した直後に桃香からプロポーズされた。それでついふらふらと桃香とも結婚してしまった。でも桃香は半月後に、別の女の子をアパートに連れ込んで、それを見て私は激怒して離婚を宣言した」
 
「桃香らしい・・・」
 
「それでこの右手に付けているふたつの指輪は桃香に返したんだけど、ファッションリングとして持っていて欲しいというから、取り敢えず右手につけることにした。彼氏からもらったものは左手につける」
 
「そういうことだったのか」
 

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千里は後方を確認して車を出した。加速してすぐに100km/hに戻す。
 
「だから、私は今でも彼の妻のつもり。だからこれは私(わたし)的には不倫では無いんだよ。たとえ今彼に別の法的な妻がいても」
 
「そういう複雑なことになっていたのか」
 
「じゃ、千里、その結婚してしまった彼氏とセックスするの?」
「彼が結婚した後はしてない」
 
「もしかして先週大阪に来た時って?」
「うん、デートしたよ。セックスはしてないけどね。一緒にドライブして散歩して食事しただけ」
 
と言いつつ、私嘘は言ってないよね?と千里は思う。
 
「それでもやはり不倫という気が」
「彼氏とは長いの?」
 
「付き合い出したのは私が中学1年の時。結婚式を挙げたのは高校1年の時。ちゃんと三三九度して、初夜もしたよ」
と千里が言うと
 
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「初夜か・・・それってどこ使ってしたの?スマタ?後ろ?」
と政子が質問する。
 
「初夜だもん。当然ヴァギナだよ」
と千里は答えた。
 
「高校時代に千里、ヴァギナがあったの!?」
「もちろん。冬子だって小学5年生の頃には既にヴァギナがあったはず」
 
冬子が咳き込む。そして政子は
「やはりそうだよね!そういう気がしたんだよ」
とキラキラする目で言っていた。
 

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その後は、千里が安全運転だねという話から、千里が先日大型免許を取って、それで免許証がゴールドになったことを言う。
 
「すごーい。大型取ったんだ!」
「それでさっそく雨宮先生に15トントラック運転させられた」
「う・・・」
 
雨宮先生に無茶ぶりされて、やむを得ず厳しい状況での運転をした経験は冬子にもあるようである。実際には冬子は雨宮先生にも、蔵田さんにもやらされている。
 
「冬子、免許取ったのはいつ?」
「2009年10月23日」
 
「だったら、今年の12月以降に自動二輪でも中型でもいいから免許を取れば、冬子もゴールド免許にできる」
「ああ!その手があったか」
 

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さすがに東京まで1人で運転するのは辛いよと言って、冬子は御在所SAから浜名湖SAまでを運転してくれた。政子はもう、とうに眠っている。
 
その浜名湖に着く前、千里が仮眠から覚めたようだったので冬子は言った。
 
「婚約指輪の方は、わりとどうでもいいと思うんだけどさ。結婚指輪については千里、桃香との結婚ライフを送るつもりがないのなら、彼女に返した方がいい気がする」
 
「そうだねぇ。私もあの時は頭に血が上っていたから、両方返して。その後、桃香があらためてファッションリングとして持っていてというから両方再度受け取ってしまったけど、ダイヤの指輪だけ持っておいて、結婚指輪の方は返しちゃおうかな」
 
「それでも千里と桃香の友情は壊れないと思うよ」
 
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千里は少し考えてから答えた。
「うん。そんな気もする」
 

千里たちの車は7月11日早朝、無事お仕事のあるラジオ局の前に到着。冬子だけ降りて、千里は車を早稲田のマンションまで持って行き、政子もおろした。半分眠っているようなので、部屋まで送って行き、御飯も作ってあげたら
 
「美味しい美味しい」
と言って食べていた。そして食べ終わったら眠ってしまったので、ベッドに寝せて布団も掛けておいた。その後、千里はインプを運転して葛西に帰還し、ぐっすりと眠った。
 

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2014年7月7-8日(月火).
 
千葉の玉依姫神社の敷地内で祠より前の空間に敷かれている玉砂利をいったん取り除いて、取り敢えず祠の後方に積み上げた。そして、電気や上下水道の敷地内配管工事をした上で、鳥居から祠に至る参道部分を除いてコの字型にアスファルトを敷き詰めた(↓の黄色い部分。シーサーは翌年設置)。
 

 
これは先日不思議探訪の番組の撮影で来た潤子と千里が話していた時、こういう話が出たのから話は始まっている。
 
先日、千里が居なかった時に放送をしていてちょうど参拝客が来ていたので、インタビューをした。その時、参拝客の中に車椅子の人がいて潤子がそれを見て
「車椅子で祠の所まで来る時、大変じゃなかったですか?」
と訊いたら
 
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「私は神社マニアで玉砂利でも通りやすいように太い車輪の車椅子を使っているから平気です」
とその人は言ったらしい。
 
「ああ。これは特殊な車椅子なんですか?」
「大きな神社だと車椅子の参拝者のためにこのタイプを無償貸し出ししてくれる所もあるんですよ」
「そういうのが無い所だと大変ですね」
「まあこの神社くらいの距離なら、細い車輪のでも何とかなるかな」
 
そのようなやりとりがあったのだけど、ここは神社の人が常駐していないから、たとえばそういう車椅子を鳥居の付近に置いておいて自由に使えるようにするとかはできないですかね?と潤子は言った。
 
それに対して千里は言った。
「そんな面倒なことするより、車椅子が通りやすいような道を作っちゃいましょう」
「おお!!」
 
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(このやりとりも後日放送された)
 
それで千里は即青葉に電話して、千里がお金出すから、境内の一部を舗装して車椅子でも通りやすいようにしていいか?と尋ねた。青葉は、車椅子の人のことを何も考えていなかった。申し訳無い!と言い、千里と青葉でお金は半分ずつ出し合って、参道部分以外を舗装することにしたのである。ついでに社務所のユニットハウスを置く場所の下も舗装しようということにした。
 
舗装工事が終わった所で玉砂利を戻すが、大量に余るので、余った玉砂利は神社後方に敷き詰めた。
 

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