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■娘たちの振り返るといるよ(15)

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千里がすき焼きを食べ終わった所で保志絵は言った。
 
「千里ちゃん、夏に貴司が送って来た50万、それと先月送って来た100万、あらためて袴料の返却分として現金で持って来たんだけど」
 
と言って保志絵は分厚い1万円札入り封筒を見せた。
 
なるほど、それで貴司のボーナスの大半はそれに使われたのかと千里は納得した。
 
「母からも以前言ってもらったように、それは受け取り拒否です」
「分かった。だったら、これは私が取り敢えず預かっておくね」
「はい」
 
「それと指輪も持って来たんだけど」
と言って保志絵は水色のティファニーのジュエリーケースを2個持っている。千里はドキッとした。
 
「それはあらためて貴司さんからもらいたいんです。ですから、貴司さんがその気になるまで、お母さん預かっておいてもらえませんか?」
 
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「分かった。だったら、この袴料の返却分150万円と2つの指輪、銀行の貸金庫に入れておくよ」
「わっ」
 
「だってこんな豪華な指輪、家に置いておいて、盗難とかにでもあったら大変だもん」
「確かに。でもそれ私が将来その指輪を受け取った後でも、同じことが言えますね」
「ほんとうだ!」
 

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そこまで話が固まった所で、千里は車を出した。
 
保志絵が言う。
 
「私の気持ちは、貴司とあの女の結納式の時に千里ちゃんに言った通り。私は千里ちゃんこそ、貴司のお嫁さんだと思っているから」
 
千里は涙が出てきた。
 
「ありがとうございます。私も自分は貴司さんの妻だと本人の前で宣言してきました」
と千里は言う。
 
「貴司と会ったの?」
 
「12月22日、結婚式を挙げる予定だった日に、結婚式を挙げる予定だったNホテルで会いました。その後、29日の夕方まで一緒に過ごしました」
 
「うっそー!?」
「だったら、兄貴は千里姉さんと復縁するの?」
 
「それが自分は阿倍子さんと結婚すると言うんですよね〜」
「一週間、千里さんと一緒に過ごしておいて?」
 
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「私も時々、貴司さんの発想には付いていけないと思う時もあります」
「私も付いていけない!」
 
どうも理歌と玲羅は呆れているようだ。
 
千里はこの場では取り敢えず貴司と毎月会う約束をしたことは言わなかった。
 

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「でもそこまで行っているのなら、せめてこの結婚指輪のほうだけでも千里ちゃんに持っていて欲しいなあ」
 
と保志絵は言ったが
 
「それなら、これを持っていますから大丈夫です」
 
と言って、千里は車を脇に寄せて停めるとバッグの中から青いジュエリーケースを取り出した。ボックスを開くと、千里の誕生石であるアクアマリンの宝石がついたプラチナの指輪がある。
 
「この指輪は3年前、2009年11月7日に貴司さんから頂いたものです。貴司さんは婚約指輪として受け取って欲しいようでしたが、当時二股状態だったので、そちらと切れるまでは受け取れないと言いました。それでファッションリングとして受け取って欲しいと言われたので、その名目で受け取ったものです。貴司さんもこの指輪はあくまでファッションリングだから私が持っていていいと言いました。ですから私はこれを持っています」
 
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このリングの内側には << Takashi to Chisato Love Forever >> という刻印がある。
 
「そしてこちらはいつも携帯に取り付けている指輪」
と言って、携帯から金色のステンレスの指輪を取り外して自分の左手薬指に填めた。
 
「そうか!それがあったか。でも千里ちゃんそれ入ったのね?」
「ええ。あの後けっこう身体を鍛えていたから指も太くなったかもと思ったのですが、入りました。実は練習不足なのかも」
などと千里は言っている。
 
「ちなみに貴司さんもちゃんと自分の携帯に取り付けている指輪入りましたよ」
「へー!」
と言ってから保志絵は
「じゃ貴司はあの指輪を自分の指に填めても、まだ千里ちゃんと結婚しないと言っているわけ?」
 
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「全く困ったものです」
と千里。
「本格的に私、あの子の考えが分からなくなって来た」
と保志絵。
 

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「ちなみにこれもありますよ」
 
と言って千里はバッグの中から、ビニール袋に入ったプラチナのような指輪を出す。
 
「それは?」
「お母さん、これ見ておられませんでしたっけ?」
と言って千里はその指輪を保志絵に手渡した。
 
「ビニールじゃん!」
「貴司さんの会社の製品でプラスチーナというものです。見た目はプラチナだけど、実はプラスチック。金属アレルギーの人のための製品なんです」
 
「ああ。そういえば聞いた」
 
この指輪は千里がもう廃棄すると言っていたので、桃香が処分してあげるよと言い、桃香に託したものである。実際には桃香はこの指輪を東京の宝石店に持ち込み、この指輪のサイズでダイヤの婚約指輪とプラチナの結婚指輪を作り、千里に贈ってプロポーズした。しかしアバウトな性格の桃香は、プラスチーナの指輪自体はアパートのゴミ箱に放り込んでいた!
 
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それを見つけて千里は回収しておいたのである。
 

「だから私は心がくじけそうになったら、プラスチーナは別として、この2つの指輪を眺めています」
 
と千里は決意を秘めた表情で言った。そして後方確認して車を発進させる。
 
保志絵はしばらく黙って考えていた。そして5分くらいしてから言った。
 
「千里ちゃんの気持ちはだいたい分かった。だったらさ」
「はい?」
「貴司の奥さんと思っていてくれるなら、その資格で、貴司の従妹の結婚式に出てくれない?」
 
「へ!?」
「1月20日、来週の日曜なんだけど、用事入っている?」
「来週の日曜なら大丈夫です。空いてます」
「だったら札幌までの往復交通費は出すし、宿泊も確保しておくから」
「でも、そんな催しに私が出ていいんですか?」
「だって貴司のお嫁さんでしょ?」
 
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「・・・はい」
千里は涙腺があふれてきた。
 
「でもその結婚式に貴司さんは?」
「あの子は試合があるんだって」
「あ、そうか。リーグ戦の最終戦だ」
「それで欠席だから、貴司の名代も兼ねて」
「分かりました」
 
「その時、左手の薬指にはティファニーの指輪を」
と保志絵は言ったが、千里は泣き笑いの表情で
「ステンレスので充分です」
と答えた。
 
「ではそれで。案内状はその千里ちゃんのバッグに入れておいていいかな」
「はい。ではお願いします」
「交通費も入れておくね」
「すみませーん」
 
それで保志絵は千里のバッグの中に案内状と《御車代》と書いた封筒を入れた。
 

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そういう訳で、千里は来週、美沙の結婚式に出ることになったのである。服装に関しては従姉妹クラスはふつうのドレス(但し派手すぎない色)で良いということだった。いとこクラスは祝儀も不要で普通の祝賀会出席者同様会費のみでよいということだったので、それでいくことにした。
 
4人は札幌近郊のファミレスで夜食を食べて(お勘定は保志絵が払った)から、まずは理歌と保志絵を理歌のアパートに送り届け、その後、玲羅と2人で玲羅のアパートに行った。
 
玲羅は余分な寝具を持っていなかったのだが、千里が車中休憩用に買っていた布団類を部屋に運び込み、千里はそれで寝た。この寝具はそのまま玲羅の部屋に置いていくことにし「友だちが来た時にでも使うといいよ」と言っておいた。なお夕方買っておいたレトルト食品なども持ち込んだ。
 
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翌日は朝から千里は玲羅の部屋を少し掃除した上で!朝御飯を作ってから玲羅を起こす。
 
「あまりにも散らかってたから掃除しといた」
「ごめーん」
「少し掃除しないと彼氏が来た時びっくりするよ」
「彼氏がいたらいいけどね〜」
 
それで朝御飯を食べて少し落ち着いた所で振袖を着せてあげる。そして11時頃アパートを出て玲羅を成人式会場に送っていく。その後、千里は新千歳空港に向かい、レンタカーを乗り捨て返却。それで東京に戻った。
 

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龍虎たち5年生104人はその日体育館に集められた。
 
「ここまで6年生が鼓笛隊を編成して行事などの時に演奏していましたが、これをみなさんに引き継いでもらいたいと思います。それで再来月の卒業式の時に5年生が鼓笛演奏をして卒業生を送り出します」
 
と鼓笛隊担当となった増田先生(龍虎たちのクラスの担任)は説明した。
 
今年の6年生を含めた過去の鼓笛隊の演奏活動や練習風景をまとめたビデオがプロジェクターで流される。けっこうな歓声などもあがっていた。
 
「卒業式の時に演奏するのは、AKB48の『ヘビーローテーション』、EXILEの『銀河鉄道999』です」
 
と先生は言ったが、楽曲の知識が広い龍虎は、銀河鉄道999は“ゴダイゴの”と言って欲しかったなと思った。オリジナルがヒットしたの(1979)は増田先生が生まれる前ではあるけど。
 
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先生は編成について説明する。
 
「現在5年生は男子57人、女子47人の104名いますので、これをこのようにパート分けしたいと思います」
と言って増田先生は、パート分けの人数をプロジェクターに表示させた。
 
木管セクション
ソプラノリコーダー(M12F8) アルトリコーダー(M4) ファイフ(F12)
 
金管セクション
トランペット(M4F2) メロフォン(M4) ユーフォニウム(F1) スーザフォン(M1) トロンボーン 4(M2F2)
 
打楽器セクション
スネアドラム(M12F4) テナードラム(M4) バスドラム(M2) シンバル(M2)
 
鍵盤セクション
ピアニカ(M4F4) 木琴(M4) ベルリラ(F4)
 
指揮セクション
ドラムメジャー(F1) サブメジャー(M2F1) カラーガード(F8)
 
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龍虎は「ヴァイオリンは無いんだな」と思った。
 
(普通マーチングバンドにヴァイオリンは入らない)
 
だったらピアニカとかしたいなあと思う。木琴は男子のみ、ベルリラは女子のみということだから、木琴でも良いかな?
 
「実際に担当を決めてみると、得意楽器などの関係で少し人数が変動するかも知れません」
と先生は言っている。
 
「取り敢えず、各自これがやりたい!という楽器があったら、第3希望まで書いて各学級委員に提出してください」
 
と言って先生は各列の先頭の子に紙を渡す。各自1枚取って後ろに回す。最後の付近は適当に余った列から足りなかった列へ移動される。
 
「但しトランペットやトロンボーンなど金管楽器と横笛のファイフは難しいので、現在既に演奏できる人限定にします。スネアドラムなどは今から練習するというのでもいいです。なお各自の希望を元に編成して、どうしても数が合わない所は調整させてもらいます」
 
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と先生は付け加えた。
 

集会が終わった後で、彩佳と桐絵はこそこそ話をした。
 
「さっきさ、先生が男57女47と言ったでしょ?そして表示させたパート割を念のため数えてみたら、やはり男子57、女子47だったのよね」
と彩佳は言う。
 
「なんか変?」
と桐絵。
 
「今5年生の各クラスの人数は、1組男19女15、2組男19女16、3組男20女15」
「ん?」
「つまり男58、女46のはずなんだよ」
「え?1人違う?」
 
「つまり増田先生は誰か1人男の子を間違って女の子として数えてしまった可能性がある」
「うーん・・・・」
 
「それ誰か分かる」
と隣で話を聞いていた宏恵が言った。
 
「私も分かった!」
と桐絵も言った。
 

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