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■娘たちの振り返るといるよ(9)

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(C)Eriko Kawaguchi 2018-10-19
 
2013年の1月、貴司の妹・理歌、千里の妹・玲羅が成人式を迎える。2人とも現在札幌付近(*1)の大学に通っていて住民票は札幌に移しているのだが、留萌では成人式を成人の日(今年は1月14日)ではなく前日の13日にすることで、旭川や札幌に出て行った子たちがこちらにも出席しやすいようにしている。
 
実際、保志絵が理歌本人に訊いてみたら、せっかくだから両方出席するということだった。12日に留萌に戻ってきて、13日に朝から髪をセットして着付けをしてもらう。そして留萌の成人式に出席した後、髪を崩さないように寝て、翌日は札幌市の成人式に出席するのである。
 
なお振袖はゴールデンウィークに、セット価格80万円のものを買ったのだが、父が10万と淑子が10万出してくれて、貴司に「可愛い妹のために少し寄付しなさい」と言ったら30万送金してきたので(*2)、残り30万円は本人負担とした。理歌は札幌の大学に入ってから少しずつ積み立てして22万円ほどの貯金ができていたので、それを全使用し、残りは「2012年内のバイト代で払う」ということにして、購入時には保志絵が出しておいた。
 
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(*1)理歌が通う大学は札幌市北区にあり、理歌は大学から歩いて10分のアパートに住んでいる。玲羅が通う大学は札幌市の隣の江別市にあるが、玲羅は札幌市厚別区のアパートに住んでおり、大学まで1.4kmの距離を自転車で通学している。それで“札幌の女子大生”を自称しているが《札幌市内に住む女子の大学生》というのは間違い無い。しかし積雪している日は雪上を20分ほど歩くことになる。
 
(*2)当時貴司は千里への婚約指輪を買ったばかりでお金が無かったのでこの時は千里から30万借りて送金している。この30万円の処理については後述。
 

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さて、玲羅も成人式である。玲羅の振袖について、母・津気子は2012年8月になって、千里に電話して訊いた。
 
「お金も無いし、あんたが2年前に着た振袖を貸してくれないかなあ」
 
すると千里は言った。
「振袖を貸すのは構わないけど、振袖って未婚女子の第1礼装だから、1着は持っていていいものだし作るといいよ。今からなら注文してギリギリ間に合うはず。お金は出してあげるからさ」
 
「でもあんた性転換手術したばかりでお金が無いのでは?」
「それは心配しないで」
 
それで直接玲羅と電話で話した所、結局千里が振袖を作った店で自分も作ろうかなぁということだったので、8月18日(土)に東京で会うことにした。
 

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千里は性転換手術のあと高岡で療養中だったのだが、8月18日(土)、上越新幹線+特急《はくたか》で東京に出た。実はこの日は青葉も合唱の大会で前日から東京に行っているのだが、千里は青葉には会っていないし、青葉は千里が東京に出て来たこと自体知らない。一方玲羅は、急行《はまなす》+東北新幹線で東京に出てきた。
 
渋谷駅の改札口で落ち合う。
 
「手術の傷はまだ痛い?」
と玲羅から訊かれる。
 
「少しは楽になったかな」
「でも姉貴、実際問題として何の手術受けたのさ?性転換手術なんて、とっくの昔に終わっていたのに」
 
「うーん。それがどうもよく分からないのよね。死ぬかと思ったけど」
「本人も分からないのか。まあ死ななくて良かったね」
 
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それで一緒に坂を少し昇って、例の呉服店に行く。予め電話していたこともあり、千里の振袖を作った時に見てくれた鈴木さんが
「いらっしゃい」
と歓迎してくれ、まずはお茶とお菓子など頂く。そして和服の“格”の話や製作技法などのお話を聞く。
 
それで一息ついたところで、取り敢えず浴衣を何枚か試着してみて、どういう系統の色合いや模様などが似合いそうかという見当をつける。
 
それから玲羅の全身写真・動画を撮影し、シミュレーターで似合いそうな服を選ぶ。この操作は玲羅が自分でした(千里はさっぱり分からない)。
 
生地が既に存在し、12月上旬までには仕立て上がるもので、セット価格ベースで予算90万円以内ということで、玲羅が絞り込んでいった結果、古典的な柄の藤色ベースの“友禅風”振袖にしようということになった。お値段はセット価格74万円で、消費税を入れると799,200円となる。
 
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「税金が6万円もあるなんて!」
と玲羅が言っている。
 
「まあ高いよね。1億円の家を買うと消費税は800万円だよ」
と千里が言うと
 
「税金払うのに20年ローンが必要だ」
と玲羅は言っていた。
 

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代金は千里が即お店の口座に振り込んだ。例によって現金で頂いたので浴衣か街着をプレゼントしますよと言われたが、もうさすがに北海道では寒くて浴衣は着られないので、街着を1着もらうことにした。
 
「街着の着方は優芽子おばちゃんあたりに習うといいよ」
「ああ。うちのお母ちゃんは怪しそうだもんね」
 

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この振袖は11月に出来上がったという連絡があったので、玲羅自身で東京まで取りにきた。その場で着付けして記念写真も撮ってもらった。玲羅は東京に出てきたついでにサックスを買いたいと言った。
 
「どんなの買うの?」
「あまりお金無いし、ポールモーリアとかでもいいけどなあ」
「さすがにもう少しまともなメーカーのを買おう。予算はどのくらいまでいいの?」
「この振袖を買おうと思って15万貯金してたからその予算でと思って」
「ポールモーリアに興味あるのなら、カドソンは?ポールモーリアはカドソンと同じ工場で作られているんだよ。ただ調整されていないだけ」
 
台湾製の中でも品質に定評があるブランド(カドソンやイオなど)は、一般に台湾の工場に生産を依頼した発売元が、きちんと専門家の手で調整して販売している。この調整を経ていない楽器は、まずまともに鳴らない。
 
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「カドソンはとっても高い気がする」
「だったらいっそヤマハの安いの買った方がいいかもね。一番安いのは14万だよ」
「そんなに安いのあったっけ!?」
 
それで台湾製のサックスも扱っている楽器店に行き、いくつか試奏もさせてもらったが、やはり台湾製のは、安いのはどうにもならない感じで、良いのはそれなりに高い!
 
「確かにこれなら姉貴の言うとおりヤマハがマシかも知れない気がしてきた」
 
それで結局YAS-280(14万), YAS-380(18万), YAS-480(23万)あたりかなという話になる。
 
380と480の最も大きな違いは、480はネックが交換可能であること。つまり、もっと上位のモデルを買いたいけど予算が・・・という場合、ネックだけ良いものに交換すると、音がグレードアップするのである。380はそれができない。
 
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280の場合は省略できる部品をギリギリまで省略して品質をできるだけ落とさない範囲でローコスト化したものである。基本的にはサックス始めたいけど、続けられるかどうか分からないし、最初からあまり高い楽器は・・・というレベルの初心者用である。
 

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「試奏を聞いた限りでは、玲羅の演奏はもうYAS-280のキャパシティを越えていると思う。280はやはり初心者でも何とか鳴る、という楽器だよ」
と千里は言った。
 
「じゃ380か480かな。でも予算が15万しかない」
「玲羅さ、さっき私が今回の交通費宿泊費にと渡した5万をこれに転用して今回の交通費は自分でクレカで払っておいたら?」
「あはは。実はクレカのリボ払いで払ってしまった」
 
実は8月に東京に来た時に千里からもらった交通費も他に転用してリボ払いにしたので、リボの残高が増えている。
 
「だったら20万投入できるね」
「それなら380を買っちゃおうかなぁ」
「そこで頑張って480を買っちゃう」
「え〜〜〜!?」
 
「そのクレカ限度額は?」
「50万円」
「だったら支払いまでに残り3万頑張ってバイトで稼ぐ」
「うーん・・・」
 
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ここで23万リボ払いすると、ほぼリボ残高が限度額天井に張り付きそうである!バイト頑張らないとやばいなあと玲羅は思う。
 
「成人式のお祝いをもらったら、それも投入するとか」
と千里が言う。
 
「あ!それなら行けそうな気がした。姉貴、成人式のお祝いで3万くらいくれないよね?」
「それはさすがに1万で勘弁」
 
「じゃ残り2万バイトで頑張ろう」
「よしよし」
 
そういう訳で玲羅はYamaha YAS-480(23万円)を買ったのである。
 

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9-11月の3ヶ月掛けて書き12月上旬に提出した論文(桃香が10ページ、千里が16ページと、どうかした卒論に近い分量の論文になった)、そしてその後おこなわれた面接で、千里も桃香も4月から大学院に入ることができることになった。それで結局桃香と千里の西千葉駅近くのアパートでの共同生活(千里的見解)も継続されることになった。
 
このアパートは桃香が契約者で家賃の半分は千里が払っているのだが、実際には千里は葛西のマンションにいることの方が多いし、桃香も誰かガールフレンドのアパートに泊まっていることが多い。実態としてここは数物科・生物科の女子たちの宿泊所である!
 
季里子との結婚生活を無理矢理別れさせられて落ち込んでいた桃香も秋に一時期千里と結婚し、しかしすぐに破談になった後、結局元々レズっ気のある女子2人とほぼ並行して付き合っているようである。
 
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「季里子ちゃん、妊娠したらしいね」
とその日美緒は千里や朱音の前で言った。
 
「そうか。とうとう桃香も父親か」
と朱音が言う。
 
「父親は季里子ちゃんの今の旦那のはず」
と美緒。
「いや分からない」
 
「うん。どう見ても、桃香は時々季里子ちゃんと密会している」
と朱音。
 
へー!と千里は思った。
 
「桃香の元恋人の女の子から聞いた話だけど、季里子ちゃんは基本がビアンだから、男の人とのセックスでは全く快感を感じられないらしい。むしろ不快でしかないって。だから密かに桃香と会って性欲の補償をしているようだ」
 
桃香らしいなあと千里は思うが、それは阿倍子と結婚することにした貴司と自分が密会したのと似たようなものかも知れない気もした。
 
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「そういうことなら、季里子ちゃんのお腹の中の子供の父親は桃香かもね」
と美緒。
「ね?あり得るよね?」
と朱音。
 
「でも精子あるんだっけ?」
 
「ちんちんあるから、精子もあるのでは?」
と美緒。美緒は実は一度桃香とセックスしたことがあるらしい。桃香が例によって夜中に寝ぼけて美緒を襲おうとしたら、美緒は逆に「しようしよう」と言って、やっちゃったという。
 
「ちんちんは私が2回切り落としたけどね」
と朱音。
 
「私も桃香のちんちん1回切り落としたよ」
と千里。
 
「何度切り落とされても、また生えてくるって凄いちんちんだ」
と美緒は言った。
 

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「え?またちんちん生えて来たの?」
 
病院のロビーで永野夕子に会った長野龍虎は驚いて言った。
 
「参っちゃったよ。だから、またおちんちん切ってもらったの」
と夕子は言う。
 
永野夕子は普通の女の子だったはずが、昨年、クリちゃんが急に大きくなりはじめ、まるでおちんちんのようになってしまったので、それを今年の夏に手術して切ってもらったのである。ところがまた大きくなってきたので再度切ってもらったらしい。
 
「おちんちんを2回切る人は珍しいって、うちのお母ちゃんは笑ってたけど」
「それ全然笑い事じゃない気がするんだけど」
と龍虎は言う。
 
龍虎は今年も12月25日から30日まで恒例の検査入院をしていたのだが、そこで彼女と会ったのである。
 
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「先生からマジで、いっそ男の子になりたい気は無いか?と聞かれた」
 
「でも夕子ちゃんは、自分は女の子だと思っているんでしょ?」
「うん。私もそう言った」
「心が女の子なんだから、身体だけ男になっても、男として生きていけないと思うよ」
と龍虎は言った。
 
でも自分は・・・・自分は男でいいんだっけ?と龍虎は自分の性別に関しては若干の疑念がある。
 

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「うん。マジでお母ちゃん・お父ちゃんとも話し合ったけど、私は女の子なんだから、女の子の身体で居たいといって、それでちゃんと、おちんちん切ってもらったんだよ」
 
「それでいいと思うよ」
 
「今回は根っこから切ったからもう生えてくることは無いだろうと言われた」
「それ少し惜しいと思わなかった?」
「それ内緒」
と言って夕子が笑うので龍虎も釣られて笑った。
 
「龍虎ちゃん、突然おちんちん生えて来たらどうする?」
「悩んじゃうかも」
「だよね〜。私もけっこう悩んだけど、私は男にはなれない気がする」
「夕子ちゃん、女の子らしいもん」
「龍虎ちゃんも女の子らしいよ」
 
と夕子から言われて、龍虎はドキドキしていた。
 
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ちなみに夕子は龍虎のことを女の子だと思い込んでいる。
 

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