広告:マリーエウィッグ-真っすぐストレートフルウィッグ(ネット付き)-フルウィッグ-)
[携帯Top] [文字サイズ]

■娘たちの振り返るといるよ(14)

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 
前頁次頁目次

↓ ↑ Bottom Top

12月31日は朝から桃香と東京駅で待ち合わせ、一緒に上越新幹線・はくたかの乗り継ぎで高岡に帰省した。
 
「千里、お父さんに勘当されて留萌には戻れないんだろ?だったら私と一緒に高岡に帰省するといい」
 
と誘われていたのである。それで昨年に引き続き、高岡への帰省となった。むろんチケットはあらかじめ千里(実際には《げんちゃん》)が新幹線利用で確保しておいた。桃香に任せると、普通列車乗り継ぎとかツアーバスで帰省などということになりかねない。
 
お昼過ぎには着いたので4人(桃香・千里・朋子・青葉)で氷見漁港まで行き、鰤のあまり大きくないものを1匹買ってきて、31日の晩は鰤の刺身を食べた。
 
「へー。じゃ青葉は推薦で高校に入るんだ?」
 
↓ ↑ Bottom Top

「夏にも言ったと思うけど、6月に高校の先生たちと会って、模試の成績が充分だから推薦で入れてくれるということらしい。実際こういう特殊なケースでは向こうも色々準備あるみたいだし」
 
「最初から女生徒としてバッくれてればいいのに」
と桃香が言う。
 
「私もそれに賛成。青葉はどこをどう見ても女生徒にしか見えないもん。学校側は何も配慮しなくてもいい」
と千里。
 
「そういう訳にはいかないよぉ」
と青葉は言っていた。
 

↓ ↑ Bottom Top

1月1日は4人で近くの神社に初詣に行ったが、境内で休んでいると、青葉の知り合いの女装っ娘が2人もやってきた。1人はMTF-GIDだが、もう1人はただの女装趣味だという話で、ガールフレンドと一緒にまるで女の子同士の連れのような感じで初詣に来ていた。
 
このMTF-GIDの子は呉羽ヒロミちゃんと言って、後にクロスロードのメンバーに加わることになる。
 
千里たちは1月3日の午後、はくたか+新幹線で千葉に帰還した。
 

↓ ↑ Bottom Top

貴司は1月6日の夜まで市川ラボに泊まり込んで、市川ドラゴンズのメンバーとたっぷり練習し、1月7日の早朝の電車で大阪に帰還。そのまま出社した。朝礼をしている最中に荷物が届き、大量のもみじ饅頭がみんなに配られることになる。貴司はみんなから
 
「なんで披露宴しないのさ? みんなでお祝いしてあげたのに」
などと言われて、これだと阿倍子との結婚式を挙げられないぞと焦った。人事課からも呼び出されて、扶養届けを出せと言われたが、これについては
 
「妻は高額所得者なので、扶養手当とか配偶者控除とか、それに健康保険の被扶養者証も不要です」
と言った。
 
「高額所得者ってどのくらい?」
「正確な額は把握していませんが、どうも数千万円はあるみたいです」
と答えたら、人事課の人はびっくりしていた。
 
↓ ↑ Bottom Top

しかしこれで貴司は阿倍子と結婚しても、扶養手当が申請できないし、健康保険証も申請できない!?
 
そしてその日は「勝手に祝賀会」と称して、みんなに連行されて焼き鳥屋さんでパーティーのような感じになった。さすがに市川に行けなかったので連絡を入れたが、千里(せんり)のマンションに帰宅すると
 
「お疲れ様。御飯作っておいたよ。チンして食べてね」
という千里のメモがあったのでびっくりした。
 
(結局朝御飯に食べた)
 

↓ ↑ Bottom Top

そういう訳で貴司は1月7日の夜の練習はキャンセルしたものの、8日からは桃山台での練習が終わった後、新快速で市川町に移動する。
 
「ほんとこれ楽だ〜」
と思う。それで練習に参加してから1階の貴司の居室に戻ると、何やら荷物が増えている!?
 
見ると中型の冷蔵庫、炊飯器、電磁調理器、ライサー、食器棚などが加わり、掃除機、ズボンプレッサー、髭剃りまである。炊飯器のそばに置かれているしゃもじは宮島口の料理店でプレゼントされたものだ。
 
テーブルの上にメモがある。千里の字である。
 
《生活に必要そうなものを取り敢えず用意しておいたよ。足りないものがあったらメールしてね》
 
などと書かれていた。
 
「つまり千里、ここに来たの!?」
と思わず声をあげる。
 
↓ ↑ Bottom Top

水屋にはけっこうたくさん食器が置かれているが、どうも大阪のマンションから持って来た食器が多いようである。食パン、乾燥ワカメ、削り節、塩・こしょう、カップスープの素、あさげ・ゆうげ、サトウのごはん、レトルトカレーなども置いてある。
 
冷蔵庫を開けてみると玉子・醤油・味噌・マーガリン・スライスチーズにマヨネーズ・ケチャップ・ソース、チューブのにんにく・しょうが、ウィンナーにハムなどが入っているし、冷凍庫にはお肉や料理のストックが入っている。日付を見るとこれはマンションの冷蔵庫の中身をまるごと移動してきた雰囲気である。
 
「あはは」
 
これ運び込むだけで1日掛かってないか?冷凍していた奴とかどうやって移動したんだろう?
 
↓ ↑ Bottom Top

(バッテリーバックアップの電気冷凍箱で移動している:実際に作業したのは、こうちゃん(ドライバー兼)の他、せいちゃん・げんちゃん・びゃくちゃんである。りくちゃんやとうちゃんは呆れて見ていた)
 

↓ ↑ Bottom Top

冷蔵庫の中にメモがある。
《私はいつも貴司と一緒。振り返るとそこに私は居るよ》
 
「え!?」
と思って振り返ると、後ろの壁に千里のヌード写真が貼られている!
 
びっくりしたが、要するにそのメモを残して、冷蔵庫と反対側の壁に自分の写真を貼っておいたのだろう。でも貴司はこの写真はそのまま貼ったままにしておくことにした!ついでに写真にキスをした。
 
ほかにバスルームのそばにワゴンがあり、バスタオル・フェイスタオルが大量に積まれていたが、これはどうも大阪のマンションにあったものの一部を持って来たようである。また衣裳ケースの中にかなり服が増えていたが、これは広島に行った時にしまむらで買った服を洗濯の上で全部ここに持って来たようだ。ご親切にも千里のブラとパンティまで2枚入れてあるので、思わず頬ずりした。
 
↓ ↑ Bottom Top

その日はテーブルの上に置かれていた《お夜食♥》と書かれていたハンバーグとスパゲティの皿を電子レンジでチンして食べた。そして
 
「千里、嬉しいよぉ」
と言ってからシャワーを浴びて寝た。
 
この時点で貴司は阿倍子のことはもうほとんど忘れている。
 

↓ ↑ Bottom Top

その阿倍子は困っていた。
 
今日この家を訪れた伯母とかなり激しい議論をした。向こうは裁判に訴えると言っていた。彼女は今すぐにでも阿倍子にこの家から出て行くよう要求したものの、阿倍子はそのような要求に応じるいわれは無いと主張。
 
4時間にわたる激論の末、向こうも1日や2日で引っ越すのは物理的に不可能であることも理解した上で、3月31日までに阿倍子がここから立ち退けば、自分もここにすぐには入居せず、所有権問題についてはあらためて話し合うというのでもいいと妥協した。つまり決着するまでここは空き家にしておこうという提案である。
 
要するに時効を中断させたいのだろう。
 
阿倍子もそれについては検討すると約束した。
 
↓ ↑ Bottom Top

それでこの日の話し合いはまとまったものの、阿倍子は頑張った反動で丸一日眠っていた。
 
そして起きてから考えた。
 
「でも出て行くとしてどうやってアパート借りよう?保証人になってくれる人も居ないし、お金も無いし」
 
阿倍子は途方に暮れていた。
 
「だいたいこの問題ではお母ちゃんが交渉して欲しいよぉ」
 

↓ ↑ Bottom Top

2013年1月13日(日)、千里は午前中の便(羽田7:55-9:35旭川)で旭川まで行き、レンタカーでアクアを借りて、最初にホームセンターで毛布と掛け布団・ロングクッションに枕を買ってから、留萌まで走った。
 
冬の北海道では寝袋か布団がないと、車内で休憩不能である(凍死したければ別)。ちなみにアイドリングしながら寝たりすると、寝ている内に雪が積もって排気口を塞ぎ、排気が車内に逆流して一酸化炭素中毒で軽く死ねる。これは北海道でなくても東北や北陸でもわりとよくある事故だ。
 
留萌まで来たのが12時頃なので、市中心部近くのスーパーに車を駐めて昼食をとると共に休憩した(早速布団が活躍する)。その後14時すぎに車をそこに駐めたまま成人式が15時から行われる文化センターに歩いて行く。文化センターの駐車スペースが少ないので、遠慮してこちらに駐めたのである。
 
↓ ↑ Bottom Top

しばらく待つと、玲羅がなんと理歌と一緒にやってくるので驚く。
 
「玲羅も理歌ちゃんも、成人式おめでとう!」
と声を掛ける。
 
「わあ、姉貴、ここに来ていたのか!」
「いや、留萌市内に安心して長居できる場所が無くて」
と千里は言う。
 
「うーん。。。」
と理歌が悩んでいる。
 
「でも待ち合わせてたの?」
「それが美容室で偶然会って」
「へー!」
 
「それで私たち悪だくみしたんですよ」
「何の?」
 
「兄貴のおちんちんは兄貴が千里姉さんに土下座して謝って再度愛を誓うまで2度と立たないようにと、ふたりで一緒に呪いを掛けたんです」
と理歌は言っている。
 
「ああ、それはいいね」
と千里は笑っていた。
 
↓ ↑ Bottom Top

でも私と接触してても悶々としなくて済むかもね、と千里は思ったが、男性はペニスが立たなくても性欲が脳内にあふれて悶々とすることを千里は知らない。
 
「あいつはいっそのこと去勢した方が、バスケだけに専念するかもという気がするよ」
と千里は言うが、現在、去勢された状態にあることも千里は知らない。
 
「あ、その意見に賛成。これまでも浮気のしすぎですよ」
と理歌は言っていた。
 

↓ ↑ Bottom Top

「そうそう。これふたりにお祝い」
と言って、千里は祝儀袋を1枚ずつ渡した。
 
「姉貴サンクス」
と玲羅。
「わっ。私にもいいんですか?」
と理歌。
 
「理歌ちゃんも私の妹だもん」
「ありがとうございます」
 
「2人とも、札幌への移動は明日?」
「会場は別なんだけどどちらも12時受付開始なのよね。だから今夜各々の家で晩御飯を食べてから8時の最終で一緒に移動しようかと言ってた」
と玲羅が言う。
 
留萌20:13-21:08深川21:13-22:24岩見沢22:32-(23:01森林公園)23:14札幌23:35-23:59あいの里教育大
 
なお、理歌の成人式会場は北区ニトリ文化ホール、玲羅の成人式会場は厚別区シェラトンホテル札幌で、どちらも12時受付開始で13:00-14:00である。札幌は区ごとに時間帯がずれている(お偉いさんの移動の都合か)のだが、偶然にも北区と厚別区は同じ時間なのである。
 
↓ ↑ Bottom Top

「でも理歌ちゃんのアパートは駅から遠いって言ってなかったっけ?」
「そうなんですよ。歩くと20分掛かるんです。だからタクシー呼びますよ」
 
「じゃ私が2人とも送っていくよ。20時くらいに留萌駅前で待ち合わせない?」
 
「あ、助かる。電車賃が浮くし」
と玲羅。
「じゃ私も千里お姉さんに送ってもらおうかな」
と理歌。
 
それでまた夕方待ち合わせることにしたのである。
 

↓ ↑ Bottom Top

千里はふたりが会場に入っていくのを見送り、歩いてスーパーの所まで戻った。トイレを借りてから食糧と飲物と買い、その後郊外の大型スーパーに移動して、そこの駐車場で仮眠した。
 
19時に起きだしてコーヒー、クールミントガムとおやつにレトルト食品などを買い、留萌駅に移動する。駅の駐車場で待っていると、まずは玲羅がバスでやってきた。
 
「姉貴、うち今晩はお寿司だったの。夜食に持って行くと言ってフードパックに詰めてきた」
「サンキュー」
 
それでアイドリングしながら(玲羅を待つ間はエンジンは停めて布団と毛布をかぶって休んでいた)そのお寿司を摘まんでいると、見覚えのあるティーダがやってくるので驚く。理歌はお母さんがミラココアで送ってくるかもと思っていたのだが、あの車は理歌のお父さんの車なのである(以前のセフィーロから買い替えた)。
 
↓ ↑ Bottom Top

千里は見つけてもらいやすいように車の外に出て立った。
 
ティーダから保志絵と理歌が降りてこちらに来る。ティーダは出発してしまう。
 
「千里ちゃん、久しぶり」
「お久しぶりです」
「私も札幌まで一緒に乗せてもらっていい?」
「はい」
 

↓ ↑ Bottom Top

それで保志絵が助手席に乗り、理歌は後部座席に乗った。
 
「取り敢えずこれ、今夜はすき焼きにしたから、少し容器に詰めてきたんだけど」
と言って渡されるので
「頂きます」
と言って受け取り、暖かい内に食べる。手作りのおにぎりももらったので、それも食べる。
 
「それと玲羅ちゃん、成人式おめでとう」
と言って保志絵が玲羅に祝儀袋を渡す。
 
「ありがとうございます!これでサックス代が払える」
などと玲羅は言っている。
 
「わぁ、すみませーん」
と千里も御礼を言う。
 

↓ ↑ Bottom Top

「ルートはカーナビに入れておいたんですが、ここから理歌ちゃんのアパートまで2時間、そこから玲羅のアパートまで30分くらいの予定です。お母さんは理歌ちゃんのアパートに泊まります?」
と千里は尋ねた。
 
「うん。その予定。理歌に振袖を着付けしてあげないといけないし」
「なるほどー!」
 
「だったら、玲羅今晩泊めてよ。明日振袖の着付けしてあげるから」
「OKOK。じゃ優芽子伯母さんには着付けしてくれる人確保したって電話しておこう」
「優芽子伯母さんに頼むつもりだったのね」
「うん。出遅れてしまって美容室はどこも満杯だった」
「ああ」
 

↓ ↑ Bottom Top

↓ ↑ Bottom Top

前頁次頁目次

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 
娘たちの振り返るといるよ(14)

広告:ケアリング・トレード・カンパニー-フルウィッグ-ロング-巻き髪-(クシ、ネット付き)w006