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■娘たちの継承(12)

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第3ピリオド、
 
再度博美が司令塔を務め
 
博美/亜津子/千里/王子/咲子
 
というオーダーで行くが、向こうは中核選手をそのまま使って頑張って守る。韓国が堅い守りを見せたことから24-20と、韓国4点リードで終えた。ここまで50-64である。
 
そして第4ピリオド。
 
日本は点差が付いているので、使わない予定だったベテラン勢を、試合感覚を取り戻す目的で投入することにする。こういうのは弱い相手とやってもダメで強い相手との対戦をして感覚を確認する必要がある。それで
 
羽良口英子/三木エレン/広川妙子/横山温美/馬田恵子
 
という日本のベストオーダーで出て行く。そして韓国はこれまで使っていなかった、背番号15のキム・ヘソンが出てきた。
 
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そして第4ピリオドが始まってから前半5分間、日本にとって悪夢の時間が過ぎる。キムは180cm 90kgの体格で物凄く素早く走り回る。しかも気配を殺して相手の死角から近づいてボールを奪ってしまうので、日本はじゃんじゃんスティールされ、キムはどんどん得点する。
 
あっという間に28-0のスコアとなり、合計68-64で試合をひっくり返されてしまった。その間、日本は1度タイムを取り、選手交代しようか?と監督も言ったのだが「いえ、もう少し頑張らせて下さい」というので交代しなかった。監督はこの時、無理にも交代させるべきだったと後から悔やんでいた。
 
しかし68-64になってしまった所で、交代を告げ、玲央美・千里・王子の3人を投入する。
 
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キム・ヘソンには玲央美がマッチアップする。しかしいかにマッチアップのうまい玲央美でも、初顔の相手は完全には止めきれない。キムの勢いは第4ピリオド前半に比べると落ちたものの、後半も12点をもぎ取った。対する日本は(玲央美がキムの抑えに専念しているので)千里と王子でゴールを狙うが、王子はフリースローが下手だというのがバレているので、積極的にファウル攻撃に遭い、彼女の得点は5点に留まる。逆に王子がエキサイトしてテクニカルファウルを取られる場面まであった(その後は自重した)。
 
千里については千里にボールが渡らないようにひたすらパス筋を塞ぐ作戦で来られ、司令塔の羽良口さんから千里にボールが来ないので、結局スリー2本の6点に留まる。
 
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こういう場合、U21では千里の動きをある程度予測できる早苗や朋美がその移動予定地に向けてパスを出すので千里はパスを受け取れていたのだが、さすがに羽良口さんとはそう長くやっていないので、そういうパスが成立しない。せめて玲央美が使えたら良かったのだが、玲央美はキムの相手で精一杯であった。
 
それで結局このピリオドを40-11で終えることになった。
 

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「90 to 75 , Korea won」
 
と審判が告げる。韓国は物凄い歓喜であったが、日本選手たちは一様に厳しい表情であった。
 
こうして日本は韓国戦を落としてしまったのである。
 
23日の結果
 
中国○87-38×インド 台湾○83-55×レバノン 韓国○90-75×日本
 
暫定順位
 
1.韓国(3勝) 2.日本(2勝) 3.中国(2勝) 4.台湾(2勝) 5.レバノン(0勝) 6.インド(0勝)
 

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この日亜津子のスリーは4本、千里は6本であった。亜津子は1度相手のファウルでフリースローを得て3本とも決めて結果的に3点取ったのはあったのだが、スリー自体は4本に留まる。それで亜津子が凄く悔しがっていた。千里はファウルを受けながらも決めてその後のフリースローも入れ4点プレイにしたのが1つあった。
 
「ファウルされるなと思ったら、そこで相手からの打撃があることを計算に入れて撃つんだよ」
と千里が言うと
 
「確かに千里はそれが高校時代から上手かった」
と玲央美が言う。
 
「インターハイの岐阜F女子高との試合で終了間際に奇跡の大逆転をしたのとか、そうだよね」
 
「まああれはその前に忍者モードで隠れていて、パスカットする、という前提があったからね。相手の想定外のことを起こして精神的にパニックにさせることが大事」
 
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「千里ちゃんはそういう計算がうまい」
と千里を結構見ている広川妙子が言う。
 
「でも千里は算数の計算はあまりうまくない」
と玲央美が言う。
「千里、52 x 48は?」
「2486」
と千里は2秒ほどで答えた。
 
「千里ってこういう人なんだよね」
と玲央美が言う。
 
「だって、それは (50+2) x (50-2) だから、(a+b)(a-b)=a2-b2の公式を使って、50の二乗マイナス2の二乗で、2500-4だもん」
と千里。
 
「うん。だから2500-4 = 2496が正解」
と玲央美。
 
「あれ?さっき千里はいくらって言った?」
「2486と言った」
 
「あれ〜〜〜!?」
 
「微妙に間違っている」
「概略で合っていて1の位(くらい)も合っていて、途中の数字だけが違うというのは器用な間違い方だ」
と三木エレンが感心したように言っている。
 
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「ええ。千里の計算というのは、概略は合ってるけど細かい所で間違っていることが多いから気をつけないといけないんです」
と玲央美は言った。
 
「つまりアナログコンピュータなんだな」
とエレンは笑いながら言った。
 

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「これで準決勝は中国とやることがほぼ確定した」
と夕食(時間的にはほぼ夜食)の席で松本代表が言った。
 
「そうなりますか?」
 
「明日は韓国・中国・日本が各々勝つと仮定する。最終日に韓国が台湾に勝つと仮定する。すると韓国が1位になるので最終日の中国−日本戦は予選リーグの2位・3位を決める戦いにすぎない」
 
「ああ・・・」
 
「だから25日の中国戦では、中国があまり知らないだろう、高梁・村山・佐藤の3人は使わないから」
と城島監督は言った。
 
この3人はフル代表のチームでは中国と対戦したことがない。王子は昨年の世界選手権に出たが、中国とは当たっていない。
 
本来はリーグ戦では主力を使わない方針だったのだが、韓国1位が濃厚という状況で予定が変わったという所だろう。
 
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「わざわざこちらの手の内を全部出す必要は無いということですね」
「まあそれは中国も同様だと思うけどね」
 

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24日は大方の予想通りの結果となった。
 
韓国○104-75×レバノン 中国○72-63×台湾 日本○96-41×インド
 
日本はこれまで通り、中核選手を使わず若手だけで運用する形でインドに圧勝した。
 
インド代表にはU18,U20にも出てきていたパルプリート・カウル・シヅーが出ていて、スリーを3本も決めた(千里も彼女を停めずに敢えて撃たせた感もあったが)。
 
試合終了後千里は彼女とハグした。
 
「ピル・ミレーンゲ(また会おうね)」
と千里がヒンディー語で言うと
「私、もっと頑張るね」
と彼女は日本語で答えた。それで再度ハグした。
 
この日亜津子は4ピリオド全部に出して欲しいと訴え、代わりに千里が3ピリオドだけにした。それでこの日亜津子は9本、千里は7本のスリーを入れた。ここまでのスリーの合計本数は亜津子が26本、千里が30本である。
 
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しかし亜津子は試合終了後軽い貧血を起こして座り込んでしまった。
 
「私体力が足りなーい」
「Wリーグでやっている弊害だね、それ」
と玲央美が言う。
「うん、確かにWリーグの問題点は1人の選手が40分間出続けるなんて運用はまずされないことだ」
と武藤さんも言っていた。
 
暫定順位
1.韓国(4勝) 2.日本(3勝) 3.中国(3勝) 4.台湾(2勝) 5.レバノン(0勝) 6.インド(0勝)
 
これで韓国の1位と台湾の4位が確定し、結果的に準決勝の組合せも確定した。韓国−台湾、中国−日本である。
 
最終日に中国−日本戦、レバノン−インド戦があるのでリーグ戦の最終的な順位はその結果で決まる。
 

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8月24日。大船渡沖。
 
漁船がソナーで海中の魚群を探査していて、どうも自動車のようなものが沈んでいるようだというのを探知した。漁協が連絡を受けて、まずは潜水夫を潜らせてみた所、中に人がいるようだということが分かる。ナンバープレートが読み取れたので運輸支局で照会した所、大船渡市内の平田辰輔さん所有の車と分かる。平田さんは震災で行方不明という届け出がなされていたので、その届け出人の青葉の所に連絡があった。
 
「お願いします。費用はいくら掛かってもいいので引き上げて下さい。全額費用を負担しますので」
と青葉は警察の人に言った。
 
「分かりました。川上さんは、ご親戚ですか?」
「はい。戸籍上のつながりは無いのですが、私の父のような人です。特別縁故者というか」
「なるほど。では引き上げの手配をしますが、こちらに来られます?」
「明日にも向かいます」
 
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「多分今から手配しても、引き上げられるのは明日か明後日になると思います」
「よろしくお願いします」
 

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8月25日大村。
 
この日は最初にレバノン−インド戦があり、レバノンが勝った。両者はともに入れ替え戦に出ることになるが、5位レバノンの相手はL2の2位・カザフスタン、6位インドの相手はL2の1位・マレーシヤとなる。
 
次に行われた韓国−台湾戦は韓国が1位確定しているからと思って控え主体のメンバーで出て行ったら台湾が物凄く頑張り、韓国は終盤キム・ヘソンを含む主力を投入せざるを得なくなった。それで69-67の僅差で韓国が勝った。
 
そして中国−日本戦だが、明らかにどちらも戦力を温存し、また中国はこれまであまり出していなかった10.白(パイ)と13.黒(ヘイ)を最後まで使わなかった。日本も玲央美・千里・王子の3人を使わなかった。
 
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結果は76-53の大差で中国が勝った。
 
25日の結果
レバノン○71-52×インド 韓国○69-67×台湾 中国○76-53×日本
 
リーグ戦確定順位
1.韓国(5勝) 2.中国(4勝) 3.日本(3勝) 4.台湾(2勝) 5.レバノン(1勝) 6.インド(0勝)
 
この日亜津子は2・4ピリオドに出て合計5本のスリーを入れた。千里が出ていないので、これで総本数は亜津子31本、千里30本で亜津子の本数が上回る。しかし亜津子は「ちーが出てない日に追い抜いてもなあ」とぶつぶつ文句を言っていた。
 

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「そういえば、協会の某理事から、韓国にも中国にも大差で負けるとは何事だ?って言ってきてますが、どうしますかねぇ」
と松本代表がその日の遅い夕食の席で言った。
 
「韓国に負けたのは不覚だけど、今日の中国戦は成績に全く関係無い消化試合だから、戦力を相手に見せないことが大事だったんだけどね〜」
と山倉アシスタントコーチが言う。
 
「まあ算数のできない人が多いみたいだから」
と飯田アシスタントコーチ。
 
一瞬選手たちの視線が千里に集まるのでコーチたちが「ヘ?」という顔をした。
 
「どっちみちあの人たち、女子のことは何も考えてない。男子だけを考えていて女子はオマケなんだよ」
「その男子リーグが分裂している問題に全く対処できてないんだけどね〜」
「それ以上にここしばらく男子の国際大会での成績がひたすら低迷している」
「とても先進国の成績ではない」
「あんまり成績が酷いから、男子チームと女子チーム、性転換して入れ替えようかなんて言ってた人もあるよ」
「いや、さすがに女子チームでは勝てない」
 
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「男子は、やはり分裂していて強化体制もちゃんとしてないのが響いていると思うよ」
 
日本男子はオリンピックは1976年のモントリオール五輪に出て以来35年間五輪から遠ざかっている。世界選手権も2006年に開催国枠で出た以外は1998年以来13年間遠ざかっている。2006年も24ヶ国中20位だった。アジア選手権でも上位に入ったのは1997年の2位が最後で、その後、1999年5位、2001年6位、2003年6位、2005年5位、2007年8位、2009年10位と、本当に悪化してきている。
 
「井の中の蛙が多すぎるよね」
「井の中ならまだいいけど、バケツの中だな」
 
とコーチたちも無茶苦茶言っていた。立場上あまり物が言えない城島監督が苦笑いしていた。
 
 
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娘たちの継承(12)

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