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■娘たちの年末年始(10)

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それで急遽、札幌P高校が千葉まで来ることになったのである。
 
結局、P高校も第2時間帯の試合は見ないことにして、一緒に電車で移動し、瀬高さんのバスが4往復して両校の選手を運ぶ。
 
「これは凄い」
「この体育館自体新しい?」
 
「いえ。築40年ですよ。でも床の表面を全部いったん削ってウレタン塗装しなおしたんです。元々がバレーボール用の体育館だったから、バスケットをやるには少し狭いんですよね。それで2コートレイアウトで使った時に、壁にぶつかっても怪我しないように壁にクッション板を張り付けているんですよ」
と千里が説明する。
 
「なるほどー。じゃ改造費けっこう掛かったでしょ?」
「改造費のほか、ボール買ったり、電子式の得点掲示板買ったりで1500万掛かりました」
「掛かるよなあ」
と十勝さんは言っている。
 
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「P高校はラインだけ引き直すんですか?」
「最初それだけにするつもりだったんですけどね。よくよく検査してみると床がかなり傷んでいるんですよ」
 
「傷みますよね」
 
「それでうちも表面を削って塗装しなおしになりました。結局1000万です」
と十勝さん。
「ああ、やはり」
 
「うちのはあれいくら掛かるんですか?」
と紫が質問する。
 
「うちのは3000万円」
と宇田先生が言う。
 
「それはまた大改造ですね」
と十勝さんが驚いて言う。
 
「実はタラフレックスにするんですよ」
「それは凄い!」
 
「練習用の3コートレイアウト、試合用の2コートレイアウト、決勝戦用の1コートレイアウトと用意するんで、タラフレックスの枚数もかなりかさみました。かなりディスカウントしてもらったのですが、それでも3000万です」
 
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「でもいいなあ。うちも頑張ってタラフレックスにしてもらえばよかった」
と十勝さん。
「こういうルール改訂の時がチャンスだというので、してもらったんですよ」
と宇田先生。
 

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それでP高校のメンバーも新しいレイアウトでシュートの練習をするのだが、やはりみんなタイミングが取れない!
 
「これはかなり難儀だなあ」
と十勝さんが部員たちの様子を見て言う。
 
「これ新しいコート未経験で、新しいコートでの試合に出てきたチームは全く点を取れずに敗退しますよ」
と宇田先生。
 
「うん。どうもそういうことになりそうだ」
 
「大会関係の会場はどうなるんですかね?」
と南野コーチが疑問を投げかける。
 
「色々聞いていたのですが、インターハイ本戦はもう新しいレイアウトでやるらしいです」
と十勝さん。
 
「ですよね〜」
「道大会は今揉めているらしいですが、宇田さん、一緒に新しいコートを推進しない?」
「しましょう。やはり世界標準でやらせるべきですよ」
と宇田先生も言った。
 
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結局P高校はこの後、5〜7日の3日間、N高校と合同合宿することになった。宿は、元々オールジャパンの終わる9日の前日8日まで念のため予約を入れていたので、それをキャンセルせず、最初の予約通り泊まることにした。そして毎日都内からここまで通ってきたのである。
 

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4日の夕方、またいったん自分のアパートに戻っていた千里の所に母から電話が掛かってきた。
 
「実は市役所から電話があってね」
と母が言うので
「何かの督促?」
と千里は尋ねた。実家は色々なものを滞納しているっぽい。
 
「いや、それが千里さんは9日の成人式には出席なさいますか?という話で」
「留萌の?」
「そうそう。それで話を聞いたら、新成人の代表で『新成人の誓い』とかを話してくれないかとか」
「え〜〜〜!?」
 
「それとなんか市で表彰したいとか。お前、何かバスケの大会で大きな賞を取ったんだっけ?」
「うーん。。。優勝はしたけど、大したことはないんだけどなぁ」
と千里は言っておく。
 
「そうかい。でさ」
と言って母は言いにくそうに言った。
 
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「最初電話した時、お嬢さんはご在宅ですかというから、私最初玲羅のことかと思っちゃって。それであの子、まだ札幌から帰ってきてないから、今市外に出ているんですよと答えちゃって。でも話している内に、新成人とかいうし、これって千里のこと〜?と思って」
 
「あぁ・・・」
 
しかしまだ帰ってないって、玲羅は札幌で何やってんだ?
 
「これどうしたらいいかしら?」
「じゃ私が直接話すよ。担当の人の名前とか分かる?」
 

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それで千里は市役所の担当の人の名前と電話番号を聞いて掛けてみた。
 
すると最初にU20アジア選手権優勝おめでとうございますと言われ、ベスト5とスリーポイント女王を取ったお祝いを言われる。
 
「村山様、もし可能でしたら、1月9日の成人式に出席しては頂けないかと思いまして」
「何時からですか?」
「午後3時から文化センターなのですが」
「私、翌日10日には今住民票を置いている千葉市の方の成人式にも出たいので、その日の内に帰れるようでしたら」
 
「はい。だいたい2時間程度で終わるはずですので」
「だったら出てもいいかな」
「当日市内に入られます?」
「いえ。前日夜に戻ろうかと思います」
 
N高校のメンツは8日朝まで合宿をして、8日のオールジャパン準決勝(12:00-, 14:10- )を見た後、夕方の飛行機で帰るはずである。千里もそれに同行すればいいかと考えた。
 
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「でしたら、もしよろしかったらその日の午前中に市役所までご足労頂けませんでしょうか?市長がぜひ激励したいと申しておりますし、式典の打合せとか新成人のことばについても打ち合わせて頂ければと」
 
多分、変なメッセージを読まれては困るから事前にチェックするんだろうなと思った。あるいはもう作文されていて、渡されるだけだったりして!?
 
「いいですよ。何時頃行けばいいですか?」
「はい。もしよろければ11時くらいに」
「では11時に」
「あ、村山様、当日は服装は、振袖ですか?」
「はい、振袖のつもりです」
 
これもあまり変な格好されては困るから確認したんだろうなと思った。
 
「分かりました。それではよろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします」
 
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千里は1分くらい考えてから、留萌市内の美容室に電話をした。
 
「ご無沙汰してます。村山です」
「もしかして千里ちゃん?」
と美容室のおばちゃんが言う。
 
「はい、そうです」
「ほんとご無沙汰ね〜。今札幌かどこかに居るんだっけ?」
「今千葉県なんですよー。それで9日の午前中って、セットの予約もう一杯ですよね?」
 
「もしかして千里ちゃん成人式だっけ?」
「はい、そうなんですよ。千葉の方で出るつもりだったんですけど、こちらにも出てくれと言われて。だから9日に留萌で出て10日に千葉で出ます」
 
「忙しいね!」
と言ってから、おばちゃんは少し悩むような言い方をした。
 
「千里ちゃん、成人式で何着るの?たとえば背広とか、羽織袴とか・・・」
「もちろん振袖ですよ」
「やはり、そっちなんだ!」
と言って、何だか少しホッとしたような空気を感じる。
 
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「千里ちゃん髪の長さは?」
「腰くらいまでの長さなんですが」
「やはり長いままなんだ!」
 
高校入学時にいったん丸坊主にしてしまったのは、おばちゃんは知らないだろうなと千里は思った。
 
「でも予約いっぱいですよね?」
と言うが、おばちゃんは少し考えているふう。
 
「アップにする?それともダウンのまま?」
「ダウンのままがいいかな」
「朝7時ならやってあげるよ」
「じゃ済みません。それでお願いできますか?」
「OKOK。千里ちゃんが振袖で成人式かぁ。あんたはそうなるんじゃないかという気がしてたよ」
 
とおばちゃんは感慨深げであった。
 

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千里はその後、貴司に電話した。
 
「セヘボン・マニパドゥセヨ」(明けましておめでとう)
 
「あ、えっと、セヘボンマニパダ・・・だったっけ?」
「それでいいと思うよー。帰国はいつになりそう?」
「多分明日には帰れると思う」
「そしたら留萌に帰省するよね?」
「うん。予定通り行けば5日の夕方までに帰国できそうだから、それで会社に報告に行って、6−8日は留萌に行ってくる」
「9日は?」
「別件で打合せがあるから大阪に戻らないといけない」
「大変だね!」
 
つまり自分とは入れ違いになってしまう訳か。
 
「ほんとはこの時期はオールジャパンで忙しいですと言ってみたい」
「貴司、JBLでもbjでもいいから、プロになる気は?」
「実績もないのに採ってくれる所は無いよ」
「実際のプレイを見て下さいとか言って売り込めばいいんだよ」
「それに今のチームに恩があるし」
「そんなこと言ってたら、いつまでも浮上できないよ」
「千里はほんとに煽るよなあ」
 
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「あ、それでさ」
「うん」
「留萌に帰省する時にね」
「うん?」
「そちらに置いている私の振袖を実家に持って行ってくれない?」
「振袖を?」
 
「U20アジア選手権で優勝したことで、留萌市から表彰したいとかでさ」
「凄い!」
「成人式で新成人の誓いとかもしないといけないみたい」
「おお、頑張れ」
「だから、そういうことなら、バスケット柄の振袖で出ようかなと」
「ああ、いいね。分かった。あのバッグをまるごと持って行けばいいんだよね?」
「そうそう。肌襦袢と長襦袢は別途持って行くから」
「了解了解」
 

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N高校が合宿している房総百貨店体育館では、5日以降、ローキューツのメンバーもちらちらと顔を見せるが、便利に使われる!
 
「麻依子、ちょっとこの子と手合わせしてみない?」
などと言って引き込むが、麻依子や岬などは
 
「この相手とやるとこちらも鍛えられる!」
と言って、けっこうハマっていたようである。
 
玉緒が1年生部員に電子得点板の操作の仕方を教えたりもしていた。
 
オールジャパンは5日に3回戦の残り4試合が行われ、下記のような結果となった。
 
フリューゲルロースト(W11)×−○レッドインパルス(W3)
東京Y大学(大1)____×−○ステラ・ストラダ(W6)
栃木K大学(大6)____×−○ハイプレッシャーズ(W7)
シグナススクイレル(W12)×−○ブリッツ・レインディア(W2)
 
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全部Wリーグ上位が勝った。これでプロ以外残っているのは、ジョイフルゴールドのみである。
 

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