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■娘たちの年末年始(6)

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そんな感じで騒いでいる内に、着席してくださいというアナウンスがある。それで全員適当に着席する。
 
桃香のそばには、それまで向こうの端の方で美奈代と話していた優子が寄ってきて座った。桃香は彼女からのメールを読まずに捨てたので、ちょっと後ろめたい気分になる。
 
「ありがとう。受け入れてくれて」
と優子は言った。
 
へ?何?受け入れてって?? メールに何か書いてあったのかなあ。。。
 
やがて式典が始まる。
 
最初に◎◎中学の吹奏楽部による祝福の演奏がある。
 
スクエアの『OMENS OF LOVE』に始まり、SMAPの『夜空ノムコウ』、AKB48の『桜の栞』と演奏し、最後にエルガーの『威風堂々』で締めくくった。
 
桃香は演奏を聴くのに集中していたのだが、優子はそばでなにやら色々話している。しかしよく聞き取れない!
 
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その中に「私が受け入れてくれるなら赤いバッグを持って来てとメールに書いたのに、ちゃんと赤いバッグ持って来てくれたし」と言ったことばがかろうじて聞き取れた。
 
確かに今日桃香は赤といわれれば赤にも見えなくもないような博多織のバッグを持って来ている。しかしそれで何か(?)に同意したと思われたら困るぞと思った。これは早々に逃げ出した方がいいか?
 
そんなことを考えている内に、吹奏楽部の演奏が終わる。拍手が贈られ部員たちが退場する。急いで椅子や指揮台などが片付けられ、演台がステージ中央に置かれる。最初に市の助役さんが出てきて、祝辞をし始める。
 
その時であった。
 
近くの席にいた望江が席を立ってこちらにやってくる。
 
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「優子、あまり桃香とベトベトしないでよ」
と言う。
 
「あんた、桃香と付き合ってるの?」
と優子は返す。
 
「別に付き合っている訳ではないけど、目の前でそんなにイチャイチャされると不愉快。せめて会場出てからにしてよ」
 
待て。私はイチャイチャなどしてないぞ〜〜!と桃香は思う。
 
「この後、もちろんちゃんとホテルに行く約束してるよ」
 
してない、してない。
 
「桃香、こんな性悪女と付き合うのやめなさいよ」
と望江。
「あんたに言われる筋合いは無い」
と優子。
 
「ちょっと、あんたたち静かに」
と桃香は注意するものの、ふたりの口論は納まる所かますますエスカレートしていく。
 
会場のスタッフが寄ってきて
「あなたたち、式典中なんだから静かに」
と注意するも、ふたりは全然やめない。ついに、望江が持っていたコーヒーの飲みかけを頭から、優子に掛けてしまった。
 
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桃香は反射的に飛びのいたので何とか無事っぽいが、優子は着ている振袖がひどいことになってしまう。
 
「望江!」
とさすがに桃香が注意する。しかし優子はそんなことをされて、完璧に頭に血が上った。
 
「何するのよ。この売女(ばいた)!」
などと言って、望江につかみかかる。
 
「あんたたち、やめて」
と桃香が言うが、ふたりはつかみ合いの喧嘩になってしまった。
 
スタッフも数人集まってきて
「やめてください」
と言うが、ふたりは殴ったり、噛みついたり!の凄い喧嘩になっている。とうとう男性のスタッフが寄ってきて、
 
「君たち、やめなさい」
と言って、ふたりを引き離そうとするものの、ふたりから殴られて倒れてしまった!
 
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桃香は・・・逃げることにした!
 
実際悲鳴をあげる子もいるし、近くに座っていた子はみんな離れて見守っている。周囲の椅子も倒れて無茶苦茶である。桃香はその混乱に乗じて、体育館から出てしまった。
 

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「いやあ、参った参った。警察沙汰とかになったらどうしよう?」
 
そしたらきっと自分も呼び出されて事情聞かれるよなあ。一緒に始末書かなあなどと思いつつも、とりあえず通りに出てタクシーを停めると、自宅に向かった。桃香がタクシーを使うなんてのは極めて珍しいことである!
 
でもこちらは振袖汚されずに済んで良かった!
 
70万の振袖にコーヒーとか掛けられてはたまらん。
 
優子の振袖はコーヒーを掛けられたし、そのコーヒーで濡れた振袖で望江につかみかかっているから、望江の振袖もコーヒーで汚れたはずである。それ以上にあの喧嘩で、両者とも振袖はかなりのダメージを受ける。裂けたりする可能性もあるだろう。2人ともレンタルと言っていたけど、まあ全額弁償だろうなと桃香は思った。金額は想像するだけでも恐ろしい。
 
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留萌。
 
1月1日は、近くの稲荷神社と、貴司の母が奉職するQ神社に初詣に行った他はこたつでテレビを見ながらのんびりと過ごした。しかし、受験生の筈の玲羅が勉強もせずにイヤホンで音楽を聴きながらこたつでテレビと雑誌を見ながらDSでゲームしている(よく同時にできるものである)のは、他人事ながら、どうなんだ?と千里D(てんちゃん)は思った。
 
一応母が千里に玲羅が受験する予定の大学のパンフレットを見せてくれた。玲羅は結局、札幌B大学の芸術学部音楽科を受験する。
 
音楽科の中でもピアノ、歌唱、木管楽器、金管楽器、打楽器、作曲、音楽療法とコースが別れているが、各コースごとの定員というのはなく、音楽科全体で80名ということで、その枠に入れば、あとは自分の希望のコースを学べるらしい(但し作曲コースのみ10名制限)。ヤマハ音楽教室と提携しており、そちらの課程も受ければ、指導グレードの5級が取れるということ。また所定の単位を取得すれば中学・高校の音楽教師の資格も取れるということである。幼稚園教諭の資格を取ることも可能だが、かなりの追加受講の必要がある、と学校説明会では聞いたらしい。
 
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しかし、玲羅が学校の先生というのは、あまり考えたくない気もするなあ、と《てんちゃん》は思った。どう考えても適当な授業をしそうだ。
 
「楽器とか買わなくていいの?」
「ピアノなら特に要らないかな。姉貴からもらったキーボードを弾いてるし」
と玲羅は言う。そのキーボードは千里の小さい頃の友人・リサが使っていたのを譲られたクラヴィア製の結構本格的なものであるが、そのあたりの事情は《てんちゃん》は知らない。このキーボードはとっても長持ちして、後に玲羅の娘が使うことになる。
 
「じゃ、もし管楽器とかを選択して楽器が必要な場合は私に相談してよ」
と千里Dは言っておく。
「うん。もしかしたらお願いするかも」
と玲羅も言った。
 
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1日は最低限の火しか使わないということで、お風呂も沸かさなかったのだが、結構汗掻いたよね〜といって、2日は朝からお風呂を沸かした。
 
1番風呂は父が入るのかな?と思ったが、玲羅が
「私が先に入る!」
と言って入ってしまう。
 
父はぶつぶつ言っていたが、千里は
 
「まあまあお父ちゃん、お酒でも」
と言って、剣菱の特上限定品を開けて注いであげる。
 
実を言うと、先日貴司とのデートで帝国ホテルのレストランで飲んだのが美味しかったからといって、貴司が大阪で同じものを調達して、千里の所に送って来てくれたのである。それをここに持って来た。
 
「これそのまま飲むの?」
「そうそう。熱燗にしてもいいけど、冷やして飲むのも美味しい」
「なんか黄色いな」
「この色がここのお酒の特徴なんだよ」
「へー」
と言って、飲むが
「美味いな!」
と言って喜んでいる。
 
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酒の肴(さかな)に「たこわさ」を出すと、これも美味しそうにつまんでいた。
 
「千里、お前も飲め」
と父は言うものの、千里は適当に誤魔化して逃げておいた。
 
お酒飲んでる状態で後輩の指導したら叱られちゃう!
 

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玲羅があがった後、父が入ろうとしたら、母が
 
「あなた今お酒飲んでるから、後にした方がいい」
と言う。
 
それで結局千里が玲羅の次に入ることになった。玲羅は千里に小さな声で
 
「お父ちゃんの入った後には入りたくないし、私の直後にも入ってほしくないから、いつも私→お母ちゃん→お父ちゃんの順番なのよね〜」
などと言っていた。
 
村山家のお風呂は台所と直結されていて脱衣場が無い。それで母が居間と台所の間の引き戸を閉めた状態で玲羅はお風呂から上がり、身体を拭いている。千里は居るものの“女同士”という気安さで、裸体を曝している。千里もそのそばで服を脱いで裸になった。千里が裸になった頃、玲羅は服を着終える。
 
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「でも姉貴、結局いつ手術したんだっけ?」
などと言って、玲羅は千里の身体のあちこちに触る。
 
「うーん。手術を受けるのは来年くらいかなあ」
などと千里が言うので
「意味が分からん」
と玲羅に言われた。
 

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それで千里が朝練で由実とかなり濃厚な1on1をやって掻いた汗を流していたら、いきなり風呂場のドアが開くので、千里は「げっ」と思う。しかも父である。千里は慌てて身体をタオルで隠した。
 
「お父ちゃん、何?」
「玲羅がシャンプー切れてたと言ってたから、持って来たぞ」
「ありがとう。そこに置いて」
 
「なんだ。身体洗ってるのか?」
「うん。いいから、そこに置いたら出てってよ」
「そう邪険にするな。男同士なんだし。チンコちゃんと洗ってるか?」
「洗うから、出てって」
と言ったら、やっとドアを閉めてくれた。
 
この身体見られたら私、言い訳ができないよ! 今は面倒起こしたくないのに、と千里は思う。
 
玲羅が寄ってきて、ドアを少しだけ開けて小さな声で言った。
 
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「ごめんね、お姉ちゃん。シャンプー使い切ったこと思い出したから言ったら、お父ちゃんが俺が持ってってやると言って。私が持って行くと言ったんだけど、兄妹でも女が男の入浴を見るもんじゃないとか言って」
 
「うん、いいよいいよ」
と千里は苦笑しながら答えた。
 

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結局お風呂は千里の後、母が入り、最後に父が入った。千里は結果的に母とも再度裸体を見せ合うことになった。
 
「あんた、結局いつ性転換手術したんだっけ?」
と母からも訊かれる。
「それ結局私もよく分からないんだよね〜」
と千里は言っておく。
「手術代は足りた?」
「うん。それは大丈夫だよ」
と千里は笑顔で答えておいた。
 

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旭川N高校のメンバーは2日は朝練をした後、瀬高さんの運転するバスに全員1度に乗って千葉駅まで出た。このバスの中では半数は立つことになるが、由実や花夜などは立つ方を志願した。その方が鍛錬になるからである。
 
電車で東京に出て、先日ウィンターカップで戦った東京体育館に行く。今日からオールジャパンが始まる。今日は札幌P高校、福井W高校、岐阜F女子高、福岡W高校、といった高校生チーム4つが登場する。
 
北海道の高校はウィンターカップに出場する高校は北海道総合に出場しないのだが、札幌P高校はインターハイ覇者なので、その枠でここに出てきている。今年の北海道代表は札幌C大学で、札幌P高校に居た広中紀子などが居る。渡辺純子も4月からここに入る予定である。
 
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12時から2つのコートで同時に、札幌P高校−山形S大、福井W高校−神奈川J大の試合が行われる。
 
福井W高校といえば昨年U17女子日本代表を率いた城島さんが監督を務める学校である。対する神奈川J大は関女の常勝チームであり、大野百合絵・竹宮星乃がいるし、千里たちとN高校でチームメイトであった海原敦子も入っている。強い選手のいる中でちゃんとベンチ枠に入ってオールジャパンに出てきた敦子は大したものである。
 

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N高校のメンツは両方の試合が見える場所に陣取って、両者を並行して見ていたのだが、福井W高校と神奈川J大学の試合はワンサイドゲームになっていた。これは実力差がありすぎて、どうにもならない所であろう。名将・城島にも打つ手がない感じだ。J大学は百合絵が、星乃が、そして敦子も調子よく点を入れる。結局80-124の大差でJ大学が勝った。
 
一方の札幌P高校と山形S大学の試合は接戦になっていた。第1ピリオドでは山形S大がリードするも、第2ピリオドでP高校が猛攻を掛けて一気に逆転する。第3ピリオドでS大が反撃するも、わずかにおよばない。そして第4ピリオドは両者の激しい攻防が見られ、最後は渡辺純子が相手シュートをブロックし、そのまま自ら独走して2点を入れ、66-69の僅差でP高校が逃げきった。
 
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「凄い試合だった」
と由実が言う。
「このフロアに居たいと思ったでしょ?」
と『千里』は煽る。
「ええ。でもオールジャパンよりウィンターカップに出たいから」
と由実は答える。
 
「インターハイで優勝すればいいんだよ」
と『千里』が言うと、由実はしばらく考えていたが、やがて大きく頷き
「はい」
と答えた。
 

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