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■娘たちの年末年始(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2017-07-15
 
留萌では1月1日の朝、千里D(てんちゃん)が朝からお雑煮を作っていた。千葉で千里が作ったのと同じレシピである。但しこちらは切り餅をストーブの上で焼いて入れる。その餅を投入した所でみんなを起こした。
 
「ああ、ごめーん。すっかり寝てた」
と母が言っている。
 
お屠蘇を、両親と玲羅に注ぎ、千里自身はサイダーにさせてもらう。
 
「なんでお前はお屠蘇を飲まん?」
「この後、運転しないといけないし」
「堅いこと言うな。正月はみんな酒飲むんだぞ」
「飲んだら運転できないのが日本の法律だからね」
 
と言って、逃げておいた。
 
母とふたりで雑煮を盛る。黒豆、かまぼこ、伊達巻き、煮染めなどを並べるが、こちらはほとんどスーパーで買ってきたものである。
 
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食べて人心地したところで、近所の稲荷神社に参拝する。
 
「ああ、千里ちゃん里帰りしてたんだね」
と優に80歳を超えているものの、まだまだ元気な宮司・翻田常弥さんが声を掛けた。
 
「昇殿してよ。祝詞くらいあげてあげるから」
というので、あがらせてもらう。
 
宮司の孫・和弥さんが数年前に皇學館を出て、禰宜としてこの神社に奉職している。その和弥さんが太鼓を叩き、宮司が祝詞をあげてくれた。
 
『千里』はそのベテラン神職ならではの心地よい祝詞にとても気持ちがよくなった。《千里》とかもけっこういい雰囲気で祝詞をあげるけど、さすがにこういうベテランさんにはかなわないよなあ、などと思ったりする。宮司さんのお話が終わった所で、『千里』は初穂料と書いた封筒を宮司さんに差し出し、神社を辞した。
 
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「幾ら入れたの?」
と帰り道に父から訊かれる。
 
「5000円だよ」
と『千里』。
「もったいない!お賽銭なんて10円でいいのに」
と父。
「さすがに10円はないでしょ」
と母。
 
実際には千里の直筆の手紙付きで5万円入れている。この神社は千里にとって原点になる場所なので、参拝したら渡しておいてと頼まれていたのである。
 

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宮司さんが元気なのは、80歳を越えても男性として現役なので、そのパワーで精神的にも若いままで居られるのが大きいが、これは実は宮司さんの身体にくっついているのは、本来千里の父(49歳)の睾丸であるためである。そして千里の父の身体にくっついているのは、本来千里の睾丸である。千里の父はこの弱すぎる睾丸に交換されてから、それ以前のように家族に暴力をふるうことが無くなった。
 
また、宮司の孫・和弥の身体にくっついているのは、実は彼の父(宮司の息子)民弥の睾丸で、民弥にくっついているのは、リダンダンシー・リダンジョッシーの鹿島信子が《こうちゃん》の“悪戯”で「突然性転換」されてしまう前の男性時代に付いていた睾丸である。ちなみに信子のペニスは直接和弥に移植されている。これは和弥が交通事故で陰茎と睾丸を失ったことに対する“治療”なのである。
 
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この一連のドミノ移植は2000年の秋(千里は小学4年生)にこの稲荷神社の大神様の手で行われ、千里はそれ以来、睾丸の無い状態で生きて来ていた。千里の身体が男性化しなかったのは、思春期前に去勢されているからである。それどころか、癌の治療で放射線療法を受けていた津気子の性腺を守るため、一時期津気子の卵巣と子宮まで体内にあったので、千里はむしろ女子的に思春期の発達が起きている。その卵巣と子宮は癌治療が終わった所で津気子に戻したのだが、現在も千里に卵巣や子宮があるカラクリについては、多分来年(2018年)くらいに書くことになる。
 
しかしこのドミノ移植のことは、中学2年の時に眷属になった12人の子たちも美鳳も知らないことであり、知っているのは小春と大神様だけである。千里は本来知っているべきなのだが、別の大神様(小春の上司)の作用で、千里自身しばしばそのことを忘れている。
 
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神社からいったん自宅に戻ってから『千里』は玲羅に
 
「振袖着せてあげようか」
と言った。
 
「え〜〜!?」
と玲羅は言うが、千里が小さな声で
 
「私の代理で」
 
と言うと、玲羅は頷いた。それで『千里』は玲羅に自分の振袖を着付けしてあげた。このために玲羅用の肌襦袢と長襦袢をあらかじめ郵送しておいたのである。なお和服の着付けは、《きーちゃん》《たいちゃん》《いんちゃん》《てんちゃん》の4人が出来る。《びゃくちゃん》は武闘派なのでおしとやかな服は好みでない。スカートさえ滅多に穿かない。《すーちゃん》は洋装派で和服を着ない。
 
玲羅の着付けは奥の部屋で玲羅と2人だけでやって、その後、襖を開けて両親に見せたのだが、
 
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「玲羅も似合うね!」
と母が言ったのに対して、父は
「おお、馬子(まご)にも衣装だな」
などと言っていた。
 

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お昼を取ってから出かけるが、お昼を食べる間は、玲羅にはエプロンを着せておいた。
 
千里が借りてきたインプに乗り、4人で出かけてQ神社に来る。参拝していたら貴司の母・保志絵が寄ってくる。
 
「今日は玲羅ちゃんが着たのね」
と言って笑顔で玲羅に言う。
「代理ということで。でもこんな服もいいですね〜。2年後の予行演習も兼ねて」
「うん。2年後には理歌にも振袖着せてあげないといけないけど、今から頭が痛い」
「でも貴司さんには振袖着せる訳にもいきませんし」
「あの子が振袖を着たいと言ったら着せてもよかったけどね。結局あの子、去年、成人式は出なかったみたいだし」
 
「今年は帰省なさらないんですか?」
「年末年始は韓国に出張らしいのよ。その後で来ると言ってたから、千里ちゃんとは入れ違いになっちゃいそう」
 
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保志絵が昇殿していってというので、こちらでも昇殿してお正月の祈祷を受けた。こちらは市内中心部にある神社だけに一度に昇殿する人数も多い。祈祷のリストには保志絵が自分で、村山武矢と名前を書いていた。
 

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高岡に帰省していた桃香は、お正月はおせちなんて面倒だし、ビールにケーキでも食べていればいいかなと思っていたのだが、洋彦夫妻がそういう怠惰な正月を許してくれなかった。
 
一夜飾りはいけないと言って、30日の日にイオンモールまで買い出しに行き、越後製菓の鏡餅を買った他、黒豆(乾燥)、大量の卵、はんぺん、鶏もも肉、ゴボウ、レンコン、タケノコ、人参、里芋、生椎茸、きぬさや、数の子、海老、そば、などを買う。
 
いったん自宅に戻って荷物を置いた上で、今度は氷見漁港まで走り、ここでブリの10kgほどのものを1匹買う。この時期のブリは“寒ブリ”といって、いちばん脂が乗った状態である。
 

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そして自宅に帰って、鏡餅を神棚に飾った後は、恵奈の指導のもと!桃香はひたすらおせち料理を作ることになった。
 
「お嫁さんに行ったら、このくらいできないといけないから」
「済みません。私、嫁に行く気は無いです」
「でも万一ってこともあるでしょ?」
 
黒豆はいったん洗った上で醤油・大量の砂糖を入れて煮てから、半日鍋ごと放置する。ブリをさばくのは、桃香はさすがにできないので恵奈がしてあげた。2〜3日中に食べる分を除いては小分けして冷凍する。しかしこれで冷凍室が一杯になってしまった!
 
はんぺんはスピードカッターで粉砕し、溶き卵と混ぜる。これを卵焼き器に入れてふたをし、蒸し焼きにする。冷めない内に巻き簀に取ってくるくると巻くと、伊達巻きのできあがりである。
 
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最初恵奈がやってみせて、次に桃香にやらせるが、焦がしてしまうし、巻こうとして形を崩してしまう。それでも「たぶん伊達巻きかな?」と思えるようなものはできたので、それでいいことにした。
 
鶏肉や野菜を全部一口大に切り、厚手の鍋に入れて炒め、酒・みりん・醤油、天然出汁の素を入れて30分煮込む。これで筑前煮のできあがりである。
 
白い寒天を水で煮る。溶けるまで煮るが、溶けた所で砂糖をたっぷり入れてよく混ぜる。更に常温に戻していた牛乳をゆっくりと入れながらかき混ぜる。型に入れてから冷やす。
 
一方緑色の寒天も同様にして煮て溶かして砂糖を入れた後で、こちらはみかん缶のみかんを入れて冷やす。
 
これで牛乳寒とみかん寒のできあがりである。
 
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ブリの刺身で晩御飯にした後、黒豆を煮始める。電磁調理器に鍋を乗せ、中火で加熱して、沸騰しそうな所で弱火にし、落としぶたをしてタイマーで1時間煮る。そのあと自然に冷えるのを待つ。その後、また加熱して沸騰直前に弱火にして1時間煮る。この過程を豆が柔らかくなるまで繰り返す。
 
どっちみち桃香は夜中過ぎまで起きているので、タイマーが鳴ったら行って加熱のスイッチを押したりというのを繰り返していた。これが31日の朝までには充分柔らかくなった。黒豆は1袋買ってきて作ったのだが、鍋いっぱいの黒豆ができあがる。
 
「これだけの黒豆って、たぶん買ったら5000円くらいするよね?これ材料費はたぶん500円もかかってないのに」
と桃香が言う。
 
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「お店に売ってるのは高いよね。さすがにきれいにできているけど」
と恵奈。
「でもこれすごくうまくできてる。私が昔やった時は色も褪せちゃったし、しわも寄ってしまった」
と朋子が言う。
 
「うん。黒豆はけっこう難しいのよ」
と恵奈は言っていた。
 

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31日の晩御飯は
 
「これは難しいから私がやってあげるね。あんたは見学」
 
と言って、恵奈がエビ天を揚げてくれて、それを使った年越しそば、それにおせちで作った筑前煮、それとブリのあらを大根と煮たものを食べる。このあら煮が物凄く美味しくて、桃香がたくさん食べてくれたので、あっという間に無くなった。
 

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1月1日はまた振袖を着せられる。4人で食卓を囲み、おとそを飲んで
 
「明けましておめでとうございます」
と言い合う。
 
「今年はいい年だといいね」
「ももちゃんに良い彼氏ができるといいね」
 
「すんませーん。私は彼氏を作る気は無いので」
「あら、勉強ひとすじ?」
「この子は彼女を作りたいんですよ」
「あら、ももちゃんがお嫁さんに行くんじゃなくて、お嫁さんもらうんだ?」
「あはは。そちらが希望です」
 
と言った時、なぜかチラッと千里の顔が浮かんだ。
 
「まあそれもいいかもね。可愛いお嫁さん来てくれるといいね」
と恵奈は笑顔で言っている。
 
「でも、そしたら、ちんちん付けるの?」
「いや。女同士が好きなんです」
「そっちか!そのあたり色々なパターンあるよね〜」
「ええまあ」
 
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お雑煮を作る。黒豆、伊達巻き、なども並べる。10時頃、振袖を着たまま近くの神社に行き、初詣を済ませた。桃香としては、寝正月にパチンコでもなどと思っていたのが、今年はその手の計画は全部実現しなかった!
 

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2日はこの地区の成人式が行われるので、また叔母に振袖を着せてもらい、母校の◎◎中学へと出かけて行った。
 
集まってきているのは、ほとんどが、この中学と隣の中学の卒業生たちだが、高校進学の時にバラバラになってしまったし、高校卒業後は東京や大阪に出て行った子も多い。桃香も久しぶりに見る昔の友人たちと交歓していた。
 
もっとも多くの子から言われる。
 
「桃香が振袖着てきたのは驚きだ」
 
「何着てくると思った?」
と桃香が訊くと
 
「紋付き袴」
「男性用ビジネススーツ」
「セーターとジーンズ」
「体操服の上下」
「自衛隊の制服。もちろん男子用」
 
どうもみんな桃香をよく理解しているようである。
 

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そろそろ式が始まるという時に入って来た振袖を着た人物に、みんなの視線が集まる。
 
「誰だっけ?」
と桃香の友人、弓菜が言う。
 
誰も彼女を認識できないのである。
 
桃香は頭を抱えている。その様子を見て弓菜は
「知ってる人?」
と訊いた。
 
「まあね」
と言うと、桃香はその人物のそばにつかつかと歩み寄った。
 
「明けましておめでとう」
「明けましておめでとう」
「随分可愛い格好してきたね」
「そう?緋那にも褒められたんだよ」
「寛容な子だね」
 
「ね、その子、桃香の知り合い?」
と少し嫉妬めいた顔をした望江が言う。彼女とは一時期付き合っていたのだが、もう別れてからかなり長いことになる。なぜそんな嫉妬するような顔をするんだ?まだ私に気があるのか??
 
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「いや、沢居だよ」
と桃香は言った。
 
「沢居君?・・・・の妹さん?」
「いや、研二本人」
と桃香が言うと
 
「え〜〜〜〜!?」
という声があがる。
 

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多数の女の子が彼の回りに集まる。
 
「沢居君、女の子になっちゃったの?」
「まさか。これはコスプレだよ」
「コスプレ?」
「そうそう。成人式に出る女の子のコスプレをしてみただけ」
 
「意味が分からん」
「そんなのあり〜〜!?」
 
「でも凄くきれいに着こなしてる」
「お化粧もきれいにしてる」
 
「この振袖はどうしたの?」
「普通にレンタルだよ」
「男の子に貸してくれるもんなんだ?」
「男とは思わなかったかもね。セーターにスカートって格好で借りに行ったし、名前は、沢居みゆきって書いておいたし。僕、こうやって女の子の声出すの得意だし」
 
「みゆきって誰?」
「僕の女装名。郵便局にも登録してるから、その名前で郵便物届くよ」
「覚えておこう」
 
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「でもほんとちゃんと女の子の声に聞こえるね」
「だいぶ練習したからね」
 
「でも着付けは?」
「僕、着付け教室に通っているんだよ。だから自分で着た」
「すごーい。振袖の着付けは難しいのに」
 

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