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■娘たちよ胴上げを目指せ(12)

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向こうがディフェンスする場合、勝さんは相手の癖やパターンを読むのが得意で、相手の動きを見てから防御するのではなく、先読みで防御する傾向があるので、こちらが毎回ロジックを変えて予想しにくいようにすると、防御が一瞬遅れる傾向がある。それで純子もいくつかのパターンをランダムに変えながら攻めていくと、7割以上こちらが突破することができた。
 
結局、勝さんvs純子は75%くらいの比率で純子の勝ちとなる。第1ピリオドはこの純子の活躍で15-25と日本が大きくリードする展開となった。
 
この内半分を超える14点が純子の得点である。
 

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第2ピリオド、相手はとうとう“秘密兵器”の呉(ウー)さんを投入してきた。彼女はここまで予選リーグでも1度も登場しなかったし、準決勝の韓国戦で一時リードを許した時でも、使うそぶりを見せなかった。
 
中国が優勝するために、決勝戦のためだけに秘蔵していた隠し球である。
 
中国国内の試合のビデオを収集して調査した結果、彼女は実は優秀なスリーポイント・シューターであることか分かった。しかも8mくらいの遠距離からでも、かなりの確率でゴールに入れる。
 
ただシューターにはそういう人がわりと居るのだが、彼女は入る時はどんどん入るものの、入らない時は10本に1本くらいしか入らない。但しミドルシュートならいつでも7〜8割入れるので、彼女に対する防御はスリーポイントラインより内側で絶対に彼女をフリーにしないことである。
 
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当然彼女とマッチアップするのは千里である。千里には向こうの王(ワン)さんがマッチアップしたがっていたが、玲央美が彼女に付く。
 
「我是対手(ウォーシートゥイショウ)」
と玲央美。
「いいよ」
と王さんは日本語で答えて、このピリオドのマッチングは定まった。
 

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しかし千里が呉さんにいきなり付いたことから、顔に出やすい劉(リュウ)さんなどは「ああ、ばれてる」といった感じの顔をしていた。
 
そしてここからこのピリオドは、千里vs呉、玲央美vs王の対決が主軸になった。
 

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中国は第1ピリオドで大差を付けられたことはいったん忘れて、普通に攻める方針で来たようである。向こうとしては、普通にやれば充分追いつける範囲という考え方であろう。
 
第2ピリオドは日本側のスローインから始まったが、最初の攻撃では百合絵のシュートが外れ、リバウンドを黄さんが確保。中国の攻撃に転じた。馬さんがドリブルで攻め上がってくる。
 
呉さんは馬さんからボールをもらうと、いきなり8mの距離からスリーを撃つ。しかし千里は「来るな」と読んでいたので、彼女にできるだけ近づいて思いっきりジャンプ。指をボールに当てることに成功する。
 
ボールは軌道を逸れてバックボードにも当たらずアウトオブバウンズになる。呉さんがじっと千里を見た。
 
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中国のスローインを日本側がカットし、そのまま攻め上がる。千里にパスが来る。受け取った場所は7mほどの所である。呉さんが近寄ってくる。千里はシュートフェイントを入れてから呉さんをドリブルで抜き去る。「あっ」と言って振り向く。そして千里の前に回り込もうとダッシュした瞬間、千里は真後ろにポンとボールを放り投げる。走り込んで来た玲央美が掴むと、そのままスリーを撃つ。
 
当然入る。0-3.
 
中国が攻め上がってくる。馬さんから王さん、劉さんにつなぐ。劉さんは遠い所からのシュートは無いので、留実子は少し距離を置いて守っている。馬さんがスクリーンを仕掛けて呉さんにパスしたものの、玲央美がたくみに中に入ってきて、呉さんはシュートができない。やむを得ず、王さんにパス。王さんが中に飛び込んで行ってシュート。
 
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しかし外れる。
 
そのリバウンドが落ちてくる所には劉さんが居たのだが、近くでジャンプした留実子が強引に横からボールを奪い取った。
 
走り出している早苗の背中に向けてボールを投げる。
 
「ツル!」
と千里が声を掛けたタイミングで振り返ってジャンプしながらボールをキャッチ。そのままドリブルでゴールそばまで行く。中国選手はまだ誰も戻ってきていない。そのままレイアップに行き、ゴール。
 
0-5.
 
第2ピリオドの序盤は、日本側がリードを広げる展開となった。
 

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しかしそこから中国も建て直してくる。
 
複雑な連携プレイを使って誰かフリーの人を作り出し、その人がシュートする。最終的には王さんか呉さんのシュートに持っていくパターンが多い。もうひとりのSG林さんのシュートになる場合もあった。
 
千里と呉さんの対決は最初は立て続けに千里が勝ったものの、その後呉さんも頑張って何度か千里を抜いたし、スリーも1本決めた。しかし千里は彼女に絶対にスリーポイントラインより内側ではボールを持たせないようにした。
 
玲央美と王さんの対決も玲央美優勢に進んでいた。ただ王さんは自分自身がボールを持たなくても、コート上を動き回ることでチームメイトがお仕事しやすいようにする役割も果たしていた。表面に現れる数字以上に王さんは頑張っている感じであった。
 
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最終的には中国側の頑張りでこのピリオドを15-20とした。前半合計で30-45となった。
 
「中国は次のピリオド何か仕掛けてくるよね?」
「当然。このままじゃ終われないでしょ」
 

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ハーフタイムショーでは、インド全土で来週、10月8日から始まるナヴラトリ(インド式お盆)で行われる踊りが現地の女子高生たちによって披露された。
 
インドの太陰太陽暦の年初は「インド式春分」(西洋暦で4月中旬頃)を含む朔望月から始まるので、正月は西洋暦の4月頃、お盆は西洋暦の10月頃に来る。ナヴラトリは実は正月にもあるのだが、秋のナヴラトリ、つまりお盆の方が盛大なお祭りになる。このお祭りは現代では秋の収穫祭の性質を帯びている。
 
今回、インドの総選挙はこのナヴラトリが終わった後に告示されることになった。それで結果的に本来のU20選手権の日程とぶつかってしまい、ナヴラトリの前に大会日程が終了するように調整された結果、フル代表の世界選手権と日程が一部重なってしまったのである。
 
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(*1)ナヴラトリ(navratri)は正確にはAshwina月「白分」の1-9 tithiに行われることになっている。インドの太陰太陽暦の月名は
 
1=Chaitra 2=Vaishakha 3=Jyeshta 4=Ashada 5=Shraavana 6=Bhadra
7=Ashwina 8=Kartika 9=Margasirsa 10=Pausha 11=Magha 12=Palguna
 
となっており、Chaitraは春分を含む朔望月だが、この「春分」がインドの場合、日本や西洋の「季節に合わせて動く春分」ではなく「季節を無視して天空に固定された春分」であるため、日本などとは現在23日ほどずれており、西洋の暦でいうと4月中旬頃に来てしまう(西洋なら春分は3月20日頃)。
 
ここでティティ(Tithi,朔望日)は太陽と月の角度が12度離れる時間。つまり朔望月を30分割したもの(360=30x12)。平均朔望月が29.53日なので一般的にはティティは1日よりわずかに短くなり、「欠日」が発生するが、季節によっては1日より長くなって「余日」が発生する場合もある。白分は朔(新月)から望(満月)まで月が満ちていく期間、黒分は望(満月)から朔(新月)までの月が欠けていく期間。
 
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インドの民間行事は一般に太陽日ではなくティティ基準で行われる。そのためティティの始まりに合わせるため結婚式を真夜中に実施したりすることもある。ただ南インドではわりと太陽日基準を使う場合も多い。なおインドの太陽日は日出に始まるので、朝6時前後が日の境界になる。ナヴラトリがいつ始まるかを計算するのはこれらの事情が絡むためひじょうに難しい計算になる。
 
日本では2033年には太陰太陽暦の「月」が消えてしまうという事態が発生するとして大問題になっているが、実はインドでは「月」が消えてしまう「欠月」は時々発生しており、特に問題にはなっていない!
 
インドでは「ああ。今年は○月が無いのか」で済んでしまう!!
 
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ナヴラトリでは、女神が9つの夜に9つの姿(9人の女神)に変化していくとされている。その中心とされるドゥルガ(Durga)は一般に十臂または十八臂の絵姿で表される。このハーフタイムショーで演じられた女子高生たちのダンスでは、リーダーの踊り手の後ろに4人の踊り手が重なるように並び、後ろの4人が違う角度で手を挙げて十臂の女神を表していた。
 
千里たちは「二人羽織ならぬ五人羽織だね」と言い合った。
 
「これは女子高生だから、そこまでやらなかったみたいだけど、ドゥルガは概して下に旦那のシヴァを踏みつけている。だから男性の踊り手が四つん這いの姿勢になり、メインの女性の踊り手はその背中に腰掛けたりするんだよ」
とパリが言う。
 
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「おお。かかあ天下か!?」
「男は椅子になるわけね」
 
「インドは女性差別の酷い国ではあるけど、元々の基幹文化には東洋的な女性上位の思想もあるんだと思う」
とパリは少し厳しい顔で言っていた。
 

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第3ピリオド。
 
中国はここまで使っていなかった15番の背番号を付けた龍(ロン)さんを入れてきた。白/呉/勝/龍/黄というラインナップである。
 
この起用に日本側は首をひねる。負けている場面で控え選手を出してくるというのは良く分からないが、あるいはずっと出ていた王選手を休ませるためにここで使うのか?そして勝負は第4ピリオドとみたか??
 
ちなみにこちらは朋美/千里/彰恵/百合絵/留実子というラインアップであった。
 
第2ピリオドが日本のスローインから始めたので、第3ピリオドは中国のスローインから試合は再開される。
 
白−朋美、呉−千里、勝−彰恵、龍−百合絵、黄−留実子、というマッチアップになる。
 
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ポイントガードの白さんがゆっくりと攻め上がってきて、その龍さんにボールをパスした。
 

この時、百合絵は何が起きたか分からなかったという。
 
龍さんがボールをキャッチしたのまでは認識した。
 
しかし次の瞬間、彼女は目の前から居なくなった。
 
「ハッ」と思い振り返ると、もう彼女は百合絵の後方でレイアップシュートを撃っていた。留実子がフォローに行く間も無かった。
 
物凄い速い動きである。
 

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「え〜!?」
などと言いながら百合絵がゴールの向こうに行き、審判からボールを渡されてスローインする。中国はもう大急ぎで戻っている。朋美がドリブルでボールを運ぶ。
 
現在のメンツでは左側奥に百合絵、手前に千里、右側奥に留実子、手前に彰恵と展開している。百合絵に龍さんが付いている。朋美は龍さんに何か底知れぬものを感じた。反対側の彰恵にパスしようとしたが、白さんが絶妙のタイミングで間に割って入った。
 
朋美は投げる直前に手首の動きで向きを変えて千里に送る。しかし急激に向きを変えたので、ボールの速度が遅くなってしまった。そこに百合絵に付いていた龍さんが猛ダッシュして、千里の前に回り込んでボールをカットしてしまった。
 
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勝さんが走り出している。そちらに龍さんからパスが行く。彰恵が必死で戻る。しかし勝さんは速い。結局勝さんはフリーに近い状態でゴールを沈めた。
 
4-0.
 

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そしてこの後、日本にとって悪夢のような3分間が過ぎる。その間に日本は全く得点を取れないまま16点を失い、一気に逆転されてしまった。
 
 
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