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■娘たちよ胴上げを目指せ(3)

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そこまで話が進んだ所で、春美と亜記宏は3人の遺伝子上の両親について説明した。その件に付いては全員一様に驚いていた。
 
「だったら、理香子たちって、美智ちゃんの本当の子供だったんだ?」
「そうみたいです。自分も知らないうちに子供が3人できていたみたいで」
 
「じゃやはり美智はあの子たちの『ママ』でいいんだね?」
とミラが言う。
「そうですね。ママと呼ばれるの気分いいし」
と春美も笑顔である。
 
「知らない内に子供が3人もできてるなんて恐い話だ」
などと太平は言っている。
 
「お父ちゃんの子供も知らない内にできていたりして」
と美鈴。
 
「俺、浮気した覚えもないし、精子を冷凍保存とかしたこともないし」
と太平。
 
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「浮気だったら、1度だけしたってのをお母ちゃんから聞いたけど」
「あれはもう古い話だから勘弁してよ」
 

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2010年。U20女子代表は最初こういうメンツでアジア選手権に出る予定だった。
 
4.PG.入野朋美 5.PG.鶴田早苗 6.SG.村山千里 7.SG.中折渚紗 8.SF.前田彰恵 9.PF.橋田桂華 10.SF.佐藤玲央美 11.PF.鞠原江美子 12.PF.大野百合絵 13.PF.高梁王子 14.C.中丸華香 15.C.熊野サクラ
 
一方フル代表の方は8月31日の夜遅く、いったんこういうメンバーになることが田原ヘッドコーチ・夜明アシスタントコーチ・富永代表・主将の三木エレン、副主将の羽良口英子の話し合いで決まった。
 
4.PG.羽良口英子 5.C.白井真梨 6.PF.横山温美 7.SF.広川妙子 8.C.馬田恵子 9.PG.武藤博美 10.PF.宮本睦美 11.PF.石川美樹 12.SG.花園亜津子
13.SF.佐藤玲央美 14.SG.村山千里 15.PF.高梁王子
 
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ところが、夜11時半すぎになって、U20アジア選手権の日程がインドの総選挙の影響で前にずれてしまい、フル代表の世界選手権と重なってしまうということが突然報された。
 
それでU20とフル代表を兼任する千里・玲央美・王子の扱いが問題になり、協会の上層部の苦渋の決断で、王子をフル代表に残し、千里と玲央美はU20の方に出てくれと言われた。
 
フル代表側の千里と玲央美の補充にはいったん落選していた三木と佐伯を復活。U20側の高梁の補充にはU18アジア選手権の得点女王で、札幌P高校のエース・渡辺純子を緊急招集することになった。
 
つまりいったんこういうラインナップになった。
 
U20
4.PG.入野朋美 5.PG.鶴田早苗 6.SG.村山千里 7.SG.中折渚紗 8.SF.前田彰恵 9.PF.橋田桂華 10.SF.佐藤玲央美 11.PF.鞠原江美子 12.PF.大野百合絵 13.PF.渡辺純子 14.C.中丸華香 15.C.熊野サクラ
 
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フル代表
4.SG.三木エレン 5.PG.羽良口英子 6.C.白井真梨 7.PF.横山温美 8.SF.広川妙子 9.C.馬田恵子 10.PG.武藤博美 11.PF.宮本睦美 12.SF.佐伯伶美 13.PF.石川美樹 14.SG.花園亜津子 15.PF.高梁王子
 
ところがそれでフル代表のロースターを発表した後、選手登録しようとしたら、アメリカ出身の白井が「過去にU18でアメリカ代表になったことがある」として登録を拒否されてしまった。そこで急遽フル代表にU20の中丸華香(一応フル代表候補でもあった)を組み入れることにし、訂正の記者会見をするはめになる。華香は白井さんに予定されていた背番号6を付ける。
 
華香の補充にはまた深夜の激論の末、補欠としてU20に同行していた花和留実子が昇格することになった。
 
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ところが更に現地への出発前夜、桂華が腹痛を訴え、病院に運ばれて急性虫垂炎(いわゆる盲腸)と診断され、深夜に緊急手術を受けた。
 
当然今大会への参加は無理なのでFIBAの許可を取り、補欠の竹宮星乃を昇格させることになった。それで結局9月23日にインドに向けて出発するメンバーはこのようになったのである。
 
4.PG.入野朋美 5.PG.鶴田早苗 6.SG.村山千里 7.SG.中折渚紗 8.SF.前田彰恵 9.SF.竹宮星乃 10.SF.佐藤玲央美 11.PF.鞠原江美子 12.PF.大野百合絵 13.PF.渡辺純子 14.C.花和留実子 15.C.熊野サクラ
 
当初の予定から3人も入れ替わってしまった。
 
純子の招集が決まったのは9月1日の午前3時頃、留実子の昇格が決まったのは9月2日の朝6時頃で、このふたりのユニフォームは間に合ったのだが、星乃の昇格はインドに出発する前夜9月22日の21時頃決まったのでさすがに間に合わない。それで星乃は成田を出発する段階では補欠用の17番のユニフォームとジャンパーを着ていた。
 
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そのため、成田まで見送りにきてくれた人や取材陣は、選手の入れ替えが行われたことに気付かなかったようである。この選手交代の件は朝10時になって協会側からは発表された。今回は急病によるものなので、記者会見も大きな騒ぎは無かった。
 

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9月23日。
 
千里は朝6時に起きると、軽く2kmほどジョギングをしてから朝食に行き、シャワーを浴びてからユニフォームとジャンパーを着て、集合場所のロビーに行った。余分な荷物は合宿所のロッカーに入れておくが、洗濯物は《てんちゃん》にアパートに持ち帰ってもらい、洗濯をお願いした。《てんちゃん》は何かの時のために日本で留守番をしてもらう。彼女を日本に置いておくと、《きーちゃん》の力を使って、千里は瞬間的にインドから日本に戻ることも可能である。
 
出発前に高居さんから注意がある。
 
「薬はドーピングの問題があるので、頭痛薬や生理痛の薬なども、常用薬は必ず医務の町村さんに見せて禁止成分が入っていないか確認してもらって下さい。途中で胃腸薬、頭痛薬、消毒薬、絆創膏の類いが欲しくなった人も町村さんに言ってください。大抵の薬は用意しています」
 
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「集団行動なので、特に集合時間を厳守してください。時刻までに来てない人は容赦無く置いて行きます。怪しげなものを食べないでください。路上の店で売っている料理には、時々衛生上問題のあるものがあります。蛇口から出る水は飲まないでください。あれはシャワー用と考えて下さい。チームでミネラルウォーターを調達していますので、ホテルについたら部屋に1箱ずつ配布します」
 
「おやつなどを買出しに行く時は、昼間でも必ず持田君、近江君、など男性のスタッフの誰かを呼び出して一緒に行ってください。事務の男性が居ない場合は、僕でも篠原君でも、片平君・高田君でもいいので、女子のみでの外出はしないこと。あと、夜間は外出禁止です。夜中にお腹が空いた人のために、スナック菓子やカップ麺などある程度の食料ストックも用意するようにしていますので、外に出たりせずに、坂倉か私に連絡してください。カップ麺を作る時は蛇口の水ではなくミネラルウォーターを沸かしてください。それと言うまでもなく、飲酒・喫煙は禁止です」
 
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と高居さんが言うと
 
「食料やおやつは僕と片平君の部屋にも用意しておくから、遠慮無く電話してね」
と高田コーチが言っている。
 
確かに高居さんに連絡するのは気が引けるが、高田さんや片平さんなら、みんな深夜でも連絡しやすい所だ。
 
町村さんが補足する。
 
「水に関しては日本とはまるで事情が違うので、本当に気をつけてください。きちんとしたスーパーとかならいいのですが、どうかしたお店では大手メーカーのペットボトルの中身だけ、水道水に入れ替えたものなどを売っていたりします」
 
「チェンナイは近年水道普及のプロジェクトが民間資本で実施されたおかげで普及率が9割になっていて、私たちが泊まるホテルも水道の水を使っているのですが、元々の水道の水質が微妙です。そのホテルでは水道の水をいったん屋上のタンクに揚げて、そこから各部屋に供給していて、そのタンクに濾過装置がついているので、虫とかが混じっていたりという事態は無いのですが、濾過装置では細菌とかまでは除去しきれないので。万が一にも水で当たって試合に出られないなどという事態は起こさないで下さいね」
 
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と町村さんはみんなに言っていた。
 

朝8時にバスで合宿所を出発。9時すぎに成田空港に着いた。そこで整列してバスケ雑誌やバスケ協会取材班の人たちに写真を撮られる。キャプテンの朋美、U19世界選手権でアシスト女王になった玲央美、3P女王になった千里が一言ずつメッセージを語った。
 
千里は
「優勝して3P女王も取ってきますので、期待しておいてください」
と笑顔で語った。
 

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成田発12:00のエア・インディアに乗る。
 
9.23 12:00 NRT (AI307 B772 8:25)16:55 DEL
 
8時間25分の旅で16:55にインドのデリー近郊にあるインディラ・ガンディー国際空港(Indira Gandhi International Airport)に到着する。インドはUT+5.5という不思議な標準時を採用しているのでUT+9の日本とは3時間30分の時差がある。
 
ところでデリーはインドの首都である。
 
と言うと、ある程度以上の年齢の人は
「え?インドの首都はニューデリーでしょ?」
と言う。
 
実は「インドの首都はニューデリー」という言い方は「日本の首都は千代田区」と言っているようなものである。ニューデリーは“デリー首都特別区”(National Capital Territory of Delhi)の中の一部にすぎない。
 
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そのあたりがなぜ日本で混乱していたのかは不明だが、2002-3年頃からは学校の教育現場でも「インドの首都はデリー」と教えるようになっている。むろん、首都機能が移転したりした訳ではない。
 

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千里たちはこのインディラ・ガンディー国際空港で入国審査を経て軽食を取った後、エア・インディアの国内便に乗り継いだ。
 
9.23 20:20 DEL (AI540 A321 2:40)23:00 MAA
 
23時にチェンナイ(旧名マドラス)のチェンナイ国際空港(Chennai International Airport)に到着する。国内の移動なのに2時間40分も掛かるというのはインドの国土の広さを示している。インドの国土面積は日本の8.7倍である。
 
インド時間の23時は日本時間では午前2:30で、この機内ではほとんどの選手・スタッフが寝ていた。千里と星乃は昨夜が遅かったので、デリーまでの便でもかなり寝ていたし、このチェンナイ行きでも完璧に寝ていた。
 
空港からホテルに向かうバスの中、千里は満月の月がきれいだなぁ、と半分まどろみながら思っていた。
 
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この日はホテルに入って、ひたすら寝た。
 

9月24日。
 
朝日とともに目が覚める。洗面所で顔を洗ってから居室に戻ると、玲央美も起きていた。
 
「ああ。初日は負けたか」
と玲央美はネットを見て言っている。
 
「チェコの方?」
「うん。ロシアに86-63で負けている」
 
チェコとインドの時差は3.5時間である。つまり実はインドというのは時間帯的にはチェコと日本のちょうど中間の位置にある。チェコが0時の時、インドは3時半で日本は7時になる(ヨーロッパが夏時間の間)。
 
フル代表の試合は昨日インド時間で18時すぎに終わっているのだが、移動中で情報を確保するまでの時間が無かったのである。篠原さんたちには報されていたと思うが、敗戦でもあるし、わざわざU20チームにすぐに言う必要もないと思ったのだろう。
 
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「大差付いてるなあ」
「王子は途中で退場になったらしい」
「仕掛けられたね」
「うん。王子みたいな選手にまともにプレイされたら辛いから、ファウルを犯すように仕向けて、早々に5ファウルで退場にしたんだろうね」
「フロッピングもされているのでは?」
「かもね〜。それで自分はファウルしてないと主張したらテクニカルファウル取られるし」
 

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