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■女子中学生のバックショット(6)

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12月25日(木).
 
千里たちのS中学校では終業式が行われ、約4週間の冬休みに突入した。
 
千里(B)は学校が終わると、バスで留萌駅に出た。高速バスで旭川に出る。そして大阪国際空港行きに搭乗した。
 
留萌駅12:37(沿岸バス)14:31旭川駅前→15:00旭川空港/旭川15:50(JAS622)17:35伊丹
 
旭川駅から旭川空港までは、瑞江(ミミ子)に頼んで彼女の車RX-7で運んでもらった。
 
(伊丹行きは1日1本なので何としてもこれに乗る必要があった。それで、千里Bが移動手段について小春に相談→小春は天子の所に瑞江が同居することになっていたのを瑞江本人から聞いていたので、瑞江に相談→瑞江が運んであげることにした、という経緯)
 
千里Bは瑞江とは初対面(?)だったが、車に乗ると
 
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「なーんだ、瑞江さんって、北山紫さんのことか!」
などと言うので
「その名前はあまり呼ばないで下さい」
と悲鳴をあげるように言った。
 
Rに一発で真名(まことの名)がバレたんだから、YやBも当然一発で分かるのだろう。
 
「でも瑞江さん、天子さんのアパートに同居してくださってるんだそうですね。お世話になります」
などとBが言うので、“この千里”はどこまで知っているのだろうと疑問を感じた。
 
「いえ、天子さんとおしゃべりするの楽しいですよ。でも天子さん目が見えてるとしか思えない動きですよ」
 
「ほんとあの人は凄いですよね〜」
などと千里は言っている。
 
ミミ子は3人の千里のことを考えていると訳が分からなくなりそうなので考えるのをやめた。
 
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伊丹空港からは連絡バスで丸ビル前まで行き、そこから地下鉄で本町まで行った。
 
「笛の会の会合に来ませんか」という話は、Q神社の香取巫女長から11月下旬に打診された。
 
「笛の会ですか?」
「そうそう。神事や御神楽(おかぐら)で龍笛・高麗笛・神楽笛とかを吹く巫女さんが多いでしょ?それでそういう巫女さんたちの会があるのよ。夏に研修に来た時、千里ちゃんの笛が凄く良かったから、もし良かったら入りませんか?ということでね」
 
「あのぉ会費とかは?」
「会費は要らないよ。2ヶ月に1度くらい会報が発行されているけど、そのあたりの費用は神宮からの補助と、会員さんからの任意の寄付で運用されている。あと年に2回、だいたい冬休みと夏休みに会合があるけど、出席は任意。遠くから来るのは大変だからね」
 
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「へー」
 
「まあそれで会合に出るのも自由だけど、一度行って来たらと思って。レベルの高い人の演奏を聴くのも勉強になると思うよ」
 
「あのぉ参加費は?」
「参加費も交通費もうちの神社から出るよ。だから千里ちゃんの個人の負担は食事代くらいだと思う」
「だったら行ってみようかな」
「OKOK。じゃチケット手配するね」
「年末の会合なら、今の内にチケット確保しないと移動不能ですよね」
「そうなのよ」
 
「でも私、年末の忙しい時期にこちらの神社休んでも大丈夫ですか?笛を吹くの京子さんだけでは大変だと思うし」
と千里が心配して言うと
 
「循子ちゃんがいるじゃない」
と香取巫女長が言う。
 
すると
「え〜〜〜!?」
と本人が声を挙げていた。
 
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※Q神社巫女の笛のレベル
 
7.龍(りゅう)千里
6.蛟(みずち)寛子(退職)
5.虹 細川
3.きゅう 京子
2.ち 映子
1.蟠
0.蛇
-1.ミミズ
-2.ビニール紐 循子
 
香取巫女長の笛は誰も聞いたことがなくレベル不明!
 

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それでチケットを取ってもらって、今回の会合に出席することにしたのである。
 
会場となる大阪神宮会館に入ったら、フロントの所で夏の研修で笛を指導してくれた人とばったり遭遇する。
 
「おはようございます」
「あ、えっと村山さんだったかな?」
「はい。覚えていてくださってありがとうございます」
「いや、君の笛は凄かったからね」
 
その人と5分くらい会話した。
 
その後、指定されたお部屋に行くと既に3人の女性(20代かなと思った)が入っていた。
 
「おはようございます。お世話になります」
「おお、若い子が来た。君、どこから?」
「はい。北海道の留萌(るもい)という所から参りました」
「ニシンのたくさん取れる所だ!」
「昔は取れたんですけど、最近はダメなんですよ。主力はスケソウダラに移ってそれも最近は年々漁獲が落ちてて」
 
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「獲りすぎたのかな」
「ニシンさんもスケソウダラさんも、ずっと北の方に行っちゃって、ロシアの領海内になっちゃったから日本の漁船は獲りに行けないらしくて」
 
「地球温暖化のせいかな」
 

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12月25日の“終業式が終わった後”、千里Yは“歩いて”留萌駅まで行き、深川行きの列車に乗った。S中学から留萌駅までは歩いて30分ほどである。
 
留萌13:30-14:28深川15:16-15:48旭川16:15(連絡バス)16:50旭川空港18:40(AirDo36)20:20羽田
 
(Yが旭川空港に着いたのが16:50, Bが旭川空港から飛び立ったのは15:50なのでふたりはきれいに重ならないように空港を利用している)
 
羽田空港では迎えに来てくれていた遠駒真理さんの車に乗った。
 
「ごめんね。急に呼び出して」
「いえ。ちょうど学校が冬休みに入った所だったから」
「でも飛行機が取れて良かった。実は最後の1席だったのよ」
「飛行機満員でした。それでどういうご用件でしょう?」
 
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「ちょっと千里ちゃんにしか手が負えなさそうなことがあって。しかも27日には公開しなければならないから」
「私で役に立つのでしたら」
 

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夏休みに千里は三重県の河洛邑(からくむら)に行き、富嶽光辞の解読に協力した。その件ではまた冬休みに協力する約束をしており、1月明けてから行くつもりだった。ところが先日東京で、富嶽光辞の一部かもと思われる文献が見付かったということなのである。富嶽光辞を自動書記した遠駒来光さんと交友のあった神秘学者・竹中常数の息子さんが亡くなり、その遺品を整理していたら、100枚ほどの富嶽光辞に似た文献が発見されたのである。
 
それで12月27日に東京で開かれる予定の日本神知学会(*2)で公開して、皆さんの意見を聞きたい、と遺族が言っていたのだが、公開する前にほこりだけでも取っておこうと作業していたら、強風が吹き込んできてページがばらばらになってしまい、元の順序が分からなくなってしまったらしい。
 
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(*2) “日本神知学会”というのはこの物語における架空の組織であり、実在のいかなる団体とも無関係です。
 

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それで遠駒恵雨さんにヘルプ要請があり、恵雨は神知学会に出るつもりは無かったのだが、松戸市にある、竹中家まで行った。
 
恵雨は「これは来光の字ではない」と断言した。
 
また光辞の中にこれに相当するページは存在しないと断言した。
 
しかし類似の文章、または誰かが模写したものである可能性はあると言った。それで恵雨の感覚で取り敢えず並べ直してみたものの自信が無いという。それで駿馬(千里)なら正しく並べられないだろうかという話になり、ご足労願えませんかという話になったらしいのである。
 

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「それ私も自信無ーい」
「でも千里ちゃんの感覚で並べてみて欲しいのよ。それでまたみんなで検討するから」
「ただ学会が27日にあるから、それまでに並べ直したいと?」
「そうそう」
「みんなにバレない内に」
「そうなのよ!」
 
この日はもう遅いのでということで、松戸市内のホテルに泊まり、作業は明日おこなうことにした。(実はこの日は、来光の高弟・湯元雅成がパズルをやっているのである。そして明日千里にもやってもらって、3人の並べ方を突き合わせて検討しようという魂胆である)
 

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12月25日の“終業式が終わった後”、千里Rは玖美子から声を掛けられた。
 
「今日は剣道部は練習お休みだって」
「あ、そうなんだ?」
「どうする?一緒にP神社に行く?」
「そうだなあ。しばらく顔出してなかったし、行ってもいいかな」
と千里は言った。
 
玖美子としては「千里毎日P神社に来てるじゃん」と思っている。
 
でも多分“この千里”は、いつもP神社で見る千里とは違うのかもしれない気がする。その場合、この千里をP神社に連れて行ったらどうなるのだろうか?千里が2人並んだりするのだろうか?
 
玖美子は興味を感じた。
 
それで一緒にバスに乗りC町まで戻る。そして一緒にP神社に入りちょうど遭遇した宮司さんに
 
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「おはようございます」
と挨拶すると、宮司が首を傾げて言う。
 
「あれ?千里ちゃん、用事は良かったの?」
「用事と言いますと?」
「急用ができたから2〜3日こちら休みますと電話もらったのに」
「え?そんな話ありました?」
「ああ、もう用事済んだのなら助かるよ。よろしくね」
「あ、はい」
 
玖美子はなぜか納得したように頷いていた!
 

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それで玖美子と一緒に勉強会をしている部屋に行く。
 
「あ、毎日勉強会してたんだ?みんな頑張るねぇ」
などと千里が言うと、恵香が
「何言ってんの?千里も毎日来てるじゃん」
と言うので
「あれ〜〜〜?」
と千里は悩んだ。
 
「お、千里、来たか。今日はこれやるぞ」
と言って、花絵さんから小学3年生の掛け算の問題を渡される。
 
「これするの?」
「昨日のより少し難しいぞ」
と言われたのだが・・・
 
「千里どうした?ここ1ヶ月くらい教えたことが全然できてないじゃん」
と花絵さんから言われているので玖美子がおかしさをこらえていた。
 
この日は結局小学2年生の足し算のドリルに戻って、やり直しさせられていた。
 
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しかしRもこのあと半月くらい花絵さんに鍛えられて、だいぶ算数の基礎を学び直すことができたのであった。
 
なおこの日は世那も神社に来ていたが、セーラー服を着ていた!恵香にここに連行される時「セーラー服持っておいでよ」と言われて(いつも学校に置いている)セーラー服を持って来て、ここで学生服から着替えたらしい。
 
(学校でセーラー服に着替えてセーラー服で神社まで来るのは恥ずかしいと言った)
 
「年末年始はここではセーラー服着ておくといいね」
「手が足りない時は巫女衣装着て、巫女さんもやってね」
と言われて、嬉しそうにしていた!
 

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千里の父たちの船は、12/23(火)の祝日はそのまま働き、26日(金)に帰港した後、1月12日の成人の日まで休みで、1/13(火)が初出港になるということだった。約2週間、漁を休むことになる。
 
船は26日の帰港時、今年も大漁旗を立ててなかった。年末は本来、そこまで豊漁でなくても、できるだけ大漁旗を立てるものである。それが立ててないということは、やはりかなり酷い不漁なのだろう。
 
船から降りた武矢はかなり機嫌が悪かった。1年の終わりだから喧嘩しないようにしようと思っていた津気子もあまり酷く当たられるのでつい反論して結局喧嘩になってしまう。
 
取り敢えず自宅まで戻ると
「まあいいや。飯食うぞ」
と武矢は言ったのだが
「ごめん。職場からそのまま港に行ったから、まだできてないの。今から作るね」
などと言うので、武矢はまた機嫌が悪くなった。
 
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「今日、千里と玲羅は?」
「千里は神社行ってる。年末はお正月の縁起物作るのとかで忙しいみたいで。玲羅もそちらに行ってる」
 
玲羅は今日は絶対父の機嫌が悪いだろうと踏んで、千里が朝剣道の稽古に出掛けるのに付いていってそれを見学し(ついでに竹刀持たされて素振りや切り返しに参加した)、稽古が終わってから千里・玖美子と一緒に神社に行き・・・・漫画を読んでた!
 
千里たちと別のテーブルで5・6年生のグループも勉強会をしているので「玲羅ちゃん、一緒にしない?」と声を掛けられたが「私勉強苦手だし」と言って、そちらには参加しなかった。
 

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津気子と武矢が帰宅してから1時間(武矢はその間ビールを飲みながらテレビを見ていた)ほどして、やっとカレーライスができる。
 
「金曜日、陸(おか)に上がってこれが楽しみなんだよ」
と言って、カレーを食べたが
 
「まずい」
と声をあげて、また不快な顔をする。
 
「ごめーん。私、千里みたいに上手に作れないみたい」
と津気子は謝った。
 
「もういい。寝る」
と言って、武矢は結局自分の寝床に入って寝てしまった。
 
↓再掲

 

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千里と玲羅は20時すぎに帰ってきた。
 
「千里ごめーん。私カレー失敗しちゃったみたいで」
「どれどれ」
と言って、千里は母が作ったカレーを味見してみた。
 
「うーん・・・・」
と千里は少し考えていたが
「あ、分かった」
と言って、カレーの鍋を弱火に掛けてお玉で掻き混ぜる。
「やはり」
と千里は声をあげた。
 
ルーの塊が鍋の底のほうにあったのである。つまりルーが融けてないので味がしなかった!という問題であった。更に水加減が多すぎるのも問題である。
 
更に千里は玉葱に火が通ってない!という問題にも気付いた。それで玲羅を呼ぶ。
 
「玲羅さあ。漫画読みながらでいいからこの鍋をかき回し続けて」
「了解〜」
 
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それで玲羅に掻き混ぜてもらっている間に千里は玉葱を1個みじん切りにするとマーガリン(村山家にはバターなどといった高級食材は無い)をフライパンに落とし、炒め始めた。塩・胡椒も軽く振る。
 
「お姉ちゃん、みじん切りうまーい」
「玉葱のみじん切りはね、この端を切り落とさずに残して包丁を入れるのがコツ。そしたらバラバラにならないから、簡単にみじん切りになるんだよ」
「なるほどー」
「お姉ちゃん、いつでもお嫁さんに行けそう」
「えへへ」
 
そして5分ほど炒めた所で、カレー鍋に入れる。掻き混ぜるのを交替して2分ほど混ぜた所で味見をした。
 
「まあまあかな」
 
それで「できたよー」と言って、カレー鍋を食卓に持って行った。
 
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「あ、おいしい」
と母は言ったが、玲羅は
 
「普段のよりは少し味が落ちる」
と厳しい。
 
「ごめんねー。明日くらいには少し味がよくなると思うんだけどね」
と千里は言いながら、リカバーしたカレーライスを食べた。
 

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大阪に来た千里(千里B)は、26日の午前中は笛に関する講義を受けた。そして午後からは、10人くらいずつ5つのグループ(というよりレベル!)に分けて各々のグループごとにひとりずつ笛を吹いてみて、みんなから感想を言ってもらうというのをする。千里が入れられたグループは上手い人ばかりで
 
「きゃー、こんな凄い人たちばかりの所に居ていいのかしら」
と思うほどだった。
 
でも千里が自分の笛(Tes No.224)で吹くと、みんながピタリとおしゃべりを辞めるので「わあ、みんなから下手糞と思われてるんじゃないかなあ」と不安になる。しかし吹き終わった後
「凄いうまいね」
「それにその笛もいい」
とみんなが言う。
 
「君高校生?」
「いえ、中学1年生です」
「中学1年でそれだけ吹くなら、20歳頃には師範レベルだな」
などと言われた。
 
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「その笛はどこの楽器店で買ったの?」
「これ先輩の巫女さんから頂いたんです。お代は出世払いということで」
「これだけの吹き手だからあげたんだろうね」
「これ多分100万はする」
「ひぇー!?そんなにするもんですか。先輩は40万と言っていたんですが」
「40万は全くあり得ない」
「きっとあまり高い値段ではビビるから安く言ったんだろうね」
 
千里は“織姫”の方を使わなくて良かったと思った。そちらは眷属のコリンに持たせている。あんなの見せたらみんなから何言われるか分からない。
 
「君龍笛の経験は3年くらい?」
「龍笛はこの春から始めたんですけど」
 
「その前に神楽笛(かぐらぶえ)を小さい頃から吹いてたとか?」
「あるいは幼稚園の頃からフルート吹いてたとか」
 
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「まだちんちん付いてた頃から明笛(みんてき)吹いてたとか」
「ちんちんとか付いてるんですか〜?」
「手が出て足が出てちんちんが無くなって人間になる」
「カエルみたい」
「男の子は〜?」
「進化途中だな」
「進化仕掛けが男の娘」
 
男の娘は男の子から進化したものなのか!?
 
「小学校の鼓笛隊ではファイフ吹いてましたが」
「どっちみち天才だな」
 
それでもわりと細かいこと(本当に細かいこと)を注意してくれるので、千里は素直に聞いていた。
 

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女子中学生のバックショット(6)

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