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■女子中学生のバックショット(3)

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12月8-10日(月火水).
 
千里たちの中学では、 2学期の期末テストが行われた。実施科目は、5教科+音美保体技家である。ただし今回、美術・技術・家庭の実技については普段の授業の内容で評価するということであった。美術ではここ1ヶ月ほど、パラフィンを使用した彫刻をやっていたのだが、千里が作った造形を見て美術の先生は
「うーん。芸術的だね」
と言っていたので、ある程度点数もらえたかも!??
 
家庭では被服で作っていたシャツはしっかりできていた。縫い目もきれいだと褒められた。技術で作った本棚は先生が全体の出来を確認しようと持ち上げたら崩壊した!先生が思わず「ごめん!」と言ったが、持ち上げただけで崩壊するのは芸術的だと蓮菜は言っていた。
 
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体育では200m走は女子14人中9番目(1学期より落ちてる)だったが、サッカーのペナルティーキックは3本中3本とも決めたし、飛び箱は全部飛べたし、まあまあかなと思った。
 
音楽はリコーダーはいつものように全く吹けないが、歌唱は完璧だった。
「フルートを上手に吹ける人がリコーダーを吹けないというのは理解できない」
と先生は言っていた!
 
でも千里は
「私フルートとか吹かないのに先生誰かと勘違いしてるんじゃないかなあ」
などと思っていた!(フルートを吹くのはRのみ。今日試験を受けたのはB)
 

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12月12日(金).
 
この日はS中では、男子バスケ部と女子バスケ部の練習試合をしていた。
 
現在女子バスケ部は、2年生の久子・友子、1年生の数子・千里・留実子の合計5人しかおらずギリギリである。つまり交替ができない!
 
女子相手なので、男子は最初1年生でベンチに遠いレベルの選手を出した。
 
ところが最初出した選手が、留実子に吹き飛ばされるし、リバウンドをことごとく留実子が取るので、女子がリードを奪う。それで少しマジになり、1年生でもベンチに近い子たちを出す。それで何とかパワーバランスが取れたようであったが、それでも逆転できない。それでとうとう1年生のベンチ組まで投入する羽目になった。
 
留実子にダブルチームを掛ける!
 
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しかし2人がかりで留実子を止めようとすると、留実子からパスを受けた千里や友子がきれいにスリーを決め、点差はむしろ離れていく!
 
とうとう2年生のレギュラー組を引っ張り出した。
 

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このレベルにはさすがに女子では歯が立たない。どんどん男子は点数を奪い、点差はどんどん縮まって行った。
 
そしてとうとう男子が逆転し、62-61となった所で女子の攻撃を佐々木君が止めた。ドリブルで攻め入る。田臥君にパスし、彼がスリーを撃ったが外れる!
 
しかしリバウンドを貴司が取った。彼はそのままミドルシュートを撃とうとした。右手に留実子が迫るので、ドリブルを左手に移し、留実子に背を向けて身体をねじりながら撃った!
 
と思ったが、ボールが無い!?
 
左側にいつの間にか千里が居て、千里はボールを持ったまま着地した。
 
貴司が撃とうとした瞬間、空中でボールをスティールしたのである。
 
残りは8秒ほどである。
 
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千里はドリブルで走り出す。
 
貴司が全力で走り、千里を追い抜く(この頃は貴司のほうが足が速かったしドリブル走と単純走の違いもある)。そして千里の前に立ちはだかり、大きく手を広げて行く手を阻んだ。
 
千里は立ち止まり、ボールを抱えてくるりと半回転し、貴司に背を向けた。
 
千里はパスできる相手を探したが、誰もまだ追いついていない!
 
目の端で時計が残り1秒になったのを見た。
 

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千里はそのまま垂直やや後方にジャンプしながらボールを後ろ向きに放り投げた。
 
そしてボールが千里の手を離れた次の瞬間、ゲーム終了のブザーが鳴った。
 
伊藤先生が3本指を立てて片手をあげる。シュートが成立していることを表す。
 
千里は着地してからゴールを見る。貴司も振り向いてゴールを見る。
 
ボールはダイレクトにゴールを通過した。
 
伊藤先生がもう片方の手もあげた。ゴールが認められた。点数係が女子の点数を3つめくった。
 
64-62. 女子の逆転勝ちとなった。
 

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貴司が首を振っている。
 
やっと追いついてきた留実子が千里に飛び付いたので、さすがの千里もぐらっときたが何とか持ちこたえた。他の女子たちにもみくちゃにされる。どさくさに紛れて誰かにおっぱいを揉まれた気もした。
 
整列する。
「64-62で女子の勝ち」
と伊藤先生が宣言する。
 
女子が喜んでいるのに対して男子は落ち込んでいる。
 
「女に負けたりしたら男子全員性転換だと言ってた人があったけど」
「それ言ってたのは田臥だな。真っ先に性転換してもらおう」
「待って。ちょっと待って」
「今から病院に連行しようか」
「やめてー。助けてー」
などと田臥君が言っているのは放置して、女子5人は更衣室に引き上げた。
 
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「田臥君なら女子チームに来たら歓迎だよ」
と久子が言っていた!
 

12月13日(土).
 
千里Rは、美輪子に呼ばれて、また不動産屋さんのCM撮影で旭川に出て行った。ただ今回美輪子本人は東京に仕事で行っているらしく、美輪子の会社の同僚で浅谷さんという人が対応してくれるということだった。
 
それでともかくも朝から高速バスで旭川駅前まで行く。さて浅谷さんってどういう人かなと思って見回していたら、ひとり25-26歳くらいの男性が誰かを探しているふう。もしかして浅谷さんって男性?と思い、千里は彼に近づいて行った。
 
「すみません。もしかして浅谷さんですか?」
「あ、君もしかして千里ちゃん」
「はい。村山千里です」
「良かったぁ!本人の特徴を聞いていたんだけど、髪が長いというの以外は忘れてしまって」
 
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「あ、私だいたいこの髪でみんなから識別されてるから、誰かが私の振りしても髪さえ長ければ顔が少々違っても気付かないかも」
 
「なるほどー!あ、じゃ撮影現場まで連れてくね」
「お願いしまーす」
 
ふーん。この人がねぇ。まあいい感じの人じゃん?と千里は思った。
 

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前回は旭岳の上で撮影したのだが、さすがに12月にあんな所では撮影できない。今回行ったのは、旭川市内の“雪の美術館”である。千里は1年前にここで晋治とデートした時のことを思い出し、キュンと胸が傷んだ。でも彼との思い出を新しい想い出で塗り替えるチャンスかもと思った。
 
6月に旭岳で撮影した時にも参加した旭川L女子高の女子生徒(女子高には男子生徒はたぶん居ない)2人とも一緒で挨拶し、衣裳に着替えて撮影を始める。3人ともミューズを意識した白いドレスである。
 
雪の美術館のあちこちで3人で立ったり、歩いたり、戯れている?様子を撮影する。地下の音楽堂では3人並んでフルートを吹く所を撮影する。譜面を渡されて少し練習したが
「千里ちゃん、凄く上手くなってる!」
と2人から言われた。
「そうかな?」
 
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「もうプロ級だよね」
「それは大げさな」
「いや大げさじゃないと思う」
 
最終的な音の収録はあとでスタジオでやるということで、ここでは映像だけ撮影したが、千里に付いてきている浅谷さんも感心したように頷いていた。
 

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雪の美術館の後は、市郊外の個人の家に行った。ここはこの不動産会社の社長の親戚の家で、この10月に完成したばかりの家らしい。ちょっと見た感じ100坪はありそうな大きな平屋建ての家である。これだけの面積が使えたら無理に2階建てにする必要は無いだろうなと千里は思った。
 
現代では、平屋建てで家を建てるというのは、凄い贅沢である。
 
ここの庭で30分くらい撮影してから、建物内にお邪魔したが、きれいにお掃除されてて凄いなあと思った。こんな広い家、お掃除するだけでも大変だ。うちの母など絶対掃除などせずに放置してそう!
 
家のあちこちで撮影した上で、最後は50畳くらいありそうなリビングで撮影をした。真っ白なグランドピアノが置かれていて、
「誰かピアノ弾ける人?」
などと言われる。
 
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女子高生2人は顔を見合わせている。どうも弾けるには弾けるが、そんなに自信は無いという感じかなと思った。千里は
 
「私でよければ」
と言って、ピアノの前に座り、取り敢えず、ショパンの『前奏曲7番』を弾いてみせた。
 
「太田胃散だ!」
という声があがる。
 
「うまいじゃん、うまいじゃん」
とディレクターさんも言い、結局さっきフルートで吹いた曲のピアノ譜を渡され、それで千里がピアノを弾き、他のふたりがそばに立ってフルートを吹く所を収録した。ただし、これも最終的には音はスタジオで録音するらしい。
 

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それでその後、近くのレストランでお昼を食べてから、午後はスタジオに行き、音の収録をする。最初の1時間くらい練習してから、録音に入る。
 
この録音に際してはピアニストさんが手配されていたので、彼女のピアノ伴奏に合わせて3人でフルートを吹いた。H教育大旭川校の音楽コース(ゼロ免)の生徒さんらしい。どうも単価が高い!ので、このスタジオ録音だけの参加になったようであった。
 
この収録が1時間ほどで終わり、3時頃に報酬を頂いて解放された。
 
「この後、どっか行く?それとも帰る?」
と浅谷さんが訊く。
 
「じゃ**町まで」
「どこかのお店?」
「団地なんですよ。住所は」
と言って、千里は天子のアパートの住所を紙に書いて浅谷に渡した。浅谷はそれをカーナビに入力して車をスタートさせた。
 
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「誰かお友達のおうち?」
「そうなんです。帰りはバスで帰りますから、後は大丈夫ですよ」
「分かった。じゃ気をつけてね」
「はい」
 
それで別れて千里は、天子のアパートに寄った。
 

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その日は千里が夕食まで作り、ミミ子と3人で食べてから1泊し、翌日曜日の午前中には天子の買物に付き合った。
 
お昼を一緒に食べた後、天子・ミミ子と別れて、タクシーで郊外のきーちゃんの家に行く。きーちゃんは用事があって今月いっぱいは留守らしいのだが、ここで実は剣道の指導をしてくれている越智さんと落ち合うことにしていたのである(ダジャレではない)。鍵は千里が預かっていた。
 
きーちゃんの家は天井が5mの高さがある。これはピアノ・ルームの音響のために確保したものらしいが、結果的にLDK(27畳)で少々背の高い人が剣道の竹刀を振り上げても天井にぶつからないのである(灯りはシーリングライト)。
 
それでここでテーブル類を隅に押しやると、剣道の稽古ができる。これは偶然の産物らしい。
 
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それで2時間ほど指導を受けたが
「君はどんどんうまくなっている」
と褒められた。
 
「君誕生日は1月だったっけ?」
「3月3日なんです」
「じゃ1月の検定にも間に合わないか!だったら5月にもたぶん段位検定があるだろうから、すぐ試験を受けなよ。間違いなく初段に認定されるから」
「はい、頑張ります」
 
帰りは戸締まりをした後、越智さんが駅まで自分の車で送ってくれた。そして夕方の高速バスで留萌に戻った。
 

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