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■女の子たちのインターハイ・高3編(14)

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N高校のメンバーは、朝食前に全員で軽くジョギングや簡単なパス練習などをし、8時半頃旅館を出て会場に向かった。千里たちはJRで移動しているのだが、携帯でニュースを見ていた薫が「関越上りの本庄児玉ICで事故だって」と言う。
 
「今日は雨が降ったりやんだりしてるからなあ。微妙に滑りやすいよね」
 
この日は本当に小雨が降るかと思うと晴れたりする変な天気であった。
 
「会場の床も濡れてるかもね」
と寿絵が言う。
 
「みんな滑らないように気をつけろよ」
と暢子がみんなに注意する。
 
「まあコートはこまめに掃除してるだろうから大丈夫だろうけどね」
と薫は言った。
 
「だけどそんな場所で事故が起きたら、会場に向かっていて立ち往生しているチームがあるかも」
「試合に遅刻した場合どうなるんでしたっけ?」
「バスケットのルールでは15分たっても5人そろわなかったら没収試合」
 
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千里は心配になり
『ね、りくちゃん、ちょっと様子見てきてくれない?』
と言った。
『P高校かJ学園の車が引っかかってたら、会場まで運んで行けばいい?』
『昼間にそれやると騒ぎになるから』
『じゃ見てくるだけ?』
『うん』
 

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この日は準決勝2試合が行われる。千里たちは第2試合(11:40)だが、第1試合(10:00)は愛知J学園と札幌P高校の試合が予定されていた。
 
「あれ?まだ始まってない」
と夏恋が言った。
 
P高校のメンバーがコート上で軽く屈伸運動などしているのだがJ学園の選手がまだ居ないのである。
 
場内アナウンスが流れる。
「愛知J学園の選手のバスが高速道路の事故の影響でインターチェンジから下りることができず、到着が遅れています。しばらくお待ち下さい」
 
「わぁ、ホントに引っかかっているのか」
「万一そんなんで準決勝不戦敗なんてことになったら前代未聞ですね」
 
「間に合わなかったら、誰か応援団の子を選手に仕立てて」
「バレるよ」
「バスケ選手はみんな背が高いから、女子高の普通の子には無理」
「じゃ、そのあたりの通りがかりの男子をつかまえて女装させて」
「それもっと無茶」
 
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しかし幸いにもJ学園の選手は10:14に会場に姿を見せた。すぐにスターティング・ファイブがコート上に走り込む。それですぐティップオフして試合は始まった。
 
「良かった、良かった」
 
「J学園のバスはそのまま花園ICまで走って行って、そこで高速出口Uターンで本庄児玉ICの下り線から降りたみたい。事故が起きた場所が高速本線から料金所に向かうランプ口だったんで、下り線からは降りられたのよ」
と千里が言う。
 
「ああ、なるほど。それで間に合ったのか」
と声が上がるが
 
「千里、なんでそんなのが分かるの?」
という声。
「え? あ、ちょっと見て来たから」
 
「うーん・・・」
と寿絵が悩んでいた。
 

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試合は序盤からP高校がリードする展開となった。
 
「J学園の動きが硬い」
「やはりウォーミングアップ無しで試合始めたからでは」
「いや、それよりも伊香さんが凄すぎる」
 
第1ピリオドだけでも伊香さんのスリーが6本も入り、そちらを警戒しすぎると佐藤さんや猪瀬さんが近くからゴールを奪うという展開で29対11と大きくP高校がリードを奪う展開となった。第2ピリオドでJ学園が必死に反撃するも、前半を終えて55対32と点差が更に拡大する。
 
「伊香さん、かなり巧くなってますね」
と蘭が言う。
 
「やはりこの大会でQ女子高、T高校と強いチームとの対戦を経験して彼女の中で何かが開花したんですよ」
と志緒も言っている。
 
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千里は明日P高校と戦うことになったら、かなり手強いなと思ってコート上の戦いを見ていた。試合は第3ピリオドでP高校が主力を休ませている間にJ学園が猛追したものの、第4ピリオドではJ学園側に疲れが見えるところにP高校の主力が戻って突き放し、結局101対71の大差でP高校がJ学園を下した。
 
千里たちの近くで大学生っぽい人たちが
「やはり今年のJ学園は見劣りするね」
「去年が花園亜津子とか日吉紀美鹿とか居て凄かったからなあ」
 
などと言っていた。千里は今年のJ学園だって充分強いと反論したい気分だったが、やはり負けたら無茶苦茶言われるんだよなと思った。その千里の気持ちを見透かしたように薫が
 
「まあ、人は勝手なこと言うさ。気にしてたらスポーツ選手なんかできないよ」
と言った。
 
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千里は頷いた。
 
「ところでさ、薫」
「うん?」
「やはり薫はもう性転換手術済で女の子の身体になっているという確かな証拠を、私、持っているんだけど」
「私はまだ性転換してないから、それは何かの間違いだね」
と薫は言ってから手を振って向こうに歩いて行った。
 
清掃が行われた後、旭川N高校と静岡L学園の第2試合が始まる。千里たちはチアリーダーたちのエールを受けてフロアに降りた。
 

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トップエンデバーで会っている赤山さん・舞田さんと視線が合うので軽く会釈し合う。その赤山さんと暢子で握手をして試合が開始される。
 
L学園はPG.竹下/SF.赤山/SF.赤田/PF.舞田/C.上村というやはりシューターの居ない布陣、こちらはPG.雪子/SG.千里/SF.寿絵/PF.暢子/C.留実子という標準的な布陣で始める。
 
「なんか赤とか田とかいう名前が多いような」
「赤田さんが田赤さんだったら、舞田・田赤・赤山と尻取りになっていた所」
「いや、その3人が中心選手だよ」
 
ティップオフは留実子(公称180cm)と上村さん(175cm)で争い、留実子が勝ってボールを寿絵が確保し、雪子にパスして雪子がドリブルで攻め上がる。向こうは赤山さんが千里に、舞田さんが暢子に、赤田さんが寿絵に、ピタリとマークに付く。向こうの上村さんはゴールそばに居て、留実子が実質フリーになっているので、雪子はそちらにパスする。留実子がボールをドリブルしながら中に進入し、シュートを放つ。外れるので上村さんと暢子がリバウンドを争う。暢子が取って寿絵にパス。寿絵がシュートを撃つも赤田さんにブロックされる。しかしこぼれ玉を雪子が取って、千里の数メートル右にボールを送る。そこに千里が赤山さんを振り切って追いつきボールを確保。即撃って3点。
 
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ゲームはN高校が先制して始まった。
 

L学園の攻撃は、基本的に竹下さん、あるいは赤田さんがボールを運んできて、赤山さん・舞田さんがシュートを狙うパターンだが、赤田さんが直接シュートをする場合もある。赤田さんは「ポイント・フォワード」的な役割をしていた。ガードが1人しかいないL学園で、PGの竹下さんに次ぐ「第2の攻撃起点」になっているようだ。
 
センターの上村さんは主としてリバウンド係だが、175cmの上村さんより背の高い177cmの舞田さんがゴール下に入って上村さんが外側に行く場合もある。L学園の攻撃は、どちらかというと「ラン&ガン」に近いスタイルで、各人の役割が固定されておらず、その都度どうもサインプレイによって、様々な攻撃パターンを繰り出しているようだ。
 
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しかし向こうはみんなシュート精度がいい!と千里は思った。
 
昨夜ここまでのビデオを見ての検討会でも出ていた話だが、赤山さん・舞田さん・赤田さん、また今はベンチに居るが鳩山さんにしてもシュートの精度がとても良いのである。それでL学園はここまで外人センターのいるチームとも充分良い勝負をして勝ち上がってきたようだ。
 
バスケットではリバウンドの重要性が言われるし、長身の外国人センターはリバウンドで圧倒的な存在になりやすいものの、そもそもシュートを外さなかったたら、リバウンド以前のところで勝負が分かれる。
 
一方、N高校側も千里・暢子はシュート精度がかなり高い。特に千里はほとんど外さないし、暢子も8割くらいは放り込む。
 
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それで第一ピリオドは両者接戦が続き、24対22とL学園2点のリードで終了した。
 

「千里ちゃん、暢子ちゃん、まだ昨日の疲れが残っているみたいだけど、次のピリオドは休む?」
と南野コーチから言われる。
 
確かに昨日の試合はふたりとも5ピリオドずっと出ていたので消耗が激しかった。
 
「じゃちょっと休んで後半に集中しましょうか」
と暢子が言うので、第2ピリオドは、雪子/夏恋/寿絵/絵津子/揚羽というメンツで出て行った。向こうも赤田さんと上村さんを下げて鳩山さんと枝野さんが入るオーダーで出てきた。
 
向こうはセンターの上村さんが下がっていると、どうも赤山・舞田・鳩山・枝野と4人ともが点取り屋という感じになった。リバウンドは誰が撃つ時は誰がゴール下に行くというのを決めているようでスムーズに取りに行くし、ゴール下では全員揚羽と割と良い勝負をして3割くらいは向こうが取っていた。
 
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「あの4人、みんなセンターをやらせても充分強いよね」
とベンチで見ている敦子が言う。
 
「みんな専門職にならずに、全てのプレイの練習をしてるんだよ」
「うん、全員ボール運びもうまい。ガードでもやれる感じ」
 
「夏恋が4人いるようなもんだ」
「ああ、そういう感じ」
 
こちらも夏恋と絵津子が点をとりまくるので、千里と暢子が下がっていてもそんなに得点は落ちないのだが、結局このピリオドは22対19と向こうが3点リードする状態で終わった。前半の合計は46対41で、向こうの5点リードである。
 

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ハーフタイム。千里たちが休んでいた時、審判が何かに気付いたような顔をして、こちらのベンチにやってきた。
 
「君、君ってまさか男じゃないよね?」
などと訊く。
 
「ん?」と言ってみんな審判が呼びかけた人物:留実子のほうを見る。
 
「あ、パンツがずれてたみたいです」
と留実子が言う。
 
留実子のバスケットパンツのお股の所に何やら盛り上がりがあるのである。
 
「それ何?」
「えっと、おちんちんです」
「ちんちんがあるの!?やはり君って男子?」
「あ、いえ付けちんちんです」
「は!?」
 
それで千里が代わって弁明する。この子は「男の子になりたい女の子」で、いつもお股のところに作り物のおちんちんを装着しているということ。女の子がバストを上げ底してブラジャーの下にパッドを入れているのと同様であると説明したのだが、
 
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「でもバスケット選手は装身具の類いを付けるのは基本的に禁止なんだけど」
と言われる。
 
確かにバスケットでは、指輪・腕時計・ピアス・髪飾りなどの類いは相手選手に危害を与える可能性があるので禁止されている。プラスチック製のプロテクターでさえ(表面を柔らかい物質で覆ってあっても)禁止である。
 
「柔らかいシリコン製ですし、危険は無いと思うんですけど」
と留実子は言う。
「全部シリコンなの?」
と審判は訊く。
 
「えっと・・・・STPというか、おしっこを導く部分が硬化プラスチックかな」
「それ本部の許可取ってる?」
「許可が必要でした?」
「お医者さんの証明書か何かでもあれば」
「済みません。その類いのものは申請してないです」
「それは簡単に取り外せるもの?」
「取り外すことは可能です」
「じゃもしよかったら、この試合ではいったん取り外しておいてもらえない?それで明日以降も試合中に付けておきたいということであれば、本部に照会してもらえないだろうか?」
 
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審判としても、その手のものの実物を見たことが無いだろうから、危険性のあるものかどうか判断できないのだろう。
 
「分かりました。取り外してきます」
 
それで留実子はトイレに行って、おちんちんを取り外してきた。
 
「キンが禁止されたんですね」
などと絵津子が言って
「絵津子、発想がオヤジだぞ」
と暢子から言われていた。
 

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