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■女の子たちのインターハイ・高3編(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2015-04-04
 
2日目の日程を終えて、インターハイは、この日の試合では取り敢えず強豪校はだいたい勝ち残った。逆にいうとBEST16には強豪校しか残っていないという感じである。札幌P高校も今年初出場のチームに貫禄勝ちして3回戦に駒を進めていた。明日の組合せはこのようになった。
 
旭川N高校−大阪E女学院 秋田N高校−愛知J学園 宮城N高校−岐阜F女子高 高松S高校−福岡C学園 東京T高校−福岡K女学園 静岡L学園−倉敷K高校 山形Y実業−金沢T高校 札幌P高校−愛媛Q女子高
 
「P高校は明日、因縁の相手、Q女子高と激突か」
と暢子が勝ち上がり表を見てつぶやく。
 
「私たちの後の試合だから、ゆっくりと見学させてもらおうよ」
と千里。
 
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「どっちみち明日からは強豪同士の潰し合いだね」
と薫が言う。
 
「うん。インターハイも2回戦までと3回戦以降はまるで性質が違うと思う」
「去年、よく私たち、3回戦で福岡C学園に勝てたよね」
「まあ、あれ以降の3試合は奇蹟と幸運の連続だったと思う」
 
なお、男子の方では田代君たちの札幌B高校は昨年準優勝の福岡H高校に全く歯が立たず敗れた。これで田代君の高校バスケは終了した。蓮菜との電話で聞いたのでは田代君はこれでもうバスケは辞めるつもりで大学ではやらないと言っていたという(蓮菜は田代君と別れてから久しいのに頻繁に連絡を取りあっているようである)。
 

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この日、選手以外が合宿しているV高校には愛知J学園のベンチ外の子たちが来訪し、Bチーム戦、Cチーム戦をおこなった。
 
J学園も今回のインターハイではN高校とは決勝までは当たらない組合せなので、比較的やりやすい相手である。それでも試合前に、よけいなことは一切しゃべらないこと、というのを参加者には言っておいたが、おそらく向こうも言われてきているだろう。
 
試合は、やはり層が厚いだけにBチーム戦もCチーム戦もJ学園側が勝ったものの、向こうを率いていた片平コーチは
 
「そちらのBチームだけでもインハイに出てくる力があるよね」
などと言っていたという。特にひとりで20点も取ったソフィア、同じく14点取った不二子は、ウィンターカップでの要注意人物としてマークしたようだ。(スリーを5本入れた結里はもとよりマークされている)
 
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もっとも褒められて喜んでいたBチームのメンバーに白石コーチは
「まあ、あれをリップサービスというんだけどね」
と言って気を引き締めていたらしい。
 

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「え?国体代表に選ばれたの?」
 
千里はその日夕方、貴司との電話で聞いて驚いた。
 
「うん。びっくりした。大阪府代表になっちゃった。千里(せんり)カップでBEST8になったので、僕のプレイをお偉いさんが見てくれたおかげかも」
 
「だったら、それで近畿地区予選に出るの?」
「それが今年の成年男子は47都道府県から代表が出るんだよ」
「え?そうなんだ?」
 
「国体バスケって、成年男子・成年女子・少年男子・少年女子のどれかひとつだけ47都道府県代表で、残りは9ブロック代表+開催県代表なんだよね。どれを47代表にするかは毎年違うけど、今年は成年男子」
「じゃ、そのまま大分に行けるんだ?」
「そうそう。北海道はブロック代表だろうと都道府県代表だろうと同じことだけどね」
「支庁代表で行かせて欲しい」
「全く全く」
 
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「じゃ大分で頑張ってね」
「千里も国体においでよ」
 
千里はドキッとした。国体に行ったら、貴司と会える?
 
「もっとも、男子と女子は会場が違うけどね」
「そうだったっけ?」
「男子は大分市、成年女子は宇佐市、少年女子は中津市」
「大分と中津って遠いの?」
「JRで2時間くらいって聞いたよ」
「そんなに遠いんだ!」
 
でも同じ県なら、何とか会える機会ができないかな、と千里は思った。
 
「貴司、性転換して女子代表のほうにならない?」
「今性転換したら2年間出られなくなるよ!」
 
ふーん。出場できなくなるだけの問題なのか。おちんちんは別に無くなってもいいんだろうか、と千里は貴司のセクシャリティに改めて疑惑を感じた。
 
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白浜に案内されて、織絵と鏡子がスタジオのコントロール・ルームに入っていくと、フロアでは織絵と同世代くらいの女の子が2人マイクの前で歌っており、その横でやはり同い年くらいの女の子がキーボードを弾いていた。織絵はその1人に見覚えがあった。自分が何度か臨時参加したPatrol Girls の元リーダー、逢鈴だ。ずっと後ろで踊っていたのだが、いよいよデビューということなのだろう。
 
しかしもうひとりの子は・・・・・なんだか付き合いにくそう。変人っぽいオーラを漂わせているな、とこの時、織絵は思った。
 
そんなことを織絵が思っていた時
 
「すげー、あれやはりKORG OASYSだ」
と鏡子が声をあげる。
 
「いいキーボード?」
と織絵が訊くと鏡子は
「90万円くらいするよ」
と答える。
 
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「きゃー!」
 
「スタジオの機器かな?」
などと言っていたら、
 
「あれ、黒美の私物」
と近くに座っていた、やはり同世代くらいの女の子が言う。
 
「凄いですね」
と鏡子は言って、織絵と一緒に彼女に向かって会釈する。向こうも会釈を返してくれた。
 
「あの子、こないだ喉にポリープができて手術後間もないもんだから、私が付き添いで付いてきたんですよ。何もしゃべられないと受付も通れないから。あ、私、由妃です」
とその子は言った。
 
「それは大変ですね。私は織絵、こちらは鏡子です。お友達なんですか?」
とこちらも名乗っておく。
 
「そうそう。バンド仲間」
と由妃。
 
「わあ、何なさってるんですか? 私たちもバンドしてるんですよ」
 
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「こちらBlack Catsって言って。私がドラムスで、あの子がキーボードで。もっともベースが抜けて休眠状態なんだけど」
 
「実はこちらもベースが抜けて休眠してるんですけどね。バンド名はSea-Queenっていうんですけど。私がギターでこの子がキーボード」
 
「ああ、どちらもベースが離脱か」
と言って由妃は笑っている。
 

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織絵・鏡子・由妃の3人は隅のほうで邪魔にならないように小声で話していたのだが、やがて制作作業のほうは少し休憩を入れるようである。フロアに居た3人がこちらにやってくる。
 
これが織絵(後の音羽)と美来(光帆)の初対面だったのだが、この時ふたりは軽く会釈を交わした程度である。
 
「麻生さん、紹介が遅れました。こちら、業界人ではないんですが、何度かうちの仕事をしてもらったことのある、織絵ちゃんと、そのお友達の鏡子ちゃんです。こういう現場をちょっと見学させておこうと思って連れてきました」
と白浜さんが2人をプロデューサーさんに紹介してくれる。
 
美来はそのことばを聞いて、あれ芸能人じゃなかったのか、それにしてはふたりとも髪が茶色いんだなと思い、遊んでる子かなあ、などと思った。ただし実際は織絵も鏡子も髪が茶色いのは天然であって、染めている訳ではない。
 
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一方ふたりを見た麻生さんは
「あんたたち2人ともなんかセンスがいいね。歌うまい?」
と言う。
 
「歌はまあ恥ずかしくない程度なんですけど」
と織絵。
 
「織絵ちゃんがギター、鏡子ちゃんがピアノ弾くそうです」
と由妃が補足する。
 
「ああ、楽器弾ける人は歌も最低限歌えることが多いよね」
と麻生さん。
 
「あなた、Patrol Girls やったことあるよね?」
と逢鈴が言う。
 
「はい。覚えていただいて光栄です。富山に住んでいるので北陸方面での公演で何度か参加させて頂きました」
と織絵。
 
「Parking Serviceも人数不安定だけど、Patrol Girlsは、ライブでの臨時登用が多いもんね」
と麻生さんも言っている。
 

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麻生さんは何だか少し考えていたようであったが
 
「由妃ちゃん、ドラムス打てたんだよね?」
と言う。
 
「ええ、アマチュアですけど」
 
「実はさ、黒羽ちゃんのキーボードだけで演奏させると、楽器の音が弱すぎる気がしてさ。いっそもっと楽器入れて、バンドで伴奏した方がいいんじゃないかって気がしてきてたのよ」
と麻生さん。
 
「Parking Serviceではやったことないですね」
「うん。あれはいつもカラオケばかり」
と麻生さん。
 
「時には声まで入って口パク」
と逢鈴。
 
「じゃ、楽器できる人を招集してみますか?」
と白浜さんが訊いたのだが、
 
「なんか今ちょうどできる人がいるみたいだから、やってみよう」
などと麻生さんは言い出す。
 
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「ん?」と言ってお互いに顔を見合わせる。
 
「今できる楽器は、黒羽ちゃんがキーボード、織絵ちゃんがギター、鏡子ちゃんがピアノ、由妃ちゃんがドラムスか。黒羽ちゃんか鏡子ちゃんかベース弾けない?」
 
「あ、今ベース練習してます。先日うちのバンドのベースの子が抜けちゃったんで代わりに私が弾こうかと少し練習してるんですよ。まだ根音でしか弾けないですけど」
と鏡子が言う。
 
「ベースは根音を弾けたら充分。ちょっとやってみよう」
と麻生さんは言った。
 

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ということで、スタジオの機器を借りだして、織絵がギター(本人の希望でストラトキャスターを借り出した)、鏡子がベース、由妃がドラムス、黒羽(黒美)がキーボード(自前のOASYS)というので、ちょっと合わせてみる。
 
その場で譜面(ギターコード譜)を渡されて数分間譜読みし、ギターの織絵とキーボードの黒美が簡単にバッキングの分担を話し合っただけなのだが、(ただし実際には話したのは由妃で、黒美は頷いていただけ)合わせると、一発で合った。
 
「あんたたち巧いね!」
と麻生さんが褒めてくれる。
 
「プロのスタジオミュージシャンなら1発で合わせたりしますけど、この子たち、充分なレベル持ってるみたいですね」
と白浜さんも言う。
 
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「よし、このバンドをバックにして歌ってみよう」
 
それで実際に4人の演奏をバックに逢鈴と光帆が歌うと、かなり良い雰囲気になる。
 
「いや私もこの企画、Parking Serviceとの差別化をどうしようとかなり悩んでいたんだけどさ、生バンドをバックに歌って踊るというのは、うまい路線だと思うよ」
と麻生さんはとてもご機嫌である。
 
「あんたたち、このままこのバックバンドとして定着しない?演奏料は前で歌う2人を含めて6人で山分け」
などと更に言い出す。
 
「あのぉ、私たち富山に住んでいるんですけど」
と鏡子。
 
「そのくらい引っ越しておいでよ。最低生活できる程度の給料は出させるよ」
と麻生さん。
 
「えーー!?」
と鏡子は麻生さんを見て声をあげたのだが、
 
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「私、東京に出てきます」
と織絵が言った。
 
「うっそー!」
と鏡子は今度は織絵の顔を見て驚きの声をあげた。
 

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女の子たちのインターハイ・高3編(5)

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