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■女の子たちのインターハイ・高3編(9)

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(C)Eriko Kawaguchi 2015-04-05
 
その日宿舎に帰り、食事とお風呂を済ませた上で、こちらの宿舎に泊まっている全部員が千里や暢子たちの部屋に集まり、明日の試合についてミーティングをする。
 
「とにかく無茶苦茶強いチームだから、逆にどんどん点を取られたり、こちらの攻撃がなかなか通用しなくても、焦らずに行こう」
と暢子が言う。
 
「自分たちのプレイをすることが大事ですよね」
と揚羽。
「そういうこと」
と寿絵も言う。
 
その後、相手の主な選手について、ビデオを見ながら対応の仕方を見当する。
 
「F女子高でいちばん脅威なのは、やはりセネガルの留学生2人なんだよね」
と言ってビデオをまとめている薫がみんなに映像を見せる。
 
「秋田N高校の沼口さんもいい場所に陣取っているのに背丈の差でやられてる」
「沼口さんが173cm, ラーマさんは188cmだから背丈で15cmの差がある。手を伸ばしたら、22cm違う」
「ちょっと辛いですね」
「もうひとりのアヤさんも185cm。173cmとの手の先の差は18cm」
 
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「アヤって日本人みたいな名前だ」
「でもアメリカにもナオミさんとかよくいるじゃん」
「リサとかマリとか日本人にもいるし」
 
「まあ、とにかくここと戦う場合、いかに精度のいいシュートを撃つかというのが肝心だと思う」
と薫は言ったのだが、留実子が否定する。
 
「気にせず撃ってよ。僕がリバウンドは全部取るから」
 
「頼もしいね」
と南野コーチは留実子のことばを受け止めて言う。
 
「どうする?キャプテン。この相手にシュートは、積極的に撃つべき?慎重に撃つべき?」
と南野コーチは暢子に投げる。
 
「積極策で」
と暢子。
 
「うん。じゃそれで行こう」
と宇田先生も言った。
 
「じゃラーマさん対策は花和君、前田さん対策は村山君ということで」
 
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その日の21時頃。龍虎が入院している病院は消灯時間となり、付き添ってくれていた叔母さんも「じゃ、また明日来るね」と言って帰ってしまう。龍虎は灯りが落ちた個室で目をつぶったものの、なかなか寝付けなかった。
 
明日の手術でおちんちん取られちゃったらどうしよう!?スカートとか穿かないといけないのかなあ。いやだなあ。
 
そんなことを考えていたら、なかなか寝つけない。ふと気付いたらベッドのそばに立つ人物が居る。
 
「こんばんは」
とその人物は龍虎に語りかけた。
 
「あ、男の人から女の人になったおねえさん」
と龍虎は驚いたように千里に語りかけた。
 
「あまり、そのこと言って欲しくないなあ。私、元男の子だったことは嫌な想い出だから。ふつうに千里お姉ちゃんとでも言ってもらうといいけど」
 
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「うん。わかったよ。ちさとおねえさん」
 
「龍虎ちゃん、空を飛びたいって言ってたよね。ちょっと空に連れていってあげようか?トナカイじゃないけど」
 
「ほんと?」
と嬉しそうに言ってから、心配そうに訊く。
 
「おちんちんはだいじょうぶ?」
「万一無くなっちゃったら、お姉ちゃんが粘土をこねて、新しいおちんちんを作ってあげるよ」
「ねんどなの〜?」
 

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龍虎はその次の瞬間、天空に居て、大きな龍にまたがっていた。後ろからしっかり抱きしめられる。千里のバストが龍虎の肩のあたりに当たって龍虎は少しドキドキした。『お母さんってこんなかんじかな』と龍虎は思った。
 
「私が抱いているから大丈夫だけど、あまり暴れたりしないでね」
「うん」
「どこに行きたい?」
「ずっと北のほう。ぼくのおばあちゃんちが、せんだいってところにあるの」
「じゃ、仙台まで行こうか」
 
龍虎たちが乗る龍は上空まで舞い上がると、物凄い速度で飛び始めた。
 
「ちさとおねえちゃん、なにかぼくのおしりにあたるんだけど、おねえちゃん、ちんちんなくなっちゃったんだよね?」
 
ん?と思って確認すると、先日「仮名・喜岡」さんと一緒に北原さんのお墓参りに行った時に買った身代わり人形だ。
 
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「おちんちんじゃなくて、お人形だよ。ちんちんの代わりに龍虎君にあげるよ」
「かわりなの? これもらったらちんちんとられたりしない?」
「むしろ、この人形が代わりにちんちん取られるかもね」
「だったらいいか」
 
と言って、龍虎はその人形のお股を確認している。
 
「あ、このにんぎょう、ちんちんついてる。ぼくのちんちんとられそうになったら、このにんぎょうのちんちんあげればいいよね」
「そうだね」
 
でもわざわざちんちんが付いているのか!
 

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「なんかきれーい!」
と飛行中に龍虎が言う。下の方に高速道路が走ってて、灯りが連なっているのが見える。
 
「あのひかりってじどうしゃ?」
「そうだよ。自動車が高速道路を走っているんだよ」
「でもどんどんおいこしていくよ」
「こちらの方が速いからね」
 
龍虎の夜の散歩は1時間ほど続く。やがて龍は空から降り始める。
 
「ほら、龍虎君のおばあちゃんちが見えてきたよ」
「おばあちゃん、おきてるかなあ」
「行ってみよう」
 

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龍虎が祖母の家に入って行くと、祖母は布団の中で寝ていた。しかし龍虎の気配に目を覚ます。
 
「誰?」
「おばあちゃん。ぼく」
「龍虎?」
「ぼく、女の子になったりしないからあんしんしてね」
「へ?」
「おばあちゃんのかおをみにきただけ。またね」
 
そういうと龍虎の姿は祖母の前から消えた。
 
祖母は呆気にとられていたものの、急に不安になって電話をする。
 
「ね、龍虎は無事?」
「大丈夫だと思うけど。何かあったら病院から連絡あるはずだし」
「何か急に不安になって。ごめん。念のため病院に行ってみてもらえない?」
「いいよ」
「私も明日朝の新幹線でそちらに行くよ」
「病院の先生は安全な手術だからと言ってるから大丈夫と思うけど」
「居ても立ってもいられなくて。私、これから神社にお百度踏みに行く」
「お母さん大丈夫!?」
 
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それで祖母はタクシーを呼ぶと、まずは友人で商店をしている人の所に行き、無理を言って10円玉90個と百円玉10個の両替をしてもらった。それから仙台市内の青葉神社に行き、お百度を踏み始めたのである。
 
(お百度は10円玉を9回入れたら百円玉を1回入れるというようにしてお参りを続けると、カウントを間違えにくい)
 
一方の連絡を受けた龍虎の叔母は深夜病院に急行したものの、すやすやと眠る龍虎の姿を見て安心して帰宅した。
 

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一方、おばあちゃんちを出た龍虎は、また龍の背中に乗って空に舞い上がる。
 
「まだ時間あるよ。どこかひとっ飛びしてから帰ろうか?」
「じゃね、ぼくほんしゅうのはしまで行きたい」
「青森?」
「うん」
「OK。じゃ、こうちゃんよろしくー」
「へいへい」
 
千里の依頼に面倒くさがり屋の《こうちゃん》も応じて、一行は一路北を目指した。
 
「本州の端といっても、あちこちあるよ。どこに行こうか。東の方と西の方と、どちらが好きかな?」
 
「ぼくもよくわからないけど、《ういた》というところが、おばあちゃんの生まれた村なんだって。ちかくにたくさんみずうみやぬまがあったんだって」
 
千里は首をひねった。
 
「こうちゃんわかる?」
「湖がたくさんあるのなら、あそこだと思う」
「あ、知ってるなら、よろしくー」
 
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一行は一時間ほどの飛行で青森県の津軽半島某所にたどり着いた。千里が貴司からもらったスントの時計で時刻を確認すると23:50くらいである。
 

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「ここは《ういた》村にある入江だったから《ういたえ》というんだよ」
と《こうちゃん》が説明する。
 
「これ湖みたいに見える」
「今は海とほぼ切り離されてしまったんだよ。塩水と真水の中間の汽水湖だよ」
 
「おほしさまがたくさんひかってる」
と龍虎は嬉しそうである。
 
「ぼくしんだらおほしさまになるのかなあ」
などとも言っている。やはり本人もある程度、自分の運命を予感しているのだろうか。
 
「でも月は出てないね」
と千里。
「新月だからね」
と《こうちゃん》
「あ、今、月の位相はこれ350度くらいかな。これなら明日の夜20時くらいに朔かな」
「千里、なぜ見えてもいない月の位相がわかる?」
「え?見えてなくても、月の方角や太陽の方角は分かるじゃん」
 
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《こうちゃん》が黙り込んでしまったので千里は、なぜだろう?と不思議に思った。
 

「千里、ここの土地神様が笛を所望してるぞ」
と《こうちゃん》が言った。
 
「じゃ何か吹こうかな」
と言って千里は龍笛を取り出した。
 
闇夜の星明かりの中、千里は静かな湖を見ながら笛を吹いた。龍を呼ぶ音が夜空と湖面に広がっていく。龍虎が不思議そうな顔で、それを見上げている。千里はその龍虎を優しいまなざしで見ながら吹いていた。
 
あと恐らく14時間ほどでこの世から旅出ってしまう幼い魂。千里は彼の来世での幸福を祈りながら、その中有の世界への旅立ちのはなむけに美しい調べを聴かせてあげたいと思いながら指を動かす。
 
《こうちゃん》が珍しく目をつぶって千里の演奏に聴き惚れている感じであった。
 
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いつものように千里の龍笛の音に誘われて、近くに棲む龍たちであろうか、上空に5体もの龍が集まり、舞い始めた。龍虎はその空を見上げて
 
「すごーい、大っきなヘビがとんでる」
と言った。ふーん。龍が見えるのか。
 
《こうちゃん》が
「あれは蛇じゃなくて龍。あんたの名前だろ?」
と教えてあげる。
 
「へー。あれがりゅうだったのか。すごーい」
と言ってから
「もしかして、おじいさんもりゅうなの?」
と言った。
 
《こうちゃん》は「おじいさん」と言われて、かなりショックだったようでしばらく言葉が出ないようであったが
「おにいさんか、せめておじさんと言いなさい。次、おじいさんと言ったら、ちんちん取っちゃうぞ」
と言う。
 
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「やだー。とられたくない。じゃ、つぎからはおじさんというね、おじいさん」
と龍虎。
 
《こうちゃん》はムスっとしているが、千里は笑ってしまいそうになるのをこらえながら笛を吹いていた。
 
やがていつものように舞っていた龍たちが、千里の演奏に感謝するかのように雷を落とす。5つ落雷したが、そのうち1つが落ちた所から、そのショックの作用か、水が湧き出した。
 
そして千里の演奏が終わると龍たちは各々の来た方角へ帰って行った。
 

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