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■夏の日の想い出・砂の城(12)
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§§ミュージックは今年のビデオガールコンテストの実施要項を発表した。
応募資格:
(1) 日本国籍あるいは日本の永住権を持ち、2023年4月2日現在11歳以上13歳以下(小6-中2)の未婚女子。ただし特に優秀な人の場合は17歳以下まで許容する。
(2) 芸能事務所やレコード会社等との契約が無く、§§ミュージックおよびTKRと契約可能であること。
(3) 保護者の芸能活動許可が得られること。東京に転居して寮生活が可能であること(都内在住でも自宅通勤は不可)。
1次審査:5月7日(日)30:00 (5/8 Mon 6:00) までに、ビデオカメラやスマートフォンなどで3分前後の歌唱映像を撮影し、オンラインで登録する。この時、登録番号を発行するので、差し替えたい場合は、その登録番号を新しいビデオ登録時に記載すること。
1次審査結果:5月15日(月)までに通知予定
2次審査:1次審査を通過した人で、5月末までに誓約書および保護者の芸能活動許可証と、年齢確認のため生徒手帳の身分証明ページのコピーまたはマイナンバーカードのコピーあるいは住民票の写しを提出した人を対象とする。
6月25日(日)に、Webカメラ付きパソコンの前で、リアルタイムにこちらからの質問に答えたり、歌唱・トークなどのパフォーマンスをしてもらう。1週間前の6月18日(日)に接続テストをおこなう。あるいは最寄りの§§ミュージック音楽教室に来場してもよい。そこの教室でリモート審査する。
2次審査結果:6月26日(月)までに通知予定。
本選:7月21-23日に埼玉県熊谷市の§§ミュージック分室に集まってもらい審査する。
優勝者には第3代ビデオガールの称号を授与し2023年春頃までに歌手デビューしてもらう。それ以前にも信濃町ガールズ本部生に準じる取り扱いとし、他のアーティストのコーラスやバックダンス、ドラマや映画の端役などになってもらうかも知れない。
得点が上位6位までの人は信濃町ガールズ本部生になる権利が与えられる。また本選参加者全員に、地方信濃町ガールズ特待生になる権利が与えられる。
なお、11-17歳で、現在§§ミュージック音楽教室に在籍している人はその教室の教室長の認定書をもらえば、一次審査合格扱いとする。
「女子とことわっていても男子の応募者・上位進出者は出るだろうね」
「もう諦めた」
などとコスモスは言っていた。本戦まで上がってくる男の子は毎年1-2人いる。この中には女子のみのコンテストと知らなかったという子と分かってて応募してきた子とがいる。また友人が勝手に応募したという子も居て、そういう子が結構伸びるのである。アクアなども勝手に応募されたクチである。(当時はロックギャルコンテスト)
最近は小学生の内から女性ホルモンを飲んでいたという子もよく居て、女性の第二次性徴が出ており、見た目や声では全く分からない子も多い。
なおビデオガールコンテストは今年で終了する可能性もある。地方ガールズからの昇格試験に統一していいのではないかという意見も強い。昨年も本戦進出者のほとんどが地方ガールズであった。地方ガールズの入団試験は音大の入学試験レベルと言われている。そこに入ること自体が物凄い競争になっている。
他の多くの事務所のオーディションが事実上東京周辺に住む人にしかチャンスが無いのに対して§§ミュージックのオーディションは全国どこにいてもチャンスがあるので応募者も多いし、レベルも高くなっている。(開催費用も凄まじいが)
ところで少し前になるが2月の中旬頃、★★レコードの八雲さんは私のスマホに電話してきて言った。
「アルバムの制作作業が停まってますでしょう」
「済みません。マリが宮古島に行きたいと言っているので行かせて気分転換したら、また進行すると思いますので」
「いや、それで営業政策上、アルバムの前にシングルを出したいんですよ。アルバムからの先行シングルカットでもいいですから」
「ああ、だったら『気球に乗って』を」
「ああ、わりといいですね。だったらそれとカップリングする適当な曲を書いていただけませんか?“ケイ”品質の曲なら、ほかの方、例えば琴沢幸穂先生とか大宮万葉先生の作品でもいいですから」
そんな話を八雲さんとした直後、詩津紅から打診があったのである。
「ねえ、冬、これ今度かその次のアルバムにでも入れてくれないかなあ」
と言って譜面を見せてもらったのは『Love Again』という結構素敵な曲である。
「これ書いたの青葉?」
「そうそう。私が書いた詩を青葉ちゃんに送って(出産のための)入院中の気分転換に曲付けてくれない?って言ったら翌日MIDI付きで送ってきてくれた」
「へー」
青葉も妊娠してるのによくこれほどの品質の曲を書くもんだと感心した。(実際には書いたのは“妊娠してない”青葉Rのほうである)
この曲のイントロにはショパンの夜想曲2番(ポップスの世界ではカバー曲の“To Love Again”のタイトルでよく知られる)のモチーフが使用されている。
八雲さんも千里や青葉の作品ならいいと言っていたし(きっと七星さんやゆまのレベルでは困るのだろう)、私はこの曲と『気球に乗って』をカップリングしてシングルを作ることにしたのである。
それで取り敢えず青葉が作ってくれたMIDIのデータをwave(≒mp3)に変換し、マリにマリ家の隣のスタジオで私と一緒に歌ってもらい、歌唱の録音をした。マリは歌いながらボロボロ泣いていた。
「私もう一度恋してもいいかなあ」
進行中のくせに!
むろん松山君とのことを考えたのだろう。詩津紅もマリの“背中を押す”ためにこの詩を書いたのだろうと思う。8年前もマリはもう少し頑張っていたら、松山君を失わずに済んだのに。
一方でスターキッズに実楽器による伴奏を作ってもらい、ミックスした。
そういう作業をしている内に千里も曲をひとつ持って来た。
「大輔さんが亡くなったのでマリちゃんが停止しちゃってアルバムの作業も停まってるでしょ?でもあまり間が空くのは良くないと思うんだよ。“ケイ”名義で出しても良さそうな曲を書いてきたから、マリちゃんにステーキでも食べさせて吹き込んてシングル作らない?」
と言って、『石畳の散歩道』という曲の譜面、伴奏のMP3, 信濃町ガールズの七尾ロマンと氷川チャイムに歌わせた仮歌、そして但馬牛のステーキ肉を持って来てくれたのである。
震災イベントが終わった後、マリが宮古島に行く直前、私はステーキ肉を焼いてマリに食べさせた上で、仮歌を聴かせた。
「上手いじゃん。これこのまま発売したら?」
とマリは言うが
「マリちゃんが歌わないと売れないんだよ」
と言って、ふたりで歌唱して録音した。マリには、千里が撮ってもらってきた富山の八尾にある石畳の道(諏訪町)の録画も見せた。撮影して来たのは青葉の助手の真珠ちゃんらしい。そしてマリが宮古島に行った後になったが、これもスターキッズに実楽器での伴奏を作ってもらいミックスした。
こうしてシングル発売用の音源が3つできたのである。この3曲を有咲の所の若い技師さんにマスタリングしてもらってマスターが完成した。
マスターが完成したのは3月中旬だったので、マリが宮古島に行っている最中ではあったが、このシングルを4月5日(水)に発売することにした。昨年8月の『Rain』以来8ヶ月ぶり、ローズ+リリー 36枚目のシングルとなった。
『Love Again/気球に乗って』
『Lovr Again』(近藤詩津紅作詞・大宮万葉作曲)
『気球に乗って行こう』(マリ&ケイ作詞作曲)
『石畳の散歩道』(マリ&ケイ作詞作曲)←本当は千里の作品
名義に関しては八雲さんに相談したら「琴沢先生がそうおっしゃってるなら、マリ&ケイ名義にしましょう」と言うので、そうさせてもらった。もっとも、これを書いて持ち込んだのは、大宮に住んでいる琴沢幸穂(千里3“黄”)ではなく、姫路に住んでいる“立花笛吹”(千里4“赤”≒Lucky Blossomの楽曲提供者“大裳”)のほうのようである。
4月12日(水)月城たみよの2枚目のシングル『昼下がりの田植え歌』が発売された。
ふざけたタイトルなのに5万枚も売れた『網引きの子守歌』に続く第二弾で、田舎情緒あふれる作品である。
『昼下がりの田植え歌』(古式帰蝶作詞・牟田愛良作曲)
『畦道で待ち合わせ』(古式花音作詞・牟田愛良作曲)
『レインドロップス』(竹本和恵作詞・北沢晶菜作曲)
基本的には前作同様、和風ロックの作品である。『レインドロップス』はアイドル歌謡。中央のテレビ局ではこの曲をいちばん取り上げてもらった。ただし有線では『昼下がりの田植え歌』が多かった。
たみよは中央の局で『レインドロップス』を歌う時はドレスを着ているが、『昼下がりの田植え歌』のMVでは“振袖ドレス”を着ている。
古式帰蝶は月城たみよのお兄さん・松崎貴美のペンネーム、古式花音はたみよ自身のペンネームである(原町カペラにかなり添削されたが)。竹本和恵は花ちゃんのペンネーム(しばしば本名と誤解されている)。
前作は出身地の役場とか漁協に置いてもらい、ローカル局でかなり流されたらしいが、今回もそうなるかも。(「こぶしが足りん」とか言われたらしいが!)地元で応援する態勢になりつつあるようである。在籍していた中学の校長先生が後援会の会長になってくれたとか。
地元の焼酎メーカーから、うちのCMに出てくれないかという打診があったが未成年なのでとお断りし、原町カペラ(20)が代わりに出て歌も歌った。(カペラなら出演料も安い!新人と大して変わらない)
カペラは藺牟田飛行場までジェット機で飛んでCF撮影してきた(むろん日帰り)。しかし黒毛和牛の焼肉で歓待してもらい、お土産にチューハイももらい「九州日帰りとか舞音ちゃんみたい」と楽しそうに言っていた。
4月中旬、石川県七尾市の県立N高校の校門前で交通事故があり、この高校に通う女子生徒が車に轢かれたもののその車ですぐに市内の病院に運ばれ、一命を取り留めた。生徒は3日間意識が戻らなかったものの、生徒の友人・桜坂奈那がたまたま青葉を知っていて、青葉に出馬してもらい、最小意識状態にあったと思われる患者の意識回復に成功した。
この時、奈那と青葉は患者の“夢”の中に入り込み、迷子になっていた彼女の意識を連れ出すということをしているが、この時いくつかのことが起きた。
(1) 奈那はムーランベーカリーでバイトしているが、夢の世界でムーランベーカリーが昨日の売れ残りのパンを3個500円で売っていたというので、店長の神田あきらに相談した所、本当に昨日のパンを3個500円で売ることにした。
(2) 夢の中で奈那が『おじいさんの時計』(英語版)の歌を聴いたので、奈那自身が新たな訳詞を作り、友人にピアノ伴奏してもらって歌い、動画サイトに登録した。これが物凄い話題になり、許可を取ってラピスラズリがカバーすることになった。
これに影響されて国内の時計メーカーが大型の振り子時計(2mサイズ)を制作し、ムーランベーカリー七尾店のそばにある珠洲人形美術館七尾分館に設置した。同じタイプのものが国内数ヶ所に設置された。
悪乗りしたおもちゃメーカーが“風も無いのに揺れる”振り子付き時計(30cmサイズ)を発売した。振り子は金色の玉!である。CMには“例の歌”が使用された。歌ったのはお笑いコンビの“カップ知るか・カップソープ”。
4月15日(土)、今年の昔話シリーズ第1弾『たのきゅう』がアクア主演で放送された。楽しい話だし、アクアのコスプレショーにみんな沸いて、視聴率は高かった。それも後になるほど視聴率は上がり、翌週の再放送が本放送よりずっと高かった。DVDの予約も凄い数で写真集も販売されることになる。
「これで視聴率取れるのなら信濃町ガールズ総出演の時代劇とか十億かけて作るよりアクア主演『赤ずきん』でも撮ったほうがいいな」
などと川崎ゆりこが言っていた。
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