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■夏の日の想い出・砂の城(8)

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夜9時頃、明智事務所のあるマンション近くに黒い車が一台停まっていた。そこに背の低い人物が歩み寄ると、車の下に何かを取り付けて立ち去った。
 

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夜10時頃、文代の部屋がノックされた。
「はい?」
と言って文代がドアを開けると中村である。
「ここでは危険ですので、安全な場所にお連れします」
「分かりました」
 
それで文代は中村と一緒に出て行った。
 

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ネットの声
「この中村って偽物だよな」
「当然当然」
 

黒いセダンが公園に停車した。車から降りてきた中村係長(?)が懐中電灯を付けて車の周囲をチェックする。
「下かな?」
と呟くと、車の下を覗いた。
「あった!」
と言って中村は何かを手に握って車の下から出てきた。そして手に握った物を投げ捨てると運転席に戻って、車を出した。
 
それからしばらくしてバイクに乗った小林少年が公園にやってきた。
「公園!?」
小林は不審そうに声をあげると、やがて“それ”を見付けた。
「くそぉ、やられた」
と小林が悔しそうに言った。小林はあやしげな車を見てGPS発振器を付けておいたのだが、この公園に捨てられていたのである。
 
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夜11時頃、ふたりの警官が警邏(けいら)をしていて、廃ビルのそばを通りかかる。
 
「この手の廃ビルって浮浪者が入り込んだりして治安に良くないよな」
「火事の元とかにもなりやすいし、行政で何とかできるようにならないもんかねぇ」
などと話していると、ビルの雨樋を伝って降りているワイシャツ姿の男を見付ける。
 
ふたりの警官はそばまで行った。逃げられないように二方向から男のそばに寄る。
「葛飾警察署の者ですが、身分証明書か何かお持ちですか?」
 
男は言った。
「ご苦労様です。あいにく証明書の類いは持ち合わせておりませんが、私は私立探偵で明智小五郎と申します」
「明智先生でしたか!」
 
警官たちも明智が今日の午後誘拐されたことを聴いており、緊急配備も掛かっていた。
 
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「不覚にも拉致されましたが、何とか脱出してきたんです。僕を警視庁へ連れて行ってもらえませんか」
「取り敢えず葛飾署にお連れしてすぐ本庁に連絡します」
 

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連絡で本庁の横尾課長代理が指揮する警官隊が廃ビルを捜索した。すると、白衣を着た白髪の老人が居たのを拘束(その映像が流れる)。志野課長が直々に取り調べしたいと言ったのでそちらの部屋に連れて行った。連絡を受けて“明智事務所に居た”中村係長も戻ってきた。
「課長申し訳ありません。不覚にも眠ってしまっていました。明智夫人の姿が無く、拉致された可能性があります」
 
そこに葛飾署から回送されてきた明智(ワイシャツ姿)が警官と一緒に来る。
 
中村が明智の手を取って言った。
「おお、明智君、無事だったか。良かった。でも済まん。奧さんをどうも拉致されたようなのだ。君が監禁されていた場所で女性の声とか聞かなかったか?」
 
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深夜。一軒の家の前に黒いセダンが駐まっていた。その後部トランクが静かに開く。そこから這い出すようにして、ライダースーツに身を包んだ女性の姿が現れる。
 

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ネットの声
「やった!ナナちゃん登場!!」
 

ひとつの部屋のドアが静かに開く。入ってきたライダースーツの女性は椅子に縛り付けられている“セーラー服の”少年のそばに寄ると
「助けてあげるから声を出さないで」
と囁くように言うと、少年の縄を切った。
「大友君、大丈夫?」
「北里さん、僕が分かるんですか?」
「そりゃ主な団員の顔は頭に入ってるよ」
「というかぼくの顔が見えるんですか?」
「・・・見えるけど」
「僕透明人間にされたかと思った!」
「透明人間なんているわけ無いじゃん」
「でも・・・」
と言って彼は夕方、鏡に自分と左右逆のセーラー服を着た人物が映り、その人物は首から上が無かったが、自分が肩を動かすと向こうも同じ側の肩を動かしたと話した。
「それは鏡では無く、ただのガラスで向こう側に怪人の仲間が左右逆に造ったセーラー服を着て顔を隠して座っていて、君が肩を動かしたら向こうも同じように肩を動かしてみせただけだと思う」
「何のためにそんなことを!?」
「少年探偵団の団員を怖がらせてからかったんだよ」
「うーん・・・」
「セーラー服着せたのはジョークだろね」
「ぼくこれで家に帰るのかなぁ」
「ウィッグあげようか?」
 
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ナナは「お腹空いたでしょう」と言っておにぎりをくれたので食べた。
 
「だいたい透明人間なんてものがいたとしたら、透明人間はおしっこやうんこができないよ。おしっこやうんこが体内にあるのが見えちゃうから」
「それはつらいですね」
「食べ物も食べられない。食べた物が見えちゃうから」
「餓死しそう」
「透明だということは光が屈折しないということでしょ?すると目でも光が屈折しないことになるから、透明人間は物を見ることができない。自分が他人から見えないだけじゃなくて自分も他人を見られない」
「何と透明人間は物が見えないのか」
「更に深刻な問題がある。全身透明ということは血液も透明なんでしょ?するとヘモグロビンが存在できないからあっという間に窒息死する」
「それは致命的だ」
 
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「そうだ。御両親が心配してるよ。ここは声立てられないから電話はできないけど、お母さんにメールでもしときなよ」
「はい」
 
それで大友君はスマホの電源を入れると母にメールした。
 
《連絡しなくて御免。ちょっと犯人に拉致されてたけど今救出してもらったから》
《良かった。事務所に連絡したら小林さんが自分の命に代えても必ず救出しますと言ってたから、大丈夫だろうとは思ってたけど。怪我は無い?》
《大丈夫。ちょっと女の子になっちゃっただけ》
《あら、良かったね。あんた来年には女子高生になれるじゃん。私、娘が欲しかったのよ。お嫁さんに行く時はウェディングドレスにする?白無垢?》
 
母ちゃんもノリがいいなと思った。なお彼の学ランは翌日の家宅捜索で発見され返還された。彼はこの日はセーラー服で帰宅したが、母は記念写真も撮り
「新しい名前は敏美がいい?敏代がいい?」
などとも言っていた。
 
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警視庁本庁。
 
志野課長の部屋に、中村係長、明智探偵、怪老人が座っていた。怪老人は手錠を掛けられている。
 
課長が怪老人に言った。
「君は何かを待っていると言うが、一体何を待っているのだね?」
「わしは明智さんに話がある。それで待っているんだ」
「明智君はそこにいるじゃないか」
「いや待っているのは別の人なんだよ」
 
実はこういうやりとりをもう十回以上繰り返しているのである。その時
「失礼します」
と言って部屋に入ってきた人物があった。小林である。怪老人が言った。
「おぉ小林君、わしは君を待ってたんだよ。でも少し時間が掛かったね」
「公園で無駄足を踏まされましたから。でも何とかなりました」
「さすが、明智君の一番弟子だね。君は何か発見したんだろ?ここに連れて来たまえ」
そう怪老人が言うと、小林が促す。花崎マユミ(演:元原マミ)と沢田恭子団員(演:月城たみよ)に付き添われて入ってきたのは、文代である。
 
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中村が声をあげる。
「おぉ奧さん、ご無事でしたか!良かった!明智君、小林君が奧さんを救出してくれたようだよ」
 
明智は頷いている。この場ではあまり感情を表に出したくないのだろう。
 
「持っていたGPS発振器は犯人一味の女に奪われてしまいましたが、まあ何とかなりましたね」
と文代は言っている。
 
テレビ画面では黒いレオタードの女(演:山崎恵光)が文代がスカートの中に隠していたGPS発振器を奪い、破壊するところが映る。
 
(文代を救出したのも北里ナナだが、敵に情報を与えないように、それには触れない)
 

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ネットの声
「メグミちゃん相変わらずレオタード姿がお美しい」
「キャッツアイとかできそう」
「もしかしてメグミちゃんが来期の二十面相役とか」
「そのキャスティングはあり得る」
「二十面相は男を廃業したしな」
 

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怪老人が言った。
「小林君、発見したのは文代君だけではあるまい?そちらも連れてきたらどうかね?」
 
小林は訊いた。
「先生、連れてきてもいいですか?」
 
明智は無言だが、怪老人は言った。
「いいともいいとも。楽しいことが起きそうだよ」
 
小林は廊下に出ると合図する。それで、溝口洋平団員(演:松田理史)と一緒に入ってきたのは・・・濃緑スーツを着た明智小五郎である!
 
怪老人が大笑いしながら言う。
「凄いね。明智探偵がふたりになったよ。どちらかは偽物に違い無い。中村君、逃げないように両方捕まえて縛り上げるといいよ」
 
まるで怪老人が一番偉い人のようだ。しかし中村は警官たちに指示してふたりの明智小五郎を両方縛り上げてしまった。
 
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怪老人は楽しそうである。
「面白くなってきたね。夜中にビルから脱出してきた明智が本物なら小林君が救出してきたのがニセモノ。小林君が救出した明智が本物なら、ビルから脱出してきたのがニセモノということになる。しかし実はこのわしもニセモノなんだよ。変装を解きたいから、中村君、ちょっとこの手錠を外してくれんかね?」
 
勝手なことを言っているが、中村は何と怪老人の手錠を外してしまった。すると怪老人は頭のかつらを外す。そこには若い髪の毛があった。そして顔の端に手を掛けると、フェイスマスクを外した。するとそこに現れたのは明智小五郎の顔だった!
 
(ここからしばらくはボディダブル2人を使って3回撮影したもの。放送画面では中央に白衣の明智、左右に縛られている2人の明智を表示する。時々全景に切り替える)
 
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怪老人から変身した明智小五郎はカメラに向かって言った。
「視聴者の中には混乱している人もあると思うので簡単に解説すると、ここに現れた3人の明智の内、ひとりは本物、ひとりは明智が普段から用意している影武者、そしてもう一人は、今回の犯人が明智に変装したものなのですよ」
 
志野課長が混乱している。
「これはどうしたことだ?小林君はどう思う?あれ?小林君はどこ?トイレ?」
 
小林の姿がその辺りに見当たらない。が小林は
「ぼくはここに居ますよ」
と言って姿を現した。
「今君どこに居たの?」
「ずっとここに居ました。これを被っていただけです」
と言ってマントのようなものを課長に渡す。
「光学迷彩と言います。このマントは一方から来た光を反対側から発するんですよ。あたかも光が透過したように見えるので“天狗の隠れ蓑”みたいなことができます」
「こんなものがあるのか」
「今回の事件の一割くらいは、光学迷彩が手品のタネです」
 
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白衣の明智が言った。
「小林君、面白い物を見せてくれてありがとう。さて僕は犯人がきっと僕を拉致しに来ると思った。それで密かに影武者と入れ替わっておいた。そして僕自身は拉致された影武者を追って敵のアジトに潜入し、コックに化けていた。犯人は捜査の手が迫ってきたのを感じ、替え玉を仕立てて自分は逃げようとした。それで頭の悪そうなコックに大金を渡して怪老人に変装させ、わざと捕まえさせたのだよ。自分が逃げる時間を稼ぐために。だから犯人はこともあろうに明智に自分の身代わりをさせたんだな。そして自分は明智に変装して、取り敢えず警察の目を欺こうとした」
 
それで一同には、どの明智が、犯人の化けた明智か分かってしまった。しかしその明智は縛り上げられている。
 
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怪老人から変身した明智は言った。
「物事には必ず表と裏があります。華やかな舞台も裏から見ると木の枠に紙や布が貼ってあるだけです。この事件を皆さんは観客席に座って表から見ていました。しかし探偵は決して表からは見ません。常に裏から見るのです。そしてこの事件を裏から見た時、最初に気付くのは黒川記者が怪しいということです。透明怪人事件の特に初期の物は、全部黒川記者が書いた記事によって世間に知られたんです。繁華街で多数の人が透明な人とぶつかったとか、靴磨き強盗のヤクザをこらしめたとか。それは全部でっちあげ、嘘だったんです」
 
「しかしでっちあげと言えないものもあるぞ。宝石店の首飾りが盗まれたのとか」
「あれは仲間を潜入させていたんですよ。普段そんな話をしても信じてもらえませんが、透明人間が話題になっている時にそう言えば、とうとう透明人間が盗みを働いたかと思ってもらえます」
 
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「真珠塔の事件は?」
「あれは僕より小林君どうぞ」
 
小林は説明した。
「あれは実際は朝真珠塔が無事か確認するのに金庫を開けた時に盗んだんですよ。そして光学迷彩のカバーを掛けておいた。そしてあらためて後日持ち出すつもりだったんですね。そんなことができたのはあの時あの場に居た人だけです。あそこに居たのは、島田さん、中村係長、黒川記者、そして僕ですが、島田さんが自分の物を盗むわけない。僕は犯人ではない。中村係長も信頼できる、とすれば犯人は黒川さん以外あり得ないんですよ。朝は取り敢えず床の間に置き停電の間に押入れに移した」
 
「君たちはデパートの怪の話は聞いてる?」
「あれは蝋人形男が逃げ込んだ部屋に段ボール箱があって怪人はその中に隠れたんですよ。外で空気男とぶつかった店員は怪人の仲間ですね」
と明智が言う。
 
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「彫刻展の彫刻が盗まれたのは?」
「あれは実際には警備の厳しくない夜間にすり替えたんだよ。何もわざわざ人が大勢居る昼間にやるとは限らない」
「防犯カメラには異常が無かったぞ」
「防犯カメラを設置したのは蝋人形事件が起きた後なんだよ。実際はその前にやったのさ。犯人は嬉しかったろうね。みんなが自分の作品を褒めるから」
 
一瞬レオタード姿の山崎恵光がVサインしている所が映る。
 
「骨董店の仏像盗難はどう見る?」
「あれは警備があまりに無さ過ぎてコメントのしようが無い。誰にでも盗れるよ」
 
「実は警察でもそういう意見だった。その前に少年達が蝋人形男を追跡したら服を脱いだ時何も無くなってしまったというのがあったんだが」
「あれは操り人形の要領で服を動かしてみせただけですね。今回の事件は、操り、幻灯、鏡魔術・黒魔術と、手品の博覧会のようでした」
 
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「しかしこんな大がかりな仕掛けをして犯人の目的は何だったのかね」
 
「世間をあっと言わせたかったんですね。みんなが透明人間のことを話題にして怯えてる。それが楽しかったんですね。ついでに宝石とかもいただく。明智や少年探偵団には少し怖い思いをさせる」
「うーむ・・・」
「しかし今回の犯人はよく変装してますね。黒川記者を演じ、怪老人を演じ、今は明智探偵に化けている。皆さんは変装の名人で、宝石や美術品を狙い、更に明智や少年探偵団に恨みを持っている人物に心当たりがありませんか」
「まさか・・・」
 
「いい加減、観念したらどうだね?怪人二十面相君」
と言って明智は昨夜ビルから脱出してきたほうの明智をピタリと指差した。
 
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夏の日の想い出・砂の城(8)

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