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■夏の日の想い出・二足のわらじ(19)

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3月21日(月).
 
和歌山県新宮市の小学校に通う木花朔夜(後のフラワーガーデンズのメンバー)は、卒業式を迎え、小学校を卒業した。式に木花朔夜はセーラー服で並んだ。小学校の卒業式の服装は“きちんとした服装”であればいいということになっているので、彼がセーラー服を着ていても、先生たちは特に文句は言わなかった。一部「似合ってるね」と言ってくれた先生も居た。
 
「さくちゃん勇気あるね」
とクラスメイトたちは彼がセーラー服を着たことを応援してくれた。
 
「さくちゃん今日は女子トイレ使っていいよ」
と女子のクラス委員。
「叱られるよー」
「女子児童が女子トイレを使って叱られる訳無い」
「むしろセーラー服着た子が男子トイレに入って来られたら困る」
と男子のクラス委員も言った。
 
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3月21日(月).
 
用賀の男子寮でまた部屋の移動があった。現在203号室に入っている鈴原さくらを、4階で空いている403号室に移動した。
 
「抗議します。ぼくはまだ男の子です。ちんちんもあります」
 
4階は本来男の子ではない子を収容するフロアである。入居しているのは直江アキラ(女性に性変済)、長浜夢夜(性転換手術済)、夢島きらら(去勢済)の3人である。
 
「いや。君は間違い無く男子廃業済みだ。睾丸も無い」
とゆりこ。
 
「ありますよ〜。何なら触ってもいいですよ」
「君の陰嚢の中にあるのは睾丸ではなく去勢したことがバレないように入れているシリコンボールだ」
「なんでそんなことまで知ってるんですか〜?」
 
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(女子寮では1人に話したら翌日には全員知っている)
 

ということで彼は4階の“女子フロア”に移動された。
 
引越作業はセレン・クロム・裕紀ほかみんな手伝ってくれた。この日だけは普段4階に入れないセレンたちも入れるように設定した。移動後翌日22日の内に業者さんの手で元の203号室は清掃と消毒が行われた。
 
さくらのidカード上の性別も女子に変更された(でないと4階に入れない)。
 
「ぼく、ちんちん付いてても女の子なんですか?」
「ちんちんはただの排尿器官だ。睾丸の有無と性別意識が大事。君は自分のこと男だと思ったことはないだろう?」
「物心付いた頃から自分は女の子だと思ってました」
「そういう人が去勢したらもう女の子扱いでいいのさ」
 
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「一葉ちゃんとかどうなんです?」
 
「彼はちんちんもたまたまも無く(*38) 身体はほぼ女の子だけど、意識が男の子だからまだ暫定的に男子。彼が自分は女の子だと宣言したらいつでも女子寮に引っ越してよい」
 
(*38) 本人以外ほぼ全員の見解!
 

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3月21日(月).
 
この日の14:23、中国東方航空の国内便5735便が、広西チワン族自治区梧州市藤県の山間地域に墜落。乗員9名と乗客123名が全員死亡した。
 
この事故は思わぬ波紋を広げることになる。
 

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その日千里は若葉に電話して言った。
 
「私も緊急に雇用を試みるけど、全ての機体のパイロットを増員する必要が出ると思う。ライセンス持ってる人の雇用と、ライセンス取りたい人のアメリカへの派遣と両方進めてほしい」
 
「分かった。すぐ対応する。外人さんでもいいよね?」
「英語が話せて、NATO国・NATOグローバルパートナー国(*39)・台湾の人なら」
 
(*39) 日本・韓国・オーストラリア・ニュージーランドである。
 

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3月22日(火).
 
昇格試験に合格した島根県雲南市の長岡飛鳥は、§§ミュージックから荷物が届いていたので開けて中を見た。中学の制服である。向こうの中学に転入することになるので、そこの制服だろう。
 
「わぁ」
と思って、取り敢えず着てみる。鏡に映してみると何だか可愛い。
 
母が戸惑ったような顔をしている。
 
「あんたその服で新しい中学に通うんだっけ?」
「これで通ったらだめ〜?」
と本人。
 
「うーん。そんなの認めてくれるのかしら」
と母は悩んでいた。
 

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青木由衣子は花ちゃんのところに来て言った。
 
「花ちゃん、私にもいい名前を付けてください。いい名前もらえたら信濃町ガールズ続けたいです」
「ああ、君もか」
 
しかしまあ、みんなが辞めるから私も辞める、みんなが続けるから私も続ける、というのは全く自主性が無いなあとは思ったものの、こういう“普通の子”がいてもいいのではないかと思い、花ちゃんは名前を見てあげた。
 
青木由衣子
総25○英俊奇運 天12△天地波乱 地13◎和合繁栄 人9△下降不遇 外16◎仁心覆幸
 
「うーん・・・・」
と花ちゃんは悩んだ。
 
花ちゃんが30分ほどパソコン上で試行錯誤しているので、青木由衣子はパソコンの画面を覗き込みながら訊いた。
 
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「難しいですか?」
 
「君の名前は改善困難だ」
と花ちゃん。
 
「え〜〜!?」
 

「“あおきゆいこ”と読む名前で、画数が良い名前が存在しない」
「そんなあ」
「無理矢理画数を良くしようとすると不自然な名前になる」
「どんなのですか?」
「例えばこれは画数が良いが、画数が良いというだけで愛着が湧かない」
 
碧木唯子 総31◎円満順風 天18○難関突破 地13◎和合繁栄 人15○恭謙昇運 外16◎仁心覆幸
 
「確かにこれ自分じゃないみたいです」
「芸名というのは、ファンがその人に愛着を持てる名前でないといけないのだよ。“青木由衣子”というのは、その点では割と良い名前」
「そうなんですかぁ?」
と物凄く不満な様子。
 
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それで花ちゃんは言った。
「苗字変えちゃう?」
「え〜〜〜〜!?」
 

3月23日(水).
 
兵庫県丹波市の小学校で、杉本ひかりは“(男子)学生服”を着て、卒業式に出席。小学校を卒業した。
 
「東京で櫻坂46に入ると聞いた」
「まさか。ぼく男の子だよ。櫻坂に入れるわけがない」
「いや、ひかりちゃんは性転換手術を受けたという確かな情報がある」
 
「証拠1。男子たちによると、ひかりちゃんはトイレで個室しか使わない」
「証拠2。男子たちによると、ひかりちゃんは更衣室でいつも後ろ向いて着替えてる」
「証拠3。男子たちによると、ひかりちゃんのパンツは女子用ではという疑いがある」
「証拠4。女子水着を着たひかりちゃんを姫路のプールで見たという証言がある。おっぱいがあって、お股には何も無かったらしい」
「証拠5。ひかりちゃんのそばに寄っても男の子の臭いがしない。男子たちによると、ひかりちゃんのそばに寄ると女の子の香りがするらしい」
「証拠6。ひかりちゃんがナプキン買ってるの見たという証言がある。だからきっと生理もある」
「証拠7。ひかりちゃんは私たちが抱きついても平気な顔してる」
「証拠8。抱きついてみると分かるけど、ひかりちゃんにはおっぱいがあるし、ブラジャーもしてる」
 
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女子たちの情報網って怖いなと、ひかりは思った。
 
「性転換手術とか受けてないよ〜。ぼくが入るのは信濃町ガールズってマイナーなグループ」
 

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女子たちが顔を見合わせている。
 
「それ女の子のグループだよね?」
「アクアちゃんとか同じ事務所の白鳥リズムちゃんや常滑舞音ちゃんのバックでミニスカ穿いて踊っている」
「やはり性転換手術したのね?」
「してないって。進学する中学の女子制服はもらったけど」
と、ひかりはうっかり言ってしまった。
 
「それ着てみて」
「え〜〜?」
「持ってきてないの?」
 
ひかりはうまく乗せられ、引越荷物を載せ駐めていた母の車の所に行き、進学先の世田谷区F中学の女子制服を出した。それで車の中でF中学の女子制服に着替える。
 
「かっわいいー」
「さすが都会の中学の制服は可愛い」
「ひかりちゃん女子中学生にしか見えない」
とおだてられ、クラスメイトの女子たちと肩を組んだりしてたくさん記念写真を撮った。
 
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ひかりは最初足立区E中学の女子制服をもらったが、
「ぼく男子ですけど」
と佐々木春夏に連絡したら
「ごめーん、間違った!」
と言って、今度はこのF中学の女子制服が送られてきたのである。
 
(佐々木は完璧に頭の中がオーバーフローしている)
 
電話で話したらまた別の中学の女子制服を用意されそうな気がしたので(充分ありえる)、現地に行ってから話すことにして、卒業式は普通の男子用学生服で出席した。
 

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それで、ひかりは結局女子制服を着たまま母の車に乗り、一緒に小浜市に向かった。舞鶴若狭自動車道を通り、約1時間で小浜市のミューズ飛行場に到着する。荷物を駐機しているHonda-Jetblueに移す。そして母と一緒に乗り、熊谷市の郷愁飛行場まで飛んだ。
 
その先はSCCの車に荷物を乗せ替え、用賀の男子寮まで行く。
 
フロントの人に挨拶し、寮母さんの案内で203号室(立山煌の隣。先日まで鈴原さくらが使っていた部屋)に入居した。昇格組では春野わかな、広瀬みづほ、東海林椿希に次ぐ4人目の入居者、男子寮では最初の入居者である。
 

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昼間の内にフロントの篠田さんに教えてもらってCAN DOに行き、生活に必要そうなものを色々買ってきた。
 
夕方になると、住居人がみんな帰ってきて、歓迎してくれたので
「いい先輩たちだなあ」
と思った。
 
「でも男子の寮生と女子の寮生がいるのね」
とお母さんは言っていた。ひかりはだいたい“察した”が特に何も言わなかった。
 
母はこの日男子寮に一緒に泊まったが、母が泊まるというと、貸し布団を出してくれて(夢島きららが運んでくれた)、夕食も2人分デリバーしてくれた。母は料金を払おうとしたが、デリバーしてくれた篠田さんは「家族の分は無料ですよ」と言っていたので感謝した。
 
「お母さんやお父さんはいつでも泊まっていいですが、お姉さんや妹さんを泊める場合は事前申請してくださいね。ガールフレンドを泊めたりする行為は規律違反ですので」
 
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「分かりました!」
 
「親族の女性は4親等以内、つまり従姉妹までは事前申請すれば泊めていいですが、それ以上遠い親族はお断りさせて頂きます」
「なるほど」
 
お母さんは春休み中に一度姉を連れて出てきたいのでと言って、その時は連絡すると言った。家族idカードを作るので、お姉さんの写真をホームページから登録してくださいねと操作方法・手続き方法を書いた紙を渡していた。
 
お母さんは翌24日Blueでミューズ飛行場に送り届けた。例によって1人だけの搭乗に恐縮していた。
 

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花ちゃんは青木由衣子に言った。
「苗字変えちゃう?」
「え〜〜〜〜!?」
 
「由衣子という名前は13画(実画式で数えた場合)で、とても良い画数なんだよ。だからこれに合う苗字を検索してみる」
と言って花ちゃんはパソコンを操作した。
 
「3+8画がいいな。これに相当する苗字は、山岸、小沼、三枝、上岡、・・・」
と見ていて花ちゃんは言った。
「大空または大岡がいい」
「へー」
 
「小も大も3画なんだけど、タレントの名前で“小”を使うというのは、可能性を制限するみたいで良くない。“大”の方がいい」
 
大空由衣子
総24◎才知豊栄 天11◎成長大樹 地13◎和合繁栄 人13◎和合繁栄 外11◎成長大樹
 
「大岡由衣子あるいは大空由衣子でどう?」
「大空由衣子が何となく好きです」
「よし」
 
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「でもなんで苗字変わったの?と聞かれたら何て答えよう?」
 
そのくらい自分で考えろよと思ったが、花ちゃんは言った。
 
「姓転換しました、ということで」
「え〜〜〜〜〜〜!?」
 
しかしそういう訳で退団の意向を示していた子が全員退団を撤回したのである!
 
「ついでに性転換もしてみる?」
「考えておきます」
「男の子になったら同じ画数の大宙由衣子にする手も」
「男の子で“子”で終わるのは無いと思います」
「三木のり平さんの本名が“則子”と書いて“ただし”と読んだ」(*40)
「へー(←誰だろう?と思っている)」
「由衣子は“よしひこ”と読めるかも」
「無理〜」
 
(*40) 「則子」と署名していたら、字が汚かったことと、男で則子は無いだろうというので「則平」と出演者一覧に書かれてしまった。それで開き直ってそれを芸名にした。(芸能界では誤読されたのを芸名にしたというのは割とよくある話)
 
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夏の日の想い出・二足のわらじ(19)

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