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■夏の日の想い出・天使の歌(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2019-02-01
 
龍虎は多数の友人と一緒に歌を歌っていた。無伴奏だがボーイソプラノの響きがとても美しい。龍虎たちはだいたいC5-C6くらいのハイソプラノで歌っているのだが、多数のハイソプラノの声が共鳴している内に、自分たちが歌っている音より1オクターブ高い声が響いてくるのを感じていた。
 
その高さの声はふつうの人間が出せる声の高さでは無い。
 
それを「天使の声」と言うんだよ、とスカート姿が可愛い先輩は教えてくれた。合唱をしている人の間ではわりと知られている現象らしい。すごくうまくハーモニーが取れていることを意味するもののようである。
 

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そういえばうちの合唱学校って男子ばかりだと思うのに、なぜか中等部の先輩たちはみんなスカート穿いているよな、と龍虎は時々不思議に思っていた。
 
ちなみに龍虎たち初等部の生徒の制服は下はキュロットである。おちんちんを出す穴は無いので、みんなトイレは個室を使用する。というより、この学校のトイレには小便器というものが存在しない。おしっこする時にちんちん見られるなんて恥ずかしいじゃん、と言っていた友人もいたが、そんなに恥ずかしいものなんだろうかと龍虎は疑問に感じていた。
 
その日、初等部6年生の10名は初等部卒業で、その内、成績上位の6名は、来月からは中等部に進学することができると言われた。龍虎は2位の成績だった。
 
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「これから個別に中等部に進みたいか、ここで辞めたいか尋ねます」
と言われ、1位の子が個室に入っていった。15分ほどの後、彼はスカートを穿いて恥ずかしそうにして出てきた。
 
「中等部に行くの?」
「うん。そうすることにした」
「もう中等部の制服なんだ?」
「ちょっとこれ恥ずかしー」
 
へー。じゃボクもスカート穿かないといけないのかな?
 
名前を呼ばれるので面接室に入る。
 
「君はとても立派な成績なので、中等部に推薦したいです。中等部に行きますか?」
「はい。行きたいです。よろしくお願いします」
 
「分かりました。それでは今から去勢します」
「え?」
「声変わりが起きたらボーイソプラノが出なくなるので、中等部に行く子は声変わり防止のため、睾丸を除去することになっています。あなたは中等部に進学するので、睾丸を除去してもらいます」
 
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「え〜〜〜!?」
「嫌ですか。あと10秒以内なら取り消せます」
 
10秒!? どうしよう? でも龍虎はまだまだ歌が勉強したいと思った。
 
「中等部に行きたいです。睾丸は取って構いません」
「分かりました。ではそこに寝て下さい」
 
それでベッドに寝る。キュロットとパンツを脱ぐように言われるので脱いだ。
 
「では睾丸を取りますね」
「はい」
 
何か箱のような物をお股に取り付けられた。
 
「去勢は自動で行われます。自分でその箱の黄色いボタンを押して下さい」
 
自分でボタン押すの〜!?嫌だぁ。玉を取られるのは仕方ないと思ったのに自分でそれを操作しないといけないなんて・・・
 
と思いながら龍虎は箱の上に付いている赤いボタンを押した。
 
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「あ、それは違う!」
「え!?」
 
そういえば黄色いボタンと言われた気がするぞ。でも赤いボタンしか無いじゃん!
 
「箱の横に付いている黄色いボタンを押さなきゃいけないのに」
 
箱の横〜〜?
 
「赤を押したらどうなるんですか?」
「睾丸だけではなく陰茎も取ります」
 
嘘!?
 
箱が取り外されると、そこにはおちんちんもタマタマも無くなっていて、まるで女の子みたいな割れ目ちゃんができていた。
 
きれ〜い!
 
これでもいいんじゃないかな、と龍虎は思った。
 
でもこれわざと間違えるようにしてないか!?
 
「ちんちんが無くなったのであなたは女子生徒になってください」
「分かりました」
「女子はこういう男子用パンツは穿けないので代わりに女子用パンティを穿いて下さい。それから下もキュロットではなくスカートになります」
 
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と言われて白い前開きの無い、前身頃が1枚布になっているパンティを渡されるので穿くとピタリとお股にフィットする。何も突起状のものは無い。布が肌に食い込んで縦筋のような物がてきている。そしてスカートを穿いて鏡に映したら、なんか可愛い気がした。
 
「それではあなたは女子になったので名前は長野龍虎あらため長野龍子になります。それでは中等部でも頑張って下さい」
「はい。頑張ります」
 
それで部屋を出た。次の子が呼ばれる。
 
その日成績上位の6人は全員スカートを穿いて部屋から出てきた。
 
「なんで君たちスカートなの?」
「秘密」
 
6人が全員辞退せず中等部に進学したので、残りの4人は何も知らないまま、初等部卒業で学校を後にした。
 
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そこで目が覚めた。
 
龍虎は物凄い動悸がしていた。
 
変な夢!
 
でもボク中世のヨーロッパに生まれていたら絶対去勢されてカストラートになってるだろうなと思った。パジャマを脱いでパンティも脱いでみる。
 
そこには、おちんちんもタマタマも無く、女の子のシンボルがある。
 
ボク女の子で良かった!去勢されることもないし、と龍虎Fは思う。
 
しばらくその格好で居たら、隣で寝ていた龍虎Nが目を覚ます。
 
「ちょっとちょっと、なんでパンティ脱いでるのさ?」
「ねぇ。おちんちん切ってあげようか?」
「要らない!」
「ああ、やはり、ちんちん要らないのね?」
「ちがーう!」
「女の子になりたいと思っているくせに。女性ホルモン飲ませちゃうぞ」
「あ、やめてー!!!そんなの飲んだら胸が大きくなって困る」
「おっぱい大きくしたいくせに」
 
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それは龍虎のマンションでの日常的な朝の光景であった。
 

ローズ+リリーの2018カウントダウンをしたMuse-3施設のある土地の広さは250m×400mの10ha(10万m2)ある。サッカーのピッチ(105m×68m)が10個取れる広さである。もっとも、日本で最も広いサッカー場である、日産スタジアム(横浜国際総合競技場)の面積はここの1.7倍もある。あちらはピッチの周囲に7万人の固定観客席が設けられている。むろんそんな巨大な競技場を運営できるのは、横浜という大都市にあるからである。
 
横浜国際総合競技場の建設費は600億円。土地は横浜市のものであるが付近の土地価格は平米あたり30万円程度なので土地代は510億円くらいと推測できる。一方Muse-3の土地購入価格はわずか15億円。カウントダウンライブをするために建てた仮設劇場の建設費は、ほんの(?)2億円くらいである。こちらがいかにチープにできているかが分かる。
 
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「しばしば田舎に大きな設備作って赤字だ、赤字だというのはさ」
と若葉は言った。
 
「お金を借りて設備作っちゃったからじゃないかという気がするんだよね」
「ほほお」
「会社とか自治体が出資して事業した場合も同じ。出資した以上利益をあげなければいけないというのは、結果的には借金で運用しているのと同じ」
「ふむふむ」
 
「私たちの場合は元々お金が余って困っているから、その余っているお金で建設しただけのことで、利益を出す必要も無い。だからその施設が何の利益も生み出さなくても全然平気」
 
「それは面白い見解だね。もっとも私は困るほど余ってないけど」
「でも冬も仮想通貨で少しだけお金持ちになったでしょ?」
「あの時は会計士さんが絶句してたよ」
「ああ、それはこちらも同様だ」
と若葉は言ったが、たぶん千里の会社の会計士さんも、入力間違いではないかと通帳を確認したりしていたろう。
 
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カウントダウンのために作った施設でアクアのライブをやりたいというのをTKRが小浜市長に申し入れたら、市長は歓喜で受け入れてくれた。ただ、今後もしばしば使うなら、もう少し耐久性のあるものに更新してもらえないかという申入れがあった。そこで“お金が余って困っている”若葉が、40-50年は使えるものを建てることにしたのである。
 
若葉の構想としては、ステージとその前の扇形の客席(幅最大200m 奥行100m)を常設の劇場として建設し、その後方に幅230m×奥行160mの展示場を建設しようということであった。劇場は客席面積1万m2で概算で2万人弱の定員のホール、展示場はアリーナ部分が200m×140mで面積2.8万m2で、概算5万人強の定員の観客席が設置できると考えられる。
 
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そしてアクアのイベントのような大きなライブをする時には、両者の間の壁を取り外し、一時的な屋根と外壁を設置して、一体として使用するのである。
 
若葉はこれを1月中旬に市側に構造設計書・耐震計算書などとともに提出した。そのあまりにも早い提出に市側は驚いたが、実はMuse-3に計算させたのである!
 
建設工事で大量の雇用が見込めることから、設計はすぐに市議会で承認され、即工事が始まった。
 
私企業(というよりほぼ個人)の建設なので入札などをする必要が無い!それで千里が推薦する播磨工務店という建築会社が中心になり、地元の多数の工務店や作業員派遣会社を指揮して工事が2月頭から始まった。この時期は自動車工場などの季節工に出ている人も多かったのだが、割のいい仕事があると聞いて早めに向こうを辞して地元に戻ってくる男たちもかなり居たようである。
 
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若葉はMuse-3の施設のある土地に隣接する山側に4haほどの土地を昨年秋の段階で買って木の伐採などをしており、ここに12月31日には山村がヘリコプターを着陸させたりしていたのだが、若葉は市議会でホールと展示場の建設の件が審議されている間に先行して大量のユニットハウスを発注していた。そして市の承認が取れるとすぐにここに80棟ものアパートを建ててしまったのである。各ユニットハウスは2階建てで10個の1Kルームからなっており、1人1部屋の場合で800人を収容可能である。実際には仲の良い友人が一緒に住んだり、夫婦で住んだりする例もあり、この「工事用住宅」で1000人以上の作業員を収容することができた。
 
それ以外にも小浜市内・敦賀市内・舞鶴市内などから通勤してくる者も多く、この時期、小浜線の乗車率が凄いことになり、JR西日本はすぐに車両の連結数を増やす対応を取った。特に通勤時間帯が通学時間帯とも重なることから、トラブル防止のため、女性専用車両を設定して、女子高生たちには必ずそちらに乗るよう高校で指導してもらった。
 
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若葉はこの工事用住宅の住人に朝御飯と晩御飯のデリバリーを実施(小浜市内の飲食店は特需となった)。お昼は作業中に出るので、食費ほぼゼロで生活できるようにした。物凄い住宅街が出現したので、大手コンビニチェーンが臨時店をオープンしてくれて、ここは物凄く繁盛した。
 
作業員の日程は
 
_9:00-10:30 作業
10:30-11:00 休憩・おやつ
11:00-12:30 作業
12:30-13:30 昼食・休憩
13:30-15:00 作業
15:00-15:30 休憩・おやつ
15:30-17:00 作業
 
ということになっている。一般的な建築業での作業スケジュールである。
 
但しこれ以外に夜間の作業をする特別チームもある。その参加者は昼間は仮眠をしている。
 
荒っぽい男たちが多いので、信頼出来そうな人たちを集めて自警団を結成。作業中も作業終了後も建築現場や工事用住宅を巡回して揉め事などが起きないようにした。トラブルメーカー、ヤクザの組員などは遠慮無く解雇した。
 
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自警団の手に余る者は播磨工務店の社員が直接対応したが、彼らに逆らえる者は皆無だった!初日に相撲取り崩れの体重100kgの巨漢を播磨工務店の女性秘書!が一発背負い投げで抵抗意欲を無くさせたのを見て、この人たちには逆らえないという空気が支配的になったようである。女でさえこんなに強いのなら、男の社員を怒らせたら・・・というのでみんなおとなしくなったのである。実際、播磨工務店の社員は全員物凄い身体能力を持っているようだった。40代っぽい社長さんが数百キロありそうな鉄骨を抱えてひょいひょいと高い所に持って上がるのを見て、みんな特撮か!?という気分になったらしい。
 
そういう訳で工事は物凄い速度で進行したのである。
 
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プレキャスト工法、ユニット工法などの標準化と流れ作業によるスピード化だけではあり得ないほどの速度で工事は進捗していた。
 
なお、カウントダウンのために建てた施設に使用した若狭杉の木材も今回の建築で主として強度を必要しない場所にどんどん再利用した。
 

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一方、福島の方でおこなう、3月9-10日の震災イベントについても準備作業が進められていた。
 
ローズ+リリーの演奏に参加してくれる人としてまずスターキッズ&フレンズ(山森さん以外)は私とマリが旅費を折半して連れていく。詩津紅と千里に「参加してくれる?」と訊いてOKをもらう。『コーンフレークの花』で踊ってくれるダンサーだが、音羽と光帆が名乗りをあげてきた。
 
「ビキニまでは脱いでいいよ」
「ヌードは特別料金もらったら考えてもいい」
「いや。真冬だから脱ぐのはやめておこうよ」
「ところで私たち踊ったら、ローズ+リリーの伴奏者として旅費がそちらの予算から出たりしない?」
 
私は苦笑した。
 
「そちら8人分の交通費・食費・宿泊費は私が個人的に出すよ」
「やった!」
 
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笙については鮎川ゆまに電話すると
「交通費と宿泊費だけ出してくれない?食費はいいや。ここ1年南藤由梨奈も活動が停滞気味だったから懐が寂しくて」
と言うので、それを私が個人的に出して、ついでにマンションから適当にお酒持っていってと言ったら、段ボール箱に詰めて持って行っていた!
 

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夏の日の想い出・天使の歌(1)

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