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■夏の日の想い出・愛と別れの日々(4)

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「義理の子供だけでなく、遺伝子的にも子供なんでしょ?」
「紅川社長の前だから言っちゃいますけど、あやめの父親は実は私です。私が去勢する前の精液を政子がこっそり保存していて、それを使って体外受精で妊娠したらしいんですよ」
と私。
 
「あやめちゃんだけじゃなくて、かえでちゃんもだよね?」
と千里。
 
「いや、かえでは百道さんの子供だよ。だから夏絵の妹」
「あれ?そうだっけ? あやめちゃんとかえでちゃんって波動が似てるから同じ父親かと思った」
「それはさすがに勘違い。私の精液は1個しか存在しなかったみたいだから」
 
と言いつつ、私は高校時代に若葉に協力してもらって保存した精液は4本あったんだけどねと思い起こしていた。私の精液はあの当時でも精子の密度が低かったので濃縮した上で、半分に分割できる容器に保存した。つまり8回分であった。
 
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政子は大学1年の時に私から搾り取って保存しておいた精液であやめを妊娠したと思っているが、実際にはその精液にはほとんど精子が含まれていなかったという。その後ひじょうに複雑な経緯があったのだが、結果的にあやめは高校1年の時の精液で出来た子のはずだ。あの精液の残りはもう処分してもいいかなあ、などと私は考えた。
 
「鴨乃さんとこも難しいことしたみたいね、雨宮君から聞いたけど」
「あの人、何でもしゃべってるなあ」
と千里は苦笑している。
 
「私も去勢前に冷凍保存した精液があったんで、早月はそれを使って人工授精で桃香が妊娠したものです。由美は前夫の子供なのですが、体外授精に代理母さんまで使っていますし、私の娘にするためにとんでもない法的なテクニックを使っています。京平はケイのあやめちゃんと同様の体外受精。緩菜は実は妊娠の経緯が不明なんですよ」
 
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「不明?」
「緩菜の母親はセックスしないまま妊娠しちゃったらしくて」
「そんなことあるんだっけ?」
 
「彼が勃起しないまま割れ目ちゃんにはさんで遊んでいたらしいんですよね。でもいわゆる我慢汁の中にも精子は含まれているので、それが膣口から進入して、膣と子宮の中を泳ぎきって、卵子に出会って受精したのではないかと」
「それは大冒険だね。映画にしたいくらい」
と紅川さん。
 
「産んだ母親はその時期、他の男性とは決して性行為はしていないと言うので、それで妊娠したとしか考えられないんですけどね」
と千里。
 
「DNA鑑定はしたんだっけ?」
と私は尋ねる。
「してない。しなくても私の子供ということでいいと思うから」
と千里。
 
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「まあ育てる人が母親ということでいいよね」
「うん。そう思っている。それに緩菜って自分の子供の頃見ているみたいでさ」
 
「つまり、千里って小さい頃から女の子してたんだ?」
「冬もでしょ?」
 
思わぬ指摘をされて私は咳き込んでしまった。
 

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「でもケイちゃんと鴨乃さんって、何だか家族関係が似てるよね」
と紅川さんは指摘する。
 
「どちらも子供が4人で、生まれた経緯が複雑で」
「どちらもレスビアンだけど、そちらのマリちゃんにしてもうちの桃香にしても浮気性」
「言えてる!」
「私もケイも長年の男性の恋人と結婚したし」
「私はまだ結婚してないよ」
「実質的には結婚してるんでしょ?」
「うん。まあ確かに籍を入れてないだけという感じではある」
 
「君たちって実質妻妾同居状態だよね。鴨乃さんもケイちゃんも男の夫と女の夫を持っている」
 
「それ実はマリも言ってました」
「私と桃香の関係では桃香が男役。ケイちゃんとこもマリちゃんが男役でしょ?」
「うん、まあどちらかというとそうかな」
 
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「ただマリちゃんって他では男の恋人ばかり作るみたいね」
「うん。マリはレスビアンは私とだけでいいと言うんだよね。桃香は女の恋人しか作らないみたいね」
「うん。桃香は男嫌いなんだよ。若葉と似てるよ」
「なるほどー」
 
「若葉ってもしかして山吹若葉君?ムーラン社長の?」
と紅川さんが訊く。
 
「ええ、そうです」
「あの人もシングルマザーで3人の子持ちだよね。父親非公開で。ケイちゃんや和泉ちゃんの同級生だったんでしょ?」
 
「ええ、私と中学の時の同級、和泉とは高校の時の同級なんです」
 
と言いつつ、若葉の件については正直あまり突っ込まれたくない問題がある。
 
「子供の名前が凄いよね。冬葉(かずは)・若竹(なおたけ)・政葉(ゆきは)」
と千里が指摘する。
 
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「まあ、名前が読めないよね」
「いや、そういう問題じゃなくて、ケイとマリの本名が入っている」
 
「その問題はしばしば古い友人から突っ込まれる。まあ別に名前には著作権無いけどさ」
 
「政葉ちゃんって、冬の子供でしょ?」
「それ、秘密にしといてよ」
 
若葉の子供たちの父親が誰か全員を知っているのは私と和実くらいかなと私は思う。長女の冬葉の父親は、私や若葉の中学時代の陸上部の同輩・野村治孝。長男の若竹の父親は和実の高校時代の同級生・紺野吉博。そして次女の政葉の父親は私である。高校時代に冷凍保存していた精液は私と若葉の共有物だったので、私があやめを作るのに1本使い、若葉が政葉を作るのに1本使ったのであった。
 
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野村君は若葉の3人の子供たちの父親役をしてあげていて、3人の誕生日にはバースデイカードを送っているし、自分の息子(芳数)も連れ遊園地に一緒に行ってあげたこともあるらしい。野村君の奥さん・貞子は冬葉が野村君の子供であることも承知であるし、若葉が仕事の都合で子供たちの面倒を見てあげられない時に手伝いに行ってあげたりもしているようである。人工授精で作ったのなら構わないよと貞子は言っていたが、実は若葉と野村君は1度だけセックスしているらしい。冬葉は後に女子マラソン選手として活躍した後、若葉の伯母が作った商社の後継社長に就任する。マラソン選手としての経歴が彼女のビジネスにも有利に働いたようである。
 
紺野君は大学卒業後、ドイツの自動車メーカーの日本支店に就職したのだが、現在ドイツ本社に行ってしまっている。紺野君は東日本大震災で婚約者を失っていて結婚はしないつもりらしい。結果的に紺野君の子供は若竹だけになってしまうのかも知れない。竹の字は実は紺野君の亡き彼女の名前から取ったものである。若竹は父とは全く交渉が無かったし自分の父親が誰かも知らなかったのだが、後に偶然にも父親が勤める自動車メーカーのデザイナーとなり、21世紀後半を代表する車のデザインを手がける。
 
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物凄く将来、野村君の息子・芳数と政葉が結婚して詠子という娘が生まれる(2043生。冬葉は芳数の異母姉だが、芳数と政葉には血縁関係は無い)。詠子は祖父である私の血を引いたのか音楽の才能があり、音楽大学に進学して高校の音楽の先生になる。その詠子の子供が、やまと(2067生)である。
 
一方かえでの娘・つばめ(2047生)の娘がキララ(2067生)で、やまととキララは奇しくも同じ高校に入り、(ハトコであることは知らないまま)意気投合して一緒に曲作りをするようになる。2090年代から2100年代に掛けてそのふたりは日本のポピュラー音楽界に大きな足跡を残すことになるだろうと青葉は亡くなる直前に私に言ったが、そのふたりの活躍を見るのは私と同世代の登場人物の中では、千里のみとなりそうだ。
 
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宮古島での生活は、本当にのんびりとしたものであった。
 
京平は長期間学校を休むことになるので、当地の小学校の校長先生と話して一時転校に準じた扱いとして、紅川さんの孫・哲夫君と一緒に小学校に出て行ったが、速攻で宮古の言葉を覚えてしまった。子供の言語能力は大したものである。
 
私にしても千里にしても、東京と連絡を取りながらかなり作曲の仕事をこなしているのだが、私たち2人を放置して、政子は桃香とふたりで小学生および0歳児のかえでを除く8人の子供たち(紅川さんの孫を含む)を連れて毎日遠足みたいなことをして、もう保育所の保母さんみたいな感じにしていた。その中で政子は着実に元気を取り戻して行っていた。
 
政子は3月中旬頃から、時折ペンと紙を持ってアルファ状態になっているようであった。やがて短い詩を書き始めたが、やはり初期のものは政子的な深さに欠ける詩だった。私は滞在を延長した。
 
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「ねえ、冬」
と政子は深夜に私と一緒に寝ている布団の中で小さな声で言った。
 
「何?マーサ」
「私が大輔と付き合い始めた頃、冬、やめとけって言ったよね。なんで?」
 
「それは大輔さんが明らかに薬をやっていたからだよ」
「知ってたの!?」
「あの人の作品を見れば明らか」
「全然気付かなかった!」
 
「だから、私、大輔さんに会って申し入れたんだよ」
と私は言う。
「え?なんて?」
と政子。
 
「政子と別れるか薬やめるか、どちらかしてくれって」
「そんなこと言いに行ったんだ?」
 
「大輔さんは薬を辞めると私の前で誓った。それで私もその後はマーサを停めなかった」
「リンナさんが後で言ってたね。私と付き合っていた間は、大輔、薬を我慢していたって」
「死んじゃった時は魔が差したんだろうね」
「禁断症状とかフラッシュバックとか、そういうのあったかも」
 
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「大輔さん、政子と付き合っている間、ずっとタバコ吸ってたでしょ」
「うん。大輔、タバコを吸うなんて知らなかったから、やはり品行方正なアーティストのイメージ作りのために、表向きには吸わないことにしてたのかなと思ってた」
「たぶん薬を我慢するために、タバコで気を紛らせようとしてたんだよ」
と私は言う。
「あ、そうだったのかもね」
 

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「私ね」
と政子はおもむろに言った。
 
「実をいうと大輔のこと好きだったのは最初の3ヶ月くらい」
「ああ。マーサって、だいたいそのくらいしか普通男性関係が続かないのにいやに長持ちしているなと思ったよ」
 
「そのあとはちょっと惰性だったかも」
「かえでが出来ちゃったので、結婚してもいいかなと思ったんでしょ?」
 
「うーん・・・。結婚するつもりは無かったんだけどね」
「ほんとに〜!?」
 
政子はその理由をその晩は語らなかった。政子がその理由、つまりかえでの真の父親について私に打ち明けるのは、この2年後である。
 

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政子は少しずつ気力を回復させていった。実際問題として大輔が亡くなった後しばらくは政子は性欲も無くしていたようだったが、宮古島に来てから半月ほどしたあたりから、私を毎晩のように求めるようになる。そして私との愛の確認をする度にパワーを回復していくようであった。
 
「へー。また皆既日食があるの?」
と政子は訊いた。
 
前回宮古島に来た時はちょうど地球の裏側で皆既日食があった。
 
「4月20日だよ」
と私は手帳を確認して言う。
 
「じゃ、それまでここに居る?」
「ここでは部分食しか見られないよ」
「皆既はどのあたりで見られるの?」
 
「南インド洋で金環食で始まってすぐに皆既食に変わり、オーストラリアの端をかすめて、インドネシアの付近を通り、ミリ環礁付近でまた金環食に変わって終わる」
 
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「皆既食になったり金環食になったりするの!?」
「ハイブリッド食というんだよ。物凄く珍しい現象。2013年11月の日食も金環食から皆既食に変わったね」
 
「すごーい、その変わる所を見たい」
「その瞬間をジェット機に乗って見るツアーがあるけど既に定員はいっぱいだよ」
「残念!」
「もっともふつうのジェット機の速度は日食の移動速度よりずっと遅いから、そのツアー、1人200万円もするのに見られるのはほんの数秒間」
「ひぇー、もったいない」
 
「どうせ飛行機から見るツアーなら、インドネシアで機上から見るツアーの方がお勧め。これは皆既を1分半近く見られる。料金も80万円くらいだし」
「それでも1分半か」
 
「地上では1分しか見られないからね。でも青葉はアナウンサーとして更に速い超音速ジェット機に同乗してレポートする。これは日食を完全に追いかけて皆既食から金環食に変化する様子を5分くらいに渡って中継する」
 
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「いいなぁ!」
「地方民放のアナウンサーから3人レポーターに選んだんだよ。抽選だったらしいけど」
 
「でも青葉、結婚するんだよね?」
「結婚後も仕事は続けるみたいだから、いいんじゃないの? でも結婚前の最後の大仕事になるね」
 
 
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■夏の日の想い出・愛と別れの日々(4)

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