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■夏の日の想い出・愛と別れの日々(3)

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政子は魂が抜けたかのようにしていた。
 
私はそれで敢えてかえでの世話を政子に押しつけた。
 
「ごめんねー。お母ちゃん頑張るね」
と言って、政子もかろうじて自分が母親であったことを思い出し、子供の世話をしていた。
 
「夏絵ちゃん、どうするの?」
と政子のお母さんが訊く。
 
「私の養女にする」
と政子が言った。
 
実際葬式が終わった後、夏絵はずっとこちらの家に泊まっていた。
 
「着替えとかおもちゃとかも、冬、車に積んでこちらに持って来てよ」
「いいけど」
 
「お母さん、今とても孫の世話ができる状態じゃないのよ。私もあまり頻繁には行けないから、ずっと昼間ヘルパーさんに入ってもらっている」
と政子。
 
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「ボケちゃったの?」
と政子のお母さんが訊く。
 
「72歳なんだどね。まだボケる年ではないと思うんだけど。でも今はヘルパーさんに来てもらうので助かっているみたい。食事作る気力も、お風呂沸かす気力も出ないなんて本人は言ってた」
 
「自分でそう言えるなら、まだ大丈夫だね」
「うん、私もそう思う」
 
「でも夏絵ちゃん、お母さんの所には渡さなくていいの?」
とお母さん。
「リンナは、悪いけどそちらで世話頼むと言っていた」
と私。
「大輔のお母さんが、夏絵本人に、自分が世話できなくなったら、リンナさんのところに行きたいか私の所に行きたいかって訊いたらしい。そしたら夏絵は私のところに来たいと言ったから」
と政子。
 
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「お葬式の時も、夏絵ちゃん、リンナさんの顔見ても知らんぷりしてた」
と私は言う。
 
「実は夏絵ちゃん、私の前でお母さんのこと嫌いってハッキリ言ったんだよ」
と政子。
 
「母親をそんなに嫌うって何があったんだろうね」
とお母さん。
 
「夏絵は言わないけど、たぶん虐待されてたんじゃないかな」
「育児ノイローゼかもね。あの時期、リンナさんの作品何だかおかしかったよ」
と私は言う。
 
「お母さんは、四十九日(2月10日)が終わったら、四国のお遍路に行くと言ってた」
「それもいいかも知れないね」
 

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良輔・大輔の兄弟は莫大な借金も残していた。
 
「私、大輔の借金の保証人になってあげてたんだよ」
と政子が言う。
「ふーん。いくら?」
「5ほど」
「500万も?」
「じゃなくて5000万」
「うっそー!」
 
借入先にはけっこう怪しげな業者もあったので、政子は私と、弁護士である私の婚約者・正望とともにそれらの業者を訪れ、支払いを済ませた。中には法外な利子を付けていた所もあったが、正望の弁護士バッヂを見ると素直に法定利息で計算し直した金額を提示した。
 
「正望さん、ありがとう」
「こういう時こそ弁護士の出番だよ。変なこと言ってくる奴がいたらすぐ連絡して。内容証明送りつけたらたいてい黙るし」
と正望は言ってくれた。
 
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保証かぶりで苦労したのは、リンナもであった。大輔と結婚していた間に2000万の保証人になっていた。彼女は自分ではとても返せないので、夫が銀行からお金を借りてリンナに貸してくれて、それで精算をした。結局リンナはそのあと数年掛けて夫に借金を返したようである。
 
しかしどうにもならなかったのがお母さんだ。お母さんは数億円の返済を迫られることになり、正望や大輔のレコード会社などからの助言もあって破産を選択した。金額が巨大でもあったことから、その手続きに時間がかかり、お母さんが四国のお遍路に行くことができたのは、一周忌も過ぎた後の2024年の春であった。
 
「でも私、破産の処理を進める中で、だいぶ我を取り戻したよ」
などとお母さんは言っていた。
 
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破産に伴い自宅も手放したので、お母さんは政子が自分の名義で借りてあげた横浜市内のアパートに住むようになった。生活費は年金で何とかなっているようで、時々夏絵やかえでの顔を見に来る生活である。
 

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政子は大輔が亡くなった後、とても詩が書ける精神状態ではなくなっていた。政子がこんなに落ち込んでいるのを見たのは初めてであった。
 
しかし政子は大輔の四十九日(2023年2月10日)が終わり、納骨も済ませた後、私に言った。
 
「私、そろそろ復活しなくちゃ」
「そうだね。そろそろ復活してもいいかもね」
と私も言う。
 
「私、また宮古島に行きたいな」
「ああ、いいね」
 
以前宮古島に行った時にお世話になった、元§§プロ社長の紅川さんに連絡したところ「いつでもおいで。好きなだけ居ていいよ」と言うので、お伺いすることにした。
 
「子供はどうするの?」
「もちろん4人とも連れて行くよ」
「そのお世話、誰がするのさ?」
「冬だけで手が回らないなら、誰か連れて行こう」
 
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「萌依(私の姉)に声掛けてみようか?」
と顔を出していたうちの母が言ったものの
 
「萌依さん、料理できないし。それにあそこも子供が4人居て倍増する」
と政子。
 
確かに姉は料理が不得意で、あそこの家の御飯はだいたい夫の小山内和義さんが作っているようである。
 
「そうだ。千里に頼もう」
「確かに千里は料理が得意だけど、あそこも子供4人居るじゃん!」
「料理作れる人が2人いれば何とかなるよ」
 

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それで私たちは2023年2月下旬、総勢12人で宮古島を訪れたのである。
12人の法的な苗字は実にバラバラであった。
 
中田政子・唐本冬子 
 唐本あやめ(4)・唐本大輝(2)・中田かえで(0)・百道夏絵(4)
 (夏絵と政子の養子縁組、私とかえでの養子縁組はいづれも大輔の百ヶ日 法要(4月2日)後に行う予定である)
 
高園桃香・細川千里 
 高園早月(5)・川島由美(4)・篠田京平(7)・細川緩菜(4)
 
 
4歳児が4人いるが、誕生日は夏絵(8.03),緩菜(8.23),由美(1.4),あやめ(2.3)の順序である。
 
「おお、可愛い女の子がたくさん来たね」
と紅川さんは笑顔で私たちを歓迎してくれた。
 
「ぼくは男の子だよ」
と京平が主張する。
 
「お、元気そうだね、君。小学1年生?」
「うん。こんど2年生になるよ」
 
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「あ、この子も男の子です」
と政子が手を引いている大輝を示す。
 
「その子可愛いね。女の子にしてしまいたいくらい」
と紅川さん。
「ああ、お姉ちゃんたち(あやめ・夏絵)に唆されて時々スカート穿いてるみたい」
と政子。
 
「スカートならぼくもはくよ」
と京平。
 
「まあ、男の子がスカート穿いても別に構わないよね」
と紅川さん。
 

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取り敢えずその日は紅川さんの娘さんの子供(8歳の哲夫・6歳の美優・2歳の葉月)も交えて、焼肉大パーティーをしたが、子供たちはハイキングにでも来たかのような大騒ぎであった。
 
京平と哲夫はアニメの話で意気投合していたし、美優と早月も仲良くしていた。4人の4歳児が破壊力が凄くて、茶碗を割って千里に叱られていた。千里は自分の子供ではない、あやめ・夏絵もしっかり叱る。
 
食事の後は私と千里が後片付けをし、桃香と政子が子供たちを寝かせつけていた。
 
「3年前に来た時はあやめちゃん1人だけだったから、随分増えたね」
と紅川さんが地元産の泡盛を飲みながら言う。千里も私もお酒は飲まないのでコーヒーを飲んでいる。桃香が戻ってくれば泡盛は飲むと思うが、戻ってこないので、おそらく子供を寝かせつけたまま自分も眠ってしまったのだろう。
 
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「社長の所もお孫さん1人増えましたね」
「うんうん。まあここまでだろうけどね」
 
「こちらはあの後、マリが大輝とかえでを産んで、夏絵もついてきたし」
と私は言う。
 
「君たち親子関係が複雑みたいだね」
「マリが産んだ3人は全員父親が違うんですよ。夏絵はマリが結婚しようと思っていた男性の前の奥さんとの子供です」
 
「あれ大騒ぎだったね」
「逮捕者はまだ出るのではという説もあります」
「警察も芋づる式にずいぶんつかまえているみたいだし」
「今テレビの番組がガタガタの状態ですけど、4月からの新番組の企画も作れないと響原さんが悲鳴をあげてましたよ」
 
「ああ、大変だろうな。僕は東京に居なくてよかったよ。だけどこれで芸能界の薬物汚染が一掃されたら、雨降って地固まるかもね、とこないだ兼岩さんとも話したんだよ」
 
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「紅川さんのところは誰も引っかかってないですね」
「うん。でも運が良かったというレベルだな」
 
○○プロやζζプロに$$アーツ、##プロに卍卍プロなどの大手プロダクションにも軒並み逮捕者が出て、担当マネージャーが謹慎、社長が減給などという騒ぎになっていた。紅川さんは一応∞∞プロの副会長の肩書きを持っていて∞∞プロ内の旧§§プロ系アーティストの統括責任者ということにはなっているが、実際の運営にはほとんどタッチしていない。
 

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「鴨乃清見さんとも、久しぶりだね」
と紅川さんは言う。
 
「はい、ご無沙汰しておりました」
と千里。
 
「千里、紅川さんと会ったことあったんだ?」
と私は訊く。
「春風アルトさんの結婚式で会ったし、アルトさんが失踪騒ぎを起こした時も会ってるしね。その後も何度か」
と千里。
 
「春風アルトさんと知り合いなの!?」
「まあ、ちょっとした縁でね」
 
「私と千里ってさ、よく話すようになったのは青葉との絡みで2011年からだけど、それ以前から随分ニアミスしてるよね」
「まあ、私と冬を両天秤に掛けていた、エロい大先生がいるせいもある」
 
「なるほどねー」
 
「もっとも才能にしても売れてる度合いに関しても私は冬の足下にも及ばないけどね」
と千里は笑っている。
 
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「でも鴨乃さんはゴーストライトが多いからなあ」
と紅川さん。
 
「それは内密に」
 
「ケイちゃんとこの子供も苗字が3種類だけど、鴨乃さんとこは、4人とも苗字が違うんだね」
「桃香がひとりで産んだ子、私が前夫との間に作った子、今の夫が前の前の奥さんとの間に作って、いったんその人が引き取っていた子、そして夫と前の奥さんとの間の子です」
 
「ややこしいね!」
「桃香もよく分からんと言っています」
 
「でもあの緩菜ちゃんって、男の娘でしょ?」
と紅川さん。
「よく分かりますね」
と千里。
 
「前の奥さんの趣味で女の子の服を着せて育てられていたみたいですが、本人も男の子の服を着たがらないので、そのまま女の子の服を着せて育ててます。4月から幼稚園にやりますけど、女の子の制服を着せることで幼稚園側とも話が付いています」
 
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「本人も女の子になりたいのかね?」
「どうでしょうね。男の子になりたいと思ったら男の子に戻るだろうし本人が10歳くらいになるまでに選べばいいと思います」
 
「それでいいかもね。で女の子になりたいと言ったら、女の子にしてあげるの?」
「取り敢えず女性ホルモンを投与しておいて、高校生くらいで性転換させればいいのではないかと」
 
「最近は10代で性転換しちゃう子、結構いるよね」
「私やケイがその先駆けでしょうけどね」
「あれ?鴨乃さんも性転換してるんだっけ?」
「ケイより後ですけどね。ケイは高校1年で性転換したみたいですけど、私は高校2年の時なので」
「ちょっと待って。私が性転換したのは大学2年の時だよ」
と私は言うが
「今更そういう嘘はやめときなよ」
と千里は言う。
 
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「でも私、性転換した時、自分は子供は作れないんだなと思ったのに子供が4人もできて凄く幸せです」
と千里は更に言う。
「それは私も同じだよ」
と私も言った。
 
紅川さんは納得するように頷いていた。
 

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