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■夏の日の想い出・天使の歌(12)

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★★ホールディングの株主総会は6月27日(木)に行われたのだが、その直前に株価はついに5000円を突破していた。投資の専門家なら逃げ出したくなる程の高価格だが、それでも相場は強気で、相変わらず激しい価格の上下を繰り返しながら、まだ上がりそうな雰囲気であった。
 
株主総会は都内のホテルで開かれ、10時から始まる予定だったのだが、来場者が予想より遙かに多く、事務局ではホテル側と交渉した結果、懇親会会場として予約していた部屋に会場を移動することにした。
 
株主総会では、しばしば懇親会だけに来る人が多いので、総会の会場は600名入る部屋、懇親会は1200人入る部屋を用意していたのである。この移動に時間が掛かり、結局総会が始まったのは11時過ぎであった。
 
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最初に事務局から定足数についての報告がある。
 
「平成31年3月末現在での議決権を有する株主数は15万3268名、議決権株式数は4927万6400株でございます。本総会にご出席の株主数は1347名ですが、委任状をご提出頂きました方が15,085名、その合計議決権株式数は4794万5900株でございます。この割合は97.3%であり、各議案を審議するための定足数を充たしております」
 
私の代理で出席してくれた岩波弁護士はこれだけ大きな会社の株主総会で97%も議決参加者がいるというのは凄いと思い、この総会は絶対荒れると確信したという。
 

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議長選出まで終わった所で、議長席の村上社長は議事に進む。最初に事業報告、決算報告があるが、2018年度の売上は結局160億円に留まっていた。事前に発表されていた数値より20億円も少ない。会場にかなりのざわめきがあった。会計監査報告では、監査している監査法人は決算に特に問題は無いと述べた。そして決議事項に進む。
 
「第一号議案、TKRの経営統合の件、事前投票では既に約31%の賛成票を頂いておりますが、ご承認頂ける場合は拍手をお願いします」
 
という村上社長の発言に会場内から拍手がある。
 
「ご承認ありがとうございます。では次に第二号議案、取締役の退任・選任の件。事前投票では約20%の賛成を頂いておりますが」
と村上社長が発言したところで質問する株主が居る。
 
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「事前投票の数字をちゃんと出してください」
 
「すみません。発言なさる方は手を挙げて、株主番号をおっしゃって下さい」
「507854番、ライオン・ペアズと申します」
 
会場がざわっとする。いきなり話題の株主の登場である。
 
「お待ち下さい」
と村上社長は焦って事務方に照会する。
「事前投票では35.8%の投票権が行使されております。賛成票が19.6%、反対票が16.2%ございます」
 
この数字に会場がざわめく。
 
「それかなり拮抗しているのではないでしょうか?」
とライオン・ペアズ代表。
 
ここで手を挙げる株主がいる。会場に大きなざわめきがある。
「株主番号25番、鈴木一郎と申します」
 
業界のドンとも呼ばれる∞∞プロの鈴木社長の登場である。株主番号が2桁というのが凄い。鈴木さんはごく初期の頃からこの会社を支援してきたのである。
 
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「私は反対票を投じるつもりでこの会場に来ました」
という発言に大きなどよめきがあった。
 
鈴木社長自体の株式は多分0.5%程度だろう。しかし鈴木さんが取締役人事に反対だと言った場合、採決を強行して人事案を通せば、∞∞プロ系のアーティストを全部引き上げるかも知れない。あるいは新しいレコード会社を設立するかも。そうなれば、★★レコードの売上げが激減するのは必至であり、倒産の可能性さえある。
 
鈴木社長は村上社長就任以来、★★レコードが年々業績を悪化させていることを指摘する。その業績を落としている村上社長に近い黒岩氏の取締役就任と、業績を年々あげて行っていた時代に社長であった松前相談役に近い似鳥取締役の退任には賛成できないというのであった。
 
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鈴木社長の発言に続いて、意見を述べる株主が多数出てくる。中には村上社長を擁護する発言もあったが、批判する発言の方が多い。
 
ライオン・ペアズの代理人が動議を出した。会社側から提示された取締役人事案に対して、同ファンド独自の取締役を提案するものである。名前は全く聞いたことのない人ばかりである。この動議に対する対応をどうするか、村上社長・佐田副社長・町添専務が協議していた時、更に手を挙げて起立した人がいた。
 
会場がざわめく。
 
創業者のひとりで初代社長・星原博秋の娘・鈴木片子である。
 
「株主番号1番、鈴木片子と申します。私も修正動議を提出します。村上社長と佐田副社長を解任し、新たに現在No.3である町添専務を社長に、TKRの朝田さんを専務に推します。以下、取締役の案は下記です」
 
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鈴木さんの案は、MM系の取締役を全排除し、松前・町添派など創業者系、一部の中間派、通信会社出身の人などで経営陣を固める案であった。取締役の人数自体も12人から9人へと減量、平均年齢も10歳若返ることになる。
 
株主総会での取締役人事の修正動議は「取締役を増やす」案は無効だが、「取締役を減らす」案は有効なのである。ライオン・ペアズの動議は現在と同じ人数なのでそちらも有効であった。
 
村上社長が発言した。
「動議が2つ提出されておりますが、よかったら、会社側で提案したものを先に採決したいと思うのですが」
 
ところが
「反対!」
「ちゃんと公平に採決しろ!」
という声が圧倒的である。
 
普通はこういう場合、会社案を最初に採決し、それが拍手で承認されたら、それと両立しない動議は全て廃案とする、というやり方が認められている。しかしそういう強行突破はできない様子である。
 
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★★レコードの現在の取締役は下記12名である。
 
創業者系(3) 町添・似鳥・須賀
MM系(5) 村上・佐田・板居・形原・島長
中間派(4) 平田・紙矢・吉馬・河内
 
但し中間派でも紙矢は創業者系に近く、河内はMM系に近い。
 
村上社長が提案したものは、創業者系の似鳥、中間派だが町添に近い紙矢、病欠ぎみの平田の退任と、MM系の黒岩・渡部および、会社合併予定のTKR副社長・朝田氏の登用である。これが通れば、MM系で実質8人と過半数を押さえることができ、★★レコードは“新MMレコード”に近い状態になる所であった。
 
鈴木片子さんの提案ではMM系の5人と河内、病欠ぎみの平田、更に86歳と高齢の吉馬、と8人を退任させ、新たに下記の5人を登用するものである。つまり取締役の数は12人から9人になる。
 
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朝田寛美(TKR副社長/元★★チャンネル常務)
加藤銀河(★★レコード制作部次長)
佐蔵越子(トリプルスター取締役コンテンツ部長)
堂崎隼人(音楽家)
中林麗子(吉馬酒造社長)
 
佐蔵さんはTKRの森原会長の元部下で、現在同社のブログ・SNSなどの事業を取り仕切っている。48歳である。
 
堂崎と中林は社外取締役である。実は上場会社の取締役は2名以上社外取締役にしなければならないのを、ずっと放置していたのである。今回きちんとそれが実現される。また女性2名の登用は女性株主の鈴木さんらしい。しかしこれまで女性の取締役が全く居なかったのこそ問題であった。
 
なお、中林は実は退任を提案した吉馬の次女であり、吉馬が創業した酒造会社の現社長、56歳である。珍しい女性杜氏でもある。なお、世間的には“次女”ということになっているが“長男”ではないかという性別疑惑も昔からくすぶっている。彼女は古くからの男性社員と(法的に)結婚してふたりの間には子供もいるが、その子供を本当に産んだのは、彼女の姉(吉馬酒造の現会長)では?という説もまたくすぶっている。
 
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ただこの時点でこの総会に居た人はそういうことは全く知らなかった!
 
鈴木さんとしてはLGBTの疑いのある人を起用することで、より多くの人に支持される会社になると考えた気配がある。
 

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ここでライオン・ペアズの代表から、議長不信任の動議が出されてしまう。取締役選任の議事において村上氏は公平に議事を進められる立場にないので中立的な人を選任すべきだとするものである。
 
するとこれまで沈黙を守っていた株主番号3番!須丸秀秋さん(★★レコード2代目社長で現在は同社顧問)が立ち上がり、よかったら自分が議長をしたいと立候補した。
 
これに会場全体から大きな拍手が送られる。須丸さんは創業者グループの中でも、星原・松前・町添といった主流派とは距離を置いていた人で、結果的には最も中立的であると考えられた。ライオン・ペアズの代表も拍手をしていたので、好感を持ったようである。
 
そこで議長席に付いた須丸元社長は、2つの採決方法を議場に諮った。
 
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1つは提案された取締役の1人1人について選任すべきかどうかを全投票し、得票数の多かったほうから一定数までを採用するという方法である。
 
もうひとつは、現在出ている、会社案、ライオン・ペアズ案、鈴木案の3つについてそのどれを支持するかを投票するという案である。
 
しかし前者の方法については幾つかの疑問が出る。
 
「得票数の多かったほうから一定数までと言いますが、その一定数というのは12名ですか?9名ですか?」
 
「社外取締役は最低2名選出すべきだと思います。1人ずつ投票する方式では社外取締役が選ばれない可能性があります」
 
「これは1株1票行使なのか、9名選ぶのなら1株9票行使、つまり累積投票にするかで、結果が大きく変わると思います」
 
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「バラバラに投票すると、一体感のまるで無い経営陣になって会社が迷走しそうです」
 

結局、候補者を1人ずつ投票する方式はよくないというのが議場の空気となる。それで須丸は、3つの案のどれにするかを投票する方式にしたいと述べ、拍手で承認された。そこで急遽投票用紙が準備され、投票が行われることになる。
 
投票になりそうだということになった時点で、急遽高速プリンタを10台会社から持って来ている。議場にいるのが1347名なので、その投票用紙の準備に1分間に20枚印刷できる高速プリンタ10台を動かして7分ほど要した。
 
その間に技術部の社員が重複投票を防ぐための簡易なソフトを組んだ。
 
そして投票が始まる。岩波さんからの電話連絡で私は鈴木案に投票して下さいと指示した。
 
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1347人が議決権行使書を提示しながら投票するので、それだけで1時間半ほどの時間を要した。中には入場した後、議決権行使書を紛失したと主張する人がいる。この人たちには他の人たちの投票が終わるのを待ってもらった上で、身分証明書を提示してもらい、重複投票でないことを確認して新たな議決権行使書を再発行してから、投票してもらった。
 
その後、集計するために時間が掛かる。
 
結果が出たのは14時すぎである。総会が始まってから既に3時間が経過しており、出席している株主たちに軽食とペットボトルの飲み物も配られていた。
 

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事務局からの報告を受けて議長の須丸氏が発表する。
 
「入場時に集計した時はご来場なさいました株主様の合計議決株式数は3030万5000株だったのですが、本議事に関して投票された株式数は全部で3020万9700株、当初入場者様の株式の99.7%、議決権株式総数の61.3%であります。定足数は充たしております」
 
総会の議決には株数全体の過半数が必要である。
 
「取締役人事に関する3つの提案に対する投票株式数を発表します。まずは会社案ですが127万2400株で4.2%、ライオン・ペアズ様案は394万2200株で13.0%, 鈴木片子様案は2498万5300株で82.7%、無効票は9800株です。したがって鈴木様ご提案の取締役選任案が可決されました」
 
村上社長は顔面蒼白であった。佐田副社長も厳しい顔をしている。ふたりを含む解任された8人が取締役席から退く。
 
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なお鈴木案の投票獲得株式数は議決株式総数に対する比でも50.7%を占めていた。
 
「鈴木様案が可決されましたので、新たな取締役は、町添幸太郎、似鳥俊夫、須賀義晴、紙矢直人、朝田寛美、加藤銀河、佐蔵越子、堂崎隼人、中林麗子さんです。おられましたら、こちらに来て、議長を代わって下さい」
 
と須丸議長が言うので、その9人が集まる。中村さんは一般席に行く父の吉馬さんとタッチしていた。
 

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事務の人が急遽新任の取締役の名札を作ってテーブルに置いた。加藤さんは顔色がよくない。彼は鈴木案が提案された時点で、もしその案が否決されたら辞表を書く必要があった。
 
「議長は誰がします?」
と町添さんが言うが
「そりゃマハトークでしょ」
と堂崎さんが言い、他の人も笑顔で拍手する。加藤さんもやっとホッとしたような顔をしている。
 
マハトークというのは、★★レコード黎明期に町添さんが多数の無名アーティストの音源製作をしていた時、編曲者名としてクレジットしたペンネームである。堂崎さんの世代くらいまでには結構知られた名前である。
 
「ここで臨時取締役会。町添さんを社長に推薦します」
と朝田さんが言い、全員拍手をする。
 
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それで町添さんは“新社長”に就任したのである。
 
その町添さんが緊張した面持ちで須丸さんと握手して議長席を交替した。
 
 
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夏の日の想い出・天使の歌(12)

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