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■夏の日の想い出・天使の歌(9)

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(C)Eriko Kawaguchi 2019-02-03
 
3月31日(日).
 
この日をもって§§プロダクションは店仕舞いとなった。明日4月1日からは所属していたタレントさんの大半が∞∞プロ内の§§プロという“部門”に移籍になる。
 
この日は§§プロダクション・§§ミュージックの所属者の多くが集まった。前日まで自動車学校に行っていた龍虎と西湖も来ている。この2人は昨夜は都心のホテルに泊まっている。
 
紅川社長・日野ソナタ副社長・新宿信濃子取締役から挨拶があった。なお、紅川さんはこれに伴い《∞∞プロ副社長(§§プロ担当)》となり、日野ソナタは§§プロ部門部長、田所が部長補佐となって、実際には日野と田所の2人でこの部門を運用していく。紅川さんはこれまでも∞∞プロの無役の取締役だったのだが、4月1日付けの取締役会で副社長に任命されるはずである。しかしそれは名前だけで、本人は近日中に郷里の宮古島に帰って実質引退する予定である。
 
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なお、研修生・練習生の中には、“歴史的経緯”で、§§プロダクション所属の人と§§ミュージック所属の人がいたのだが、これは全員§§ミュージックに移管される。
 
私は新宿信濃子さんを久しぶりに見たなと思った。彼女は名前を貸しているだけで実際の§§プロダクションの運営には関わっていなかった。芸能界から引退して久しく、現在は都内で俳優の夫と、3人の子供に囲まれる生活をしている。マスコミなどにも全く登場しない。出演依頼は今でも時々あるらしいが全てお断りしているらしい。
 

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ローズクォーツであるが、今年もまた新しい“代理ボーカル”を迎えることになった。これまでの代理ボーカルは下記である。
 
2013.8(1日だけ) 鈴鹿美里 ローズクォーツSM
2013.8-2014.3 覆面の魔女 ローズクォーツFM
2014.4-2015.3 Ozma Dream ローズクォーツOM
2015.4-2016.3 ミルクチョコレート ローズクォーツCM
2016.4-2017.3 アンミル ローズクォーツAM
2017.4-2018.3 メグとノン ローズクォーツNM
2018.4-2019.3 透明姉妹 ローズクォーツTM
 
今年8代目の代理ボーカルをしてくれることになったのはローザ+リリン (Rosa + Lilin)の2人である。偽物が本物の代理をすることになった。マリの命名によると“ローズクォーツRN”らしく、初めて"M"の文字を含まないユニット名となった。
 
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アンミル以来3年ぶりの男性ボーカルになる。アンミルは男性だが女声で歌っていたのに対して、ローザ+リリンは女声も出せるがポリシー上男声で歌うことになっているので、この1年間ボーカルは1オクターブ下で歌うことになった。
 
ただし、CD上は彼らの女声を使って収録する。彼らは契約上、ライブで歌う時は男声で歌うことになっているので、CDでは女声、ライブでは男声ということにした。それでCDの声は電気的に女声っぽく加工しているのだろうと思う人が多かったようである。
 
「君たちも随分長く女に見える男というコンセプトでやってきたから、もうそろそろ本当に性転換してもいいよ、と社長から言われた」
「じゃ性転換するの?」
と政子が訊く。
 
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「しないしない」
「ちんちん取るとか絶対嫌」
「でも本当は女の子になりたいんでしょ?」
「なりたくない!」
 
「でも社長はそう思い込んでる雰囲気もあった」
「寝ている内に麻酔打たれて手術室に運び込まれたりしないか不安だ」
「ケイナちゃんとマリナちゃんのお友だちとかはみんなふたりが女の子になりたいんだろうと思っていると思う」
「それ困るんだけどー」
 
「実際男物の服とか持ってないでしょ?」
「全然無くなった」
「だったらちんちんも無くなってもいいよね」
「嫌だ!」
「服とちんちんを一緒にしないでー」
 
「でも今更男には戻れないと思うなあ」
「それマジで自信無い」
 
「でも最近けっこうタックしてるよね?」
と私は尋ねた。
 
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「ここ数年は仕事のある日はずっとしてる」
「最近ちんちん見せる芸が禁止されてるから、ビキニになる時はむしろタックしてた方がいいから」
 
「禁止されてんだ!」
 
「なんか最近ああいう芸に対して厳しいのよ」
「ああ。確かにテレビとかも規制がきついもんね」
 
「だったら機能障害起きてません?」
「実は立ちにくい気はしてる」
「自分でしてて立たないまま逝ってしまうこともある」
「もう女の人とできなかったりして」
「少し不安」
 
「女の人としたことはあるの?」
「あるよぉ」
「もう随分前だけど」
 
「男の人との経験は?」
「男に襲われそうになって逃げ出したことはある」
「一度経験してみたら?」
「男に抱かれるなんて嫌だ」
 
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「ケイナちゃんとマリナちゃんでセックスするとかは?」
「そういう危ないこと言わないでくれ」
「それも時々誤解する人いるけど、俺たち恋愛感情とかは無いから」
「誤解されてダブルルームが用意されてることあるけど5cm離れて寝る」
 
それ誰かさんたちみたいだなと思った(千里と貴司さん、若葉と紺野君)。
 
「取り敢えずおっぱい大きくしてもいいのでは?シリコン入れるだけなら、男性機能に影響無いよ」
 
「なんかそれ考えちゃう」
「女湯に入る時楽だよ」
「えっと・・・」
 
「普段は女湯に入るんでしょ?」
「入ったことがあることは認める」
「男湯に入ろうとすると追い出されるから、もう5年以上男湯には入ってない」
「やはり女湯に入ってるんだ?」
「あまり追及しないでぇ」
 
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「取り敢えずオッパイ大きくして。それから去勢して」
「10年後の自分たちに自信が無い」
「ケイナちゃん、マリナちゃん、可愛いからお嫁さんになれると思うよ」
 

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4月1日(月).
 
龍虎と西湖はこの日自動車学校の卒業試験を受けて合格。修了証書を手にした。
 
ふたりともいったん宿舎に戻り、お部屋の片付けをする。西湖は10日間同室になった佐藤さんに挨拶して、頑張ってくださいと言った。佐藤さんも現在普通車の第2段階をあと少しで修了できる所である。
 
桜木ワルツがAUDI A3で迎えに来てくれて、一緒に自動車学校を出る。その日は各々の自宅に戻って、明日朝いちばんに品川区の鮫洲(さめず)運転免許試験場に行き、学科試験を受けて合格すれば、普通二輪免許がもらえる。
 
先にアクアを赤羽の自宅まで送ろうとそちらに向かっていた時、ワルツに電話が入った。脇に停めて電話を取る。
 
「クイズ番組ですか?ちょっと待って下さい。折り返し電話します」
と言って、いったん電話を切って2人に相談する。
 
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「アクアちゃんにクイズ番組に出て欲しいらしい。本当は北野天子ちゃんで予定していたのが、天子ちゃんがダウンしているらしくて」
 
「過労じゃないんですか?あの子忙しすぎる」
「かもね〜。それで明日のお昼過ぎにリハーサルやって、収録は夕方らしいんだけど」
 
「私がリハーサルは行きます。アクアさん、試験受けてから放送局に回ってください。私は明後日受験しますよ」
と葉月は言った。
 
「うん。そうしようか。だったら、アクアちゃんは明日試験を受けて。免許証が交付されるくらいのタイミングで迎えに行くから。葉月(ようげつ)ちゃんは悪いけど明日はお昼からリハーサルに出て、明後日運転免許試験場に行こうか」
 
「分かりました」
 
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それで龍虎と西湖は別の日に運転免許試験場に行くことになったのである。
 

4月2日(火).
 
龍虎は早朝赤羽のマンションを出ると、下記の連絡で試験場まで行った。
 
赤羽6:33(JR)7:01品川7:14(バス)7:25鮫洲運転免許試験場前
 
試験場前のバス停は免許試験場のすぐ前なので2分で試験場に入ることができる。受付ではまた性別を誤解されて「君女性では?」と言われながらもパスポートで“男の証明”をして男性として受け付けられた。
 
それで学科試験を受けて美事合格。お昼過ぎには講習を受けてから緑の帯の運転免許証を手にした。桜木ワルツがAUDI A3で迎えに来るので、それに乗って放送局に向かった。
 
リハが終わり廊下で待っていた(女子高制服の)葉月とハイタッチし、引き継ぎをする。台本を渡し、注意点や台本が変更になった所などを確認した。
 
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「でも北野天子ちゃんは“JK枠”で出ているんですね」
「天子ちゃん、先月高校卒業したのに」
「卒業後1年くらいまではまだJKでいいと司会者さんが言ってました」
「適当だなあ」
 
「JK枠に座っているけど、アクアちゃん、女子高生になったんだっけ?と司会者さんから振られたから『ジャパンの高校生です』と答えておきました」
 
「あれ結構受けてたね」
「アクアさんは何か適当な言い訳を」
「いや、葉月(ようげつ)ちゃんのそれ採用させてもらう」
 
それで葉月は女子高制服のまま放送局を出て電車で用賀の自宅アパートに帰った。
 

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翌4月3日、葉月は早朝から試験場に向かった。
 
用賀6:36(東急)7:02大井町7:10(りんかい線)7:12品川シーサイド
 
品川シーサイド駅から試験場までは900mほどあるので、西湖の足なら8分で到達できる。それで書類を出したのだが「君、性別が間違っているからここ直して」と言われて「はい」と言って、言われた通り女の方に印を付けて再提出した。本人としては、性別は違う方を消すんだっけ?などと思っている。
 
女の子にしか見えない容貌の子が女子高制服を着ているのを見て、男と思えという方が無理というものである。
 
それで住民票の性別が男になっていることには気付いてもらえず、修正された受験票と、パスポートの性別通り、女性として受けつけられてしまった。
 
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西湖も学科試験は無事合格したので、緑色の帯の入った普通二輪免許証を手にした。ちなみに免許証の表面には性別は記載されていないので、西湖は自分の免許証が女性として発行されていることに全く気付かなかった。
 

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ところで龍虎と西湖は免許は取ったものの、安全のため普段は免許証を事務所に預けておき、必要な時だけ返してもらうことにしている。ただ、練習はしておかなければならないので、月に1度くらい、講師の先生について指導を受けることにした。指導してくれるのは、プロライダーの結城瑛美さんという人である。『ときめき病院物語』の実質的な前番組『ハートライダー』にも出演したことがあるらしい。
 
その人との最初の練習は「まだ感覚を忘れない内に」ということで4月4日に行なった。ふたりとも最後にバイクを運転したのが4月1日なので、まだ3日しか経っていない。練習場所は交通量の少ない、さいたま市緑区の氷川女体神社付近の路上を使用した。
 
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龍虎と西湖はしっかりしたライダースーツを着て、月原マネージャーが運転するBMW 225xe iPowerに乗って現場まで行き、結城さんを紹介されたのだが、結城さんが基本的なことを説明しているのを見ながら、呆気にとられていた。
 
練習用に調達されたバイクはヤマハのYZF-R25である。指導者の結城さん、龍虎、西湖3人とも同じ車種を使用するが、龍虎のは青、西湖のは赤、結城さんのはビビッドな紫である。紫は元々のカラーバリエーションには無い色で、独自に塗装したもののようだ。
 
「龍虎ちゃんは男の子だから青、西湖ちゃんは女の子だから赤にしたよ」
と結城さんは言っている。
 
「えっと、結城先生のは?」
「私はオカマだから紫ね。ついでに今日は4月4日オカマの日」
 
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「オカマさんなんですか?」
と龍虎は思わず尋ねたが、我ながら変なこと訊いちゃったなと思った。
 
「オカマじゃなかったら変態かもね」
と結城さんは言っているが、月原マネージャーは笑って
 
「先生は冗談がお好きですけど、腕は確かですから。国内のレースに多数入賞していて国内A級ライセンスも持っておられるんですよ」
「凄いですね」
 
「醍醐春海先生とお友だちらしいです」
「ああ!醍醐先生もバイク凄いですね」
「あの子、なんかバイクたくさん持ってるわね」
と結城さんは言っていた。
 

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結城さんとの練習はその後月に1回くらいずつやったが、龍虎と西湖のふたりが同時に参加できないことも多く、1人ずつ別の日程になることも多かった。
 
西湖は結城さんから一度訊かれた。
 
「ここだけの話、西湖ちゃん、龍虎ちゃんのこと好きなの?」
「好きじゃなきゃ、アクアさんとお仕事できないですよぉ」
「結婚したいくらい?」
「えー。結婚はできないと思いますけど」
 
西湖は男同士だから結婚出来ないという意味で言っているのだが、結城は別の意味に取っている。
 
「まあ今は立場が違うから難しいよね。セックスした?」
 
「そんなのしないです!」
 
「まだ高校生だもんね。高校卒業したら一度抱いてもらいなよ」
「えーっと・・・」
 
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「でもこの後、龍虎ちゃんも少しずつ男らしくなっていくだろうし、そうしたら、女の子の西湖ちゃんには龍虎ちゃんの代役はできなくなっていって、西湖ちゃんは女優として再スタートだろうし、そうしたら同じ立場になるから、交際してもよくなるんじゃない?」
 
「うーん・・・」
「龍虎ちゃんのこと好きなら、西湖ちゃん、女優としても頑張りなよ」
「はい」
 
別にボク、龍虎さんと結婚したいとかはないけど、俳優としては頑張ろうかなと思って、西湖はお返事をした。
 

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夏の日の想い出・天使の歌(9)

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