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■夏の日の想い出・戯謔(8)

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私はその場で3分くらい話していたが、その間に後半の楽器のセッティングができたようである。それで緞帳が上がる。“箱”があってマリが手を振っている。私は数歩下がってマリが観客席から見えている筈の位置と並ぶ。
 
「では後半次の曲行きます」
 
この曲の後は、ローズ+リリーの歴史を辿るような曲を演奏していった。
 
『明るい水』『ふたりの愛ランド2018』『キュピパラ・ペポリカ』『天使に逢えたら』そして『青い豚の伝説』『コーンフレークの花』と演奏する。『コーンフレークの花』では、ローザ+リリンの2人が登場して、最初振袖を着ていたのをビキニになるまで脱いで行って、歓声があがっていた。
 
「だけどケイナちゃんとマリナちゃんって、ビキニになれるのね?」
とマリが言っている。
 
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「ヌードになるのは風紀上禁止されているんです」
と言っているが、実際にはドサ回りではけっこう最後まで脱いで悲鳴があがるらしい。さすがにそういうパフォーマンスはここではできない。
 
「いつ性転換したんだっけ?」
「ケイちゃんと同じだから小学生頃じゃない?」
 
むろんふたりは(早まったことをしていなければ)身体には一切メスを入れていないはずである。
 
「でも妊娠中だから私お腹が大きいのよね」
とマリナ。彼のお腹は本当に臨月に近い妊婦のように膨らんでいる。
 
「でもそのお腹、踊っている最中に落っことしたね」
とケイナ。
「焦った、焦った。赤ちゃんがびっくりしたかも」
 
「その子が生まれたら3人でパフォーマンスするの?」
「マリちゃんがどうするか次第」
「結婚はしないの?」
「マリちゃんがするか次第」
「もし私が男の人と結婚したら、マリナちゃんも男の人と結婚するの?」
「考えたくも無いけど、男と結婚しろと言われそうで怖い」
とマリナは本音が出ている。
 
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「でもほんとスタイルいいよね。ウェストくびれてるし。足も細いし」
「日々努力してるよ」
「おっぱい大きいし、おちんちん無いし」
「おっぱいは借りてきて、ちんちんは郵便局に預けてる」
 

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それを“貯金”というオチなのが分かっているので私は会話を遮って言った。
 
「それでは次の曲行きます。『雪を割る鈴』」
 
放っておくと「チョキンして切り取って貯金した」とか言い出しかねない。
 
私の声に応じて上手からヴァイオリン奏者6人が入ってくる。下手から香月さんも入ってくるが、彼には篠笛を吹いてもらう。ローザ+リリンの2人が引き続きダンスをする。最初はスローなテンポで演奏が始まる。
 
観客もターンタタン、というゆっくりしたリズムで手拍子をしてくれる。私がマリとマリナたちの会話を早めに遮ってしまったので少し早いのだが、前半を演奏し終えた所で演奏は一時停止する。
 
「2018年も残り120秒ほどになりました」
と言って私はアドリブで少し余分な話をする。会場の時計の秒のカウントを見ている。
 
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スタッフの手で大きな鈴が運び込まれてくる。振袖を着たままの川崎ゆりこが大きな剣を持って一緒に入ってくる。
 
「はれのひに振袖が着られず、仮想通貨が580億円盗まれ、暴力タックルが問題になるも、タイでは洞窟に閉じ込められた少年たちが全員救出され、羽生さんと羽生君が国民栄誉賞をもらい、ももクロの杏果ちゃんが卒業し、森田剛と宮沢りえが結婚し、安室奈美恵が引退し、猛暑で最高気温記録が次々と塗り替えられ、高輪がゲートウェイし、日本中がU.S.A.で踊りまくった1年でした。その2018年、平成最後の年末もいよいよ残り20秒ほどです」
 
「それではみなさんカウントダウン行きますよ」
 
それで時計の秒針に合わせて私はカウントダウンをする。観客も一緒にカウントダウンする。10秒前になった所で、スタッフが会場のドアを開けた。
 
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「10, 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1, Happy New Year!!!」
 
川崎ゆりこが剣を振り、鈴が割れて多数の小さな鈴が飛び出した。
 
そして私がハッピーニューイヤーと言うのと同時に外で花火の上がるのを聞く。
 
カウントダウン実行委員会の人たちが花火を打ち上げたのである。
 
「それではニューイヤーダッシュ行きます」
 
スタッフが会場のドアを閉めて『雪を割る鈴』の後半を演奏する。鈴を割ったゆりこはローザ+リリンの所に行き、振袖のまま並んで踊った。
 

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演奏が終わった所でゆりこは私の所に寄っておたまを渡す。“箱”の中のマリもお玉を持っている。
 
「それでは最後の曲です。曲名は?」
と私が客席に向かって言うと
「ピンザンティン!」
というお返事が返ってくる。
 
それでラストナンバーとして恒例になったこの曲を歌う。ステージの背景にマリがいるスタジオの様子が映し出される。スタジオ内でマリもお玉を振りながら(座って)楽しそうに歌っている。その映像に歓声が上がる。
 
この曲は演奏をしているのはスターキッズとキーボードの詩津紅だけなのだが、『雪を割る鈴』を演奏したメンツも下がらずにそのまま適当に自分の楽器を慣らしたり手拍子を打ちながら一緒に歌っていた。
 
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興奮の中演奏が終わる。全員左右の袖に下がる。マリの映像もフェイドアウトする。
 
ヴァイオリン奏者6人はこれであがるので、妃美貴が案内して、そのまま地下のMuse-3の施設に行くが、実際には全員部屋にはまだ行かず、ロビーのスクリーンでその後の様子を見たようである。
 

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大きな拍手がすぐにアンコールの拍手に変わる。マリはラーメンを一気飲み!する。このくらいお腹に入れないと調子が出ないらしいが、その映像もスクリーンに映写されて、客席では苦笑が起きていた。
 
「ラーメンは飲み物だったのか」
「マリちゃんはもつ鍋も飲み物らしい」
「確かカレーも飲み物だったはず」
 
ちなみに私はポカリスウェット500ccを1本、4〜5回に分けて飲んだ。
 
マリがスタンバイできたようなので、私はステージに出て行く。マリの映像もフェイドインする。
 
「アンコールありがとうございます。今年はマリが妊娠してカウントダウンはできないと思っていたのですが、スーパーコンピューターのテストということで、マリの立体映像と一緒に実施することができました。マリどうぞ」
 
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「みんな、ごめんねー。私はママになっちゃうけど、当面誰とも結婚するつもりは無いし、赤ちゃん産んだらすぐ次のアルバム作り頑張るね。今日は来てくれてほんとうにありがとう」
 
「ではアンコール一気に2曲行って、それで本当の終わりとさせて頂きます。演奏終了後は、すぐに席を立たず、係員の誘導に従って退場して下さい。それでは『影たちの夜』、そして『あの夏の日』、聴いてください」
 

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それでスターキッズほか、まだ残っていた演奏者が全員ステージに出てくる。そして『影たちの夜』を演奏した。
 
そして曲が終わったところでマリを映している“箱”が沈んでいくのでざわめきがある。他の伴奏者は全員退場する。ステージの灯りが灯る。そして箱が沈んでいった場所に、椅子に座った本物のマリがせり上がってきたのでざわめきが大きくなるとともに大きな拍手がある。
 
「マリちゃーん!」
という声が多数掛かる。マリがその声援に対して両手を振っている。
 
スタッフの手で電子ピアノがマリが座っている場所の前に置かれ、マリの横に椅子も置かれるので私はそこに座り、マリの手を握った。それから
 
ミードドミ、ミードドミ、ファソファミ・レ・ミ
 
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とブラームスのワルツから借りた『あの夏の日』の前奏を弾き始める。そしてふたりで歌った。
 
色々な思いが込み上げてくる。こんなに何万人も観客が集まってくれるのは、もしかしたら今年が最後かも知れないけど、小さなホールとかになっても私たちはずっと歌い続けていけるかな。
 
そんなことを思いながら私たちは熱唱した。
 

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終和音が消えて行き静寂が訪れた瞬間大きな拍手と歓声があった。
 
私とマリは立ち上がり、ステージ前面に出てお辞儀をした。そして割れるような拍手の中、幕が降りた。
 
司会の川崎ゆりこが
 
「本日のカウントダウン・ライブは全て終了しました。この後すぐには席を立たず係員の指示従いご退場下さい。本日はお疲れ様でした」
とアナウンスを入れた。
 

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観客の退場だが、観覧ブロックは例によって前方の数列以外、宿泊先別に構成しているので、原則として遠くの宿泊地に行く人たちから順に案内していく。このあたりは安中榛名・松島・博多と経験しているスタッフが多数入っているし、観客も規制退場に慣れている人が多いので、混乱なく進む。バスも会場の駐車場に入りきれない分は近隣のショッピングモールの駐車場や公園の駐車場などに駐めてある分がどんどん入ってくる。用意したバスは600台ほどである。終演の30分後くらいに小浜市内近郊に運ぶ客を送り出して、退場ミッションは完了した。ほとんど混乱のない速やかなミッションだった。最後に参加したスタッフを小浜近郊のホテルに運び、夜間の警備をする人たちに交替した。
 
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出演者一同はアンコールまで終了した後、そのまま地下のMuse-3の施設に降りる、ロビーで見ていてくれた人たちと握手したりハグしたりして、取り敢えず未成年は全員自分の部屋に帰るように言う。
 
そして20歳以上のメンバーだけで48畳の大広間に入り打ち上げをした。打ち上げの乾杯の音頭は★★レコードの加藤次長が取ってくれた。
 
「ボクは今回のイベントには関わってないんだけどね」
などとは言っていたが。
 
実際今回は★★レコード自体の支援がほとんど得られなかったもののイベンターの★★クリエイティブがサマーガールズ出版が直接経費を支払うことでしっかり動いてくれ、巨大イベントに慣れたスタッフが多数入ってくれたので助かった。
 
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なお加藤次長は忙しいのだが、やはりホログラフィの実物を見ておきたいということで12月31日の昼頃、こちらに来ることにしたらしい。
 

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打ち上げは乾杯の後は自由に退出してということで、退出する人に妃美貴がビールまたはオレンジジュースと、夜食を渡していたが、実際には朝御飯にした人が多かったようである。むろんマリは乾杯後すぐに帰した。
 
この日の宴会では次世代のアイドルについての議論が起きていた。松梨詩恩、北野天子、松元蘭などの名前が挙がるが、まだ2年くらいはアクアを越えられないのではという意見も強い。
 
「アクアは声変わりが起きるか性転換するまではもうしばらく人気が続くと思う」
「それどちらも起きない気がする」
 
「今日のアクアちゃんは、あれほんとに立体映像だったの?」
という質問があるが、
「それはノーコメントで」
と私は言っておいた。
 
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実際あれは後でネットでかなり議論されたようである。アクア自身も質問されていたが、アクアは
 
「紅白が終わってから、F-15イーグルに乗って小浜まで移動しました」
 
などと答え、ネットでは
「マジかも知れん」
という意見もあった。
 

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桜野レイアは充分移動可能であった。
 
桜野みちるの関東ドームでのライブが終わったのは15時すぎであるが、レイアは最後まで居る必要は無かった。すると次の連絡で小浜まで移動出来るのである。
 
東京15:33(ひかり19)17:44米原17:56(しらさぎ59)18:24敦賀
 
敦賀からは車で40分ほどで小浜市の会場に入れるので、19時過ぎには会場に到達することができたのである。
 
問題はアクアだった。アクアも一応移動可能ではある。
 
今年の紅白は19時にスタートし、アクアは高校生ということも配慮されて白組トップで歌っている。歌い終わってステージから降りたのが19:20くらいである。するとバイク便で渋谷から品川駅まで急行したら下記の連絡で到着可能だ。
 
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品川19:40(ひかり531)21:44米原(しらさぎ63)22:24敦賀
 
22:24に敦賀に到着した場合、車で移動して23:10頃までには会場に到着できる。高崎ひろかの歌唱が終わったのが23:18くらいで、アクアとレイアのパフォーマンスが行われたのは23:22くらいであった。
 
つまり物理的には間に合うが綱渡りである。もし道路が渋滞したら、もし列車が遅れたらと考えると、そんなギリギリの状態でのパフォーマンスを計画するだろうかという意見が多かった。
 
当日米原駅の近くで22時半頃、ヘリコプターが飛んだ音がしたのを多数の人が聞いている。また会場に居てトイレや出店に出ていた人が23時前に近くにヘリコプターが着陸するような音を聞いている。
 
敦賀から小浜までは直線距離で56kmほどあり、ヘリコプターで飛ぶと15-20分ほどで到達できるはずである。もしアクアが22:30頃のヘリコプターに乗っていれば、22:50頃に確かに小浜の会場近くに行くことができたはずである。
 
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しかし、アクアは翌日福岡ドームでのライブを控えている。それなのにそんなハードな移動をさせるだろうか?というのも疑問点としてあげられた。
 
「でもケイは何度もヘリコプターで移動している」
「2014年春のツアーでは福島から仙台へヘリコプターで移動していた」
「その年の夏の沖縄から埼玉への移動も謎だけどヘリを一部利用していると思う」
「2008年秋のツアーでの名古屋から金沢への移動も謎のままだけど、あれもヘリコプターで移動したとするとぎりぎり可能なんだよな」
「それならアクアもヘリコプターで移動した可能性はある」
 
あの時、観客の声援に対してレイアがお返事をしている。あれは生の声ではないかという意見が多かった。レイアが生なら、アクアも生だったのではと多くの人が考えたのである。立体映像と生の演奏者を並べるのはひじょうに難しいのである。
 
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夏の日の想い出・戯謔(8)

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