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■夏の日の想い出・戯謔(2)

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ところで謹慎中の上島雷太先生であるが、3月末に処分保留で釈放された後、沖縄の木ノ下大吉先生の家に籠もり、その後、泡盛の酒造所で麹(こうじ)作りの仕事をしている。作っている最中は24時間気が抜けない重労働である。奥さんの春風アルトさんも一時は上野陸奥子さん(今井葉月の叔母)の家に居候していたのだが、7月には沖縄に移動し、上島先生に合流した。現在夫婦で木ノ下先生の家にお世話になっている。
 
そしてそのふたりに赤ちゃんが出来たというので、私は大いに驚き、また直接アルトさんの携帯に掛けて祝福した(上島先生は現在携帯を持っていない)。
 
「私は赤ちゃんは産めない女だと思っていたから、妊娠してますってお医者さんに言われた時は、涙を流しちゃった」
とアルトさんは言っていた。
 
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「妊娠していると言われて泣いたら、シングルマザーか何かと誤解されませんでした?」
「いや、不倫かと思われた」
「そちらですか!」
 
「自分は実は男だってことはないか?と不安になった時期もあったからね。妊娠したことで女の証明ができたよ」
などと春風アルトさんは言っていた。
 
上島先生は2004年から2007年に掛けて別々の女性に1人ずつ子供を産ませているものの、2008年に結婚したアルトさんとの間にはこの10年間1人も子供が生まれなかったのである。一時は不妊治療もしたようだが、どうしても妊娠に至らなかった。
 
なお予定日は3月下旬ということで、逆算すると、アルトさんが沖縄に行き、4ヶ月ぶりに上島先生と再会した頃に受精したことになる。
 
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今年のお正月のアクアのドームツアーは次のように発表された。
 
1.1 博多ドーム 1.2 京阪ドーム 1.3 愛知ドーム 1.4(金)休み 1.5(土)北海ドーム 1.6(日)関東ドーム
 
その前にアクアは12月31日の桜野みちるの引退ライブ(関東ドーム)にもゲスト出演することが発表されている。29日のRC大賞、31日夜のNHK紅白歌合戦にも出場する。それ以外にも様々な年末年始の特別番組の収録がある。
 
もっとも内情としては、3人のアクアが日替わりで稼働するので、実はそんなに大変ではない。しかもツアーの最中は他の仕事をほぼ断れるのである。
 
12月31日(東京) アクアN
1月1日(博多) アクアM
1月2日(大阪) アクアF
1月3日(愛知) アクアN
1月5日(札幌) アクアM
1月6日(東京) アクアF
 
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つまりNは大晦日に東京の後は3日に名古屋、Mは最初から博多に行っていて1日にライブをしたら北海道に飛び5日に札幌。Fは2日に大阪に出てから6日に東京である。各々は空き時間には次のCDの練習をしたりドラマの台本を読んだりしているという。
 
「でもボクたちやはり3人分働かされている気がする」
とアクアFは文句を言っていたが!
 
アクアが3人いることを知っているのは、山村マネージャーと私に千里のみだが、多分社長の秋風コスモスも薄々気付いているように思う。
 
ちなみに紅白のリハーサルに出るのはほぼ今井葉月で29-30日の2日間朝から晩まで拘束される。全くお疲れ様である。RC大賞はリハーサルに出る必要は無い。もっとも葉月がNHKに拘束されている間、アクア本人は年末年始の番組にひたすら出演しまくっている。そのリハーサル役が必要な場合は、山下ルンバが務めていた。
 
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山下ルンバは2019年デビュー予定で、この名前も最近もらったものだが、まだ現時点では身分としては§§プロの研修生(B契約)である。過去に§§プロの様々な歌手のバックダンサーやコーラスも務めていて、芸能活動歴自体は長い。4年前の第1回ロックギャルコンテスト、翌年の第2回ロックギャルコンテストの最終選考に2年連続で残った子である。高校は3年間§§プロの研修所から通い、“研修所の主”を自称していたが、高校卒業とともに綾瀬駅近くにワンルームマンションを借りて独立した。芸能活動の傍ら、§§プロのスタッフのような仕事もしていて、どちらかというと、そちらの収入の方が多いのは、最近は今井葉月のスタッフと化している桜木ワルツとも似ている。
 
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山下ルンバは今年夏のロックギャルコンテスト優勝者・原町カペラ(第5代ロックギャル)と前後して2019年の1-3月頃に歌手デビュー予定だが、2019年春にもう1人§§ミュージックからデビュー予定と聞いて私は驚いた。一挙に3人デビューとなると、2014年秋から2015年春に掛けて品川ありさ・高崎ひろか・アクアの3人がデビューした時以来である。
 
山下ルンバ同様、研修生(B契約)からのA契約(アーティスト契約)転換なのだが、私はそのもうひとりの研修生“桜野レイア”と面会して、仰天した。
 
「レイアちゃん?」
「おはようございます、桜野レイアです。その節はお世話になりました」
 
と言っているのは秋のローズ+リリーのツアーに参加してもらった、ドラマーのレイアである。
 
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「僕は桜野やよい、という芸名を考えていたんだけど、本人がレイアの名前で一部に知られているから、それをそのまま活かした」
と紅川会長が言っている。
 
そして
 
「私の妹なんです」
と言っているのは、今年いっぱいで引退して結婚する予定の桜野みちるである。
 
「レイアちゃん、みちるちゃんの妹だったんだ!?」
「似てない姉妹だと言われます」
と桜野レイアは言っている。
 
「お姉ちゃんはお母ちゃん似で背丈も普通で、美人でおっぱいも大きいけど、私はお父ちゃん似であまり可愛くなくて背が高くておっぱいも小さい」
 
「美人なのに!」
 
「おっぱいが小さいのは、玲香、豆腐とか納豆とかが嫌いだからだと思うな」
とみちるは言っている。
 
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「豆腐は百歩譲っても、納豆なんて人間の食べ物じゃない」
などとレイアは言っている。
 
「あれ?レイアちゃん、秋口には、大学出た後はお姉ちゃんのマンションに居候して、バイトで食いつなぐとか言ってたね!」
「その計画が崩壊しました」
 
「今住んでいる所は分譲マンション?」
「そうなんですよ。賃貸ならまだ何とかなっていたんですけど。10年ローンで2015年春に買ったから、まだ2000万円くらい残っているんですよ」
 
「それ扱いはどうなるんだっけ?」
「私は無職になるからとても払っていけないので売却の一択ですね。少し残債が残っても印税で何とかなるかなぁ、という所です」
とみちる。
 
「レイアちゃんがローンを引き継ぐとかは?」
「毎月25万円なんて無理〜。だから私はどこか安いワンルームでも借りようかと」
 
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「大変だね!」
「それもあって、デビューさせてもらうことにしました。A契約に切り替えたらお給料40万円頂けるということなんで」
「手取りは30万以下になると思うけどね。まあ、最初はそこからスタートで。売れたら年度の途中でもお給料アップするよ」
と社長のコスモスは言っている。
 
「売れるといいね!」
「松本先生(松本姉妹)から曲を頂きました」
 
「それでケイ先生、松本姉妹は楽曲の提供だけで、制作には立ち会えないから、お忙しい所申し訳ないんですけど、制作の指揮をお願いできませんか?。期間は1週間くらいだと思うんですけど」
とコスモスが言う。
 
「いいよ。今比較的時間が取れると思う。これ演奏は打ち込み?」
 
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「私が自分で演奏して自分で歌います。多重録音になるので時間は掛かってしまうんですけど。しっかり練習しておいて、ケイ先生にできるだけご負担を掛けないようにしますので」
とレイアが言う。
 
「自分で演奏するんだ!?」
 
「この子、器用なんですよね〜。今所属しているバンドではドラムス打ってますけど、ギター、ベース、キーボードも弾けるから」
とみちる。
 
「何年も§§プロの研修生やってたから、ギターとベースと電子キーボードはそのレッスンで覚えたんです。私、小さい頃はピアノとヴァイオリン習ってたんですけどね」
 
「へー!」
 
「私たちの母が元スクールメイツなんで、音楽教育には熱心だったんですよ」
と桜野みちる。
 
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「スクールメイツか!」
「テニスルックでボンボン振ってアイドル歌手のバックで踊っていたそうです。でも母はエレクトーンしか弾けないんですよ。それで娘が生まれたらピアノを習わせようと思っていたらしくて」
 
「じゃ、みちるちゃんもピアノとヴァイオリンが弾けるんだ?」
「ピアノは今でも弾けますけど、ヴァイオリンはダメですね。玲香は楽器の才能はあったみたいで、ピアノ・ヴァイオリン上手いし、フルートも吹けるし、中学の頃はブラスバンド部の助っ人もしてたね」
「うん。サックスとかトランペットとか吹いてた。私、肺活量だけはあるし」
「そのあたりはスポーツで鍛えているのもあるね」
 
「歌では姉に勝てない分、楽器で頑張りました」
「いや、それは凄いと思う」
 
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実際の桜野レイアの制作はこのようにして進めた。
 
松本姉妹から提供された(未編曲の)ギターコード譜を、レイア自身がエレクトーンで演奏する。その伴奏を聞きながら本人が歌って、叩き台の音源を作る。
 
レイア本人、川崎ゆりこ、私の3人で検討をして修正する。修正したスコアでエレクトーンを弾き、それに合わせてボーカルを入れて修正版の音源を作る。これを納得のいく所まで練り上げる。
 
この作業で1日使った。
 
しかしコスモスは私に頼むと言ったのに、ゆりこを付けさせている。恐らくはゆりこは「あんたも若い子の制作指揮をしてよ」とか言われて、制作指揮の勉強をするためにここにいるのだろう。だから今回の私の報酬は高額なわけだ。
 
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スコアが固まった所で、その音源を聴きながらレイアのドラムスを入れる。そのドラムスを聴きながらベースを演奏する。それを重ねた音源を聴きながらギターを弾く。そこまで重ねた音源を聴きながらピアノを弾く。この音源に更に歌を入れる。今回はここに更に、フルート、アルトサックス、ヴァイオリンも加えたが、レイアはどの楽器もひじょうに上手く弾きこなし、私は彼女の演奏技術についてはほとんど注文を付けなかった。私が指示したのは主として感情表現に関する部分である。さすが10代のアイドル歌手とは違うなと思った。
 
これをタイトル曲とカップリング曲で繰り返して、実際問題として音源は4日で完成してしまった。
 
5日目の午前中、再度音源を聴いてみたが、問題は無いと思った。
 
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「かっこいい演奏になりましたね」
と川崎ゆりこは言った。
 
「まあ私は今更可愛く可愛く売る年齢でもないし」
とレイアは言っている。
 
実質4日間と5日目は午前中だけで終わっても、私は7日分の謝礼を頂いたのだが
「さすがにもらいすぎ」
と言って1日分はコスモスに返却した。
 
「じゃ、ゆりこのボーナスにしておこう」
とコスモスは言っていた。
 

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その5日目の午前中には、姉の桜野みちるも様子を見に来た。
 
「さっすが。スムーズに仕上がったね」
と言って、彼女も音源の仕上がりに満足していた。
 
「じゃ、後はデビューまでに、おちんちん切って女の子の形に直すだけだね」
と桜野みちるは言った。
 
「大丈夫。もう病院予約しているから。ちんちんとサヨナラする覚悟もできた。ちんちん無くなると寂しいかもしれないけど我慢するよ。手術が終わったらすぐ戸籍も直すね」
とレイアは言っている。
 
私はびっくりした。
 
「レイアちゃん、男の子だったの!?」
 
「まさか。私と姉のいつものジャブです」
「なーんだ。びっくりした」
 
「実は私の方が元男の子で、デビュー前に去勢して高1の夏休みに性転換しましたけどね。だから実は私は長男で玲香は長女なんですよ」
とみちるが言うので
 
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「マジ!?」
と驚くと
 
「それも姉がよく言う冗談です」
とレイアが言っている。
 
「もうマジとジョークの区別が分からない!」
 
「うちのお母ちゃんも、生まれた時は男の子だったけど、スクールメイツ加入前に強制的に手術受けさせられて女の子になったとよく言うね」
「あれ信じている人もいると思う」
「アイドルデビュー前に手術するのとか、わりとあるという噂もあるし」
「顔を直す人は時々いるけど、お股を直す人はめったに無いのでは?」
 
「じゃ私たちは誰が産んだのよ?というと、お父ちゃんが産んだとか言うし」
「そんな無茶な!」
 
「母の精子を保存していたもので父が妊娠して私たち2人が生まれて、その後、父も性転換したという話で」
 
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「それは物理的には可能だけど」
 
「昔は戸籍の性別を変更できなかったけど、元男の女と、元女の男は結婚可能だったんですよね」
「ああ、そういう逆転夫婦は現実に時々いるよ」
と言って、私は雨宮先生と三宅先生の夫婦のことを考えていた。もっともあの2人は法的に婚姻可能であるのに、事実婚のままの状態を選択している。
 

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