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■春約(4)

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夜の練習から戻ってきたら、千里姉は楽曲を書いていた。青葉もパソコンを出してやろうとしたら
「30分仮眠してからやった方がいい」
と言われる。
「30分寝るつもりが朝まで寝てしまいそう」
「オナニーして寝ればいいんだよ。そしたら30分後に自動的に目覚める」
「えーっと・・・」
「オナニーしたことありませんなんて言わないでよね、アクアみたいに」
 
「あの子は本当にオナニーしてないでしょ?」
「したくてもできないからね」
「そもそもしたくないんだと思ってたけど」
「性欲が無いからね」
 

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それで千里姉はわざわざ15分ほど席を外してくれたので、その間に青葉はよく眠れるようにして仮眠を取った。
 
本当に30分後に目が覚め、結構疲れが取れている。
 
「だけど、ちー姉はよく代表合宿やりながら作曲してるね。それもかなりハイペースで書いているみたい」
 
と青葉が言うと、千里は青葉を気遣うように言った。
 
「青葉、全ての曲を全力で書いたら、消耗して来年くらいから何も書けなくなる。自分を守ることが大事。埋め曲と本気曲をちゃんと区別しないと、自分が壊れるよ」
 
「あぁ・・・・」
 
「よし、青葉のために埋め曲作り講座をしてあげよう」
/と言って、千里は唐突に講義を始めた。
 

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「埋め曲は大いなるワンパターンなんだよ。水戸黄門的な世界」
「それは何となく分かる」
「演歌とか見てごらんよ。ほとんどの曲が同じだから」
「ちー姉、今の発言は敵を数百万人生んだ気がする」
「まあ取り敢えず自分のパターンを確立する。全部それに当てはめちゃう」
「やはり幾つかおなじみのメロディーを用意しておけばいいのかな」
「そうそう。サビ用、クライマックス用にいくつかのパターンを用意し、全部そこに持ち込む」
「やはりそうなるのか」
 
「基本的にAメロは語りかけるように。歌詞の抑揚やリズムを曲に変換する」
「あ、その手法は分かる気がする」
「この時、既存の曲に似すぎる場合はちょっとだけ変える」
「うんうん」
「そしてサビは歌うように」
 
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「やはりシャンソンのクプレ(couplet)とルフラン(refrain)って感じかな」
「そうそう。そのパターン」
 
「あとは作曲家によってコード先行が書きやすく感じる人と、メロディー先行が書きやすく感じる人がいる」
 
「ギタリストは割とコード先行だよね」
「うん。単音楽器の人は割とメロディー先行」
「ピアニストはどちらもいるよね〜」
「やはりその人の性格という気がするよ」
 

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その後も千里3の講義は続き、いかに自分の精神を削らずに曲を書き上げるかというのを千里3は力説した。さすが年間50曲くらい?コンスタントに書いているだけあるなと青葉は思った。
 
「邪道だけど」
と言って、千里はある種の道具を使って自動的に音やリズムを決めていく手法も教えてくれた。
 
「でもこれは公開できないね」
「そうそう。絶対秘密。創作性に疑義がある。でもこのくらいやらないと今年は乗り切ることはできないよ」
 
青葉はふと思った。
「ねぇ。こういう作り方するのなら、これコンピュータにも作曲できない?」
「うーん。そのあたりは分からないなあ。コンピュータの専門家に聞いてみたら、やる気を出すかも」
と千里は言っている。
 
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ゴールデンウィーク明けまでソフトハウスに勤めていたのは誰さ?と突っ込みたい気分だったが、やめといた。
 
(“千里”は結婚した川島信次の名古屋転勤に伴い東京のJソフトを退職した)
 
「ただコンピュータにやらせた場合、いわゆる1/f(えふぶんのいち)のゆらぎを組み込まないと自然さが出ないし、あと過去の作品との類似チェックをして、似すぎる場合は、例えばFの和音だった所をDm(ディー・マイナー)に変えたりとか、ドミソの和音のソにしていた所をミに変えたりとか、そういう“別ルート選択”のロジックが必要だと思う」
 
と千里は言う。
 

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何か少しは分かってんじゃん。“この千里”は割とコンピュータに強いのかも、と青葉は思った。
 
「ああ、それはそういうのできそうな気がする」
「それにしても過去の作品のデータベースが必要という気がするね」
と千里(千里3?)は言う。
 
「それを作るのは個人では無理だよね?」
と青葉は尋ねる。
 
「松前さんの音源図書館あたりがそういうの作ってくれたらいいんだけどね」
「あそこは予算があまり無いけど、誰かそういう所に資金を提供してくれたら実行可能かもね」
と千里。
 
「資金ってどのくらい必要?」
 
と青葉は訊いた。もし1億くらいで出来るなら、千里姉と2人で出資できるのではと思ったのである。
 
「CDに録音されているのはPCM形式の“音”のデータだけど、このままでは処理ができない。これを“音名”のデータに変換し、最終的には調性を判断して、“階名”にまで変換する必要がある。これは多少の変換ミスを容認するなら自動で変換するソフトを友人が持っている。だからそれを少し改造して使えば、CDから自動で階名方式のMIDI様データを作ることができる」
と千里が言う。
 
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「それは凄いね」
と青葉。
 

「CDの収録曲名自体はインターネット上に公開されたデータベースが存在するし、だから作業はふつうにパソコンの操作ができる人ならやれる。マイナーなものはデータベースが無いからその分はレコードジャケット見ながら入力すればいい。だから高校生でも主婦でもできるよ」
と千里。
 
青葉は本気で感心した。どうも“この千里”はIT関係の知識が結構あるようだ。
 
「作業時間は、実質読み込む時間だけが必要で、作業する人はどんどん読ませてはメディアを交換すればいい。40倍速のCDドライブを使えば1枚2分で読み込める。だから曲名データベースに登録されたCDなら1時間に20-30枚読み込ませられる。登録の無いものは曲名入力の手間があるから1時間に5-6枚かな」
 
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「過去に出たCDの総数ってどのくらいだろう?」
 
「年間発売されるCDの数はだいたい1万枚くらい。だから例えば1990年以降の作品を全部データベースに放り込むとしても、30万枚くらい。実際にはその1割も放り込めば充分だと思うから3万枚として、1時間に平均10枚、1日7時間作業して70枚なら430日で終わる」
 
「人をたくさん雇えばもっと速いよね?」
「うん。2人ならその半分の215日。3人なら3分の1の144日、10人なら43日」
 

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そんな話をしているうちに千里が言った。
 
「ね、ね、人を15人月(にんげつ)雇うのなら700-800万もあればいいよね?」
 
「いけると思うけど」
と青葉は答える。「人月」という単位はソフトウェア制作の世界ではよく使われる。青葉はこの千里は本当は誰だろう?と考えた。
 
「私お金出すからさ、青葉、その作業を誰かにやらせてくれない?」
「私もその話をしようかと思った」
と青葉も言う。
 
「あと音源の使用料が必要だけどさ、取り敢えず冬子のマンションにCDとかアナログレコードが3万枚くらいあるんだよ。あれを借りて全部放り込むだけでもかなりのデータベースができると思わない?」
 
「あそこ3万枚もあるの!?」
「あの部屋何度も入ってみたけど、一度数えてみて最低でも2万枚、ひょっとしたら4万枚とみた」
 
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「それもしかしたら音源図書館より良質かも」
「かもね。何しろミュージシャンの耳と感覚で集めたライブラリだから。あと、ローズ+リリーの担当の氷川さんの実家が凄いんだよ。あそこも冬子の所と同じくらいのボリュームある」
 
「ちー姉、そのPCMのデータからメロディーを取り出してMIDI化するプログラム、そのお友だちに頼んで用意できる?」
 
「できると思う。彼はこの春に会社をやめて今フリーらしいんだよ」
 
それって、ちー姉に代わってJソフトに勤めていた眷属さんなんじゃないの?と青葉は思った。その人が会社を辞めたことは千里3も知っているわけだ。
 
千里3は少し後ろの方に気配を向ける仕草をした。どうも眷属と会話しているようだ。こういう仕草を無防備に自分に見せるのは珍しい、と青葉は思った。
 
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「1ヶ月以内には書けるって。うまく行けば1週間くらい」
 
「凄い!だったら取り敢えずデータベース化しようよ。私もお金出す」
「よし。やろう」
 

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そういう訳で、5月28日夜、千里3と青葉の《既存曲データベース化プロジェクト》が人知れずスタートしたのであった。
 
青葉は翌29日の昼休み、空帆に連絡して、これこれこういう計画を持っているので、CDからのデータ取り込み作業をしてくれそうな人を首都圏で雇えないかと打診した。彼女は(守秘義務を守る前提で)時給2000円出すという話に、それなら、絶対やりたがる学生がいると言い、すぐに4人の音楽好きの同級生を紹介してくれた。
 
面接に関しては千里3が
「任せて。適当な人を行かせる」
と言った。たぶん眷属の誰かに面接させるのだろう。
 
実際その週のうちに4人とも採用する。
 
CDのPCMデータ(≒WAVE/AIFF)からMIDIに変換するプログラムは千里3の“友人”で五島節也さんという人が本当に一週間で書いてくれた。
 
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一方、千里3が5月29日に冬子に電話して
「冬のCDライブラリをmp3でコピーさせてくれない?料金は1枚あたり500円、だから3万枚なら1500万円払うから」
と持ちかけると、冬子は驚いて
 
「そんなのお金要らない。千里なら自由にコピーしてもらっていいよ。でも直接CD/LPから取り込まなくてもあのライブラリは全部既にmp3にしてある」
 
と言って、冬子のマンションのホームサーバーの中にあるライブラリを全部こちらで持ち込んだハードディスクにコピーさせてくれた(この作業は空帆が自分でやってくれた)。実際問題としてこれで作業をかなり省くことができた。これが実は4万曲もあった。
 
冬子のデータは、
 
mp3/Artist名/Album名/nn-曲名.mp3
mp3/Artist名/Album名/nn-曲名.txt クレジットや演奏者の記述
 
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というフォルダ構造・ファイル名になっており、更にご丁寧に
 
mpc/作曲者名/曲名/演奏者名/Album名.lnk
 
というショートカットのリストまで作られていた。これは高校時代に冬子が自分でプログラムを書いて自動的にリストアップするようにしたものらしい。つまり場所を手作業で移動したりしても、リストアッププログラムを走らせると、自動的にこの作曲者単位のデータも更新される。
 
ポップスなら上の形式だけで充分だが、クラシック曲や童謡・民謡などのように同じ曲を多数の演奏者が制作している場合、絶対にこちらの情報も必要なのである。
 
この構造が非常に優秀なので、千里と青葉は以降のデータベースもこの方式に準じて構成することにした。但し.lnkはWindowsの.lnk形式ではなく、もっと処理しやすい独自のフォーマット(青葉が定めた)に置換した。この変換プログラムは冬子が「この程度の自由に使って」と言って渡してくれたプログラムを青葉が自分で改造した。
 
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なお、冬子自身はこの年、精神的に半分死んでいたので、このデータが自分自身が7月12日以降進めることになったMuse Projectのデータベースとしても使用できることに全く気付かなかった。
 

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更に千里は冬子から「氷川さんとこと、松原珠妃の所も凄い」と言ってその2人のライブラリを紹介してもらった。結果的に空帆の紹介で雇った4人はこちらのライブラリの変換作業をしてもらうことになった。
 
千里も氷川さんのライブラリが凄いのは知っていたのだが、松原珠妃もそういうライブラリを持っていることは知らなかった。千里3は2人の所には自分自身が行かなければダメだろうなと考え、少し考えてからNTC選手村内の玲央美の部屋を訪れた。
 
「どったの〜?」
「須賀秀美ちゃんをちょっと貸してくんない?」
「貸すも貸さないも、そもそも千里の“お友だち”なのでは?」
「千里1のね」
 
玲央美はしばらく千里を見ていたが、やがて言った。
 
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「なるほど。じゃ電話番号教えるから、直接交渉してよ」
「了解〜」
 

それで千里(千里3)が須賀秀美の電話番号に掛けたら、《すーちゃん》は千里3から連絡があるとは思いも寄らなかったので、驚愕する。
 
「ねぇ、千里どこまで知ってるの?」
「想像に任せる。でも火野純香ちゃんは私が3人いること気付いてるんでしょ?」
 
「なんで私の本名を知ってるの〜〜〜!?」
「そりゃ長い付き合いだし」
「まあいいか。去年の夏以来休業中だったし。で、何すればいいの?」
 
「どちらを選んでもいい。どちらかをして欲しい」
「何と何?」
 
「明日私の代わりに代表合宿に参加するか、明日私の代わりに氷川真友子と松原珠妃の所に行って、各々のCD/LPライブラリをコピーさせてもらえないかと交渉するか」
 
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「そんな交渉なんて無理!」
「じゃ代表合宿代わって」
 
「うっ、うっ、何とか頑張る」
 
 
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