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■春秋(14)

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翌9月27日のお昼休みに青葉と千里は再度学校を訪れ、教頭と校長に理事長、顧問の峰川先生、高橋コーチ・花形コーチ、泰美部長、茂代副部長、淳子元部長、凛子・元副部長、ハルが出席し、校長室で今回の怪異についての報告をした。
 
元々は空襲で死んだ子供たちの霊であること。またこの学校近くの地形が風水的に霊などがたまりやすい地形であること、最初3年前のバス事故で亡くなった中学生のバスケ部員2人がその子供たちの霊と遊んであげていたので、バスケ部に関わってきたこと、その中学生2名は既に成仏していること。子供たちはここでしばらく遊ぶと成仏していくのでこの4ヶ月で既に70-80人くらい成仏していること。
 
ただ、今その子たちと遊んであげているのがハルの亡き姉であることは説明を省略した。そのことで姉が怪異の一部のように誤解されてハルが責められてはいけないと考えたのである。これは高橋コーチと峰川先生にだけ昨夜の会談で説明している。
 
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「じゃ根本的な原因はあのビルの工事ですか」
と校長が言う。
 
「午前中に私の方で向こうの建設会社に照会してみたのですが、だいたい来月中にはビルは7−8階くらいまで伸びるそうなんですよ。最終的な完成は春になるらしいのですが」
と峰川先生。
 
「だったら来月くらいには怪異も収まるんですね」
「そうなるはずです」
 
「それで昨日も少し話していたのですが、慰霊碑の所と、体育館の入口とかに供養のために大きな鉢とかに水を入れて置いたらどうかと思いまして。みんな空襲にやられて熱い熱いと言って死んでいったらしいんです」
 
「うん、それはいいことだと思う。すぐやろう。峰川君の方で適当な鉢を2つ買ってきてくれない?」
と校長が言った。
 
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「はい。午後にも買いに行ってきます」
 
「じゃ水を入れた鉢とお線香でも供えますかね」
と教頭。
「お線香は供えていいのですが、火をつけないで下さいということです。熱いのは嫌なので」
と高橋コーチ。
 
「ああ、なるほど!」
 
「じゃ線香が供えられるような台も慰霊碑の所に作らせるよ」
と理事長が言った。
 

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それで実際にその水の鉢を供えた所、怪異は随分“減少”したのであった。但し完全に無くなるのは、やはりビルの建設が進む10月中旬を待たなければならなかった。
 

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さて、少し時間を遡って、青葉は9月の中旬、牽引免許の取得に自動車学校に行った。本当は春に取りたかったのだが、時間が無くて取りに行けなかったのである。今回も結構慌ただしい取得になった。
 
実際には、インカレに行った後、様々な用事で9月11日まで東京に留まることになり、12日(月)朝の新幹線で高岡に帰還した。そしてその足で市内の自動車学校に入校したのである。
 
「あら、あんた久しぶりね〜」
と受付のおばちゃんから言われる。
 
「今度は何取りに来たの?」
「牽引免許なのですが」
「牽引?あんた大型持ってたっけ?」
「いえ。でも普通と大特を持っているから取れますよね?」
「うん。たまに大型持たずに普通だけで取りに来る人は居るには居る」
と言って、受け付けてくれた。
 
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適性検査などを受けた上で、いきなり教習に出る。牽引の教習は、受講生が現在持っている免許が何であろうと、大型のトレーラーが使用される。教官は青葉が大型を持っていないというので少し不安がっていたようであったが、実際にはきちんとこの大きな車を操作するので
 
「あんた、もしかして大型を無免許で運転してない?」
などと言われる。
 
「運転してないですよー」
「まあいいや」
 
実際には青葉もトラックは数回しか運転したことはないのだが、その数回の運転経験が今回の教習では多いに役立ったことは確かであった。
 

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牽引免許は、四輪免許のどれか(普通・中型・大型・大特)を持っていることが取得できる条件であり、学科の授業は無いので、実技のみの教習になる。第1段階は5時間なので、これを12,13,14日の3日で受け、翌日には検定を受けて第2段階に進む。
 
第2段階は7時間なので1日3時間ずつしても3日掛かる。しかし青葉はこれを2時間ずつ16,17,18の3日に分けて受講した後、7時間目の「みきわめ」を19日にしてもらった。これは1日3時間教習を受けるには途中1時間の休憩が必要であることと、19日が祝日で卒業検定を受けられないから調整をしたからであった。卒業検定は20日(火)に受け、無事合格。翌日21日(水)に運転免許試験場に行き、視力などの適性検査を受けた上で、青葉は新しい免許証を取得した。
 
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路上で実際に牽引する場合、牽引免許に加えて牽引する車の免許も必要なので、青葉は普通車での牽引と大特による牽引が可能になる。普通車での牽引というとキャンピングカーなどがある。大特による牽引というのは、例えば大規模農場でトラクターにより作物を乗せた車を牽引して道路を走るような場合が該当するらしいが、かなり特殊な事例である。
 
青葉は卒業検定ではトレーラーをちゃんと運転したのだが、実際の路上でトレーラーを運転するには、別途大型免許を取得する必要がある。
 
しかしこれで青葉の免許は、原付・小特・普通・普通二輪・大特・牽引の6種類のセットになった。フルビッターまではあと9個である。
 
その9個というのは、来年新設される準中型と、中型・大型・大型二輪、そして普通・中型・大型・大特・牽引の各二種である。中型は普通免許取得後2年経過しないと取得できない。二種は普通免許または大特免許取得後3年経過しないと取得できない。つまり現時点で青葉が取れる免許はあとは大型二輪のみである。
 
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その大型二輪をいつ取りに行こうかと青葉は考え始めていた。
 

青葉が21日に運転免許試験場で新しい免許を受け取り帰ろうとしていたら、バッタリと吉田君に遭遇した。
 
「何しにきたの?」
と彼が声を掛けてくる。
 
「私は牽引免許を取った」
と言って、新しい運転免許証を見せる。
 
「例のフルビッター狙いか!」
「そうそう。吉田君は?」
「俺は大型二輪取った」
と言って彼も新しい運転免許証を見せてくれる。
 
「すごーい!大型二輪取ったんだ!大変だったでしょ?」
「まあ自動車学校に通って取ったから、お金と時間は掛かったけど、スムーズに取れたよ」
と吉田君。
 
「私も春くらいには大型二輪を取りに行きたいのよね〜」
と青葉は言う。
 
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「川上は今バイクは何に乗ってるの?」
「うーん。それが全然乗ってないのよね」
「はあ!?」
 
「普通二輪免許は春に取ったんだけど、その後、全然運転してない」
「川上、その状態で大型二輪取るなんて絶対無理」
「やはり?」
 
「中古でもいいから1台買って練習しろよ。でなきゃ、自動車学校に行っても、あんたには無理って宣告されるぞ」
「うっ。。。それはきつい」
 

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そういう訳で、青葉は北海道に行って桃川春美の件を処理し、そのあと富山市内で左倉ハルの学校の怪異を処理した後、10月1日(土)に、あらためて吉田君と金沢市内で待ち合わせた。
 
「学園祭の練習とか忙しいのにごめんね」
「いや、青葉の忙しさに比べたら大したことない」
「女装慣れた?」
「慣れたくない!」
「うふふ」
 
「まあとりあえず何か食事でもしながら」
と言って、サイゼリアに入り、吉田君に
「好きなの注文して」
と言ったら、ミックスグリル(599円)を頼んでいる。こういう吉田君の性格って好きだよなあと青葉は思う。もっと高いもの頼んでもいいのに。青葉はイカとアンチョビーのピザ(399円)を頼み、彼に「こちらも適当につまんでね」と言った。
 
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「それでやはりバイク買うことにしたのね?」
「うん。お母ちゃんを説得するのにかなり苦労した」
「ああ、お母さんの気持ちは分かる」
 
「それで私も少し調べようとしたんだけど、そもそもどのくらいの排気量クラスがいいか、どこのメーカーがいいか、さっぱり分からなくて、それを相談したいと思って」
 
「なるほどね〜」
と言って、吉田君は食べながら考えている。
 

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「川上の免許はATじゃないよな?」
「うん」
「小型限定でもないよな?」
「うん。限定は付いてないから400ccまで乗れる」
 
吉田君はそれでまた少し考えていたが、青葉から紙を1枚もらうと、こんな図を描いた。
 

 
※多くのフェリー会社で750cc以上はフェリー料金が高くなる。様々なサービス料金で750cc以上あるいは751cc以上で高くなるものがある。
 

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「大型免許を取得するステップにする場合、125ccというのはあり得ない。250ccか400ccだと思う。どちらも高速を走れるし免許取ってから1年以上経っていれば2人乗りもできる。250ccと400ccの大きな差はパワーの問題と車検があるかどうかだな」
 
と吉田君は説明した。
 
「この表、分かりやすいね!」
 
「川上、原付とかは持っているんだっけ?」
「ううん。原付は免許を取った時に講習を受けただけ」
 
「だったら、俺は250ccを勧めたいと思う。250ccは一応高速に乗れるけど車検が不要で運用費が安くて済む、お得なクラスなんだよ。それに原付も経験していなくて、いきなり400ccは厳しいよ」
 
「やはり250ccか。。。吉田君は今何に乗っているの?」
 
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「お金を貯めて大型買いたいけど、今乗っているのはカワサキのNinja250R」
「わっ、格好いい名前」
 
「カワサキのNinja250, スズキのGSR250F, ホンダのCBR250R, ヤマハのYZF-R25 この4つがライバル車なんだよ」
 
「へー!」
 
「ちなみにカワサキのNinjaは4年前に新型のNinja250が出たんだけど、俺が乗っているのは古いNinja250Rの中古ね。定価は55万だけど18万で買った」
「そういうの好き〜」
 

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吉田君は「俺の見る?」と言ってアパートまで連れて行ってくれた。
 
「自分用のヘルメットと手袋を用意してくれたら同乗させてあげるけど」
と言うので、途中カー用品店に寄ってピンクのヘルメットと手袋、それについでにライダースーツを購入してから行った。
 
「この前に付いてるカバーみたいなのが格好いいね」
「カウルって言うんだけどね。特にこだわりが無ければ、これが付いているのを選んだ方がいいと思う」
 
それで青葉もヘルメットと手袋をしてライダースーツを着、吉田君のバイクの後ろに乗ることにする。
 
「川上、始動の仕方覚えてる?」
「忘れてるかも!」
 
「昔はキックスタートだったんだけど、今はほとんどのバイクがセルフ式だから」
と言い、青葉を運転手席に座らせ、スタートの仕方を教える。
 
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「そうかそうか。こうやってスタートさせてた」
「ブレーキの掛け方は?」
「怪しい気がする」
 
「右足で踏むのが後ろブレーキ、右手で掛けるのが前ブレーキ。基本的には、後ろブレーキを掛けてから前ブレーキを2段階で掛ける。いきなり前ブレーキを全力で掛けたら間違い無く転ぶ。下手したらあの世行き」
 
「気をつけよう」
 
取り敢えずそのままエンジンを掛ける。「ちょっと動かしてごらんよ」というので、クラッチを握ってローに入れ、スロットルを回してエンジンの回転数が上がってきた所でクラッチを少し緩めて発進する。ギアは変えずに3mほど進んだ所ですぐにブレーキを掛けて停めた。
 
「これだけで随分思い出した」
「でもスタンドは起こした方が良かったな」
「忘れてた!」
 
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「じゃ、後は俺の後ろに乗って、俺の操作を見てるといいよ」
「うん。よろしく」
 

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