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■春暁(6)

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結局この問題で、ローザ+リリンは記者会見を開く羽目になった。
 
本来は事務所社長の板付が同席すべきなのだが、板付社長のビジュアルが、あまりにもヤクザっぽい(本人はそちらの世界との縁やコネは無いが、このビジュアルのおかげで、興行先のヤクザとのトラブルをいつも回避できている、チンピラなどは板付社長の顔を見ただけで「失礼しました」と言って逃げていく)ということで、板付さんから頼まれたローズクォーツのタカが同席した。
 
「どうしてタカさん、男みたいな格好してるんですか?」
という質問はスルーした上で、マリナが(女声で)説明した。
 
「実はローザ+リリンは“顔はローズ+リリーに似ているけど実は男”というのがコンセプトだったので、人前では男の声で話すという契約をしていたんです。でも実は私たちは演出上の効果を上げるために女の声を出す練習もしていて、2015年頃から、女声も出せるようになっていました。それでそれ以降のドサ廻りのショーでは、最初女声で話していて、実は男だとバラした後は男声で話すという方式に切り替えていました」
 
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「実はこの2人は元々両声類だったんてすよね」
とタカが説明する。“両声類”という言葉を知らない記者もいると思われたので、タカは用意していたボードに書いたものを見せる。意味は、みんな漢字を見ただけで分かったようである。
 
「それで、ローズクォーツのライブでは、テレビでの演奏とか、お客さんの前では男声で歌ったり話したりしていましたが『Brass Quarts』の制作では、そもそも女声で歌っています」
とマリナ。
 
「また、夏以降準レギュラーに近くなった『ミッドナイトでネルネル』では、だいたい“女役”で出演することが多かったので、一般の観客がいない所でもあり、最初から女声で話していました」
 
「ところが10月のツアーの初日、札幌でいつものように男声で歌った後、私もケイナも体調を崩してしまい、急に男声が出なくなってしまったのです。逆に女声は出るのですが。これは実は女声の練習をしている人には、たまに起きることらしいです。女声を出す回路の方が安定してしまい、男声が出なくなっちゃう人は結構あるんですよ」
 
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「それで契約条項には違反するのですが、事務所の了解を取り、金沢公演以降のライブでは女声で歌わせて頂きました。ところがツアーが終わってから、また男声が出るようになったので、その男声を使用して『Rose Quarts Plays Sex Change』と『Brass Quarts flip side』の収録をしたのですが、その2つのアルバムの制作が終わったら、また男声が出なくなって、現在は2人とも女声しか出ない状態です」
 
「実はケイさんからもお聞きしたのですが、ケイさんは一時期男声・女声ともに出ていて、両方の声を切り換えながら1人男女デュエットしたような曲もありましたが、その後男声は全く出なくなってしまったらしいです。それでケイさんの見解では、私たちはもう男声は出ないかも知れないということで、それで、当面はもう女声だけでやっていくことにしました」
 
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「おふたりとも性転換して女性になっちゃったので、女声しか出なくなったということは?」
 
「性転換とかしてないんですけどね」
 
「でもケイナさん・マリナさんを女湯の中で見たという証言があるんですが。定山渓温泉、湯涌温泉、長島温泉、徳島温泉、宇品温泉、天拝山温泉」
と記者は名前を挙げる。
 
全部見られてるじゃん、とマリナは思った。
 
「そうですね。確かに女湯に入っていますが、少なくとも女湯にしか入れない身体でしたね、ふたりとも。男の身体なのに誤魔化して女湯に入ったりはしてませんよ」
とマリナは笑顔で答えた。
 
「つまりおふたりとも性転換しておられたということですか?」
 
「長島温泉ではアクアちゃんと遭遇しましたから、たぶんアクアちゃんと同じ性別だと思います」
とマリナが言ったのには、笑い声が多数あがった。
 
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「つまりおふたりとも実は既に女性になっておられるんですね?」
 
ああ、みんなアクアは女の子だと思っているなとマリナは思った。
 
「そのあたりはご想像にお任せします」
と言ってマリナは逃げておいた。記者もあまりしつこくは訊かなかった。
 
ただ、2人は“違法なこと”はしていないのだろうと判断してもらえたようである。
 
翌日の新聞には
「ローザ+リリンは2人とも女になっていた!」
という見出しが躍り、ケイナはむせ返っていた!
 

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ローズクォーツのアルバム『Rose Quarts Plays Pops』は年明け早々に制作を開始した。最終的に選んだのは次の14曲である。
 
Olivia Newton-John "Xanadu"(ザナドゥ)1980
Elaine Paige "Memory" from the musical "CATS" 1981  Highest = C6
Barbra Streisand "Woman in Love" 1980 Taylor Swift "Love Story" 2008 Katy Perry "I Kissed a Girl" 2008
Avril Lavigne "Girlfriend" 2007 The Cardigans "Carnival" 1995
Carly Rae Jepsen "Good Time" 2012
Vanessa Carlton "A Thousand Miles" 2002
C+C Music Factory "Gonna Make You Sweat (Everybody Dance Now) " 1990
t.A.T.u. "All the things she said" 2002 Eurythmics "There Must Be an Angel (Playing with My Heart)" 1985 Highest = E♭6
 
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DVD Only
Village People "Y.M.C.A." 1979
SPANKERS "Sex On The Beach" 2010
 
CDの方には最後の2曲以外の12曲が入っており、DVDの方にのみ、Y.M.C.A. とSex On The Beach という“危ない”2曲が入っている。
 
元々リクエストに応じて“何でも演奏しちゃう”バンドであるローズクォーツ(推定レパートリー5000曲)に、ドサ廻りで、やはり、リクエストされたら“何でも歌う”ローザ+リリン、という組合せなので、全ての曲をほぼ1発で弾きこなし・歌いこなした。
 

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「しかしマリナちゃん、よくこんな高い音が出るね」
と今回、雨宮先生に指名されてプロデューサーをしてくれた、毛利五郎さんも感心していた。
 
「玉が無くなったから出るようになったのかも。毛利先生も玉取ってみません?」
「いや、それは困る」
「本人より奥さんが困るかもね」
とヤスが言っていた。
 
今回の音源制作ではその奥さんが、フライドチキンとか、お手製の肉まんとか、いろいろ食べ物やおやつを差し入れてくれて、快適だった。
 
「毛利さん、お酒は飲まないんですか?」
「うん。結婚してから辞めた」
「へー!偉い」
「タバコも子供が煙をすったりしたら悪いから辞めたし」
「すごーい!」
 
この業界はヘビースモーカー、ヘビードリンカーが多い。ケイナとマリナは、度を過ぎない程度ならお酒は飲んでもよいことになっているものの、“女性歌手”という立ち位置から、タバコは禁止されている。元々マリナは吸っていなかったが、ケイナは最初の頃、禁煙が辛そうだった。
 
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さて、その毛利さんのいう“高い声”だが、
 
マリナはCATSのテーマ『メモリー』で最高音C6を安定して歌って2オクターブ半 (G3-C6) もある歌の音域をオクターブずらしもせすにちゃんと歌っている。この曲を歌うほとんどの歌手は途中でオクターブ下げたり、また高音域の歌手と低音域の歌手が組んで2人で歌ったりする(舞台ではしばしばこの方式)。
 
またCDラストになるユーリズミックスの『There Must Be an Angel』冒頭スキャットでは一瞬だがE♭6まで出している。この音が出るのは天然女性のソプラノ歌手でも、そうそうはいない(“男の子のはず”のアクアがF6まで出しちゃうのは置いといて)。
 
ケイナも男声が出なくなって現在女声だけなのだが、E♭5くらいまでが限界で、だいたいアルト音域である。つまりマリナはケイナより1オクターブ高い所まで声が出ていることになる。
 
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ローズクォーツもローザ+リリンもうまいので、毛利さんも数テイクでOKを出す。それで曲数は多いしローザ+リリンが正月の特別番組の撮影に取られる中、音源制作は自体は順調に進んで1月中には完成。2月は主としてPVの撮影になった。最後の2曲をCDには入れないというのは醍醐春海の提案らしい。これを入れるとCD自体が、中学高校などで校内放送禁止になることは確実、と醍醐は言ったという。
 
“Y.M.C.A.”は、西城秀樹『ヤングマン』のイメージから、元気で健やかな歌と思っている人もあるが、原詩を見れば“ホモ勧誘ソング”であることが一目瞭然である。今回はマリが張り切って、原詩のテイストにかなり近い訳詞を書き、ケイナもマリナも「本当にこれ歌うの?」と、随分嫌がった曲である。
 
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しかしこんなのは天然女子には絶対歌わせられない歌であり、ボーカルがローザ+リリンだからこそ成立した演奏だった。2人は男声は出ないものの、アルトのいちばん低い付近の音域で歌っていて、ちょっと中性的な雰囲気に仕上がった。PVはケイが『実写はやめてね』と言ったのでモグラのアニメになっていた。
 
そしてラストの"Sex On The Beach"も、普通の女子にはなかなか歌わせられない曲である。これも平気で裸になっていた、ローザ+リリンだからこそ成り立つ演奏である。この曲のPVでは、ケイナとマリナがセクシーなビキニ姿になり、セクシーポーズで、背の高いサトの両側至近距離で“シナを作る”様子が映っている。こういう“お色気芸”も、ドサ廻りで鍛えているケイナとマリナには、わりと得意な芸である。サトが「ちょっと変な気分になった」と言っていた。
 
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176cmのケイナ、172cmのマリナが、190cmのサトのそばでは小さく見えるのでとてもいい雰囲気の映像になった。
 
このビデオには、発売後「不覚にもズリネタにした」という男子たちからの声が多数あったし、女子たちからは「女の子のマリナちゃんだけじゃなくて、男の娘(*1)のケイナちゃんもセクシーだね」と評価された。
 
このPVは実は毛利さんの奥さん(以前音楽業界に居た人らしい)が監修したそうで、女性の目で制作されたことから、セクシーなのに“いやらしさ”がなく、おかげで放送禁止にはならず、テレビでも深夜の番組では結構流されていた。
 

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(*1) 最近、ケイナは男の娘とみなされているようだ。おっぱいは大きくしていて睾丸は取っているという説が有力になっている模様。そして「睾丸が無くておっぱいが大きいなら女湯もギリギリ許されるよね」などと随分ネットに書かれていた。マリナは性転換して完全に女の身体になっているというのが、既に確定情報になっている。
 
「でも睾丸取ったのなら、子供は作れない訳?」
「睾丸を取る前に精液の冷凍を作ったという話を聞いた」
「マリナちゃんは?」
「性転換する前に卵子の冷凍を作ったという話を聞いた」
「性転換前には卵子は無かったのでは?」
 
でもふたりの間にはたぶん子供もできると考えている人が多いようであった。
 

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ところでキャロル前田といえば、一時はアクアのライバルと言われた男性(?)アイドルだったが、2017年の春に去勢していることが報道され、本人も記者会見でそのことを認めた上で将来は女性になりたいと言った後、人気が急落。主演していた番組も途中で打ち切られ、事務所との契約も切られて、その後、しばらく芸能界から消えていた。しかし1年ほどの冷却期間をおいてから2018年秋に@@エンタテーメントと契約してロッカーとしてカムバックした。
 
“キャロル前田とアドベンチャー”というバンドを結成して活動再開。アイドル時代のファンの一部をコアとして新たなファンも付き、ロックミュージシャンとしては海外でむしろ評価されている。
 

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