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■春暁(3)

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一方、マリナはいちばん若い子たちで構成されている(ギャラも安い)WindFly20のメンバーを連れて今回の旅では最も遠い、出雲大社(島根県)まで出かけて行った。実は遠くまで行くので、一番ギャラの安い子たちを動員したようだ。
 
ねずみは大国主命(おおくにぬしのみこと:だいこく様)のお使いなので、その大国主命を祭る神社の総本社である、ここ出雲大社までいくのである。
 
低予算番組なので、マリナと中核メンバーの数人(佐藤小百合・坂出モナ・鈴木ひかり等)だけがサンライズ出雲(東京22:00-9:58出雲市)での移動で、他のメンバーは高速バス(東京駅19:10-7:21出雲市駅)で来ており、移動だけで体力を消耗していた。
 
しかし出雲大社近くの食堂で出雲ぜんざいを食べ、ついでに朝御飯に“わっぱ飯”も食べたら、高速バスで移動してきたメンバーも、ご機嫌になり、このシーンでは多数のメンバーから、いい感じの反応を引き出すことができ、マリナは随分ホッとした。
 
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それを機会に、ふだん目立たないメンバーからも明るい言葉が出てくるので、とても楽しい旅行になった。出雲大社の沿道にある多数のモニュメントでも各々が様々な役になりきって、楽しい映像を撮ることができた。今回の番組では、この出雲大社組の映像がいちばん良かったとも評された。
 

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拝殿の所では、注意書きも出ているがマリナはみんなに
「ここは他の神社と違って、二拝四拍一拝だから」
と注意した。
 
「何だっけ?」
 
「普通の神社では、二拝二拍一拝だけど、ここは2回お辞儀した後、4回拍手(はくしゅ)して、最後にまた1回お辞儀する」
 
「私、お賽銭入れたら、パンパンと2回手を打ってから目を瞑ってお願い事唱えていた」
 
「本当はその前後にお辞儀が入るんだよね」
「そうだったのか」
 
「あれ拍手(はくしゅ)っていうんですか?柏手(かしわで)と思ってた」
 
「それは“拍手”(はくしゅ)を誰かが読み間違って“かしわで”と言ったのが広まってしまったもので、正しくは拍手(はくしゅ)だよ」
 
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「そうだったのか」
 
実は今回の番組で正しく「はくしゅ」と言ったのは、マリナ組だけだった!これも放送時に結構な反響があった。
 
プロデューサーはマリナ組の映像を先頭に置くつもりで企画していたのだが、メンバーの表情も良かったし、元々精神世界のことに知識があるマリナの解説が充実していたのでこの映像を5つの映像の中で最後に置くことにし。事務所側の許可も取って放送時間も14分取った(他の4組は12分間)。事務所側も最も若くて知名度の低いグループだからそのプロモーションと考えたようである。
 

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「ここ、縁結びの神様だから、みんないい彼氏ができますようにとお祈りしておくといいよ」
とマリナは言った。
 
「でも彼氏できたら辞めないといけないしなあ」
と小百合が言っている。
 
「最近は赤ちゃん産んだ後もママドルとかいって現役復帰する人もいるよ」
「松田聖子さんみたいになれたらいいですよね」
とモナが言っていた。
 
あれ?この子、彼氏いるのかな?とマリナは感じたが、むろん何も触れなかった。
 
マリナは(モナを含む)何人か“精神的に疲れてるな”と思ったメンバーに声を掛けると、休憩中に、本殿裏手の素鵞社(そがのやしろ)に連れていった。お参りした上で、中にある岩に触らせる。
 
「あ、なんか気持ちいい」
とモナが言った。
 
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「癒されていく感じ」
と岸下クリム。
 

そのままマリナも含めて全員5分くらい岩肌に振れていたが、涙を流している子もあった。
 
「ここは特に女の子に効くんただよ」
「へー」
 
「じゃこの中に女装してるけど男の子が混じってたら、その子にはあまり効かない?」
「どうだろうね?いつも女装していて女の子アイドルのメンバーになっているほどの子なら、心が女の子だろうから、ちゃんと効くかもね」
 
「そうか。心が大事なのか」
 
「肉体的に女でも心が男の子だと逆に効かないかもね」
「それはちょっと心当たりがある」
「うん。誰とは言わないけど」
 
「ここまた来よう」
などとモナは言っていた。
 

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だいたい取材が終わった所で帰ることにする。800kmも旅してきたのに、恐ろしいことに0泊である。
 
それで寝台特急組(出雲市18:51→7:08東京)と高速バス組(出雲市19:10-7:01東京駅)に別れることになる。その前に食堂に入り、一緒にみんなで宍道湖七珍の料理を食べながらわいわいやって、それも撮影していたら、そこに一般客が入ってくる。
 
普通のお店で貸し切りにもせずに撮影しているので、一般客が入ってくるのは問題無いのだが、入ってきたのが、フェイ・ヒロシ・丸山アイ・城崎綾香・鹿島信子、それに他に知らない顔の女性3人であったことから、歓声があがった。カメラマンがカメラを回す。ADが飛んで行って「撮影してもいい?」と言って許可を取る。彼女たちはお友達8人で山陰に蟹を食べに来て、出雲大社にも寄ったらしい。
 
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撮影は快諾してもらえたので、WindFly20のメンバーが、(主として)ヒロシの周囲に群がる所が映像に残ることになる。彼は(フェイと)結婚したとはいえ、若い女子たちには充分人気である。自分の夫に女の子たちが群がっていても、フェイは特に嫉妬している様子もない。やはり“愛情”が理解できない性格というのは本当のようだとマリナは思った。
 

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食堂を出て、出雲市駅に行くことにするが、この時、丸山アイが
「マリナちゃん、ちょっと」
と呼ぶので、ADさんに声を掛けてから、アイと一緒に離れたテーブルの所に座った。
 
「これ、君、忘れ物してたから確保しておいた」
とコメダ珈琲店の紙袋を渡す。
 
「わ、ありがとうございます!どこに忘れたんだろうと思ってた」
「東京地方裁判所立川支部の玄関のそばの棚」
「わっ」
「声を掛けたんだけど気づかなかったみたいで」
「すみませーん」
 
「中に入っていた書類、たぶん出すんだろうと思ったから出しといたから」
「え〜〜〜〜!?」
 
紙袋の中を確認すると、コメダ珈琲のサンドイッチ、開封された診断書だけが残っており、未開封の診断書と予め大阪の友人に教えてもらって書いておいた申立書、戸籍謄本は入っていない。
 
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「出したかったんでしょ?」
「それは出そうかと思っていたんですが・・・・」
 
実は裁判所までは行ったものの、恐くなって帰ってしまったのである。
 
「出したら、私が当事者かと思われてさ」
「あら」
「色々訊かれたから適当に答えておいたから」
「え〜〜!?」
「あれ受け答えする内容、だいたい決まっているし」
「まあそうかも知れませんけど」
 

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この人に「勝手なことして」と怒っても仕方ないと思った。この人には善悪とか常識とか倫理とか、していいこと・してはいけないこと、といった感覚が存在しない。自分が好きか嫌いかだけで行動するタイプである。きっと、親切のつもりだったのだろう。
 
「まあいいかな」
とマリナは言った。自分ひとりではいつまでも出せなかったかも知れない。出してもらってよかったのかも知れない。
 
「多分、結果は1ヶ月程度で出せると言っていたから、きっと年明けにも通知があると思うよ。恐らく、その間にマリナちゃんの生まれて以降の戸籍を全部確認するんだよ」
 
「面接とか・・・なかったんでしたっけ?」
「提出時に色々お話ししたから、それでもうOKということだった。最近申請する人が多いから、どんどん処理したいんじゃない?」
「あはは」
 
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マリナは「ありがとうございました」と言って席を立った、彼が握手を求めたが
 
「すみません。もう一度家庭裁判所に行くはめにはなりたくないので」
と言って謝絶したら、彼は笑っていた。
 
「こないだみたいにバリヤを張ってガードできるんだから、平気だろうに」
 
「私の素人霊鎧が“虚空”さんの本気パワーに対抗できる訳がありません」
 
こないだの山中温泉でケイナを守った時は、向こうも本気ではなく戯れのような感じだった。だから簡単なガードで何とかなった。
 
「あはは、その名前を知っているって凄いじゃん。またね」
と言ってアイは手を振って笑顔で去って行った。
 
ところでこのサンドイッチ、もしかして半月前のもの??
 
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(さすがにこのサンドイッチは捨てようと思ったのだが、モナが「私、胃が丈夫なのが取り柄なんです。コメダのサンドイッチ好きです」と言って食べちゃった!その後で特にお腹を壊した様子もなく、凄い子がいるもんだとマリナは思った。このエピソードも放送されだが「モナは人間ではなくアンドロイドなので人間の皆さんはマネしないで下さい」というテロップが入った!)
 

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青葉は、10月26-27日に短水路日本選手権に参加した後、27日の夕方、外出してマリナ・ケイナと会い。ケイナの(夢魔の跡の)除霊をしてあげた。マリナはあらためて謝礼を払おうとしたが「一昨日頂いたので充分ですよ」と言って、受けとらなかった。
 
その後、28日にはバスで他の代表候補長距離組と一緒に長野県の標高1750mにある「GMOアスリーツパーク湯の丸屋内プール」で合宿をした。その後、青葉が津幡に作った“私設プール”に他の女子代表候補(ジャネ・竹下リル・金堂多江・永井蒔恵・南野里美)を招き、自主的な合宿の続きをした。
 
11月下旬、青葉は日本水連から呼ばれて東京に出て来た。実は青葉の来年4月以降の所属先が不明確なので、もし行き先が無いなら、どこか斡旋するけどという話であった。金堂さんが仙台教場に所属し、南野さんも4月から東京教場に所属することになっているSTスイミングクラブが青葉に興味を持っているという話も聞いた。ここは全国に30以上の教場を持っており、北陸には無いものの、金堂や南野とぶつからないように、愛知か京都あたりに所属してもらってもいいという話だった。
 
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青葉は3月いっぱいで大学卒業とともに水泳はやめるつもりだったので、曖昧な答えに終始したが、向こうが本当に心配してるようなので、幡山(ジャネ)さんからも地元のスイミングクラブに勧誘されているので、もしかしたらそちらにお世話になるかもと言って、やっと解放してもらえた。
 

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取り敢えず大宮に行き、彪志の所に泊まって翌日高岡に帰ろうと思っていたら冬子から連絡があり「東京に出て来ているなら音源制作に協力して」と言われる。
 
「私忙しいんですけど」とは言ったものの、結局東京発の新幹線を大宮では降りずに熊谷まで行き、旅館・昭和(郷愁村で若葉が経営している旅館)の特別送迎車(マイバッハS650カブリオレ! 全世界で300台限定の特別仕様車。普段はここで結婚式を挙げるカップルや1泊50万円のインペリアルスイートの宿泊客用)で迎えに来てもらう。貧乏性(貧乏症?)の青葉は、物凄く落ち着かなかったが、こんな車で迎えてもらったら、少しは協力しないといけないかなという気になった。
 
それでローズ+リリーの制作中のアルバムの中の曲『紅葉の道』に龍笛を入れた。龍笛はローズ+リリー特製の“ドレミ調律”の龍笛(花梨製)を1本プレゼントされた。この春から、冬子さんと千里姉が共同で開発していたものらしい。制作にあたっては、その2人の他に、今田七美花・秋乃風花・鈴木真知子・町田朱美といった人たちも関わっているらしい。
 
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「煤竹製のをプレゼントしたいけど、制作に時間がかかるんだよ」
「いえ、私はいつも花梨製を吹いているので、この方が気楽です。でもそのままドレミが出るって凄いですね」
 
このドレミ龍笛は10月に完成したばかりで、先月制作した『うぐいす』の制作でも使用したということだった。そちらでドレミ龍笛を吹いたのは千里姉だが、冬子さんは「2番か3番かはよく分からない」と言った。一応、2番さん用と3番さん用に1本ずつプレゼントしたらしい。「1番さんに吹かせたら、多分スタジオが爆発するから」などと冬子さんは言っていた。
 

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