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■春宵(15)

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「それどころか、doces flores の2人は、doces flocos から、性的なサービスを求められたら応じなければならないという契約になっているらしい」
 
「日本なら無効な契約だな」
 
「もっとも doces flocrsの2人は12歳で去勢されちゃってるから、ちんちんは立たないし性欲も無くて、性的な要求をすることはないと言っていた」
 
「まあ玉が無ければ仕方無いね。普通の人は立たないし」
とタカが言うが
 
「あら。私は玉が無いけど、ちゃんと立つわよ」
と雨宮先生。これについてはケイが
 
「それは先生が非常識なだけです」
と言っていた。
 
「あの子たち、おっぱいも大きくしてるし、日常的に女性ホルモン飲んでるから、凄く女らしかったね。声変わり前に去勢しているし、外見上は女にしか見えない。性別を疑われたら、ステージ上で、ちんちん見せて男の証明をする」
とマリが言う。
 
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「ちんちん見せるって、私たちがやってたのと同じか」
とケイナ。
 
「そのちんちん取って、本当の女の子になるつもりはないの?と訊いたけど、自分達は男だから、女にはなりたくないです、と言っていた」
「アイデンティティの問題ですね」
とマリナ。
 
「ローザ+リリンはもうアイデンティテイも女になっている気がする」
とマリが言うが
 
「私、男ですよぉ」
とケイナは反対する。
 
「マリナちゃんは女の子だよね?」
とマリは尋ねたが、マリナはそれには答えず
 
「まあ私たちもローズ+リリーを追い越して、ローズ+リリーを私たちの性奴隷にできるくらい頑張ろうよ」
と言った。
 
ケイも微笑んで
「うん。その勢いで頑張って。まあ私たちは追い越されないけどね」
と答えた。
 
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マリナは『Rose Quarts Plays Sex Change』を制作する点でひとつだけ問題があると言った。それは先日のツアー以降、自分たちは男声が出なくなってしまったという問題である。
 
「女声で歌わせます?」
とタカが訊いたが
 
「それでは興ざめよね。ちょっと待って。そのあたりの調整ができる人を知ってる」
と言って、どこかに電話していた。
 
それで翌日!の11月16日から、都内のスタジオで始まった制作にやってきたのが丸山アイである。
 
「おはようございます。お世話になります」
と挨拶する。マリナは先日の大宮万葉との会話から、自分たちが女性に変わってしまったのは、この人の悪戯ではないかと想像していた。そのことはケイナには言っていない。
 
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(なお、ケイナは短水路選手権が終わった後で、大宮万葉のところに連れていき、“夢魔の跡”は除霊してもらっている)
 
「男の声が出るようにしたいのね」
「はい」
 
「でもあなたたち、女の声で歌う方がいいのでは?」
「このアルバムは男声で出したいんですよ」
と言って、アルバムの内容を説明したら、丸山アイは大笑いしていた。
 
「これタカさんがOzma Dream と一緒に歌った版も買ったよ。もうちんちん切られる所を想像して興奮して、オナニーしまくりだった」
などと言っている。ちんちんあるのか!?
 
「それで自動性転換機とか作ったんだけど、ケイナちゃん要らない?」
「要りません!」
「誰かで実験してみたいのに。高校生時代のケイにも訊いたけど、あの子、既に性転換したから要らないと言ったし」
 
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要するに実験台か?しかし時系列的に矛盾している気がするが。
 
「今回もあの時と同様に、ダウンロード販売のみで、18歳以上でないと買えません」
とタカが説明する。
 
「まあ中学生が聴くアルバムではないよね」
とアイも理解を示した。
 
「じゃあ、1ヶ月くらい男声も出るようにしてあげるから、その間に『Brass Quarts』の男声版も出しなよ」
とアイ。
 
「ああ、それは面白いかも」
と雨宮先生も言った。
 
「これはちょっとした気功なのよ」
と丸山アイはケイナとマリナの喉の所にしばらく手を当てていたが、すると2人とも男声が出るようになった。
 
「あのぉ、女声が出ない気がするんですが」
「出るはずよ。女声を出していた時の感覚を思い出して」
 
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「あ、こうかな」
とマリナが女声を出してみた。
 
「そうそう、それ」
「声を通す場所が違う気がします」
「ちょっと待って」
とケイナも悩んでいたが
「こうかな?あ、出た」
ということで、ケイナもちゃんと女声を出すことができた。それでしばらく2人は両声類することになる。
 

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コスモスが頑張って営業してくれたお陰で、ケイナとマリナは11月下旬から12月に掛けて、多数の番組(多くが年末年始の特別番組)に出演することになり、午前中スタジオに入ってボーカルの吹き込みをしたら、午後からはテレビ局に行って、番組の撮影をするなどというのをこなした。
 
毎年好例の芸能人クォリティ評価番組にも出してもらったが、他の出演者が★★★からスタートするのに対して、ローザ+リリンは最初から「そっくりさん」ランクになっている。1回でも間違えると“映す価値無し”に落とされて画面から消える。
 
「君たちは存在そのものがそっくりさんだから、ここでいいよね」
と司会者が言うのに対して
「はい、いいです」
とケイナもマリナも笑顔で答える。
 
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ところが第1問のワインをきちんと正解したので「偉い。偉い。ランクあげてあげるよ」と言われて★(シングルスター)芸人にランクアップ。この番組には本来ランクアップルールは無かったのだが「そっくりさん」スタートだったので、ローザ+リリンだけ、ランクアップが適用された。
 
第2問の吹奏楽も正解して★★に上昇。計3問の社交ダンスは間違えて★に落とされ、第4問の味覚でも間違って「そっくりさん」に舞い戻るものの、第5問の弦楽四重奏で正解して★にランクアップ。そして最後の牛肉問題でも美事正解して特に2ランクアップしてもらえて★★★で終わることとなった。
 
そういうわけで「映す価値無し」になって画面から消える芸能人が相次ぐ中で、最後まで消えずに持ちこたえ、司会者から褒めてもらった。
 
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この番組にはアクアと西宮ネオンのペアも出ていたのだが、ふたりは連続して4問間違えて最速で“映す価値無し”になり、画面から消滅。全国のアクアファンから悲鳴があがった。(アクアは未成年なのでワインの問題はネオンが回答。小さい頃から良い楽器の音を聴いて育ち、ストラディヴァリウスやグァルネリの生音(なまおと)も何度も聴いているはずのアクアが、ヴァイオリンの音も吹奏楽も間違えた!)
 

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ローザ+リリンは、温泉を訪ねる旅番組にも出演した。石川県の山中温泉・山代温泉を訪ねる内容で、ふたりは「見た目は女だけど、実は男」なので、温泉に入るのは困難というのは事前に言ってあり、実際に温泉に入るのは、ステラジオのホシとナミの予定だった。
 
ところが・・・2人は旅先で体調を崩してしまった。ホシが完璧に風邪っぽい症状で、料理を食べるシーンはこなしたものの、温泉に入る撮影は厳しい状況だった。医師を呼んで診察してもらったらインフルエンザという診断である。念のため、いつも一緒に行動しているナミもウィルス検査を受けさせたら、彼女も陽性だった。まだ症状は出ていないものの、数時間以内に発症する可能性があると医師は言った。ふたりとも一応タミフルを処方してもらった。
 
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それで2人ともお風呂に入るシーンは無理だ。
 
番組スタッフはローザ+リリンに打診した。
 
「君たち2人とも性転換したという噂があったけど、だったら女湯に入れる?」
「他のお客さんもいるんですか?」
とマリナは尋ねた。
 
「実は女湯だけを1時間貸し切りにしていて、そこで撮影する予定だった。旅館に照会してみたけど、今日は男性の団体さんが入っているから、男湯の貸し切りは無理らしい」
「貸し切りならいいよね?」
とマリナはケイナに訊く。
 
「私たち、性転換しているわけではないのですが、女体偽装しているので、実は男湯に入るのは困難なんですよ。といって、他のお客さんがいる時に女湯に入るのは、倫理上の問題がありますけど、貸し切りなら問題ないと思います」
 
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「直接おっぱいとかは映さないけど、水面下にあるバストが多少映り込んだりする可能性はあるけど」
 
「それは全く問題ありません」
「私たち5〜6年前までは裸芸やってたし、今更です」
 

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それで2人はその時間にこの温泉宿の女湯に、撮影隊と一緒に行ったのである。
 
貸し切りにしているということだったので、誰も居ないだろうと思っていたら、脱衣場に人影があったので、全員慌てて外に出る。
 
「あ、ごめんなさい。10時から11時まで貸し切りになると聞いてたから、それまでに上がるつもりだったのが、遅くなっちゃって」
と言って出て来たのは、丸山アイであった。
 
「丸山アイさん!こちらへはお仕事ですか?」
とプロデューサーが尋ねる。
 
「ちょっと知り合いに会いに来たんだけど、会えなかった」
「もしお時間があったら、うちの番組に出てもらえません?今ここで出会ったという設定で」
と言いながらマリナを見るのでマリナも頷く。
 
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プロデューサーとしては、ローザ+リリンでは出演者として軽すぎるので、一応料理シーンにステラジオは出てはいるものの、温泉シーンにアイのレベルの芸人さんに出てもらえたら、折角の正月番組の体裁が取れるという所だろう。
 
アイは言った。
「設定も何も本当に今ここで会ったね。この子たちとは定山渓温泉でも一緒にお風呂に入った仲だよ」
 

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それで今お風呂からあがったばかりの丸山アイが、そのまま女湯に逆戻りし、ローザ+リリンと一緒にお風呂シーンに出演することになった。
 
まずはローザ+リリンの2人が女湯に入ろうとしていたら、そこから丸山アイが偶然出て来て「一緒に入りましょう」という話になるという、再現ドラマを撮影してから中のシーンに移る。
 
撮影スタッフは男性が多いので、まずはスタッフの中の女性がローザ+リリン、丸山アイと一緒に中に入った。(彼女は着衣)
 
マリナはケイナに「絶対にアイちゃんの身体に触れたり、握手したりするなよ」
と小声で注意した。ケイナは訳が分からないようだったが「うん」と頷いた。
 
洗い場で身体を洗ってから、湯船に入る時、丸山アイがマリナの身体をじろじろ見ていた。
 
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3人が湯船に浸かった所で女性スタッフが、他の男性スタッフたちを呼んで来る。そして撮影は開始された。
 

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お風呂の中の設備、広い湯船(楊貴妃の湯)の他、傾城西施の湯(薬草湯)、虞美人の湯(泡風呂)、そしてガラス戸の向こうには露天風呂の王昭君の湯と並んでいる。“中国四大美女の湯で、あなたも美人に”などと、能書き?が書かれている。
 
「中国四大美女って、こういう組合せでしたっけ?」
とマリナが博識そうなアイに尋ねる。
 
「色々説はあるけど、この4人の名前が挙げられることもある。他には、貂蝉、卓文君あたり」
「なるほどー。そのあたりも美人っぽい。でも貂蝉って三国志演義の中の登場人物ですよね?」
 
「そうそう。日本四大美人に額田王(ぬかたのおおきみ)・小野小町(おののこまち)・衣通姫(そとおりひめ)に加えて、かぐや姫が入っているみたいなもの」
と丸山アイ。
 
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額田王と小野小町はいいとして、衣通姫(そとおりひめ)の名前が出てくるのがさすがアイだなとマリナは思ったが、案の定ケイナは知らなかったようである。
 
「そとおり姫ってだれだっけ?」
「允恭(いんぎょう)天皇の奥さんの妹で、別名・おとひめ。天皇が彼女に熱をあげて通ったので、お姉さんである皇后が凄い嫉妬したらしい」
とマリナは説明した。
 
「いんぎょう天皇??」
ケイナはこの天皇の名前自体を知らないようだ。
 

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「仁徳天皇の息子で、雄略天皇のお父ちゃん・・・でしたよね?」
とマリナは最後はアイに確認する。
 
「正解。ちなみに衣通姫にはもうひとつの説があるよね」
 
「はい。允恭天皇の娘・軽大郎女(かるのおおいらつめ)という説もあります。こちらはお兄さんの軽王子(かるのみこ)が実の妹である彼女を好きになってしまって、兄妹なのに結婚しちゃうんです」
 
「兄妹婚はまずいな」
とケイナ。
 
「それが原因で軽王子は皇位を継げなかった」
とマリナ。
 
「そうそう。マリナちゃん、日本史に詳しいみたい」
「古代史が好きなだけです。実は鎌倉以降はよく分かっていません」
 
「ああ、そういう人は結構いる。マリナちゃんなら日本四大美女にもうひとり誰を入れる?」
 
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「丸山アイさんを入れたいですね」
 
「ボク、その手のお世辞が嫌いなんだけど。それにボクは男の子だから対象外」
「アイさんって、男の子でしたっけ?」
「ケイナちゃんも男の子だよね。堂々と女湯に入っているけど、この中で実は女の子はマリナちゃんだけ」
「まあ貸し切りだから、いいでしょう」
とマリナはその言葉をスルーした上で
 
「丸山アイさんを入れないなら、藤原道綱の母かな」
と言った。
 

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するとケイナは
「あ、高校の古典で習った。更級(さらしな)日記の作者だっけ?」
と言うので、マリナは
「蜻蛉(かげろう)日記だよ」
と訂正した。
 
「あれ〜?」
 
「更級日記は、菅原孝標女(すがわらたかすえのむすめ)だよ。ちなみに、更級日記の作者は、蜻蛉日記の作者の姪にあたる」
「へー!」
 
この時、アイはさりげなく、ケイナの身体に触ろうとしたのだが、マリナが自分の手で遮って阻止した!アイが意味ありげな視線でマリナを見るが、マリナは微笑みで返した。
 
なお、この場面は、放送時には、小野小町・額田王・衣通姫・藤原道綱母・菅原孝標女の肖像が挿入された。
 

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