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■△・瀬を早み(14)

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2017年のアクアのスケジュールはこんな感じで進行した。
 
2016.11月-2017.1月 『時のどこかで』撮影
2016.12.24-1.5 冬のドームツアー
2017.2-7月 『ときめき病院物語III』撮影
2017.03.11-12日 震災復興支援イベント
2017.04.29-5.07 春のドームツアー
2017.07.15-8.06 夏の全国ツアー(7.29苗場)
2017.08.07-9.02 『キャッツアイ』撮影
2017.10.7-12日 厄払い旅行
2017.11月-2018.1月 『少年探偵団』撮影
2018.2-7月 『ほのぼの奉行所物語』撮影
 
9-10月はドラマの撮影にも映画の撮影にも掛かっておらず、比較的スケジュールに余裕がある。とはいっても、毎日どこかのテレビ局かスタジオに行ってお仕事があるのは変わらない!
 
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もっとも9-10月に比較的ゆとりができたのは映画『キャッツアイ』の撮影で、アクアがほとんどNGを出さず、撮影がすいすいと進行したことによるものが大きい。
 
なお、この年リリースしたCDは下記である。
2017.03.22 Aq8『星の向こうに/ナースのパワー』
2017.07.05 Aq9『憧れのビキニ/サンダーボルト−青天の霹靂』
2017.10.04 Aq10『真夜中のレッスン/恋を賭けようか』
2017.12.27 Aq11『夕暮れ時間/BD Fight!』
 
アクアのCDは毎回ミリオン売れているのだが、特に9枚目のシングルはカップリング曲で出した『サンダーボルト−青天の霹靂』が大きく話題になり、200万枚を超えるヒットとなって、この時点でアクアの最大ヒット曲となった(レコード会社では増刷する時に両A面に変更した)。
 
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アクア主演(小林少年役)の連続ドラマ『少年探偵団』の撮影は3ヶ月間の放送分(全12回)を11月上旬から2月下旬までの3ヶ月で撮影するので、無理は無さそうに見えるのだが、この時期は年末年始の特番が入るし、出演者もツアーに入ったり、ディナーショーをしたりするケースがあり、出演者のスケジュール確保が実はかなり厳しい。
 
それでアクア以外にもボディダブルで撮影しておいてアフレコする、というケースも多く、制作現場は結構混乱していた。しかもアクアのボディダブル今井葉月のように、多くの共演者に覚えてもらっている人ならいいのだが、あまり馴染みの無い人、あまり見たことのない人が入っていたりすると、共演者も誰が誰の役だか分からなくなることもあった。
 
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そして撮影も大詰めになってきた2月、アクアのボディダブルである葉月が受験のため、撮影に参加できない事態となる。ここでの葉月の離脱は、受験のためやむを得ないとはいえ、監督が頭を悩ませることになる。
 
一応葉月の代役で姫路スピカや白鳥リズムらが来てくれているのだが、葉月はアクアの代役をやるだけあり、かなりの演技力を持っていたので、やはり、俳優としてはそれほど訓練を積んでいないスピカやリズムでは苦しい所があった。
 

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その日、“アクアたち”は
 
「西湖(葉月)ちゃん、何とか行く学校が決まるといいね」
などと心配しながら、いつものように台本をカッターで3分割!して、3人で分担して読んでいた。
 
その時、ドアノブを回すガチャッという音がする。
 
その瞬間、アクアMが絶妙の反射神経でベッドの下に滑り込んだ!
 
が、NとFはMほどの反射神経が無いので「あっ」とか言葉を発しながらも、その場に座っている。
 
入って来たのは河村監督である。
 
「アクア君、申し訳ないんだけど、どうしても人が揃わないので今夜の撮影は・・・」
とまで言ってから、目の前にアクアが2人居るのを見て驚いた顔をする。
 
「だ、だれ?」
「すみませーん。この子、ボクの従妹でアメリカに住んでいるんですが、久しぶりに日本に帰国したので、陣中見舞いに来てくれたんですよ」
 
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とアクアNが河村さんに説明した。
 
「君、アクア君にそっくりだね!」
「でも女の子ですけど」
「構わん、構わん、君ちょっと撮影に協力してくれない?」
「え〜〜〜!?」
 

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何でも怪人二十面相が少女歌手をコンサートの最中に誘拐するという予告をしているので、小林少年がその少女歌手に変装し、歌手は男装して会場に入るというストーリーらしい。
 
ここでこの少女歌手をアクア自身が演じるという趣向なのだが、この撮影には本格的にボディダブルが必要である(合成している時間が無い)。演技力のある葉月を想定して脚本が作られていたので、何とかスピカに頑張ってもらうか、あるいは誰か演技力のある人を臨時に徴用するか、監督もプロデューサーと議論していたらしい。
 
アクアは背が低いのでボディダブルを務められる人が限られるのである。その中で演技力のある人というのは、ひじょうに難しい。
 
しかし顔がそっくりの人がいれば、演技力がそれほどなくても、結構何とかなると思われた。
 
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「え〜?アクア君の従妹なの?」
とその時残っていたスタッフが驚く。その場に居たのは撮影スタッフと、山村マネージャー(ギョッとしている)、明智文代役の山村星歌である。
 
「君、名前は?」
「じゃアクアの従妹のマクラということで」
「面白い子だ」
「君、物怖じしない性格みたい」
「心臓が5つくらいあるだろうと言われます」
「気に入った。今日のストーリーの撮影をするよ!」
 

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それでマクラ(アクアF)に可愛いアイドル歌手の衣裳をつけてもらい、北里ナナ役をしてもらう。
 
誘拐予告を受けて怖がっているナナの所に
「明智先生が不在なので」
と言って、文代さんと一緒に小林少年が訪れて、予告状を確認し、対策を話し合う場面を撮影する。
 
それで会場まで、小林少年がナナに化けて行くことになる。
 
「すごーい!私男の子になってみたかったの。でも小林さん、男の子なのに、女の子に化けることできます?」
とナナ(演:マクラ=アクアF)が言う。
 
(原作では「小林さん、男の子のくせに、ナナ子になれて?」というセリフなのだが、こういう“悪い意味の無い”「くせに」は昭和40年代頃以降は使用されなくなっているので「なのに」に変更している)
 
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「ちょっと部屋をひとつとナナちゃんの衣裳をひとつ貸して下さい」
と文代が言い、衣裳を借りて出て行く。
 
すぐにアクアがその服を着てメイクもして戻って来る。
 
「すごーい!私そっくり!まるで本当に女の子みたい。いっそのこと、私の代わりにステージで『ナナの海』を歌って下さらない?」
 
とナナが喜んでいるが、この場面は、ほんとに同じ顔が並んでいるので、撮影スタッフの中からも
「凄い」
という声が漏れる。
 
「まあ視聴者は合成だと思うよな」
と山村が(内心は焦りながら)言っている。見ているプロデューサーも頷く。
 

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一方ナナ役のマクラにも男装してもらい、そちらは文代さんが付き添って会場に向かう。一方、ナナに変装した小林少年もマネージャー(人が居ないので、小池プロデューサーがマネージャー役を演じた)と一緒に会場に向かう。
 
移動に車を使う所は、ブルーバックの前に車を停めているセットがあり、そこで撮影しておいて、あとで背景をコンピュータで埋め込む。
 
その後、楽屋で両者が落ち合うシーンが撮影され、やがてコンサートが始まって、ナナが可愛いステージ衣装を着けて舞台に登場、彼女のヒット曲(ドラマの挿入歌『ナナの海』加藤珈琲作詞・琴沢幸穂作曲)を歌う。
 
ところがその最中、突然照明が落ち、灯りが再度点いた時にはステージ上にナナは居なかった。
 
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場面は縛られて猿轡までされたナナが車の後部座席に転がされ、怪人二十面相が車を運転しているシーンに移る。この付近は、車撮影用のセットの所で車だけ交換して撮影されている。なお、今日は二十面相役の大林亮平が来られなかったので、山村マネージャーが覆面を付けて(二十面相が覆面をしているのは全く不自然では無い)演じている。
 
「山村さん、演技力あるね」
などと、監督とプロデューサーが話していた。
 
そしてアジトに連れ込まれたナナが
 
「怪人二十面相君、残念だったね」
と言う場面となる。
 
「きさま・・・まさか小林か!?」
 
(声については後で亮平がアフレコする)
 
「今警察もここに駆けつけてくる。おとなしく縛につきなさい」
「おまえ、まさかその格好でスカート穿いてステージで『ナナの海』を歌ったのか?」
「君はすっかり欺されたようだね」
「お前、女の子になる才能あるぞ、いっそ性転換して少女探偵にならないか?」
「ボクは別に女の子になる趣味はないけど」
「嘘つけ!」
 
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という台詞のやりとりには、撮影スタッフや、傍で見ているマクラ(アクアF)も忍び笑いをしていた。
 
しかしそこにパトカーが到着するような音がする。
 
「くっそう。この勝負はまたお預けだ」
と二十面相は言うと、発火装置のボタンを押し
 
「警官がこの部屋に辿り着くまで、お前生きてたらいいな。じゃな」
と言って、秘密の出口から立ち去ってしまった。
 
物凄い煙の立つ中、ナナの可愛いステージ衣装を着たまま、縛られて苦しそうにしている小林少年(アクアN)。そこにやがて制服姿の警官数名(テレビ局のADさんたち)と、明智文代が駆けつける。
 
「文代さん、ごめんなさい。二十面相逃げてしまいました」
「いや、あなたが無事だったから良かった」
と言って、文代は小林少年の縄を解き、抱きしめた。
 
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(山村星歌は「アクアちゃん抱きしめちゃった。役得、役得」と言っていたらしい)
 

この日は深夜2時すぎまでこのクライマックス場面を4時間ほど掛けて撮影。残りは最終回の1回だけとなる。
 
「マクラちゃん、凄くいい演技してた。君も女優デビューするつもりない?」
「すみませーん。もう来週には向こうで学校が再開するので帰らなくちゃいけないんですよ」
「だったら、今週いっぱいは撮影に協力してくれない?」
 
「人気絶頂のアクアの従妹とかで騒がれたくないから、他の俳優さんたちのいない所でなら応じてもいいです。あと、私のこと自体を秘密にしてくれませんか?記者にアメリカまで追いかけてこられたら迷惑だし」
 
「いいよ!それでいこう!」
 
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そういう訳で、この後今週いっぱい、アクアは2人体制で残りの撮影を行い、『少年探偵団』は無事クランクアップに至ったのであった。結果的に葉月が出て来られなかった所を3人のアクアでカバーしてあげたようなものであった。
 

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2018年1月15日、千里C(せいちゃん)が中心になって開発していた○○建設のシステムがリリースされ、せいちゃんも肩の荷を下ろすことが出来た。
 
1月21日、貴司が阿倍子と離婚した。慰謝料の1000万円は先行して阿倍子に渡したので、このお金で阿倍子は自分の母から実家の土地建物を買い取り、阿倍子の母はそのお金を、この物件の所有権を巡って揉めていた従姉に遺産相続の遺留分として支払い、実家の所有権問題は解決した(貴司が依頼した弁護士に同席させ、念書を取った)。
 
それで阿倍子は実家に戻ることができることになり、1月23日に引越をすることになった。しかし阿倍子は体力が無く作業が全然出来ない。それで貴司が引越を手伝っていたものの途中で喧嘩になってしまった。結局貴司が千里(千里1)を東京から呼び出して、手伝わせることになる。
 
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