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■△・瀬を早み(10)

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11月10日。与党の老齢の代議士で、いくつもの大臣職を歴任し、政界のドンと呼ばれたPが亡くなった。
 
このニュースを見て、千里2は
「いよいよ来るな」
と感じた。
 
千里以外にもこのニュースから、約半年後に始まる音楽業界の大騒動を予測した人物が数人居た。
 
沖縄でこのニュースを見た照屋清子は、紅川会長に電話を掛けた。
「内密にちょっとお話ししたいことがあるんです。私、ノロという立場上、あまりここを離れられないので、お忙しい所を大変申し訳無いのですが、こちらに一度来て頂けませんでしょうか?」
 
ちょうどその日は長崎の実家に寄っていた久保早紀は
「取り敢えずビットコイン・キャッシュを少し売るか」
などと呟き、それからある人物に電話を掛けた。
 
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「以前言っていた話だけど、適当そうな人物見つかりました? へー、TS大学の?うん。じゃ一度一緒にその人と会いませんか? いよいよミューズ・プロジェクトを始めましょう」
 
11月13-15日、青葉は短水路の日本選手権に出るため東京に出てきたのだが、その時、冬子から東京に出てきているなら、時間が取れたら寄ってと言われていた。しかし特に何か用事がある訳でもないようだったので、今回はパスさせてもらって、彪志のアパートに泊まった。
 
その青葉の行動を確認して、千里2は《きーちゃん》に頼み、青葉に擬態して冬子のマンションに行ってもらうと、幾つかの注意を冬子にしてもらった。
 
・『フック船長』を書いた琴沢幸穂は千里姉や冬子さんの強烈なライバルになる可能性もある。負けないように頑張って下さい。
 
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・上島先生としばらく会わないようにして下さい。特に何か一緒にやろうみたいな話は絶対に断ってください。上島先生は近い内に大きなトラブルに巻き込まれます。冬子さんまで巻き込まれたら、日本の音楽業界が崩壊します。
 

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11月17日、青葉がローズ+リリーのアルバムに入れる『ふるさと』という曲のデータ(Cubaseのプロジェクトデータ)を千里1の所に送付した。千里1はこれを《あたかもケイが書いたかのような曲》に改変して《きーちゃん》に渡した。そして《きーちゃん》は最終調整のために千里2に渡したのだが、千里2はデータを見て、すぐにこれは元々冬子(ケイ)が書いたものだと気付いた。それで、メロディーをケイが書いたであろう元の形に修復してしまった!更に和音の使い方などを高校時代の冬子の流儀に変更して、20日にケイのマンションまで持っていった。
 
ケイはデータを再生してみてギョッとしているようだった。
 
「ちなみにこれが青葉が書いたオリジナル、その後青葉の友人が編曲したもの、そしてこれが最終的に私が調整したもの」
と言って千里が3枚の譜面を並べると、冬子は何だか悩んでいた。
 
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この日はカウントダウンライブで『雪を割る鈴』に使うバヤンのことで冬子と話した。実際のバヤンという楽器を見せてもらったら、ボタンの並びが、千里が以前使ったことのあるドイツ式アコーデオンと似ているので「これなら練習すれば弾けると思う」と言って、持ち帰り練習することにした。
 

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信次は会社の健康診断でひっかかり「要精密検査」と言われ、病院にやってきた。レントゲンを撮られたり、よく分からない注射を打たれたりする。
 
医師は言った。
 
「腫瘍が出来ています。見た感じは良性のものにみえますが、念のため組織検査をさせてください」
 
それであらためて大きな病院で1日入院して更に検査を受けることになり、紹介状を書いてもらった。
 
「面倒くさいなあ。俺忙しいのに」
などと信次は呟いていた。
 
しかし会社からの指示で受けている健康診断なので結果は上司にも報告しなければならない。すると上司は
 
「君、結婚も控えているんだろ?健康的な不安は取り除いておかなきゃいけないよ」
と言われ、1日入院することになった。
 
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11月25-26日。全日本バスケットの3次ラウンドが行われ、ここまで勝ち上がってきたアマのチームとトッププロチームが対決した。
 
ほとんどの対戦でプロ側が勝ったが、唯一、佐藤玲央美たちのジョイフルゴールドだけが、プロチームを撃破してお正月の全日本(オールジャパン)への出場を決めた。
 
この大会にレッドインパルスの一員として出場したのはむろん千里3である。千里2の方は、25日夕方東京に戻った後、フランスに移動して11月26日15:30(日本時間26日23:30)からの試合に出た。
 

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11月25日に青葉が(高岡で)友人同士集まって、成人式の振袖の事前撮影会をしたいので、東京付近の友人を運んでくれないかと千里2に打診があった。
 
「奈々美ちゃんがいなければ簡単なんだけどね」
「なんかまずかったっけ?」
「26日に全日本の3次予選があるんだよ。奈々美は当然私はその試合に出ると思っている」
「わっごめん!」
 
ちなみに奈々美が所属している東京W大は東京都予選で敗退している。東京の代表はジョイフルゴールドであった。各都道府県から1チームのみしか勝ち上がれないというシステムのおかげで、東京・愛知・大阪で多くの強豪チームが消えてしまっている。
 
「私が24日にそちらに連れて行って、私は25日に新幹線で帰るからさ、帰りは青葉が運転してよ」
 
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「分かった、それで行こう」
 

それで千里2は24日に冬子のエルグランドを借りて、桃香と早月、純美礼、空帆と奈々美を乗せて、高岡まで走った。実際には奈々美も途中の運転を交替してくれた。
 
ところで先月千里(千里1)が高岡に来た時、朋子にかなり結婚に対する疑問を呈されたのだが、それでも一応朋子は千里の結婚を認めてくれたし、信次を歓迎・歓待してくれた。その時、千里1は11月3日に結納をするので、次来た時は指輪を見せるね、などと言っていた。
 
今回千里2が高岡に来た所で、朋子から結納のことを尋ねられるが、千里2は結納の日は郷愁村でローズ+リリーの制作をやっていたので、結納のことなど、全く知らない。
 
それで質問に対してしどろもどろになる(千里2は1番に代わりたーいと思いながら会話している)。更には
 
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「そうだ、婚約指輪を見せてよ」
と言われるのに対して
 
「ごめーん。持ってくるの忘れてきた」
などと言う。
 
それで朋子は、やはり千里はこの結婚にあまり気が進まない思いなのでは?という疑問を持ったのであった。普通ならエンゲージリングなんてもらったら、嬉しくてみんなに見せたがるものではないのか?それを忘れてくるなんて、あり得ないと思ったのである。
 
25日の午前中に市内のホテルで撮影会をし、(振袖を脱いでから)お食事会をした。その後、千里2は新幹線で東京に戻った。また青葉は奈々美・純美礼・空帆を乗せてエルグランドで26日(日)に東京に戻った。
 
そして桃香は最近千里があまりアパートに寄ってくれないこともあり、しばらく高岡で早月と一緒に過ごすことにした。
 
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11月は25-26日は、千里の全日本3次ラウンドにぶつかっていたので、11月19日に千里(千里3)と貴司はデートした。
 
先月はふたりとも試合の後だったのでしなかったのだが、この日は普段のデートのように、体育館で一緒に練習して汗を流してから、ホテルの部屋に入り、いちゃいちゃした時を過ごした。
 
貴司は千里の“川島さんとの関係”が気になったものの、楽しい雰囲気に水を差すだけだしと思い、その話は尋ねなかった。
 
「じゃ次のデートは12月23日に」
「OKOK。クリスマス・イブイブデートだね」
「私たちが結婚できなかった5周年記念で」
「勘弁してよぉ」
「いや、私とちゃんと結婚してくれるまではひたすら虐める」
 

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11月30日、最近貴司と深みにはまりつつあるという気がしていた美映は、やはり不倫はよくないから別れようと貴司に提案。貴司も同意したものの、ふたりは“ラストデート”で大阪市郊外のホテルに行った。
 
ふたりのホテルデートはこれが最初で最後になった。
 
貴司の男性器が大きくならないので
「もしかしてED?」
と訊くのだが、貴司は
「悪い。妻以外の前では立たないんだ」
などと言う。
 
何て堅物(かたぶつ)なの!と美映は呆れたのだが、そんなことを言っている貴司が可愛く思えて、立たないままの貴司のおちんちんを自分の間に挟んだり転がしたりして遊んだ。女の子のオナニーみたいに指で押さえてぐりぐりしてあげたら「気持ちいい!」などと声を挙げているので、若干貴司のセクシャリティに疑問を感じた。
 
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「指でもよければコンちゃん付けて、入れてあげようか?」
「いや。それは苦手」
 
苦手というのは経験はある訳か・・・と思ったが、深くは考えないことにする。
 
最後はワインで乾杯してからキスして別れた。
 
美映は
「結構楽しかったな。さて、次の“たかし”を見つけなければ」
などと考えていた。
 
美映は小学1年生の時以来、これまで10回以上恋愛しているが、相手の名前が全員「たかし」なのである! だから細川貴司と出会った時、この人と恋愛することになるかもという予感が最初からあった。
 
もっとも美映は恋愛自体はたくさんしていても、実はセックス未経験である。
 
中学時代には相手の家で服を着たまま抱き合い、スカートの中に手を入れられてあそこを直接指でいじられたことがあるが、彼のお母さんが帰宅したので慌てて中断した。高校時代には体育館倉庫で、あわやということもあったのだが、人が来る音がして未遂に終わっている。専門学校時代にバイト先の男の子とホテルに行ったものの、彼はゲイで「入れて欲しい」と言われたので、入れる側は体験した(結構楽しかった)。
 
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しかしまだ入れられる側は体験していない。今回は貴司と、とうとうセックスすることになると思っていたのに、肩すかしになってしまった。
 
「次こそはセックス経験したいなあ」
などと、美映は思わず口に出していた。
 

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貴司と美映が大阪郊外のホテルでデートした夜、千里1は信次と千葉市郊外のホテルに行っていた。
 
実はふたりは9月16日に婚約した後、1度もデートしていなかったのである。10月に北海道と富山に行って、千里の母の津気子と朋子に会った時も宿泊は別々だったのでセックスしていない。11月3日に結納した時も、結納後にデートしていたら千里が会社から呼び出されて急行したので空振りである。
 
この日信次は提案した。
 
「ジャンケンしてさ。勝った方が男役をしない?」
「何それ〜〜?」
 
「これ知ってるよね?」
と言って、ハーネスと***を見せる。
 
「凄いものを持って来たね。買ったの?」
「あ、うん」
「またプライスシールが付いているなと思って」
「あわわ」
 
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慌てて信次はそれを剥がした。しかしこれを千里が知っていたので安心した。
 
「だから千里ちゃんが勝ったらこれで僕に入れていいから、僕が勝ったら、千里ちゃんに生で入れさせてよ」
 
なーんだ。要するに生でやりたいのかと千里は思った。それで
「いいよ」
と了承する。
 

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それでジャンケンした。信次が勝った。
「うっそー!?」
と言っている。
 
千里は「よほど嬉しかったのね」と思ったが、信次は自分が負けるつもりだったのである。信次は実はじゃんけんで人に勝った記憶が全く無い。だから自分は負けるだろうと思ってジャンケンを提案したのであった。
 
ところが千里はジャンケンの結果を自在に操れる。千里のこの技が通用しなかった人は過去に誰も居ない。それで信次が勝つような手を出したのである。
 
(翌年6月4日に千里2が虚空(丸山アイ)とジャンケンして意図と反する結果が出て驚くことになる)
 
「じゃ潔く生で受け入れるね」
と言って千里は信次にキスし、裸になってベッドに横たわった。
 
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信次は、絶対入れてもらえると思ったのに〜!と思いながら、仕方なく千里の上に覆い被さった。
 
(でも生は凄く気持ちよかった−優子と2年前のクリスマスイブにして以来である)
 

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