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■△・瀬を早み(2)

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「まあそういう仕組みでビットコインは作られ、紡がれて行っているんだよ」
と若葉は言った。
 
「でもそのビットコインって実際にお金として使えるの?ゲームの装備とか買ったりするんだっけ?」
「違うよ。世界中のお金持ちが現金をビットコインに両替して所有している」
「なんで?」
「相場があがっていっているからだよ」
「へー!」
 
「ビットコインの相場は2010年頃は1BTC=6-7円だった。2011年頃は1000円くらいになって、2013年頃は5000円、2014年以降は数万円になっている」
 
「それ2010年にビットコインを1万円買っていて、2014年に売ったら1000万円になったということ?」
 
「そそ。だから今6万円でも、3〜4年後には6000万円になるかも」
「さすがにそこまでは行かない気がする」
 
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「それで私、この春に5万円だった時に100億円ほど買っちゃったのよね」
「凄い!」
「これが7月には8万円になったんで、すごーいと思っていたら8月に急落して6万円になっちゃって」
 
「やはり危険だ」
「でもまた上がりつつあるんだよ。多分年内に8万円か、ひょっとしたら10万円くらいまでは戻すと思う」
 
「相場って、まだ上がると思ってると落ちるよ」
「まあ100億くらい無くなっても別に構わないし」
 
「さすが若葉だ」
「でもそういう感覚で相場をやる人は意外に儲かったりする」
と千里は言う。
 
「でしょ。冬も千里も少し買ってみない?」
 
「うーん。じゃ取り敢えず20億くらい」
と千里が言うので
「だったら私も20億くらい買ってみようかな」
と冬子も言った。
 
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「OKOK。私の使っている取引所、紹介するね」
と若葉は楽しそうに言った。
 
この時点で20億円は33,333BTCである。
 

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冬子は考えていた。この春に★★レコードの内紛で株価が何度も激しい上下をした時に、雨宮先生がその相場に参戦し、自己資金に加えて千里から10億と冬子から20億を借りて膨大な利益を得た。それで各々の出資額に合わせて千里に30億、冬子に60億を返してくれた。つまり千里は20億、冬子は40億の利益を得たことになる。
 
しかし千里は雨宮先生にお金を貸す時、3億は自己資金だけど残り7億は借りると言っていた。その7億を返したら千里の手元に残るのは23億である。
 
冬子と千里はこの莫大な資金を使って深川アリーナの建設をすることにした。この建設費は冬子・千里・雨宮先生・上島先生・KL銀行で出し合っているのだが、千里の出資額は15億円程と聞いている。しかし彼女は千城台体育館のほうでも9億円使った。
 
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ということは資金的な余裕は全く無いはずである。更に★★レコード株で儲けた分の税金を10億円、来年の3月には払わなければならない筈である。
 
それなのに彼女は気軽に20億と言った。恐らくは“無くしても悔やまない”程度のお金のはずである。ひょっとして元々千里はかなりの資金を持っていたのかも知れないと冬子は考えたのである。ひょっとして私より多かったりして?(このあたりは嫉妬)
 

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実際の千里の資金力であるが2016年春の段階で13億円ほどの資金を持っていた。だから雨宮先生から10億貸してと言われた時、本当は無借金で貸すことができたのだが、《たいちゃん》が7億借りろと言った。
 
それで千里は常総体育館と市川体育館の土地・建物を担保に銀行から7億借りた。ふたつの体育館の不動産評価は合計2億しか無かったが、銀行は千里の年収を見て、残りは信用で7億貸してくれた。但し保証人を求められたので、これは雨宮先生が保証人になってくれた。
 
雨宮先生は★★レコード株で70億を280億にするという莫大な利益を得たので、利益の2/3の出資比率配分で20億を千里に還元。出資金と合わせて30億返還してくれた。
 
210億×10/70×2/3=20
 
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それで一時的に資金は40億になっている。
 
但し10億円は税金用に取っておく必要がある。
 
深川アリーナに15億出資したが、その後千城台体育館で9億使った。もっとも今年払う必要があったのは土地代の2億と体育館建設費の前金(半額)で合計5.5億で、両者の合計支払額は20.5億円となり、この時点で千里の手元にはちょうど20億ほどの資金があったのである。千里は実はこの手元にあった資金を全部ビットコインに注ぎ込んでしまった。
 
千里の考えとしては、どうせ毎月数千万円の収入があるし、自分は贅沢な暮らしもしないので、ビットコインにした資産が全部無くなっても特に問題無い、というところである。この付近は結果的には若葉とも似た発想だ。収入の桁が1つか2つ?違うだけである。
 
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ビットコインは2017年2月末にいったん14.6万円まで高騰したので千里は売り時だと思い、33,333BTCを全部売却した。これが48億円になったので、千里は税金14億円を払い、銀行からの借入金7億円を返済した。2016年度の音楽関係の収入が8億円あったので、この時点で千里の資金は35億円になっている。
 
ビットコインは2017年3月末には高騰の反動で11万円くらいまで落ちたので、千里は33億円をまたBTCに交換した。これが3万BTCになっている。
 
その直後、上島先生が江戸娘のオーナーを降りることになり、深川アリーナの運営会社JER4の出資額12億円を買い取ってもらえないかと打診してきた。江戸娘のオーナーは政子が引き受けることにしたのだが、政子に12億円は払えないので千里がこの分は肩代わりした。結果的に千里のJER4の出資額は27億円となって全出資額の46.5%になる。
 
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この時点で千里はビットコインに換えていなかった日本円2億円と、3月までの音楽関係の収入2億円の合計4億ほどの現金(正確には一週間以内に現金化できる資産)を持っていた。そこで再び銀行から8億円を借りて、上島先生に12億円を支払った。銀行は昨年7億円借りたのをきれいに返してくれたことと、昨年の税金支払額が14億もあったのを見て、再度常総体育館・市川体育館を担保に8億円貸してくれた。再び雨宮先生が保証人になってくれた。
 

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しかし千里は、上島さんは数千億円の資産を持っていると思っていたので、上島さんにとって“ハシタ金”かと思っていた12億円程度の株式・債券を買い取ってもらえないかと打診されたことに疑問を感じた。
 
それで千里は上島先生の周辺を調査した方がいいかもと考え、顧問弁護士の白金さんに、必要なら興信所なども使用して内偵してもらえないかと依頼した。
 

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さて、2017年4月16日23:00。代表合宿中であった千里は桃香・京平・雨宮先生から同時に緊急ヘルプを求められ「身体が3つ欲しい!」などと思いながら、取り敢えず最も緊急度の高そうな桃香の所に急行するため、合宿所の建物を出て、大雨の中、傘を差して駐車場に向かおうとしていた。
 
そこに突然の激しい音と光があり、千里は一瞬何が起きたのか分からなくなった。
 
そして千里は4つに分裂してしまったのである。
 
千里0は意識を失って落雷の現場に倒れていたので、救急車で病院に運び込まれた。実際には0には「千里の中身」が入っておらず、肉体だけだったので、意識を「失っている」のではなく「意識が存在しない」状態だった。
 
千里1は駐車場に駐めていたアテンザに乗って桃香のアパートに急行。切迫早産の状態になっていた桃香を近くの産婦人科に運び込んだ。入院手続きをして、桃香の容態が安定したのを見て、いったん合宿所に戻るが“自分が倒れて病院に運び込まれた”と聞いて驚き、千里0が運び込まれた病院に行く。そして千里0と《合体》したことで、千里(千里0+1:千里1の第2世代)は意識を回復した。この千里は持っていたガラケーT008が落雷で焼損したため代わりにiPhoneを購入した。
 
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千里2は気がついたら大阪の、貴司のマンションに居た。京平からの連絡は“京平のママ”阿倍子が熱を出して倒れているということだった。それで彼女を貴司のランドクルーザー・プラドに乗せると病院に連れて行った。結局、阿倍子は入院することになり、貴司も合宿中なので千里2は阿倍子の要請に応じて、京平をプラドに乗せて東京に連れて来た。千里2はT008を継続使用している。
 
千里3は気がついたら羽田空港に居たので、タイでヘルプを求めている雨宮先生を救出にバンコクまで往復して来た。雨宮先生を“引き取った”三宅先生(雨宮先生の妻:事実上の夫)から「千里ちゃんガラケーだからLINEで連絡が取れないから」と言われて、Aquos Phoneを渡された。それで千里3は一時的にガラケーT008とAquosの2台を所有している状態になった。
 
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千里が3つに分裂したことに気付いたのは《きーちゃん》と京平の2人であったが、すぐに3人の中の千里2も自分が3つに分裂していることに気付く。それでその後《きーちゃん》・京平・千里2の3人によって、数年後に千里が1つに戻るまで“△(trinity) Project”が始動することになるのである。
 
なお千里1と2は卵巣・子宮を持っていたが、3は持っていなかった。どうも性転換手術後に美鳳と大神様により消滅していたはずの《性転換手術で作られた女体》を千里3は所持しているようなのである。千里2は《卵巣》がひょっとして小春由来のもの《狐の卵巣》である可能性を考えて《きーちゃん》に生理の排出物を検査してもらったものの、どちらも人間の組織で出来ていたことを確認。1も2も人間の女の卵巣を持っていることが確認できた。つまり千里1には人間の女性生殖器、狐の女性生殖器の2系統が存在するものと思われる。
 
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千里2と《きーちゃん》が話し合った結果、3人の千里が日本国内に居るまま、かち合わないようにするのは至難の業(わざ)だという結論に達し、取り敢えず千里3をフランスの女子プロバスケットボールリーグLFBに所属するMBF(Marseille Basket Feminin)に留学させてしまう。その時「ガラケーはもう海外では使えないんだよ」と言ってT008は取り上げてしまった。
 
これでiPhoneを使うのは千里1、T008を使うのは千里2、Aquosを使うのは千里3ということで交通整理ができたのである。
 
千里1は日本代表の合宿でアメリカに行き、結果的には千里2が国内に残ることになった。なお千里のパスポートは実は元々2つ(M,F)あったのが千里の分裂でMはM1,M2,M3に枝分かれしている。しかしM1,M2,M3はクローンで情報が連動してしまうので、《きーちゃん》は、千里3には独立したパスポートFを持たせて、入出国情報に矛盾が生じないように工作した。日本代表で海外渡航する千里1がMのパスポート(M1)を使用する。
 
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また千里2自身は練習していないと身体がなまるが、国内の体育館で練習すると誰かに見られて変に思われることと、練習パートナーを得られないことから、アメリカのセミプロリーグWBCBLに所属するPSF(Philadelburgh Swallows Feminine)に入れてもらい、5月から7月までのシーズンに参加することにした。WBCBLは「無給」なので、就労ビザが無くても参加できるのである。
 
※2017.4-6月の3人の千里
1 日本代表に参加。アメリカ遠征→ヨーロッパ遠征
2 アメリカのWBCBL/PSFに参加
3 フランスのLFB/MBFに留学(研修生)
 

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7月4日、東京駅を舞台に、アメリカから来た超絶パワーを持つ吸血鬼と日本の霊能者数名が戦闘する事態が発生し、山園菊枝を含む4人の霊能者が全治1年ほどの瀕死の重傷、羽衣も全治半年の重傷を負ったが、この戦闘に巻き込まれた千里1は死亡してしまった。
 
しかしそこにちょうど青葉が来たことから、青葉の適切な処置と、千里の小さい頃からの眷属・小春の自己犠牲によって千里1は蘇生する。ただ、その後遺症で全ての霊的能力を喪失し、バスケットの力も極端に低下した。千里1は代表落ちを宣告される。
 
この事態に千里2と《きーちゃん》は話し合い、千里3を緊急帰国させた。それで結局千里3が千里1と入れ替わる形で日本代表に復帰する。また千里が所属しているレッドインパルスの方では、千里1は2軍落ちして 66.村山十里、の登録名を使用し、千里3が33.村山千里の名前を使うことになる。レッド・インパルスでは、“村山十里”と“村山千里”はおそらく春の落雷の影響で発生した二重人格であろうと考えていた。
 
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この後《きーちゃん》の誘導で、村山十里(千里1)は午前中に2軍体育館に、村山千里(千里3)は午後に1軍体育館に姿を見せるようになる。また住居でぶつからないようにするため、千里3には“通勤に便利なように”と言って、川崎市内に新たにマンションを契約し、そこに住むようにさせた。
 
やがてWBCBLの今シーズンの試合が終わると千里2はそのままアメリカからフランスに移動した。そして“ビザの書き換えのため”に帰国していた千里3に代わってMBFに参加することにした。こちらには就労ビザが必要なのだが、MBFの運営会社に社会的な信用があることと、千里が国際大会で活躍する程の選手であるということから、無事就労ビザは下りていた。この作業は春に千里3とともに渡仏した《えっちゃん》がやってくれていた。
 
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※2017.7-2018.3の3人の千里
1 レッドインパルス2軍(村山十里)
2 フランスのLFB/MBFに選手として参加
3 日本代表としてインドでアジアカップに出場。レッドインパルス1軍(村山千里)
 

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