広告:まりあ†ほりっく 第6巻 [DVD]
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■△・瀬を早み(7)

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ところでJソフトの方には、最近はほぼ《せいちゃん》だけが勤めていて、3人の千里の調整で忙しい《きーちゃん》はほとんど顔を出していなかったのだが、10月13日(金)は《せいちゃん》が徹夜作業でクタクタになっている所に、社長から○○建設に行って打ち合わせてきてという指示がある。
 
『誰か代わって〜。俺眠くて無理』
と《せいちゃん》が言うので、昨日まで宮参りをしていて少し調子が良さそうな千里本人に打合せに出させることにする。
 
それで千里1は自宅で作曲作業をしていたのを中断してアパートを出て用賀駅に行く。
 
私システムのこと分からないんだけどなぁ〜と思いながらも、駅で社長から資料を受け取り簡単な説明を受けてから千葉に向かう。このルートは、東急が半蔵門線に直通するので錦糸町まで行き、総武線に乗り継いで千葉市内の○○建設最寄り駅まで行く。
 
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ちなみに用賀駅で資料を渡したのは本当は《せいちゃん》である。《せいちゃん》は会社を出て二子玉川から東急に乗り、用賀駅で降りて社長に擬態(つまり女の千里から男の社長に一瞬で性転換!)して、千里に
 
「これ資料だから。よろしく」
と言ってアタッシェケースを渡した後、千里の代わりに用賀のアパートに入って取り敢えず寝た。
 
アタッシェケースを渡された時、千里は
「社長ってスカート穿く趣味あったのか?」
 
などと思った。《せいちゃん》は半分眠っていたので、性転換する時に服装の上は背広に変更したものの、下半身をスカートからズボンに変更するのをうっかり忘れてしまったのである!
 

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ともかくもそれで千里が○○建設で信次たち同社の社員と打合せをしていた時、信次に恋して千里に勝手に嫉妬している多紀音が「失礼します」と言って、お茶を持って入って来た。千里の後ろの子たちがざわめく。
 
『おい、変な呪具を持ってるぞ』
『どういう系統のものか分かるか?』
『分からんが、多分千里が触るとまずいことになるものだと思う』
『青龍と入れ替える?』
『あいつ今ほぼ裸で寝てるけど』
『裸はまじぃな』
『ちんちん付いてるし』
『というか眠りながら女のパンティ穿いてちんちん触ってるし』
『ほとんど変態だな』
 
『でも今の千里でもこのくらいは平気じゃない?』
 
という話にはなるが、《いんちゃん》が
 
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『念のため防御壁を作る』
と言った。
 
多紀音は千里の傍で、うっかりを装い、呪いを掛けた紙を落とす。千里1がそれに気付き
「落としましたよ」
と言って、その紙を拾った。
 
その千里が紙を拾う瞬間に《いんちゃん》は千里の指と紙の間に霊的なものを遮断する薄い膜を張った。
 
それで結果的に千里は手袋をして紙を拾ったような状況になったのである。千里がその紙を多紀音に渡す。
 
「ありがとうございます」
と言って多紀音は受け取ったが、内心は
《やった。こいつはもうこれで女ではなくなる》
と思っている。そして会社の屋上に出ると、呪いの紙を掌の上で燃やして呪いを完成させた。
 
この呪いは最初に触った人に掛かるようになっている。そのため多紀音はこれを作る時にゴム手袋をして作業している。紙を落とす時も自分では触らないようにスカートのポケットを裏側から押して地面に落とした。
 
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しかし千里も結果的に触らなかったので“最初に触った”のは千里から紙を受け取った多紀音であった。
 
それで多紀音は呪いを自分でかぶり、生殖器が機能停止してしまうのである。
 

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この様子をリモートで見ていた千里2は《きーちゃん》と話した。
 
「あれ、いんちゃんが何もせず、1番が本当に触っていたらどうなっていたと思う?」
と千里2が訊くと
 
「どんなに霊的な能力が落ちていても千里があの程度の素人の呪いにやられるわけがない。千里は平気だよ。しかもお伊勢さんに行ってきたばかりで神様の守護も強いよ」
と《きーちゃん》は言う。
 
「まあ、そうだろうね」
 
「そして呪い返しが来て、あの女は即死だったと思う」
「だったら、いんちゃんのお陰で命拾いしたね」
 

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この日の打合せが終わった後、信次は千里1に言った。
 
「君のご両親に挨拶に行かなきゃいけないと思っているんだけど、今週末は休めそうなんだよ。急で申し訳ないけど、一緒に行かない?北海道だったっけ?」
 
「うん。留萌(るもい)という所。でも私、言ってたようにお父ちゃんから勘当されているんだよ。それでもお母ちゃんと会えるように話してみる。土日なら大丈夫のはず。あともし良かったら、富山県の高岡という所にいるもうひとりの“お母さん”にも会ってくれないかな?」
 
富山県高岡という言葉を出した時に信次がギョッとしたような表情を見せたのだが、千里1は深くは考えなかった。
 
「じゃ一気に行っちゃおうか?」
「うん」
 
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それで千里1がまず津気子に電話してみた所、どっちみち父は会おうとしないだろうし、札幌で会わないかということになった。津気子は夕方までに自宅に戻らないと(そして御飯を食べさせないと)父の機嫌が悪くなるので、お昼を食べながら話そうよという。それで千里はすぐに札幌のレストランのお昼の御膳を個室で食べる予約をした。予約は3人で入れた。
 
玲羅にも電話で打診してみたのだが
「私は姉貴は貴司さん一筋と思っていたし、理歌ちゃんたちの手前があるから、出ない」
 
と言われた。それを言われると千里も辛い所だ。また、康子は体力的に北海道や北陸まで旅行する自信が無いと言っていると信次が言った(本当は康子がいると都合の悪いことがあるので、そもそも康子には何も言っていない)。
 
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それで札幌は昼だけで終わることが確定したので、その日の内に富山に移動することにする。それでこういう日程を組んだ。
 
10/14 千葉駅前5:00-6:17羽田第1/羽田7:30(JAL503)9:00新千歳9:30-10:07札幌
会食11:00-12:00
札幌12:50-13:27新千歳14:30-16:10小松空港16:25-17:05金沢駅17:39-18:16高岡
 
10/15は北陸新幹線で東京に戻る。
 
札幌での会食時間が11-12時になったのは、下記の3つの理由による。
・めでたいことは午前中にした方が良い。
・直前の予約で12-14時くらいの時間帯は空いてなかった。
・このスケジュールなら1日に1本しかない新千歳→小松便に乗れる!
 
札幌から高岡に行く場合、新千歳→小松か、新千歳→富山を利用できると助かる。ところがそれはどちらも1日1便しかなく、
 
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新千歳14:30-16:10小松
新千歳13:50-15:25富山
 
となっているので、時刻の遅い方の小松行きを使うことにしたのである。
 
14日の夕方は高岡市内で千里・信次の2人で夕食を取った後、千里は桃香の家に入り、信次は市内のホテルに泊まる。そしてあらためて15日午前中に信次が桃香の家を訪問することにした。
 
なお、桃香は早月を朱音に預けてひとりで14日の新幹線で高岡に移動する。
 
ちなみにこういう話が進んでいることを千里3は全く知らない!
 

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14日の朝ふたりは千葉駅前で落ち合い、一緒に空港連絡バスで羽田に向かう。成田ではなく羽田を使うのは、どちらでも大差無いからである。なお、今回は交通費・宿泊費は信次が全部出し、食事代・お土産代は千里が出すことにした。
 
新千歳に飛び、札幌に移動して津気子と落ち合い、レストランに入った。なお千里は連日の作曲作業の疲れで飛行機の中ではひたすら眠っていた。信次は「やはりSEって大変なんだろうな」と思っていた。
 
なお、千里はしまむらで買った8000円のレディススーツ、信次もイオンで買った1万円のビジネススーツを着ている。実は信次はあまりいいスーツを持っていない。職場では作業服を着ているし、通勤はジーンズにTシャツである。そもそも彼はセクシャリティの問題もあって、あまり男っぽい服を着るのが好きではない。
 
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なお13日は、会社には「直帰します」と連絡を入れた後、夕食は信次と一緒に取ったのだが、信次が「今夜一緒に過ごさない?」と誘ったのに対して千里は「ごめん。仕事があるから」と言って、千葉駅近くのホテルに単独で入り、会社に報告書をFAXした後、溜まっている作曲の作業をしていた。用賀に戻らず千葉市内に泊まったのは翌朝5時に千葉まで来る自信が無かったからである。
 
ちなみに用賀で寝ている《せいちゃん》は14日の夕方くらいまで起きなかった。ほぼ1日半眠っていたことになる。
 

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14日11:00からの札幌での顔合わせでは、信次が礼儀正しい態度で津気子に挨拶したので、津気子は彼に好感を持ったようであった。この場での話し合いで、結納は11月3日(祝)大安に、千葉市内で行うことにした。
 
千里は新千歳から小松までの機内でもひたすら眠っていた。信次は
「スーツなんて着慣れてないから普段着に着替えちゃうね」
と言って、ポロシャツとジーンズの格好になってから飛行機に乗っている。
 
高岡に着いてから、駅近くの中華レストランで夕食を取った後、別れる。信次は近くのホテルを予約しておいたからと千里には言っていたのだが・・・・
 
実際には千里が氷見線に乗るのを見送った後、信次は駅1階の女子トイレ!に入ると、個室に入った。
 
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信次は女装せずに女子トイレに入っても騒がれないという自信!?を持っている。
 
個室の中では、まずは服を全部脱いで裸になり、付け眉毛!を外して顔を洗う。
 
化粧水入りの肌拭きシートで身体中の汗を拭く。それからタマタマを体内に納め、おちんちんは後ろ向きにしてパンティの中に収納する。ブラジャーを着けてパッドを入れ、ミニスリップも着ける。但し“女性基準”では長身になる信次が着けるとミニスリップはキャミソールのようである(実は普通のキャミソールを着けるとおへそが出てしまう)。
 
パンティストッキングを穿き、落ちて来ないようにソフトガードルを穿く。ソフトガードルはストッキングのずれ落ち防止と、おちんちんを押さえるのの両方を兼ねる。ブラウスを着てスカートを穿く。カーディガンも羽織ってからお化粧をする。
 
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化粧水を染み込ませてからマックスファクターのコンパクトを出し顔全体にはたいていく。アイカラーを入れ、眉毛を描き、マスカラを塗り指でカールを掛ける。チークを入れて最後に仕上げでルージュを塗る。更にセミロングのウィッグも付ける。
 
鏡を見ると、まあ普通にその付近にいる女性の顔になっている。
 
少なくとも男には見えない。もはや彼女は信次ではなく“信恵”である。
 
「やだなあ。僕、女装の趣味は無いのに」
などと、優子が聞いたら大笑いするようなことを言っている。
 
それで自分にはさすがに可愛すぎるかもと、買った後でやや後悔したローリーズファームのローファーを穿き、トイレを出た。このトイレに入ってから出るまでほんの10分ほどである。この1階のトイレは利用者があまり多くないのがミソでもある。実際信恵が“男から女への華麗なる変身”をしている間に誰も女子トイレに入って来た人は居なかった。
 
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それで信恵は2階に上がると切符を買って、城端線に乗った。
 
高岡駅は東西に“あいの風とやま鉄道”(旧JR北陸本線)が通っていて、北へ氷見線、南へ城端線が出ている。鉄道の路線図で見ると南北に鉄道が貫いているように見えるが、実際には氷見線と城端線のレールはつながっていない。なお、高岡駅は、この東西南北に延びる鉄道の他に、万葉線↓のターミナルにもなっている。

 
それで千里は氷見線に乗ったが、信恵の目的地は城端線側である。
↓城端線の列車
 

 
戸出(といで)駅で降りて駅舎を出ると信恵を見て手を振る姿がある。信恵は微笑んでそちらに歩み寄り、優子の青いソリオの助手席に乗り込んだ。
 
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優子は別に男装している訳ではないが、ほとんど男に見えるので、優子と信恵が並んでいると男女のカップルに見える。
 
深いキスをしてから優子は車を出す。
 
「結婚するというから、もう会ってくれないかと思った」
「奏音(かなで)には会いに来るさ」
「私には?」
「セックスしてくれるなら」
「その結婚相手とセックスしてるんじゃないの?」
「彼女が忙しすぎて、全然デートできないんだよ」
 
「信恵ちゃんがゲイと気付いて避けてるんじゃないの?」
「そんなことはないと思うけどなあ。来月には結納もするし」
「ふーん」
 
そういう訳でこの日、信次は“信恵”として優子の家に泊まり、奏音をたくさん可愛がり、優子の両親と歓談して、夜は望み通り優子と寝て、久しぶりに“女の子になる”ことができて、とても充実した夜を過ごしたのであった。
 
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「ちんちん切ってあげようか」
「止血できないでしょ?」
「ふーん。止血できたら切ってもいいんだ?」
「いや、今切られると結婚するのに困る」
「自分は女役だとカムアウトすればいいじゃん。彼女ビアンなんでしょ?」
「だと思うんだけどなあ。ボイとかフェムなんて言葉も知っていたし、ハーネスを知っていたし」
「ああ。ネコ・タチは普通の人でも知ってる人けっこう居るけど、そのあたりまで知っている人は少ないね。ハーネスまで知ってるって、ひょっとすると経験あるのかもよ?」
「うん。それに期待している」
 

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