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■女子中学生のビギニング(14)

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「でも囲碁は女で強い人もいるよね」
「中国の芮廼偉(ルイ・ナイウェイ)とか凄いよね」
「タイトル戦でも優勝してるんでしょ?」
「2000年に韓国で国手を取った。居並ぶ男性棋士を退けてタイトル取ってるから凄い」
「去年のマキシム杯は惜しかったね」
「決勝戦まで行ったもんね〜」
「そして決勝戦で夫婦対決」
「うん。お互いやりにくかったろうけどね」
 
芮廼偉が夫の江鋳久(ジャン・ジュウジォウ:中国)と決勝で激突して敗れたのは第四回マキシムコーヒー杯入神連勝最強戦だが、翌年の第五回大会では優勝している:決勝の相手は韓国の劉昌赫(ユ・チャンヒョク:男性)。
 
「だけど囲碁は男性も女性も同じ土俵で戦ってるから好きだなあ」
と玲羅は言う。
 
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「囲碁は女性の棋士も男性の強い棋士とたくさん対戦できるから強くなれるんだと思う。将棋は男は男、女は女とぱかりやってるから強い女性棋士が出て来ない」
 
「囲碁には女性のプロがたくさん居るけど、将棋には女性のプロ棋士はいないもんね。男でないとプロになれないんだっけ?」
 
(将棋の“女流棋士”は“女流棋士”という資格であり、プロの“棋士”ではない!)
 
「システム的にはそんなことはないんだけど、いまだに奨励会(プロ棋士の志願者リーグ)の激しい競争を勝ち抜いてプロになった人は居ない。過去に惜しかった人は何人かいたみたいだけどね。囲碁は女性の棋士を女流特別枠でプロにして、男性とプロ戦でどんどん対戦させてるから強くなるんだと思うよ。四段になるまでは給料半額だけどね」
 
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「給料安くてもいいと思うよ。強い人と真剣勝負できるのは楽しいよ」
と玲羅は言った。
 
「囲碁は師匠が居なくても院生(将棋の奨励会に相当するリーグ)になれるし、院生でない一般の人でも“外来”としてプロ試験を受けられるとか、将棋に比べて元々開放的だよね」
 

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「お姉ちゃん、プロ棋士になる?頑張ればプロになれるんじゃない?お姉ちゃんは多分女流特別枠を使えるだろうし」
と玲羅は軽くボールを投げてみたのだが
 
「私考えるより身体を動かす方が好きだなあ」
と言って、ボールは受け止めずにかわしてしまった。
 
「剣道のプロになる?今年は惜しかったじゃん。あと少しで全国大会に行けた」
 
と訊いてみる。玲羅は“このお姉ちゃん”は多分、剣道をしているお姉ちゃんじゃないかなと想像した。
 
「無理〜。強い人たちたくさんいるもん。それに今年は地元開催で特別に4人まで代表になれただけだからね。普段の年なら2位までしか全国に行けない。2位と5位の間には、グランドキャニオン並みの隔絶があるよ」
と千里が答えたので、ああ予想が当たったなと玲羅は思った。
 
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「でも剣道のプロとかあるんだっけ?」
「さあ。師範とかの資格を取ればいいんじゃない?」
「ああ。それは取ってもいいけど、師範の資格持ってても、道場経営できるかというのは別の要素だよね」
「そういうのは経営センス無いと難しいだろうね」
 
「テレビCM打って、剣道した後美味しい料理とスパでリラックス!みたいな施設作るとか」
 
「それ何か、やだ」
「私も、やだだと思った」
 

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翌朝(11/17)は光江さんが誘ってくれて、光江・弾児・顕士郎・斗季彦・千里・玲羅と6人で朝御飯を食べに行った。朝御飯の後、千里はセーラー服、玲羅は黒のドレスに着替える。8時半頃に、川夫さんの運転するバスで斎場に入る。
 
親族一同の記念写真を撮って(当然セーラー服姿の千里の写真が残る)から、9時半から告別式が行われた。これは通夜と似たような形で進行する。坊さんのお経が例によって30分くらい続く。昨夜のと同じものなのか別のお経なのかは、そもそもお経の内容がさっぱり分からないので判断のしようがない。その後、弔電が披露され、焼香となる。これも昨夜と似たような順序で焼香した。
 
葬儀が終わると、続けて初七日法要が行われる。「あれ?」と思ったが、火葬の前に初七日法要が行われるのが、釧路方式らしい。根室だと火葬の後で告別式だったし、葬儀のやり方って地域によって色々なんだなと千里は思った。
 
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10時半頃に告別式が終わり、11時過ぎに初七日も終わって出棺となる。棺は親族が抱えたりせず、台車に乗せて運んでいく(楽でいいと思う)が、周囲に、海斗さん、大湖さん、小足さん!、そして龍男さんが取り囲んでいた。小足さんがちゃんと親族として認められているのは、いいことだなあと千里は思った。
 
もっとも、川夫さんを故人の娘と思い、小足さんは婿だと思っていた人が多分半分以上は居る(どうも父はずっとそう思っていた雰囲気)。もっとも川夫さんは女性用の喪服ではなく男性用の喪服を着ている。でも雰囲気が女性的だから、ズボン型の女性用喪服を着ているように思った人も結構あったろう。
 

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遠慮の無い輝耶から訊かれて昨夜川夫さんは
「あら、私はオカマじゃなくてホモよ」
と言っていたが、多分トランスジェンダー寄りのゲイなのではという気がした。
 
「トイレはどちらを使うんですか?」
「何度か警備員さんに叱られたから自粛してる」
「それどちらに入って叱られたんですか?」
「ここは紳士用トイレですから、女性の方は婦人用トイレを使って下さいと言われた」
「つまり女子トイレを使うんですね」
「そっち使えと言われるんだから仕方ないわよね」
「いや女子トイレに入るべきだと思いますよ」
 
「今日はズボンですけど、スカートくらい穿きますよね」
「あらスカートくらい穿くのは普通じゃん。自分の美容室には普通にスカート穿いて出てるわよ。お店の子たちもお客さんもスカート穿いて下さいよと言うし」
「そうそう。普通ですよね!」
 
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と輝耶は楽しそうに昨夜は川夫さんと会話していた。
 

出棺が終わると大半の会葬者は帰る(告別式だけで帰った人も多い)。
 
火葬場には、海斗・浩子、大湖・玉緒、川夫・小足、龍男・秀子、天子と付き添いの光江、が行き、他は斎場で待機した(光江は付き添いだけなので骨は拾わない)。結果的にこちらに残った大人は、富士子・涼雄、弾児の3人である。
 
仕出しのお昼御飯を食べた後、この大人3人と中高生5人(雪花・春桜・明理・輝耶・千里)で、お片付けをした。小学生以下は控室に入れておいたが、おやつなど食べたりゲーム機などしたりしていたようである。玲羅もゲームボーイをしていたようであった。
 
14時半頃、お骨が戻って来てから、喪主挨拶があり、解散となる。
 
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「千里ちゃんたちはJR?」
と光江さんから訊かれたが
「知り合いのお姉さんが送ってくれるんですよ」
と答えた。
「へー。じゃその方に挨拶しておこう」
と光江さんは言った。しかし今回は光江さんはかなり大活躍している気がする。何か御礼をあげたいくらいである。
 
15時頃、きーちゃんが来たので、光江さんと挨拶を交わしていた。
 
ついでに携帯番号の交換をしていた!
 
その昔は名刺交換していたのが、現代は携帯番号の交換なんだろうなと千里は思った。
 
それで光江さんたちと別れて、きーちゃんの車に乗った。
「長旅だから寝てていいからね」
「うん、ありがとう」゛
 

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きーちゃんは帰りは来る時みたいにワープなどの無理はしないようで、ごく普通に走っていった。玲羅は眠ってしまったが、千里はずっと彼女と会話していた。
 
「でも千里はダムでの封印のこととか訊かないのね」
「訊いたほうがいい?」
「いや訊くものでもないし、訊かれてもあまり話せないけどね」
「だったら訊かなくていいよね。私は、自分が知らなければならないこと以外は知らないようにしてるから」
「うん。それは特に霊的な問題に対応する時の正しい態度だよ」
と、きーちゃんは満足そうに言っていた。
 
千里は、きーちゃんに、弾児さん一家が旭川から離れた後の天子さんのお世話の問題を話してみた。
 
「目が見えないのに運転もできるって凄いね」
「ちょっと面白い人だよ」
「そういう人なら、千里が誰か眷属を派遣していつも見守ってあげてればいいと思うよ」
「眷属か・・・」
「千里ならきっとできるはず」
と、きーちゃんは千里の力量を測るかのように言った。
 
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「そうだね。ちょっと考えてみようかな」
と千里も答えた。
 

千里たちは21時頃に留萌に到着した。千里が
 
「今回の御礼」
 
と言って、きーちゃんに10万円渡そうとしたが、きーちゃんは
 
「謝礼は要らないって言ったじゃん。ガソリン代・高速代は行く時にもらったし」
 
と言うので
 
「あれ〜〜?そうだっけ」
 
と千里は首をひねった。(ガソリン代を渡したのはBで、この千里はR)
 
「きーちゃんも黙ってもらっておけばいいのに」
と玲羅は言っていたが。
 
もっとも家に着くと母が、きーちゃんに感謝して
「せめてもの御礼」
と言って、留萌のお菓子“テトラポット”とポチ袋を渡した。きーちゃんはこれは受け取った。
 
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たぶん中身が大したことないので、このくらいはいいかと思い受け取ったのだろう。
 

11月18日(火).
 
千里はいつものようにP神社での勉強会に出ていた。
 
「へー。親戚の大伯父さんのお葬式に行ってたのか」
「お経が長いからもう眠くて眠くて」
「ああ。あれは良い睡眠薬だよね」
「訳が分からないもんね」
「最近は結構日本語訳されたお経も読まれているけど、漢字の音読みでないとありがたみが無いという意見もあるみたいで、日本語お経はあまり人気が無い」
と蓮菜は言っている。
 
「意味の分からないもの聞いても意味ない気がするなあ」
と美那。
「“まるでお経みたいだ”という言葉もあるもんね」
 
「その“まるでお経みたい”なのが何十分も続くと、もう寝るしかない」
と恵香。
 
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「短いお経もあるよ。般若心経(はんにゃしんぎょう)なんて266文字しか無い」
「へー。それならすぐ終わりそう」
「どんなの?」
「これ」
と言って、蓮菜がパソコンの画面を見せる。
 
「訳(わけ)が分からん」
 
「千里読める?中国語じゃなくて日本語の音読みで」
と蓮菜は言った。
 

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それで千里は読んだ。
 
「かんじざいぼさつぎょうじんはんにゃはらみったじ、しょうけんごうん・かいくう、どいっさいくやく。しゃりし、しきふいくう・くうふいしき、しきそくぜくう・くうそくぜしき・・・・・」
 
「これは・・・・」
「お経ではなく祝詞(のりと)に聞こえる」
「え?そう??」
 
「読み手の選定を誤った」
と蓮菜は手を額の所に当てていた。
 
「祝詞なら、かけまくもかしこき観自在菩薩の御前にて、舎利子かしこみかしこみ、まうさく、って感じじゃない?」
と千里。
 
「さっきと同じ調子だ」
と恵香。
「完璧に神仏混淆してる」
と美那。
 
「でもその訳は間違ってるな。これは観音様が舎利子に語りかけているのであって、観音様に舎利子が言ったのではない」
と蓮菜は言った。
 
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「でも観音様の像って美しいのが多いよね。やはり日本は基本的に女神信仰が強いよね」
と恵香は言ったが
 
「観音様は男だと思うけど」
と蓮菜は言う。
「嘘!?」
 
「千里はどう思う?」
と蓮菜が訊く。
「男だと思ってた」
と千里。
「え〜〜!?」
 
「確かに女神的な捉え方もあった。昔あるお坊さんが座禅してる時にどうしても性欲を抑えきれずに悩んでいたら、観音様が夢に現れて、自分を抱くといいと言ったんだって(*14)。その後は自分の性欲を制御できるようになったと」
と蓮菜は言ったが
 
「無理して性欲を抑える必要ないと思うけど」
と千里は言っている。
 
「性欲があるのは当たり前なんだから、自然な気持ちでいればいいだけ」
「でも自然な感情で女を襲ったら」
「女と寝たければちゃんと口説く。相手の同意を得ずに性交したら犯罪。食事だって、勝手に食べ物を取って食ったら犯罪。それと同じ」
 
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「確かに!」
 
「女を口説くことも覚えないといけないよね」
と美那は言っている。
 
(*14)親鸞聖人のエピソード。これにより浄土真宗では僧の結婚が可能になった。
 

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女子中学生のビギニング(14)

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