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■女子中学生のビギニング(10)

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ところで光江と話し込んでいた津気子だが、ふたりはひじょうに“微妙な問題”を話し合っていた。
 
「その件、ちょっと千里と話し合ってみる」
「それがいいかも」
 
「そうだ。午前中に旅館に泊まっている人たちに挨拶に行っておこうかな」
と津気子が言い出す。
 

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「それがいいかもね。みんな斎場に行くのは夕方くらいだろうから。私も付き合ってあげるよ」
「ありがとう。でも誰々が泊まってるんだっけ?」
「富士子さんに聞いてみようか」
「そうだね」
 
と言っていったん部屋に戻ってスーツに着替える。これが8:50くらいであった。
「もう出掛けるの?」
と“部屋の中に居た千里”が尋ねる。
 
「まだだけど、旅館に泊まっている親戚の人たちに挨拶しておこうと思って」
「じゃ私も行くよ」
と言って、千里はセーラー服に着替えた(母が少し悩んでいる)。
 
「玲羅はどこ?」
と母は訊いたが、千里は分からなかった。
 
「さあ。コンビニにでも行ったのでは」
「まあ玲羅はいいか。あんたと一緒に通夜に出るし」
「うん」
 
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それで一緒に部屋を出る。光江さんもスーツに着替えてくれていた。
 

富士子さんの部屋は分かっていたので、そこに行って、まずはあらためて挨拶する。富士子の両親の龍男・秀子もその部屋に来ていたので挨拶した。
 
↓系図(再掲)

 
津気子は自分と夫は、機関長の夫が船を明日の早朝出さなければならないので通夜の前に帰るということと、千里と玲羅が通夜と葬式に出ることを話した。
 
それで他の人の部屋がどこか教えて欲しいと言ったら
「じゃ私も一緒に回ってあげるよ」
と富士子が言う。それで富士子も喪服に着替えて、こちら3人(津気子・千里・光江)と一緒に回ってくれることになった。その富士子が着替えてる最中にメールが着信する。
 
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「輝耶が玲羅ちゃんたちと一緒にカフェに居るって」
「あらら」
「でも輝耶と玲羅ちゃん、何か話が合いそうだったもんね」
とお姉さんの明理が言っていた。
 

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昨日御香典を渡し損ねたので誰に渡せばいいかと富士子さんに訊くと、今回の会計は川夫さんがしているから、“彼女”に渡せばいいですよと言った。
 
それで津気子は初子の部屋を訪れた時に、一緒に居た川夫さんに
 
「すみません。昨夜到着した時に、渡し損ねて」
と言って渡した。
 
「ああ、はいはい」
と言って川夫さんは受け取ると、中身を確認して
 
「3万円ですね。領収書を書きますね」
と言った。母が「?」という顔をしていた。実は1万円しか入ってなかったので少なすぎるのではと思い、千里が足しておいたのである。
 
川夫さんはハンディ端末に金額と名前を入力して領収書をプリントした。
 
《村山武矢様 \30,000.-》とプリントされている。コンピュータに入力してしまえば、集計とかも一発だし、誰からいくらもらったかも管理しやすい。津気子は世の中進んでるなあと思った。
 
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それで川夫さんは領収書を返礼品と一緒に津気子に渡した。
 

「あれ?でも川夫さんと初子さんは釧路市内にお住まいだったんですよね」
と、津気子はなぜこの人たちがわざわざ旅館に泊まっているのだろうと思い尋ねた。
 
「それが男性親族一同がうちの家で酒盛りやってるんですよ。そちらの旦那さんの武矢さんもいたと思う」
 
「そんなところに居たのか」
 
「それでうちの母が安眠できないから一緒に退避してきたんです」
 
「すみません、ご迷惑掛けて。でしたら家電(いえでん)、あるいはどなたかの携帯の番号教えて頂けませんか?うちの夫は携帯が使えないんですよ」
 
「ありゃ」
 
「発信どころか、掛かってきても受け方が分からないみたいで」
「ああ、そういう人はいますよね」
と川夫さんは言っていた。
 
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「海の上で仕事してるから携帯持ってても使う機会無いみたいで」
と光江さんがフォローしてくれる。
 
「船の上では確かに使い道が無いかもね」
と初子さんも言っていた。
 
それで、川夫さんの夫の小足さんの携帯番号を教えてもらった。
 

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部屋を出てから津気子は
「最初女の人かと思った」
と小さな声で言った。
 
「結構女に見えるよね」
と富士子さんは笑顔で言っていた。千里は昨日光江さんが「見れば分かる」と言っていた意味が分かったと思った。予備知識無しであれを見て変な顔をしなかった母は偉い。でも自分や留実子を見ているからかも、という気もした。
 
その後4人は、浩子の部屋→玉緒の部屋にも挨拶した。
 
9:40頃、一緒に回ってくれた富士子、光江に御礼を言って、津気子と千里は自分たちの部屋に戻った。
 

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玲羅は部屋に居なかった。まだカフェに居るのだろう。
 
「何時頃斎場に行くの?」
と千里が訊く。
 
「お昼くらいかなあと思ってるのよね。十四八さんに再度別れのご挨拶した後、車屋さんに行ってタイヤ買って交換してもらってから帰るから、あまり遅くならない内がいいし。夜9時くらいまでには留萌に到着しないと、お父ちゃんから絶対文句言われるし」
 
夜9時?だって昨日はここに来るのに15時間掛かったのに。JAF呼んだりしてロスした3-4時間を除いても11時間。夜9時に着きたいなら、今すぐ出発しないと間に合わない気がする。しかしそれよりも、母は何か千里に言いたげだ。またお金貸してとかかなあ。と思った千里は、小春に『コンビニ行って10万くらい降ろしてきて』と頼んだ。
 
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(昨日20万降ろしてもらったのは千里B。ここに居るのは千里Y)
 

「ああ。タイヤ買うんだ?だったら、午前中にタイヤ買いに行ってきたら?私、付き合ってあげるよ」
と千里は言った。
 
「それがいいかもね」
と言いながら、あんたがタイヤ買えって言ったじゃんと津気子は思っている。
 
服は津気子は黒のスーツ、千里はセーラー服だが、もしかしたら斎場に直行することになるかも知れないからこのままでいいよと千里が言うので、そのままタイヤを買いに行くことにする。
 
ふたりとも外に出るのでコートを着る。千里はセーラー服の上にグレイのコートを着た。2人は1階まで降りて行き、旅館の帳場でカー用品店の場所を尋ねてから出掛けた。津気子の車にカーナビなどという上等なものは付いていない!
 
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※3人の千里が着ている服
 
R:白い服に白いコートで、きーちゃんと出掛けた。実は霊的な作業のため白い服を着ていた:本人はなぜ白を着たのかは意識していない。
 
B:青い服に紺色のコート。玲羅たちとカフェに居た。
 
Y:セーラー服にグレイのコート。女性親族に挨拶回りをして津気子と一緒にタイヤを買いに行く。
 

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母と千里は一緒にオートバックスに向かう。
 
「予算はどのくらいなの?」
「あんたから3万もらったけど、JAFの入会金で6000円使ったから(実は一時的に香典用のお金を使い込んだ)2万4000円までかな。2万あれば1本買えるよね?」
 
「私お金とかあげたっけ?」
などと千里が言うので、津気子は
 
「へ!?」
と声をあげた(昨夜お金をあげたのは千里B)。
 
「でもスタッドレスタイヤは2本セットで交換しないといけないと思うよ」
「そうかなあ」
「左右がアンバランスなのはまずいもん」
「うーん、でも予算が・・・」
 
取り敢えずオートバックスの駐車場に駐める。千里は母に「先に見てて」と言ってから、しゃがみ込み、津気子の車(ヴィヴィオ)のタイヤを見ていたが溜息をついて腕を組んだ。
 
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ここで小春がお金を持ってきてくれたので受け取った。
 

津気子はお店の玄関前に多数展示されているスタッドレス・タイヤを眺めていたが
 
「高〜い」
と言って悩んでいる。
 
「これは?」
と言って千里が指さしたのは軽自動車用4本セットで3.2万円という格安タイヤである。
 
「いいね。これ2本売ってもらおう。そしたら交換作業賃入れても2万円で2本交換できるよね」
と言って、お店の人に言ったのだが
 
「すみません。これは4本セットなのでバラ売りは出来ないんですよ」
と言われる。まあそうだろうねと千里は思う。
 
「そこを何とか」
「でもこれは、大手メーカーの品を2本買うのとほとんど差は無いですよ」
とお店の人。
 
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「4本買っちゃったら?」
と千里は言う。
 
「さっき今ついてるタイヤ見たけど、あのタイヤは1999年製だったよ。スタッドレスって3年もしたら寿命のはずなのに今年は5年目だったもん。もう遙かに寿命を越えてるよ」
 
「そうだっけ?」
 
「そうですね。そのくらいをメドに交換するのをお勧めしていますね」
とお店の人も言う。
 

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「来る時にスリップしちゃったのも、寿命を過ぎたタイヤ使ってたからというのあると思うよ。4本買って全交換しようよ。私がお金は出すからさ」
と千里は言う。
 
「そう?じゃ買っちゃおうか」
と津気子も全交換に同意した。
 
代金は作業代・廃タイヤ費・消費税を入れて39,060円と言われたので、千里はお店の人に4万と60円渡した。あれ?と津気子は思ったが何も言わなかった。むろんお釣りの1000円は千里が受け取った。
 
(“この千里”は昨夜母に3万円渡したという認識が無い)
 

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それでそのタイヤを買ったのだが
「今シーズンで混んでいるので交換作業が3時間待ちになるのですが」
とお店の人は言う。
 
「きゃー、どうしよう?」
「タクシーで斎場まで行けばいいと思う」
と千里は母に言い、お店の人に
 
「3時間ということは13時半頃ですよね?」
と確認する。
 
「はい。だいたいそのくらいのお時刻までには交換できると思います」
 
「だったら、お母ちゃん、お別れをしてから、お昼御飯食べた後で、お父ちゃんと一緒にタクシーでここまで来て、車を受け取ってから帰ればいいよ」
「そうするか」
 

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ということで、結局車を預けたまま、斎場に向かうことにした。
 
母は小足さんの携帯に電話した。
 
「大変恐れ入ります。天子の息子の武矢の妻なのですが、そちらにうちの武矢おりますでしょうか」
「ああ、おられますよ」
 
「そしたら、大変申し訳ないのですが、タクシーでD会館まで来るように言ってもらえないでしょうか。お参りをしてからもう帰らないといけないので」
「あら、もう帰るの?」
「通夜に出られないのは心苦しいのですが、明日朝5時に船を出さないといけないもので」
「それは大変だね。じゃぼくが送って行くよ」
「申し訳ありません!」
 

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それで小足さんが武矢を連れてきてくれるということだったが、飲酒運転じゃないよね?と少し心配になった。
 
実際には、小足は
「そろそろお酒は“中休み”にして、通夜の後でまた飲みましょう」(!?)
などと言って、
「武矢さん、船出さないといけないんでしょう?奧さんがお参りしてから帰ろうと言っているよ」
と言った。
 
「そうか。すみません。いや、まだまだ話したいことはあるけど、仕事が」
と武矢。
「俺が送って行くから。武矢さん場所分からないだろうし」
「すんません」
 
ということで小足はタクシーを呼んで武矢と一緒に斎場に向かった。また小足はタクシーの中から川夫に電話して
 
「浩子さんあたりと一緒に来てさ、宴会をいったんお開きにさせてくんない?」
 
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と頼んだ。そして酔い覚まし!?に、ラーメンを注文しておいた(馴染みのお店なので、ツケが利く)。
 
宴会中断の指令?を受けて旅館から車でやってきた川夫と浩子はアルコール類を全回収!していった。
 

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さて千里と津気子はオートバックスからタクシーに乗り10:50くらいに斎場に着いた。
 
千里がセーラー服の上にグレイの通学コートを着ていたのを母が気にしていたが
 
「コート着てるから下にセーラー服を着てることはお父ちゃんに分からないよ」
と千里が言うと
 
「そうよね」
と母も言っていた。
 
「それに酔ってるから注意力落ちてるだろうし」
「それが大問題だ!」
 
武矢と小足さんも11:55くらいに斎場に到着する。
 
父はかなり酒臭かった。さすがに母が文句を言うと、父も
 
「すまん。つい調子に乗って飲んでしまった」
と謝っていた。
 
父はかなり酔っていたので、千里の予想通り、千里のコートの下の服までは想像が及ばなかったようである。コートの下を見ればタイツが見えるので、スカートやドレスの類いを着ていることが分かるはずなのだが。
 
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結局小足さんが案内してくれて、千里・津気子・武矢の3人でまだ小部屋に安置されている十四八さんの遺体に最後のお別れをした。
 

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津気子が男性陣に挨拶だけでもしておきたいと言うので、千里は
「じゃ私は旅館に戻ってるね」
と言って、ここで母たちと別れることにする。
 
タクシーに小足さんと両親が乗り、川夫さんと小足さんの家に向かう(小足さんが助手席に乗り、父母が後部座席)。千里(セーラー服の上にグレイのコートを着ている)は1人で斎場の前に停まっているタクシーに手を挙げて乗せてもらい
 
「XX旅館へ」
と言った。
 
60歳くらいの運転手さんは
「はい。**町のXX旅館ですね?」
と確認してメーターを倒し、旅館の方に向かう。
 

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運転手さんは
 
「今朝は冷えましたね」
とか
「お客さん、中学生?」
とか声を掛けてくるので、千里は適当に相槌を打っていた。
 
ところが、その内、突然反応が返ってこなくなったので、女子中学生相手にあまり色々聞きすぎたかなと少し反省して
 
「もうすぐ着きますよ」
と言ってバックミラーをチラった見た。
 
「ん?」
 
バックミラーに人影が見えないのである。
 
「お客さん?」
と声を掛けるが全く反応は無い。
 
運転手は急に不安になった。バックミラーを左右に動かしてみるが、後部座席には全く人影が見えない。
 

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ハザードを焚いて車を脇に寄せて停める。
 
後ろを振り返る。
 
誰も居ない!?
 
運転手は車を降りて後部座席のドアを開け、中を覗き込むが誰も乗っていない。
 
運転手は、今自分は斎場から客を乗せたことをあらためて思い起こした。
 
「あ、あわわわわ」
と訳の分からない言葉を発して、立っていられなくなり、その場に座り込んでしまった。
 
そしてその場に5分くらい座り込んでいた所で、車の停まる音がする。同じ会社のタクシーである。ドライバーが駆け下りてくる。
 
「おい、どうした?事故か?」
と彼が訊いた。
 
「タクシーただ乗り幽霊が出た」
と運転手は半ば放心状態で答えた。
 
ちょうど道の向かい側にカフェが見えていた。
 
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女子中学生のビギニング(10)

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