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■女の子たちのインターハイ・高2編(3)

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「ほんとに間違う人が出たね」
「こちらも気をつけよう」
とハーフタイムに話し合う。
 
「相手選手の誰かにパスしちゃおうかと思ったんだけどね。それだとそこから速攻された時、うちの選手が対応できないかもしれないと思って、スローインにする選択をした」
と千里は説明する。
 
「ホントはあのままこちらが攻めても良かったんでしょ?」
「もちろん。普通はそうすると思う。でも、それをやると、私、後ろめたさが残る気がしたんだよ。それはその後の試合運びに絶対影響するから、ボールを向こうに返すことにした」
 
「サッカーなんかだと時々見られるプレイだけど、バスケでは珍しいね」
 
「その後、今度はほんとに金子さんへのパスをカットしたから、いちばんスッキリする展開だね」
「うん。あれは絶対カットしてやろうと思ってたから」
 
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点数は第2ピリオドを終わって32対24である。一応リードしているが全く気を抜けない展開だ。
 

第三ピリオドは雪子・留実子に代えて久井奈・揚羽を戻す。揚羽も留実子も10分間に集中してリバウンドを取りまくっている。揚羽は13cmも背丈の差がある胡さんとの争いでも7割くらい勝利していた。
 
胡さんがずっと暢子にマークされてて攻撃で仕事ができないし、リバウンドも揚羽に負けていたので、向こうはいったか胡さんを下げて別のセンターを出してきた。それでこちらも暢子をいったん下げて休ませ、代わりにみどりさんを出した。しかし千里はずっと金子さんをマークしているし、向こうもさすがに金子さんは下げない。金子さんもずっと千里をマークしている。おそらく金子さん以外では素早い千里のマークはできない。
 
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それでも千里は何度かフリーになってスリーを放り込んでいる。試合は第3ピリオドを終わって51対34と結構な差が付き始めた。
 

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「気を緩めるなよ。勝てると思った瞬間、やられてしまうのが試合だから」
と久井奈さんがみんなに気合いを入れ直す。
 
最終ピリオド。向こうは胡さんを戻す。第3ピリオドを休んでいるので元気を回復している。しかしこちらも暢子を戻す。暢子もやはり前ピリオドを休んで体力を回復している。こちらはポイントガードは雪子で行く。リバウンド係も留実子である。またスモールフォワードの位置に透子を出した。
 
ずっと出ている向こうの金子さんはさすがに疲れが見え始めた。しかし千里は全く疲れが見えない。それで点差はどんどん開いていく。
 
一方こちらでは雪子は元気がありあまっている。ボール運びでも頑張るし、スティールやパスカットもどんどん決めていく。透子も調子良くスリーを放り込んでいく。
 
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最終的に73対44と大差で旭川N高校が勝利した。
 

初日の試合は午後だったので、午前中にお寺で座禅をしたのだが、2日目の試合は午前中だったので、ベンチ枠の13人(睦子を含む)と今回のインハイに付き添ってくれている保健室の山本先生、そして博多に住んでいるN高OGの真鍋さんと15人で少しお散歩をした。真鍋さんは御主人が唐津の出身で唐津にはしょっちゅう来ている。
 
ちなみに残りの部員(昭ちゃんを含む)は他のチームの偵察をしてくれているし、宇田先生と南野コーチは色々お仕事があるようである。教頭先生は何かあった時の連絡係を兼ねてホテルで待機してくれている。
 
「あんたたちはナプキンの用意は大丈夫だった? 足りなかったら言ってね。何種類か持って来てるから」
と山本先生が言う。
 
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「ああ。川南がナプキン忘れたとか言って借りてましたね」
「インハイの間に来る予定が無かったのに来ちゃったらしい」
「こういう時は乱れやすいんだよね〜」
 
「念のため避妊具も持って来てるけど、あんたたち使わないよね?」
「さすがにインハイの最中に男の子とデートしたりしませんよ」
「まあ誰かさんは来る途中の地下鉄で会ったらしいけど」
 
「さすがに最中にはセックスしないよ!」
と千里は言った。
 
「男の子はしたくなるんだろうか?」
「したくなったら自分で処理するんじゃないの?」
「したくなくても毎日やる子が多いらしいね」
「やるというよりやっちゃうんだって言ってた」
「ああ。男の子はおちんちんに精神を支配されてるからね」
「男の子って、おちんちんの奴隷だよね」
「奴隷から解放されるためには、切っちゃうしかない」
「ほほお」
 
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「でもうまい具合に主力6人はちょうど直前に生理が来たか、タイミング的にインハイの後の生理になりそうです。特にエースの暢子は直前生理だったから、うまく卵胞期にインハイを迎えられたんですよね」
と久井奈は言った。
 
久井奈の言う主力6人とは、久井奈・穂礼・暢子・留実子・揚羽・雪子である。一般に女子選手には、卵胞期(生理〜排卵)の方が黄体期(排卵〜生理)より調子が良いと言う人が多いし、特に生理の直後が一番パワーが出るという人も多い。
 
「合宿の間つけてた基礎体温を見ると、千里は私が生理の時にちょうど排卵が来たみたいだったからインハイの間は大丈夫のはず」
と暢子が言う。
 
生理周期の確認のためこの1ヶ月は全員基礎体温を記録している。合宿中は枕元に全員婦人体温計を置いていた。排卵期には基礎体温が低下する。
 
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「千里ちゃん、生理あるんだっけ?」
と山本先生が訊く。
 
「本人に訊けば否定することが多いけど、様々な状況からあるのは確実」
と暢子が言う。
 
「今月初めに東京でMRI撮られた時、卵巣が写ったらしい」
と留実子が言うと
 
「ちょっと!それ内緒にって言ったのに」
と千里が焦って言う。
 
「千里ちゃん、卵巣あるの!?」
と山本先生が驚いて言う。
 
「あの場では話が混乱するから報告書にも書かなかったんですけど、通常の女性なら左側の卵巣のあるべき位置にゴミのようなものが見えたらしいです。腫瘍とかだったら大変ということで再度撮影すると、今度は右側の卵巣があるべき場所に何か見えて。でもオープンMRIでリアルタイムで見ながら再々確認すると何も映らなかったんですよ。かなり徹底的にスキャンしたのに。だから多分撮影システムに本当にゴミでも混入したのではないかということに」
 
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「そんなことあるの?」
「普通有り得ないですね。しかも2度も。整備の行き届いている東京の大学病院のMRIなのに」
 
「まあ千里の身体って色々有り得ないから」
「うん。だから私には卵巣も子宮もないし生理も無い」
 
「卵巣や子宮は無いかも知れないけど、生理は絶対あると思う」
と留実子が言った。
 
「千里、ナプキンは持ってるよね?」
「え?それはいつも持ってるけど」
「ふむふむ」
 

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一行は唐津城に行き、名物の《斜行エレベータ》に乗る。
 
「斜めに動くエレベータって初めて!」
という声が出る。
 
「まるでSF都市みたいだね。これだけ取れば」
「実はケーブルカーみたいなものだけどね」
 
「だけど私、バスケットの試合って初めてじっくり見たけど、いろんなタイマーが動いてるんだね」
と山本先生が言う。
 
「3秒ルール、5秒ルール、8秒ルール、24秒ルールとありますから」
「たいへんだね!」
「まあ要するにチンタラと試合をしてはいけない。テキパキとしなさい、ということなんですけどね」
 
「24秒ルールが定められる前はひどい試合があったんですよ」
とバスケットのルールに詳しい穂礼が言う。
 
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「1950年アメリカNBAのレイカーズvsフォートウェイン・ピストンズ戦で18対19という信じがたいロースコアのゲームがあったんです。1点リードしたピストンズが、そのあと延々とボールをキープし続けて相手にボールを渡さないようにし、そのまま1点差で勝利するという試合で、観客からは大ブーイングになりました。しかもその後、他にも同様の戦術を取るところが続出したので、NBAでは1954年から24秒ルールが導入されて、ボールをいったんコントロールしたチームは24秒以内にシュートしなければならないということになったんです。日本では1956年にいったん30秒ルールとして導入されて、2001年にNBAと同じ24秒になりました」
 
「そういう試合は金取って見せる試合じゃないね」
と山本先生もしかめ面である。
 
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「日本でも1953年の天皇杯決勝戦で、早稲田vs立教の試合。リードした立教が最後の5分間ひたすらボールをキープし続けました。早稲田がスティールに来てファウル取られるとフリースローですけど、当時は2投目は放棄して代りにスローインにできたんです。それでまたひたすらキープ]
「選択の権利だよね」
「実はそのルール廃止されたの1991年」
「割と最近だね」
「本来はフリースローが苦手な選手のためのルールだろうけど悪用の余地があった」
 
「極めつけが1956年の実業団選手権準々決勝の田辺製薬vs日本鋼管の試合で、田辺製薬が、ボールを一度取ったらその後、何分もひとりの選手がひたすらドリブルを続けるという戦術を取り、10分過ぎた頃から他の選手は腰をおろして休んでいるという異様な光景が見られたそうです。日本鋼管がボールを取ると速攻で攻めるのですが田辺製薬のボールになるとまたひたすらドリブル」
「ちょっとひどいな」
「でもこの試合、結局田辺製薬は負けている」
「ああいい気味だ」
「日本鋼管は決勝にも勝って優勝」
「偉い偉い」
 
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「日本でも30秒ルールが導入されたのは、直接的にはこの試合がきっかけだと思います」
と穂礼。
 
「リードしてる側が最後ゆっくり攻めるみたいなのはどのスポーツでもあるけど、5分も10分もやるのはスポーツマンシップに反するよ」
と久井奈さんは言った。
 
「そういうのは負けないかも知れないけど、ファンを減らすゲーム運びだな」
「そんな試合高いチケット買ってまで見たくないよね」
 

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一行は唐津城の上から唐津湾の美しい風景を見ていた。
 
「左手が大島。右側が高島、手前の小さいのが鳥島。向こうに薄く見える平らな島が《神が集まる島》と書いて神集島(かしわじま)」
と真鍋さんが説明してくれる。
 
「神集島って凄いですね。あんなに平らな島初めて見た」
「神が集まる島という字も凄い。神様の会議場なのかな」
「いやきっと宴会場」
「そうかも」
「あの島ではよくリュウグウノツカイが水揚げされるんですよ」
「ほぉ」
 
「高島には宝当神社があって、宝くじを当てたい人がたくさん参拝しにきます」
「わあ、時間があったら行ってみたい」
 
「神集島にしても高島にしても、隆起地形だよね。上部が波で削られたんだろうね」
 
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「そもそも唐津の背景にある鏡山も頂上が平らで、隆起地形っぽい」
「昔は鏡山の頂上の所が海面にあったんだろうね」
 
千里は先日夜中に連れて行かれた松浦佐用姫の宮殿はどこだったんだろう。鏡山だろうか、あの神集島だろうか。それとももっと向こうにある加部島だろうかなどと考えていた。(巫女なので加部島を知っている)
 

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女の子たちのインターハイ・高2編(3)

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