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■夏の日の想い出・止まれ進め(23)
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9月1日26時(9/2 Fri 2:00AM)頃、藤弥日古は
「もしもし、フジヤイコちゃん?」
という女性の声に目が覚めた。
「お届け物です」
というので
「ありがとう」
と言って受け取る。
「わあ、マナちゃんからの手紙だ」
と言って開けてみる。
この呪符を描けばいいのか。
弥日古は届けてくれた女性に尋ねた。
「夜中にありがとう。疲れてない?お茶かおやつかあげようか」
「冷たいおちゃなら歓迎、稲荷寿司とか油揚げとかあると歓迎だけど、おやつも好きだよ」
それでペットボトルの“おーいお茶”と大福を持ってきてあげたら美味しそうに食べていた。
「お稲荷さん、もし夕方まで待っててくれたら学校終わったあと買ってくるけど」
「待ってる!」
ということで、イオリさんは夕方(実際は夜)まで弥日古の部屋の押し入れでお休みになっていたのである。
さて、水戸の杜屋鈴世は9月1日午後の授業を女子制服で受けてしまった。でも5時間目のグラマーの先生も6時間目の古文の先生も鈴世の女子制服を注意することは無かった。実際問題として日都美たちが言うように、鈴世の女子制服姿があまりに自然すぎて、気付かなかったのだと思う。
鈴世は放課後も18時くらいまでバンドの練習をしてから帰宅した。
「あら、あんたその制服で学校に行ったの?」
「登校する時は男子制服だったけど途中で着替えた」
「ふーん」
「明日は男子制服で行くけど、土日は文化祭だからこの制服で登校する」
「まあ文化祭ならいいかもね」
それで鈴世は9月2日(金)は一応男子制服で登校した。でも登校するなり、女子たちから「女子制服着なよ」と言われて女子制服に着替えてしまった。その日1日女子制服で授業を受けた。
トイレはクラスメイトの女子たちが
「すずちゃん一緒に行こう」
と言って女子トイレに連れて行ってくれたので助かった。
「学校外ではいつも女子トイレ使ってるんでしょ?」
「私男物の服持ってないし」
「というか男子トイレを使うために必要な器官が存在しないよね」
結局、その日も先生たちからは全く注意されなかった。
「もう来週からも女子制服で授業受けなよ」
「その内叱られるよぉ」
「ばれない、ばれない」
この日(9/2 fri)も昼休み・放課後とバンドの練習を重ねた。そして鈴世は女子制服で下校したが、母は「ふーん」と言っていた。
9月2日(金)の朝、都城の藤弥日古は昨日と同じように女子制服を着て、母が作ってくれたお弁当を持ち、学校に出掛けて行った。女子としての登校も2日目になると、少し余裕が出てきて“女子”というものを楽しむ余裕が出てきた。
体育の授業だが、この日の午後は小雨がちらついたので水泳は中止となり、視聴覚教室で先日ブダペストで行われた世界水泳のダイジェストを上映しますということだった。
「泳ぎたかったのにぃ」
という声も多数あったが、弥日古は内心ホッとしていた。
水着になったり、その着替えの過程でヌードを見られても女で無いとバレない自信はあるけど、やはりそういう“危ない”場面は先延ばしにしたい気分だった。
世界水泳の映像は、さすがダイジェストにまとめられているだけあって興奮する場面の連続だった。昨年1年遅れで実施された東京五輪でも活躍した多数の日本人選手が予選を勝ち上がっていくところはとても興奮した。
800m予選で川上青葉選手がやらかした“泳ぎすぎ”については視聴覚教室内でも爆笑が起きていた。
(↑こうやって青葉は宮崎の高校生にも笑われている)
「川上選手はこの予選で日本新記録を出したのですが、もしまともにゴールしてたら、きっと1秒くらい速かったと言われています」
などとアナウンサーの人が言っていた。
「でもたくさん泳いでいたら回数分からなくなるかもね」
「陸上だとゴールテープが用意されるから走り過ぎは無いだろうけどね」
「いやうちの県の中学生の陸上大会で20年前に1度あったらしいよ」
「田舎の大会じゃあるかもねー」
(↑こうやって20年後まで笑われる)
こうして弥日古の女子高生生活2日目もごく普通に過ぎて行った。
学校が終わった後は、帰りにタイヨー(*21)に寄り、稲荷寿司をたくさん買った。それで帰宅してからイオリさんにあげると、イオリさんは凄く喜んでいた。
弥日古はおへその下に、マナちゃんから送ってもらった呪符を描き写した。もちろん「こちらが上」と書いてあるほうを手前にして描いていく。これ間違って逆さまに掻いたら、魔女っ子ちゃんが逆立ちして出て来たりしてね!?
イオリさんは弥日古が夕食で食卓に行くという時に
「これ食べたら帰るねー」
と言っていた。
「うん、気をつけてね」
夕食から戻るともうイオリさんはいなかった。弥日古は夜に備えて仮眠した。
(*21) タイヨーは宮崎・鹿児島に多数の店舗があるスーパー。関東地区にあるタイヨー、静岡にあるタイヨーとは、偶然名前が同じになっただけで無関係。
筆者も都城に半月ほど滞在した時には随分ここで着換えや食料を買った。私がよく寄ってたタイヨーは郊外型でかなりの大型店舗だったが、食料品だけの小型店舗もある模様。
9月2日(金)の朝6時頃、松崎真和は爽快に目が覚めた。何だかよく分からないけども凄く爽快な気分だった。取り敢えずトイレに行く。便座に座って筋肉を弛緩した時、今まで経験したこともない物凄くスムーズなおしっこの出方をした。
あっ。
それで自分が魔女っ子千里ちゃんに女の子に変えてもらったことを思い出した。
でも何てストレスの無い出方なんだろう。おしっこが身体からそのまま落ちて行く感じだ。少しずつ意識が明瞭になっていく。おそるおそる自分の身体を触ってみる。一見タックした状態に似てるけど、タックではなく本物の割れ目ちゃんがある。おしっこはその中から出ている。
やがて出終わるのでトイペで拭く。そしてショーツを上げてパジャマのズボンを上げて手を洗い、急ぎ自分の部屋に戻る。
布団の中に潜り込んで自分の身体を再確認する。
まず胸には豊かなバストがある。これBカップくらいかなあ。そしてお股には余計なものは何も付いてなくて、割れ目ちゃんがあり、その中に敏感な部分、多分おしっこの出て来たところ、そして奥には何かの穴がある。
すごーい!
すっかり女の子の身体になってる。この身体が自分のものだなんて信じられない。
真和は物凄く感動していた。
自分の身体をあちこち触ってみるが、特に傷みなどはない。変化する最中は少し苦しいと思うと言ってたけど、多分寝てたから分からなかったんじゃないかなあ。嬉しい。このままでいい。もう男の子には戻りたくないと思った。
ずっと自分の身体に陶酔していたら、やがて母が来た。
「マナちゃん、体調はどう?」
「だいぶ良くなったけど、今日まで休む」
「そうね。無理することないよね。学校に連絡しとくね」
「うん。ごめんねー」
元々今日まで休むつもりだったしね!
それに女の子になりたてで学校に出て行ったら、絶対あちこちボロが出そうな気がする。自分が女の子であるという状態に2〜3日慣らしてから出て行ったほうがいい気がするもん。
それで真和は取り敢えず2度寝した。
イオリは都城から伏見までの560kmを時速80kmで飛行し、その後、伏見にある京平の部屋(*22)から聖子の部屋の鏡にジャンプして、夜中2時頃(9/ 2:00AM)橘ハイツに帰還した。
「ひかりちゃん、ただいまあ」
「イオリさん、お疲れさん」
「たくさん飛行したから疲れた。私のお稲荷さんちょうだい」
ひかりは困ったように言った。
「イオリさんがあんまり帰って来ないから、取っておくと悪くなるしと思ってみんなで食べちゃったよ」
「え〜〜!?私の分はぁ?」
「だってあんまり帰って来ないんだもん」
「私往復1200kmくらい飛行したのにぃ」
と言って泣いている。
「じゃコンビニに行って、自分で好きなだけお稲荷さん買ってきてよ。こんな遅い時間に中学生が出歩いていたら補導されちゃう」
「分かった」
それでイオリはひかりからお金を預かり、自分でコンビニに行って、コンビニにありったけの稲荷寿司を買ってきて、美味しそうに食べていた。
真和からも弥日古からもたくさんお稲荷さんもらったのに!
(*22) 本人が大阪→神戸→浦和と移動してるので、この部屋は現在お友達キツネたちのたまり場になっている。イオリや篠田姉妹(男子寮のフロント係)なども利用している。
さて、9月2日(金)の夜12時(9/3 0:00 AM)、時計の12時の時報が鳴り終わると弥日古の部屋に魔女っ子千里ちゃんが出現した。
「呼ばれて飛んできてジャジャジャジャーン」
などと言っている。何かのパロディだろうか?
「じゃヤコちゃん女の子にしてあげるね」
「前提無しにいきなり!?」
「だって女の子になりたいんだよね?」
「なりたい」
「だったら女の子にしていいね?」
「うん」
「取り敢えず、そのブレストフォーム外して。ブラジャーも外して」
「うん」
・・・・・
「外し方が分からない」
「ああ。前にも外し方が分からなくて半年悩んでた子がいたな」
「半年!?」
「外してあげるよ」
と言って、魔女っ子千里ちゃんは剥がし液を使って、弥日古の胸に貼り付けてあるブレストフォームを外してあげた。
「じゃ女の子にしてあげる。寝てていいよ。目が覚めた時はもう女の子だから。醜いちんちんも、身体の中に害毒をまき散らす有害なたまたまも取って、美しい割れ目ちゃん、可愛いクリトリスと、素敵なヴァギナがあるようにしてあげるね。おしっこも女の子方式でできるようになるからね、ちゃんとお嫁さんにもなれるよ」
お嫁さんなんて言葉にドキドキする。
「うん。覚悟を決めた。女の子にしてください」
「だいたい2週間くらいで生理もくると思うから、ちゃんとナプキン用意しててね」
「生理くるんだ?」
「女の子になれば当然来るよ。将来的には赤ちゃん産んでママになるんだよ」
「ぼくがママになるのか・・・」
「じゃ寝ててね。性別軸の回転を掛けるからね」
と言って、魔女っ子千里ちゃんは弥日古の手を握った、
弥日古は眠くなって、眠りに落ちて行った。そして意識が消失する寸前、魔女っ子千里ちゃんはこんなことを言った。
「じゃ1ヶ月後に男の子に戻してあげるね」
ちよっと待って。なんで男の子に戻すの〜〜〜!?
(真和のケースと混同している。この子は勘違いと物忘れが酷いのが欠点である。しかも「1ヶ月後に女の子のままにするか男の子に戻すか選んで」という話だったハズが、いつの間にか「1ヶ月後に男の子に戻す」ということになってる)
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