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■夏の日の想い出・止まれ進め(14)

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彼は月末までメゾン・ドゥラ・カデットに滞在した。
 
彼は妹から
「東京に居る間だけでも女の子の服着てればいいよ」
と言われ、実際レッスンなどにはスカートを穿いて出ていた。
 
「もうお姉ちゃんと呼んであげようか?」
「・・・・・」
「じゃ呼んであげるね」
 
ということで、彼はすっかり
「水巻イビザの姉の水巻アバサでーす」
と自分でも名乗っていた。
 

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幸代(イビザ)は自分で煽っておいて、少し不安になった。それで女子寮の看護師・山口さんに相談した。
 
「うちの姉の精液を冷凍保存してくれる病院とかあったら紹介してもらえませんか」
「ああ、海老原さんに付き添ってもらおう」
 
本人に訊いてみると、自慰はもう3年くらいしてないというので、そのまま採取できる可能性があると考える。それでいつも男子寮の住人の精液保存をしてくれている病院に連れて行った。鈴世はスカート姿でいいのかなあと思ったものの海老原さんは
 
「男子寮の住人はスカート穿いてる子ばかりだから全く問題無い」
と言っていた。彼がスカートを穿いていてもお医者さんは何も変な顔はせず
「自分で射精できる?」
と尋ねた。
「もう3年くらいしてないので自信ありません」
と正直に言う。
「もし自分で逝けなかったらローター使ってみようか」
と言われた。
 
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実際自分ではどうしても逝けなかったが、ローターでかろうじて射精に至り、その液を採取した。お医者さんが顕微鏡で確認している。
 
「密度が低いけど活動性はいいから、濃縮すれば使えると思う」
ということだった。
 
密度は低いけど活動性はいいって、やはり睾丸ってしぶといなと鈴世は思った。
 

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「でも精液保存したから、これでいつでも去勢できるね」
と幸代が言うと鈴世は無言になった(妄想中)。
 
「・・・・・」
 
ああ、悩んでる悩んでる。きっと去勢したいけど、親に叱られそうで実行できないのだろう、などと幸代は思った。
 
一応彼も10月の時代劇の撮影に出て来てくれることになった。
 
「“男役”を頼むね」
と副社長は言った。
 
たいてい煽るゆりこも、この子にはストッパーを掛けないとやばい気がした。下手すると10月に出て来た時はもう性転換済みだったりしかねない!
 
「はい!」
と彼は悩むように答えた。彼にも一応信濃町ガールズのユニフォームをあげた。もちろんあげたのはスカートタイプのみである!
 
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ユニフォームを着けて妹と並んだところを仲の良いサリナちゃんに写真撮影してもらった。母に写真を送ってあげたら「ふたりとも可愛い!」と喜んでいた。父にも見せたが呆れてたらしい。
 

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8月31日に彼を迎えに来た母は、高校の女子制服を着ている鈴世を見て
 
「あんた性転換手術受けた?」
と訊いた。
 
「まだ我慢してる」
と彼は答えた。
 
幸代も含めて3人で2時間ほど、幸代の部屋でおしゃべりしてから車で帰る、
 
「明日からはその制服で学校に行く?」
と訊くと、鈴世は10秒くらい悩むようにしてから
「どうしよう?」
と反問してきた。
 
これが「私女子制服で通学したい」と本人が言い出すまではそのままでもいいかなと母は思った。彼は女子制服のまま帰宅したが、その格好を見た父は
「おお、可愛い、可愛い」
と笑顔で言った。
 
彼がスカート穿いてるのはいつものことなので、父も今更怒ったりはしない。
 
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彼はこの制服で通学したいよぉと思った。
 

七石プリム(杉本ひかり)は、夏休みが始まるのと同時に男子寮304から女子寮A608に部屋が移動された。終業式が終わって男子寮に戻ると、もう寮自体に入れなくなっていて女子寮に行ってと言われる。女子寮の指定された部屋に入ると、男子寮の荷物が丸毎そこに移動していたので呆れた。そして不安を覚えた。
 
「ぼく夏休みが終わった時、男子寮に戻れるのだろうか。このままずっと女子寮に住んで女子中学生としてこちらの中学に通ってねと言われたりして?」
 
でも女子寮に住んでいると、あけぼのテレビの五反野サテライトまですぐなので、あけぼのテレビに出演するのがとても楽であった。それで松島ふうかとかは言っていた。
 
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「ひかりちゃん、正式に女子寮に移っておいでよ。そしたら9月以降、17時台を担当してもらえるし」
 
確かにぼくもおしゃべりするのは好きだけどねーと思った。
 
足立区のE中学に通っている子だけが、17時のあけぼのテレビの番組に間に合うのである。
 
「どうしても男子寮に住みたいのなら、男子寮からこちらのE中学に通う?」
「それはあまりにも大変な気がする!」
 

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8月31日の朝、ひかりはサロンに呼ばれた。
「まあ座って」
と花ちゃんから言われて椅子に座る。ひかりはあけぼのテレビに行くのにレディスーツ(ボトムはもちろんスカート)を着ている。
 
ミルクティーが出てくる。ケーキも出てくる。それをゆっくりと飲んで食べたところで尋ねられた。
 
「女子寮の生活楽でしょ。女の子ばかりだから変に構えなくていいし」
「そうですね。男子寮より緊張しないのは確かです。隠しカメラ仕掛けられるのだけ阻止すればいいし」
 
花ちゃんは笑っている。
 
「君E中学の制服も持ってたよね」
「はい、持ってます」
「どうする?このまま女子寮の住人になって、E中学に通う?」
 
ひかりは答えた。
「まだしばらくは男子寮の住人でいたいんです。戻して下さい」
「了解了解。帰るフロアは4階でいいよね?」
「え〜〜!?」
 
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ゆりこ・花ちゃん・ロンドの3人で話し合ったのだが、
 
「どう考えてもプリムに睾丸は存在しない。あるいは完全機能停止している」
 
という結論に達したので、本人がどうしても男子寮に戻りたいと言った場合は4階に入れることにしたのである。
 

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ということで、プリムは男子寮に戻ることはできたものの“女の子”フロアの4階に移動されてしまった。
 
彼はその日の仕事を終えてから夕方男子寮に戻った。40日ぶりの橘ハイツが凄く懐かしくて実家に戻った気分だった。
 
女子寮はパレ・ドゥラ・メール "Palais de la Mer" 龍宮城でお魚さんたちと遊ぶ所、こちらは橘ハイツ、たちばな→キツ→キツネでおキツネさんたちと遊ぶ所かな。お魚の海とおキツネさんの陸で対比になってるんだ!と思う。
 
(ひかりにはこのマンションに住んでいる?おキツネさんたちが見える。彼女たちは色々ひかりに親切にしてくれる。「ひかりちゃん、完全な女の子にしてあげようか?赤ちゃん産めるようになるよ」と言われたけど、怖いので取り敢えず遠慮しておいた)
 
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住人たちが歓迎してくれた。
 
「Welcome back to Boys' Dormitory」
とセレン・クロム。
 
「Welcome to girls' floor」
と鈴原さくら。
 
部屋は401(夢島きらら) と403(鈴原さくら) の間の402 になった。彼(彼女)は半年もしないうちに、203(男の子フロア)→304(男の娘フロア)→402(女の子フロア) と移動したことになる。
 
部屋の中身は今朝までの女子寮608号室の状態がそのまま再現されていたので呆れた。
 
結果的にプリムのidカードの性別は女子に変更された。女子の性別になってないと、男子寮4階には入れない。
 
性別が男→男子寮2-3F○ 4F× 女子寮×
性別が女→男子寮2-3F× 4F○ 女子寮○
 
但し性別が男でも女子寮OKのフラグが立っていると、女子寮に入れる(男子寮4Fには入れない)。今これが立っているのは、花園裕紀のみ。ただし、セレン・クロム・パフェの3人は顔パスでゲートを通してもらえる。
 
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松崎元紀は薩摩川内(さつませんだい)市の出身で、鹿児島市の高校→福岡市の大学と進学して、現在法学部の1年生である。男らしく中学高校の野球部で活躍し、現在は鹿児島市の大学に通い野球をしている兄に対して彼は運動が苦手で、中学・高校と英語部に居た。数学や理科も得意なので高校の先生は医学部を勧めたが「人の命を預かる仕事はできない」と言って法学部を選んだ。将来的には司法試験を受けて民事の弁護士になるか企業の法務部に入りたいと思っている。
 
夏休みはバイトでもするつもりだったのだが、弟の真和(まさかず)から電話がある。
 
「典佳が入ったプロダクションでさ、ドラマ制作で端役をしてくれる男の子を募ってるらしい。モラルの問題で、タレントの兄弟限定らしいんだよ。ギャラは演じる役割によって5万から50万くらいらしいんだけど、もと兄ちゃん、やる気無い?たか兄ちゃんはやると言ってる」
 
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「やる。東京に行けばいいの?」
「藺牟田飛行場まで迎えのビジネスジェットをやるって」
「藺牟田飛行場?ビジネスジェット?」
 
彼はバイトの金額よりそちらに興味を持った。
 
プライベート飛行場にビジネスジェットなんて、そう簡単に体験できるものではない。
 
それで、電話を受けるとすぐ、つい先月、3万円!で買った中古(大古?)のタントに飛び乗り、薩摩川内市まで一晩で走った。
 

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タントを買ったのは、安かったのもあるが、“女の子らしい”車だからであった。彼は元々女性指向があり、大学に入るとすぐにスカート、ブラジャーを数着、女の子パンティをたくさん買って、それを日常的に着るようになった。ダイソーで化粧品を買い、メイクの練習もした。眉毛はもちろん細く切り揃えた。
 
まだ女の子の格好で大学に出て行く勇気は無いが、女の子の服を着て
 
(1) ゴミ捨てに行く
(2) 自販機までジュースを買いに行く
(3) コンビニに行ってくる(声を出さなくて済む)
(4) 地下鉄に乗って天神まで往復してくる
(5) 天神の本屋さんに行ってくる(本棚で隠れるからあまり見られなくて済む)
(6) マクドを買ってくる(声を出して注文する)
 
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などと少しずつ女装外出に慣らしていった。
 
顔のむだ毛は毎日時間は掛かるが毛抜きで抜くことにした。剃るのではどうしても剃り跡が残るからである。足の毛はソイエの抜くタイプを使ってみたが物凄く痛いので剃るので妥協した。
 

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5月には生まれて初めて美容室なるものに行った。実は彼は高3の春以降髪を切ってない。先生に注意されても勉強が忙しくてで押し通した。それでかなり髪が伸びている。
 
「あーりんみたいな髪型にできませんか?」
と言って“LARME”から切り抜いた佐々木彩夏の写真を見せる。
 
「もしかして女の子っぽい髪型にしたいの?」
「はい」
「OKOK。可愛くしてあげるね」
と言って、美容師さんは凄く可愛い髪型にカットしてパーマも掛けてくれた。
 
自動車学校は女装で通う自信が無かったので、男装で通っていたが、しばしばトイレで「ちょっと女子トイレが混んでるからって男子トイレに入らないでよ」と注意された。でもこの時点ではまだ女子トイレを使う勇気は無かった。
 
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でも免許試験場の写真撮影では、スカートを穿き、お化粧した写真で写っちゃった。女の子っぽい写真の運転免許証を手にして、凄く嬉しい気分になった。免許証って性別が表面に印刷されてないのが凄くいい!
 
この運転免許証を使って、銀行口座も「まつざき・もとき:女」の名義で作っちゃったし、市立図書館の登録証もやはり女性名義で作った。
 

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車を入手してからは、週末ごとに女装で車に乗ってあちこち出掛けた。糸島の二見ヶ浦(夫婦岩がある)、太宰府天満宮・だざいふ遊園地、津屋崎のおっぱい山、南畑ダム、などなどに出掛けて、リモートシャッターで自分を入れた記念写真も撮った。
 
だざいふ遊園地では生まれて初めてナンパされる経験をしたが、女でないことがバレない自信が無かったので「友だちと来てるので」と言って逃げた。
 
4ヶ月ぶりの帰省では、行程の大半を女装で走り、向こうに到着する少し前、道の駅阿久根で休憩してトイレに行った後、メイクを落とし、スカートを脱いでズボンを穿いた。でも実はストッキングは履いたまま!もちろん下着は全部女の子下着でブラジャーも着けたままである。
 
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飛行機に乗る時は、パイロットさんから
「お兄さん3人と聞いていましたが、お兄さん1人とお姉さん2人になったんですね」
と言われ一瞬互いに顔を見合わせた。
 
「はい。予定が変わったんです」
と貴美(たかよし)兄が言って、それで運んでもらった。
 
なお、貴美兄は“ドライブしたい”友人がここまで送ってくれたらしい。
 
友人って・・・多分女の子だよね?と元紀は思った。兄は中学時代から女の子にもてていた。兄へのラブレターの仲介までよく頼まれていた。女の子たちからは自分は同性に準じる存在と思われていたようである。
 

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夏の日の想い出・止まれ進め(14)

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