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■夏の日の想い出・止まれ進め(19)

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一方、姉との電話で気持ちが楽になった真和は心が軽くなったので、その後ぐっすり寝た。
 
7時半頃、母が部屋に来て
「マナ、そろそろ起きないと」
と言う。
「お母ちゃん、ごめーん。疲れが溜まってるから今日休む」
と言う。
「ああ、疲れてるだろうね。じゃ連絡しておくね」
「うん。ごめんねー」
 
それで8時頃まで両親とも出勤したようである。
 
真和はそれでトイレに行って、食卓に用意されていた朝御飯を温めて食べた後、またしばらく寝ていた。
 
10時頃
「もしもし、マツザキ・マナさんですか?」
という女性の声で目覚める。
 
見た感じ20代っぽい和服の女性がいる。
 
「あなた誰?」
「私はイオリです。マツザキマナさん?」
「はい、そうですが」
 
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だいたいどこから入ってきたんだ?
 
「お届け物です」
と言って封筒を渡される。姉からの封書である。
 
もう届いたの!?
 

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女性をあらためて観察する。尻尾がある気がするのはきっと気のせいだよね?その尻尾が2本もあるし。
 
「ありがとう。疲れてない?」
「600kmくらい飛んできたから少し疲れたかな」
 
(イオリは6階西湖の部屋に置かれている“鏡”を使って伏見にジャンプし、そこから薩摩川内市まで約600kmを80km/hほどで飛んできた)
 
「お茶かおやつか要らない?」
「私“キツネ舌”だから熱いのは苦手。冷たいお茶なら歓迎。お稲荷さんとかあったら嬉しいけど、おやつも歓迎」
 
「今お茶とお菓子持ってくるよ」
 
それで真和は台所の冷蔵庫から伊右衛門を持って来て、かるかんまんじゅうもあげた。
「このお菓子、100年くらい前にも食べたことある」
「へー。鹿児島県の名産品なんだよ。そうだ?お稲荷さんは無いけど、油揚げだけなら、あるけど」
「欲しい!」
 
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それで冷蔵庫の中に入っていた寿司揚げのパックを持って来てあげた。美味しそうに食べている。
 
彼女が油揚げを食べている間に真和は封書を開けて中を見る。
 
取り敢えず元紀姉には「手紙届いた。ありがとう」というメールをしておいた。
 

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「もし時間あったら、待っててくれたらお稲荷さん買ってくるけど」
「あ、お願い。私ここで1日くらい休んでていい?」
「いいよ!でもお母ちゃんに見られたら驚くから、押し入れの中とかでもいい?」
「あ、そのほうが落ち着く」
ということでイオリさんは押し入れの中に入って寝てしまった。
 
真和は少し考えた末に、Tシャツとスカートという格好で出掛けて自転車でスーパーまで行き、お稲荷さん6個入りを4パック買った。そして買物しながら考えた。
 
元紀姉の手紙によればあの呪符を下腹部に描くとそれを目印に“魔女っ子千里ちゃん”が来てくれるらしい。彼女と8月31日に去勢してもらう約束をしたのは、去勢はしたいけど少し怖かったので、自分がもう鹿児島に帰ってるだろう日を指定したからである。
 
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もし自分が呪符を描けば“魔女っ子千里ちゃん”は来てくれるだろう。そして自分は去勢してもらえるだろう。去勢はしたい。でもお父ちゃんに叱られないだろうかなどと考えていた(←父をダシにして本当は自分が怖い)。
 
でも姉は言っていた。このまま去勢もせず女性ホルモンも飲まずにいれば身体は否応なしに男性化して二度と元に戻せなくなる。女になりたいなら、去勢するか女性ホルモンを飲むかのどちらかだと。でも去勢するにしても女性ホルモンを飲み始めるにしてもやっちゃったらもう男にはなれなくなる。
 
つまり男になるか女になるか、自分で決めなければいけない。
 
高校1年というのはその決断ができる最後の年だと。
 

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イオリさんは寝ているようだったので、お稲荷さんは部屋の中に置く。エアコンが入っているから悪くなることはないだろう。冷蔵庫に入れると硬くなってしまう。
 
自分も布団の中に入って考える。タックしているお股を触ってみる。まるで何も無いみたいで嬉しい。お股にちんちんが付いてるの嫌だ。こういう感じでスッキリしたお股がいいと思う。それは物心付いた頃から思ってた。胸を触る。ブラジャー着けてるから見た目には胸があるように見えるけど、実際は全然無い。男みたいな胸だというのが寂しい。
 
小学校の5−6年生の頃、クラスメイトの女子たちが次々とブラジャー着けるようになっていき、自分は取り残されたような気分になっていた。
 
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・・・・・
 
去勢したことばれたら叱られるかなあ?
 
でも性別変更届けなんて書いてくれたんだから、ぼく女の子になっちゃってもいいんだよね?
 
だったら取ってもらおうかなあ。取っても後悔はしないと思う。むしろ早く取りたい。そして姉も言ってたけど、最低限去勢してたら女子制服での登校を認めてもらえるかも。
 
女子制服での登校・・・・
 
したい!
 
そもそももう男の服なんて着たくない!
 

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真和はゴミ袋を持ってくると、自分の部屋の衣裳ケースから、男物の下着を全部取りだして袋に詰めちゃった!
 
ブリーフなんて穿きたくない。男物のシャツなんて着たくない。全部捨てチャオ!ぼくはもうショーツしか穿かない。ブラジャー着けてキャミソールを着るんだ。
 
ワイシャツどうしよう?と思ったけど、ワイシャツも捨てちゃう。これでもう自分はブラウスを着て学校に行くしかなくなる。真和は自分を追い込んだほうがいいと思った。
 
ゴミ袋を裏口横の物置スペースに置くと、なんかすっきりした。トイレに行く。おしっこは凄く後ろの方から出る。ぼくもうこのおしっこの仕方がいいと思った。もう男の子みたいなおしっこの仕方はしたくない。
 
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そして部屋に戻ると姉が送ってくれた呪符を上下間違わないようにマイネームで描き写した。もちろん「こちらが上」と書かれた方が手前に来るようにお手本を持ち、描き写していく。
 
描き終えたところで12時の時報がなった、
 
これは“ぼく”の男としての人生の終了と“わたし”の女としての人生の開始を祝福する時報だと思った。
 

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イオリさんは夕方になって起きてきた。やはり600kmも“飛んでくる”のは重労働だったのだろう。買ってきたお稲荷さんをあげたら喜んで食べていた。
 
彼女がちょうど稲荷寿司を美味しそうに食べていた時、17時頃。
 
スマホに電話が掛かって来た。見ると、藤弥日古(広瀬のぞみ)ちゃんである。彼女とは立場が近いので東京にいる間、随分仲良くなった。
 
「おはよう、ヤコちゃん」
「おはよう、マナちゃん。相談事があるんだけど今少しいい?」
と彼女は言った。
 

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藤弥日古は2022年3月16日にタレントになるという妹・真理奈の引越を手伝いに母、もうひとりの妹・留依香と4人で東京に出た。寮に荷物を搬入している時に寮長さんが最初、下の妹・留依香に声を掛けた。
 
「妹さんは信濃町ガールズ入る気無い?団員の姉妹は入りたいと言えば本部生にするよ」
 
留依香は答えた。
「興味はあるけど娘が2人東京に出てきたらお父ちゃんが寂しがるだろし」
 
弥日古は「へー」と思った。留依香はバスケット命で、タレントなどには興味無いかと思っていたのである(*19).
 
この時は留依香が消極的な返事をしたので寮長さんは、弥日古に声を掛けた。
 
「お兄さんは信濃町ガールズに入る気無い?」
 
へ?ぼくが“ガールズ”?
 
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「ぼく男ですよー」
「君なら女の子の服を着せたら女の子で通りそうな気がするが」
 
と寮長さん。見透かされた?と思いながらも
 
「勘弁してください」
と言うが、内心ドキドキしている。
 
「お兄ちゃんなら性転換しても行けると思うなあ」
と真理奈は言っている。もちろん真理奈は自分の“性向”を知っている。
 
「何ならいい病院紹介しようか?」
と寮長さん(花咲ロンド)。
 
え〜?紹介してもらえるの?東京の病院ならレベル高そうと思う。
 
今女の子になったら・・・卒業までの残り1年は女子制服で高校に通うことになるのかなあ。振袖着て成人式して。あるいは信濃町ガールズに入れてもらえたら女の子歌手としてデビューする可能性も?などと妄想する。でもお父ちゃん許してくれないかなあ。とても説得する自信無い、などと悩む。それで思わず言った。
 
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「どうしよう?」
 
(もちろんロンドはジョークで言っているのだが本人はマジに取っている)
 

(*19) あとから話を聞くと、この時期、留依香を買っていた先輩が卒業してしまい、2年生(4月から3年生)のキャプテンとはあまり合わないので、退部も考えていたらしい。ところが3月下旬になってそのキャプテンが急な転校で福岡に行ってしまい、留依香はそのキャプテンの穴を埋める形でスターターになって、俄然やる気が出て来たらしい。
 
それで留依香は自分で寮長さん宛てに手紙を書き、あの後考えたけど、やはり自分はバスケットに専念したいのでタレントになるのはやめることにします。せっかく誘ってくれたのにごめんなさいと伝えたらしい。
 
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留依香はその手紙の中で、「弥日古兄(今の所兄だが姉になるかも←原文ママ)は女の子に性転換してタレントになるの興味あるかも。元々音楽が好きで、楽器もサックスとかトランペット・ホルン・オーボエ・クラリネットとか吹けるんですよ」と書いておいた。
 
(↑弥日古はホルンは吹けない。留依香の勘違い。でもトランペットが吹けるから多分練習すれば短期間で吹けるようになる)
 

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その時はそういう会話で終わっていたのだが、6月に今度は副寮母さん(花ちゃん)から連絡があったのである。
 
「無料で性転換手術受けさせてあげるから東京に出て来ない?」
「ほんとですか?でもどうしようかなあ。お父さん許してくれるか分からないし」
 
(この子、やはり本気で性転換したがってるのか?と花ちゃんも思う)
 
「まあ別に今すぐ性転換手術まで受けなくていいからドラマに出ない?男役が足りないんだよ」
「あ、そういうのなら許可が出ると思います。行きます」
 
それで弥日古は父には
「妹の事務所でドラマ撮影するのに男役が足りないらしいから手伝ってと言われてるから」
と言い、母にだけは
「良かったら無料で性転換手術受けさせてあげるよと言われてるんだけどどうしよう」
と打ち明けた。
 
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「あんたももう高校生だから自分で判断できると思うけど、“性転換して”後悔することも“性転換せずに”後悔することもないように、よくよく考えなさい」
と言ってくれた。
 
(この時点で母はきっと性転換手術を受けて帰ってくるのだろうと思っている)
 

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それで弥日古は7月15日(金)終業式のあと、母に車で宮崎空港まで送ってもらいHonda-Jetblueで熊谷に飛んだ。搭乗する前に母は言った。
 
「あんたが息子だとしても娘だとしても、あんたは私とお父ちゃんの子供だからね」
「うん、ありがとう」
 
(もう完璧に性転換することがほぼ確定と母は思っている)
 
東京に出て来た弥日古を花ちゃんは洋服屋さんに連れて行き、身体の採寸をしてもらった。
「君の身体のサイズで女子高校生制服を作るから」
と言われる。
 
ドキドキ。つまりぼく女子になった後、女子高生として高校に通うのかな?などと妄想する。そして花ちゃんは言った。
「君、女の子の声を出す練習してみない?」
 
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それでボイトレに通ったら一週間で女声が出るようになった。
 
こんな可愛い声が自分の物になったなんて嘘みたいと思った。性転換手術を受けても声は男のままという人をたくさんテレビなどで見ている。多くの人がいわゆるオカマ声で話している。性転換した人で、きれいに女声が出てるのって、中村中さんとか岡本知高さんとか少数しか居ない(*20)。でもこんなに女らしい声が出るようになったら、性転換手術が終わった後、普通に女性として見てもらえる、と物凄く嬉しくなった(←完璧に性転換手術を受けるつもりでいる)。
 
(*20) 岡本知高さんは別に性転換はしてない!彼はソプラニスタである。去勢もしていないはず。
 

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一方、妹の真理奈がお金を出してくれて弥日古はまず顔のむだ毛のレーザー脱毛を受けた。一週間はマスクが外せないが、そもそも今のご時世ではマスクしてても誰も変に思わない。そして顔のむだ毛の次は、足のむだ毛のレーザー脱毛も受けた。
 
この時期、楽器の演奏も桜野レイアさんに見てもらった。トランペット、クラリネット、サクソフォン、オーボエは合格だと言われた。
「ホルンもできるんだっけ?」
「吹いたことありません」
「楽器貸してあげるから練習しなよ」
「はい。ありがとうございます」
 
またドラムスも覚えてといって指導してもらった。これ結構楽しい!と思った。
 
(レイア直伝!!)
 

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夏の日の想い出・止まれ進め(19)

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