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■夏の日の想い出・星導きし恋人(6)

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不祥事による1年間の謹慎の後、2DKのアパートで1年間過ごし、2020年春からは水戸市内の“崩壊寸前”のボロ家に住んでいた、上島雷太・春風アルト夫妻であるが、1月頃、アルトさんが私に相談してきた。
 
「最近とみに雨漏りが酷いんだけど、やはり家を建て替えた方がいいかなあと思って」
「それ推奨です。あの時は3日以内に引っ越さなきゃということで取り敢えず入居しましたからね」
「建て替えの費用は私が出せるんだけど、所有者の雨宮さんの承認を取らなきゃと思うんだけど、どうしても雨宮さんが捉まらないのよ」
 
「ああ」
 
現在春風アルトさんは、あけぼのテレビの社長として年俸換算3000万円(月あたり250万円)の報酬をもらっており、充分建て替え費用は払える(上島先生はまだ年収600-700万円である)。
 
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しかし雨宮先生の居場所を見つけられるのは、千里と三宅先生くらいだ。
 
私は千里に電話したが、千里は言った。
「雨宮先生は事後承認で問題無いよ。建て替えちゃうのがいいと思う。でも地下室との連携があるから、うちの連中に作業させていい?」
 
「それでいいと思う」
 
それで播磨工務店の白組(2020春にこのボロ家を改造したチーム)をあけぼのテレビに呼び、アルトさんの執務時間の合間をぬって打ち合わせをした。その結果、重量鉄骨構造で“地上部分”を建て替えることが決まったのである。
 
工事は2ヶ月くらいかかるので、その間一家は三宅先生の御自宅に同居させてもらった。(この家は三宅先生が雨宮先生と同居できるよう西翼・東翼に別れており、三宅先生は西翼に住んでいる。それで雨宮先生用の東翼をまるごと上島一家に貸した)
 
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「ここに居れば、どこをふらついているか分からない雨宮先生から連絡があった時に建て替えの件も話せますし」
 
「助かります」
 

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それが1月のことだったのだが、荷物の移動とかもして工事に取りかかったのが2月に入ってからで、工事は4月上旬まで掛かった。そして三宅先生の所から荷物を戻して4月14日(水・大安・たつ)に引越祝いをした。
 
「あ、地下室への階段ができてる」
「エレベータだけでは不便だったからね。そのエレベータも4人乗れるタイプに交換した」
「うん。あのエレベータも狭かった」
「ついでに地下の2つのラウンジの間に直接行き来できるドアも作った」
「トイレを通過しないと移動できないというのは、不思議すぎる仕様だった」
「あれドアを付け忘れたらしい」
「やはりそうだったのか」
 
お祝いに顔を出したのは、私、千里、アクアと葉月の名代の和紗(桜木ワルツ)、コスモス・ゆりこの名代の花ちゃん、三宅先生、下川先生、水上先生、海原先生、山根先生、中村将春さんである。支香さんはアルトさんの手前遠慮した。また多人数の集合になるのを避けるため、山折大二郎兄弟・松浦紗雪・ローズクォーツなどには遠慮してもらって、記念品だけ届けた。
 
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雨宮先生はつかまらなかった!常滑真音の制作は嗅ぎつけて顔を出すので、建て直しの件は私から口頭で伝えて了承をもらっていたのだが、この日がお祝いという連絡は届かなかったようであった。
 
なおこのお祝い会は飲食なし!である。豪華なお弁当とワインを用意し、各自持ち帰って食べてもらうことにした。(同等のものを山折大二郎兄弟や松浦紗雪たちにも届けている)
 
そのお祝い会が落ち着いた所で、私と千里は、和紗と花ちゃんにちょっと席を外してもらい(地下のラウンジでお茶を飲んでてもらった)、あらためて8月20日以降にアクアの父親・母親について発表する方針を伝え、このメンツから了承を得た。
 
「同時に女の子になったことも発表するんだよね?」
「そんな発表はありません!」
 
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「そういえば雨宮先生はさ」
と千里が言う。
 
「せっかく男の娘歌手をデビューさせようと羽鳥セシルを育成してたのに、誰か親切な人が性転換させて女の子にしちゃったから、ご機嫌がよくないんですよ」
 
「それで今日も欠席か」
 
「だけどセシルちゃんの写真集見たけど、すっごく可愛いね」
「あの写真集を撮影した時点では、あの子まだ男の娘だったんですよ」
「最近の男の娘は完璧すぎるよ」
 

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2021年5月12日(水).
 
その日、羽衣はクリールスク(Курильск/日本名:紗那村の一部)の自宅で、昨夜ナンパに成功したヴェータという50代のモルドヴィア女(*1)と熱い一夜を過ごし満足して眠った。彼女は女同士でするのは初めてだったようだが、歓喜にむせび、何度も絶頂に達した上で、疲れ果てて今は熟睡している。
 
「あたしをこんなに気持ちよくさせてくれた男は今までいなかったよぉ」
などどロシア語(*1)で叫んでいた。
 
羽衣は1晩限りの遊びのつもりだったものの。こんなに言われては、もはや遊びとは言えんなあなどと少し後悔していた。しかし気のいい女だし、まあしばらく付き合ってもいいかなとも思った。
 
彼女は夫と死に別れてから10年ほどらしく、20代の子供2人は既に独立していて、数年前から1人暮らしだったらしい。
 
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(*1)ロシアが実効支配する北方領土には、多くのロシア人とともに、ウクライナ、ベラルーシのスラブ三国の人のほか、タタール人(韃靼人)、モルドヴィア人などのアジア系民族も一部住んでいる(実は韓国系と日系も数百人いる)。モルドヴィア (Mordovia) はモスクワの南東400kmほどの所にある小国である。名前が似ているモルドヴァ (Mordova) はルーマニアとウクライナの間にある国で、全く別物なので注意が必要。
 
モルドヴィアはソ連時代にロシア語の使用が強制されていたこともあり、実はモルドヴィア語が分からず、ロシア語しか話せない住民がかなりいる。ヴェータ(本名はスヴェトラーナで“ヴェータ”は愛称)も両親はモルドヴィア語の方言であるエルジャ (Erzya) 語の話者だが、自分はロシア語しか分からないと言っていた。
 
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太陽も昇って(この日の日出は5:43)、半分目が覚めたものの、まどろみをむさぼっていた羽衣は、突然物凄いパワーが炸裂するのを感じ、びっくりして飛び起きた。
 
そしてそのパワーを感じた方角を確認して呟いた。
 
「生まれたか」
 
時計を見たら午前6時ジャストであった。
 

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青葉は4月に行われた日本選手権で東京オリンピックの代表に正式に決定した後は、テレビ局も休職扱いにしてもらった上で、毎日朝から晩までひたすら津幡の“プライベートプール”で泳いでいた。『北陸霊界探訪』もオリンピックが終わるまで青葉はお休みである(過去の再放送や、明恵と真珠が案内役になり(無害な)不思議スポットの探訪をしたりする)。
 
その日は前日に23時頃までひたすら泳いだ後、自宅でぐっすり寝ていたのだが、5月12日午前4:00. まるで近くに原爆でも落ちたかと思うほどの強烈な衝撃を覚えて飛び起きた。
 
まず爆弾などではないことを確認する。そしてさっきの衝撃のパワーが来た方角を確認する。
 
「生まれたのか。それにしても凄まじいパワーだ」
と青葉は思った。
 
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(エトロフ島でロシアが現在実施している時刻と日本時刻は2時間の時差があるので、エトロフ島の6:00=日本時刻4:00である)
 

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その日、千里1は浦和の自宅(203の部屋)で、桃香と同じ布団の中で幸せな寝顔で寝ていたのだが、午前4時、何かの衝撃を感じて飛び起きた。
 
「何?何?」
と周囲を見回すが、衝撃の正体は分からなかった。
 
千里2は同じ自宅の貴司の部屋(201)で彼と同衾していたのだが、千里1と同時に飛び起きた。そして5秒ほど考えてから呟いた。
 
「生まれたか。しかし何てパワーなんだ。前より凄いじゃん」
 
浦和の家の部屋構成と部屋割↓(再掲)

201:貴司(+千里2) 202:早月・由美・緩菜(+桃香) 2SR:京平 203:桃香(+千里1)
101:彪志・青葉 B02:千里2 B03:千里3 B04:アクアM B05:アクアF
 
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千里3は事情があって、都内の病院にいて少し仮眠していたのだが、やはり午前4時に衝撃で目が覚めた。4秒で状況を認識する。
 
そして言った。
 
「やったぁ!これで刺客から狙われなくて済む!」
 
丸山アイの妊娠中に千里を殺そうと式神・銃・爆弾!などで襲ってきたのは30組以上に及ぶが全員返り討ちにしている。しかし虚空(丸山アイ)の復活で、刺客のターゲットは多分虚空の方に戻る。
 
「刺客さんたち、ご愁傷様」
 
虚空は私と違って情け容赦ないからね〜。
 

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この日、日本時間4:00AMジャストに、丸山アイ(戸籍名:久保早紀 1994生)は東京都内の病院で女の赤ちゃん(卯乃:うの)を出産した。
 
丸山アイの“遺伝子上の”最初の子供である(と本人は思っている)。
 
20分後の4:20には、妻(夫?)の城崎綾香(本名:宮田雅希)も男の赤ちゃん(隼人:はやと)を出産した。
 
遺伝子上は、
卯乃の父親は雅希・母親は早紀
隼人の父親は早紀・母親は雅希
 
となっていて、この2人は“両親は同じ”なのに“父親も違う”し“母親も違う”という姉弟である。アイは以前、千里に早月と京平、あるいは早月と緩菜は“ツイスト兄妹”“ツイスト姉妹”だねと言ったが(twist=ねじれ)、卯乃と隼人の場合は“完全ツイスト姉弟”になる。
 
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(千里は早月の父親であり、かつ、京平・緩菜の母親である)
 
なお、早紀の本来の性別が男なのか女なのか、早紀は秘密にしていたが、雅希が男の子を産んだことで、千里やヒロシにはバレてしまった(フェイはそういうことは、なーんにも考えていない)。
 
ちなみにこの日は日本時間4:00(エトロフ島時間6:00)に太陽と月の黄経が一致し“朔”(新月)となった。つまり卯乃は新月になるのと同時に飛び出してきたのである。
 
そして妊娠によってパワーが低下していた丸山アイのパワーも復活した。この出産の衝撃に気がついたのは、日本国内にいる(他称)霊能“人間”の中では下記のような人たちである(本当に人間なのか若干?怪しい人もある)。
 
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羽衣(吉田那津乳:なづち 120歳くらいと思われるが本人も年齢を忘れている。見た目はまだ60歳前後。
昇陽(海藤天津子:てつこ)
紫微(中村博紀?2A16:白雪ユメ子?)
歓喜(八重龍城 2A15)
沙本(さほ:詳細略:過去に数回登場はしている)
子牙(しが:いづれ登場予定)
瞬葉(川上青葉)
駿馬(村山千里)
遠駒真里(遠駒来光の孫)
篠田京平(取り敢えず今は暫定的に人間)
斎藤星(暫定的に人間)
細川緩菜
 
藤野沙耶(暫定的に人間だが、命・星や千里は彼女を霧島大神と呼ぶ。本来の力は人間をやっている間は封印されているが、現時点でも虚空や羽衣とは比較にならない強大なパワーを持つ。しかし彼女は人間の細かな営みには関与しない。それでも“気まぐれ”で、52歳で死ぬはずだったアクアの寿命を延ばしてあげた。ついでに少し“余計なこと”もしたように千里には思えた)
 
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瞬醒・瞬法・瞬高
中村晃湖
藤島月華(“スピード狂”瀬高美奈子の祖母:過去に1度だけ登場)
火喜多高胤
 
小空と小歌は当然衝撃を認識したが、実は出産現場にいた。出産に集中して無防備になる“霊的な母”早紀をガードしていたのである。
 
また衝撃は感じたものの、アイの出産とまでは分からなかった人は100人以上いる。
 

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4:39 都内の別の病院ではフェイ(中山真琴)が2人目の子供となる奈美を出産した。日の出と同時の出産であった。
 
フェイは“脳”的には男の子で出産をコントロールする能力を持たないので、実は出産前後には千里3が分娩室まで入って代わりにコントロールしてあげた。前回の出産の時は青葉と2人がかりだったのだが、今回は青葉はオリンピックを目前にしていて負担を掛けられないので、千里3が《びゃくちゃん》と一緒にコントロールしたのである。
 
千里もオリンピック目前だが、こちらは2番と3番で交代で練習に出られるので何とかなる。
 
「疲れたぁ。やっと眠られる」
と千里3は声をあげた。
 
なお父親のヒロシ(中山洋介)は熟睡していて、出産が終わったフェイから蹴られて!目を覚まし、やっと我が子を抱いた。
 
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そして6:00 青島リンナがまた別の都内の病院で夫・高橋俊郎との子供・敦子を出産した。
 
リンナが先夫との間に作った夏絵(現在は先夫である百道大輔の母が育てており、後に大輔と事実婚した政子が養子にする)の父違いの妹になる。
 
この日の朝は出産ラッシュとなった。
 

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