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■夏の日の想い出・星遮りし恋人(1)

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(C) Eriko Kawaguchi 2021-05-04

 
アクアが最近、“女の子”路線に行きすぎているのではということから、私とコスモス、和泉の3人は2020年12月に緊急会談して、しばらくアクアは“王子様”イメージで売っていこうということになった。
 
それで12月30日に発売されたシングル『探偵王子/自由に生きよう』(1/6発売予定が諸事情により1週間早くなった)では、曲のタイトルに合わせて王子様の衣装を着けている。そもそもアクアはデビュー当初の頃、結構王子様衣装を着ていたのである。
 
王子様路線でドラマか映画を撮りたいねと言っていたのだが、和泉が持ち込んできた企画が『火の鳥』だったのである。
 
これはストラヴィンスキー作曲のバレエにもなっている作品である。元々の物語はかなり長いしバリエーションも多いのだが、今回は3時間ドラマの企画で下記のような筋になっている。
 
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実際にはおおまかなプロットを和泉自身が書き、脚本家の井山玲佳にシナリオを書いてもらったものである。井山さんはとにかく筆の速い人で、このシナリオもわずか3日で書いてくれたらしい。
 

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王様は黄金のリンゴの木を持っていたが、夜な夜な誰かがリンゴを1個盗んで行く。王様は3人の王子に盗賊を捕まえるよう命じる。
 
長男のドミトリー王子は見張りをしていたか、やがて眠ってしまった。朝になって「誰も来なかった」と言ったが、リンゴは盗まれていた。
 
次男のワナヒム王子は、兄は眠ってしまったようだと思い、眠らないようにハッカを噛んでいたが。真夜中に強烈な眠気に襲われ、ハッカで刺激を与えているにも関わらず眠ってしまう。朝になって「誰も来なかった」と言ったが、リンゴは盗まれていた。
 
三男のイワン王子は盗賊は真夜中に来るのだろうと思い、最初から寝てしまう。そして夜中になって起きだした。すると突然あたりが昼間のよに明るくなり、松明1000個分くらいに明るい“火の鳥”(Жар птица Firebird)がやってきて、黄金のリンゴを食べようとする。イワン王子は火の鳥を捕まえようと飛びかかり、そのシッポを掴んだ。火の鳥は驚いて逃げて行くが、イワン王子は火の鳥の羽根を1本掴んでいた。
 
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朝になってその羽根を王様に見せて報告するが、その羽根は1本だけなのに、暗い部屋の中に置くと部屋中が昼間のように明るくなった。
 

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それ以降、火の鳥はもうリンゴを盗りに来なかったが、王様はその火の鳥が欲しくなった。それで3人の王子に火の鳥を捕まえてきた者を跡継ぎにすると言う。3人は各々出発した。
 
イワンは馬に乗って旅していたが、その馬を灰色狼(серый волк, Gray Wolf *1)に食べられてしまう。しかし灰色狼は自分が馬の代わりをしてやるし、火の鳥の居場所も知っているという。
 
(*1)一般にいう狼は“ハイイロオオカミ”という種である。別名タイリクオオカミ(大陸狼)。絶滅した可能性が高いニホンオオカミ(日本狼)も、ハイイロオオカミの亜種である。また家畜として飼い慣らされているイヌ(イエイヌ:家犬)もやはりハイイロオオカミの亜種であるとされる。実際イヌとオオカミの間には生殖的隔離が存在しない。日本では古来、狼を“山犬”、家畜の犬は“家犬”と呼び分けていたが、そういう、同種のバリエーションであるかのような呼び方が遺伝子上も正しいようである。
 
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イヌ族(Canis *2)の中に、ハイイロオオカミ、ジャッカル、コヨーテ、などの種がある。正確にはイヌ族は下記の7種に分類される。
 
Canis adustus Side-striped jackal 横筋ジャッカル
Canis anthus African golden wolf アフリカ金色狼
Canis aureus Eurasian golden jackal ユーラシア金色ジャッカル
Canis latrans Coyote コヨーテ
Canis lupus Wolf 大陸狼(灰色狼)
Canis mesomelas Black-backed jackal 背黒ジャッカル
Canis simensis Ethiopian wolf エチオピア狼(アビシニアジャッカル)
 
(*2)イヌはラテン語でcanis(カニス)という。オオカミは Canis lupus. 夜空のおおいぬ座(α星がSirius シリウス)は Canis Major, こいぬ座(α星がProcyon プロキオン)は Canis Minor である。略号は各々 CMa CMi.
 
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やがて灰色狼は小さな王国のお城の庭にイワン王子を連れていく。そこに火の鳥がいる小屋がある。灰色狼はイワン王子に
「火の鳥は寝ているから、火の鳥だけを連れてこい。でも金の籠には決して触るな」
と言う。しかしイワン王子は、火の鳥を籠も無しに連れ出すのは可哀想な気がして、金の籠も一緒に持ち出そうとする。しかし金の籠に触ると、火の鳥が目を覚まし、大きな声で啼いたので、イワン王子は捕まってしまう。
 
その国の王様は、エレーナ(Елена Elena)姫を連れてきたら代わりに火の鳥を与えると言う。それでイワン王子はエレナ姫の所に行く。エレナ姫は小国のお姫様で、結婚相手を探していた。イワンは姫を見て一目で好きになってしまう。彼を含めて3人の求婚者がいた。
 
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1人目の求婚者は自分と結婚してくれたら、広大な領地をあげるという。2人目の求婚者は、自分と結婚してくれたら山のような宝石をあげるという。そしてイワンは自分と結婚してくれたら、自分の真心をあげると言った。
 
エレナ姫は“真心をくれる”という人がいいと言い、エレナ姫はイワンの所に行くことになった。
 

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「上出来だぞ。よくやった。それで姫を王様の所に届ければ、火の鳥が得られる」
と灰色狼は言うが、イワン王子は言った。
 
「私は姫のことが本気で好きだ。あの王様には渡したくない」
 
灰色狼は呆れるが、自分がエレナ姫に化けて、本物のエレナ姫の代わりに王様に渡させる。それでイワン王子は火の鳥を手に入れることができた。姫に化けた灰色狼は、女らしい仕草で王様を魅了し、まるで王様を気に入ったかのように振る舞った上で、初夜を前にして姫に化けさせた雌鶏を身代わりにして逃亡してきた。そしてイワンと本物の姫を背中に乗せて一緒に国に戻っていく。
 
国境の近くで、後はひとりで行けるだろうと言って狼はイワンと別れた。ところがイワンが火の鳥と美しい姫を連れているのを見た次兄のワナヒム王子が、イワンと一緒に帰ろうと言って同行した上で、姫が眠っている隙にイワンを殺してしまう。目を覚ました姫には、イワンは盗賊に襲われて殺されたと話し、取り敢えず私の国に来てから、後のことは考えるといいと言った。
 
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それで兄の王子は自分の父王に火の鳥を見せて自分が入手したのだと言い、王様の後継者に指名される。更にエレナ姫も口説いて結婚しようとしたが、エレナ姫は兄王子にはなかなか心を開かなかった。
 
イワンの遺体は烏の親子がついばもうとしていた。ちょうどそこに通り掛かった灰色狼は、その小烏を締め上げ親烏に「命の水と死の水を持って来い」と言った。鳥がその2つの水を持ってくると、灰色狼は子烏を解放した上で、最初にイワンに“死の水”を掛ける。するとイワンの傷は治るが死んだままである。続いて“命の水”を掛けるとイワンは蘇生した。
 
それでイワンは灰色狼を連れて急ぎお城に戻る。お城では今まさにワナヒム王子とエレナ姫の結婚式が行われようとしていた。そこにイワンが飛び込んでくるとエレナ姫は「イワン!」と大きな声をあげて、彼に飛び付く。
 
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「これはどうしたことだ?」
 
と訝る王様に、灰色狼は火の鳥もエレナ姫もイワン王子が得たものであることを説明する。追及されたワナヒム王子は火の鳥と姫を奪おうと思いイワンを刺したことを認めたので、彼は投獄され、あらためてイワンが後継者に指名された。そしてイワン王子とエレナ姫の結婚式が盛大に行われた。戻って来た長兄のドミトリー王子も彼を祝福した。
 

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「死の水を取って来いという話を聞いて、それでお兄さんを殺すのかと思ったら、死の水には傷を治す効果があったのね」
「こういう使い方は、他ではあまり聞かないよね」
 
「だけど元の物語のイワンはもう少し馬鹿だよね」
「そうそう。それでは王子様より灰色狼がヒーローになるから、アクアがイワンを演じることを考えて、少しかっこよく改変した」
 
「火の鳥とお姫様の間にもう少し無かった?」
「金のたてがみの馬というのが入っている。イワンは同じ失敗を繰り返す」
「やはりイワン王子は馬鹿だな」
「それで少し賢く改変した」
「なるほどね」
 
「エレナ姫は実は男の子だったので、イワン王子と結婚できるようにするため魔法の桃を取ってくるとかいうエピソードは無いの?」
「そんなのは聞いたことありません」
 
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あけぼのテレビでの制作放送を考えていたのだが、正月にアクアで『ロミオとジュリエット』を撮りたいと言っていた、ΛΛテレビがこの企画に飛び付いた。ぜひうちで放送させてくれというので、そちらに投げることにした。脚本は和泉が用意したものをほぼそのまま流用する。配役は次のように決まった。
 
ドミトリー王子 岩本卓也
ワナヒム王子  大林亮平
イワン王子 アクア【主役】
3兄弟の父王  木取道雄
灰色狼(声)  白鳥リズム
火の鳥(声?) 常滑舞音
火の鳥の飼主の王様 広原剛志
エレナ姫    坂出モナ
エレナ姫の父王 倉橋礼次郎
 
悪役の次兄は配役が難しいのだが、アクアとの絡みがわりと多い大林亮平(京極と怪人二十面相!)が引き受けてくれた。
 
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この物語で配役が最も難しかったのがエレナ姫である。実はアクアに男役のみをさせる場合の相手役の女優さんというのは、アクアのファンたちから嫉妬され、危害を加えられる危険もある。
 
それで鳥山さんが最初考えたのは、エレナ姫を男の子に演じさせるという案である。男の子でもお姫様の衣装を違和感無く着られる子はいる。できたら声変わり前の子なら声も女の子で通るかも知れない。
 
しかし適当な子が見つからないのである。女の子で通る男の子といっても、ある程度の演技力は必要である。全くの新人なら見つかりそうだが、無名の人だと、本当に女の子と誤認され、危害を加えられる可能性があるから、既に名前の通っている子がいい。しかし意外に居ないのである。
 
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鳥山さんは弘田ルキアも考えたのだが、彼は身長が175cmもあり、157cmのアクアの相手役は無理である(ルキアが王子様でアクアがお姫様ならいいが)。
 
現在は(性転換手術を受けて?)女性になっているが元男の子であったことを公表している羽鳥セシルも考えたが、彼女も170cm代だ。
 
数日悩んだ末に思いついたのが坂出モナだった。彼女は154cmとアクアより背が低いので、アクアが王子役をする時のお姫様役としてはとても釣り合う。そして彼女は弘田ルキアと結婚してしまった(正確には法的に夫婦になるのは1年後だが事実上もう夫婦なのだろうと多くの人が思っている)ので、アクアとの恋愛可能性がほぼ無いのである。鳥山も最初既婚女性というのも考えたが、その時は、既婚女性だと年齢が釣り合わないと思った。しかし、坂出モナはまだ17歳なので、19歳のアクアの相手として全く問題無い。
 
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それでエレナ姫役には、モナが決まったのである。♪♪ハウスの白河夜船社長に連絡すると快諾してくれた。モナ本人は
 
「アクアちゃんは女の子だから、アクアちゃんと抱き合ったりするのは全く問題無いし、罪悪感も感じない」
 
などと言っていた!
 
「アクアちゃんとならベッドシーンやってもいいですよ」
「いやテレビで放送しないといけないから、それは無し」
 
「でも芸能界って既婚女子には冷たいと思ってたけど、既婚の需要もあるんですね〜」
と彼女は感心していた。
 

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撮影は『少年探偵団』撮影の合間を縫って2時間ずつ合計4日ほどで行われたが、火の鳥・灰色狼をCGで書き加えなければならないので放送用のビデオが完成したのは3月中旬である。それで少年探偵団の放送が終わった翌週の3月29日に春休みの特別番組として3時間一挙放送した。物凄い視聴率となり、放送局の上層部も、スポンサーさんも笑顔であった。
 

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