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■夏の日の想い出・星遮りし恋人(23)
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結婚式はZoomで参列している人だけに公開されたが、披露宴はあけぼのテレビを通して全国にネット中継される(スポンサー付き無料放送:スポンサーはネオンがここ数年CM出演している紳士服ブランドと、あけぼのテレビで多くのCMを流している家電品メーカーが共同で引き受けてくれた)。
進行役は、あけぼのテレビの小林雪恵アナウンサー(白いドレス)である。新郎新婦(ウェディングドレスとタキシード)の入場でBGMを演奏したのは、白鳥リズムと白雪1200kmのメンバーである。リズム自身も今日は電気ヴァイオリン Yamaha YEV104 を持って6ピースバンドになっている。ロックギャルコンテストの同期であるネオンのために、リズムが今日の音楽担当を買って出たのである。
開式の辞を川崎ゆりこ(振袖)が述べ、花ちゃん(振袖)が新郎新婦の紹介をする。この2人は会場に居る。
「ちなみに新郎が“充乃”で、新婦が“真史”です。逆ではありませんのでご注意を」
と花ちゃんは、ふたりの名前を紙に書いたものを提示しながら説明した。
「最初これが逆になってたから、そのままだと、真史(まふみ)さんがタキシードを着て、ネオン君がウェディングドレスを着ないといけないところでした。ネオンのウェディングドレス姿見たかったですね」
と言って、笑いを取っていた。
その後、新郎側はコスモス社長(黒留袖)の祝辞、新婦側は伯父さん(ブラックスーツ)の祝辞がある。これはどちらもリモートである。そして、∞∞プロ鈴木社長の音頭で乾杯が行われた。
リモート参列者の所には、あらかじめお料理(お昼頃配送されてきた)と飲み物(シャンパン・ワイン・日本酒・ビール・酎ハイ・サイダーなど好みのもの)が届けられている。私はこちらは会長という立場上万が一にも酔えないので、サイダーをお願いしておいた。マリはワインを頼んだが、瓶を開けきれず、私が開けてあげた。
そしてウェディングケーキの入刀である。高さ30cmほどもある巨大なケーキ(全てがケーキで出来ている!)にふたりが入刀し、キスすると、白雪1200kmがネオンのヒット曲『熱視線ビーチ』を演奏した。
この後、ケーキはホテルのスタッフの手で切り分けられ、“披露宴終了後”、リアルで出席している20人ほどの親族+ゆりこ・花ちゃん、それに演奏してくれた白雪1200kmのメンツに配られた。
そして、ここからはおなじみの“披露宴ライブ”である。
例によって、お気に入りの青い振袖姿のアクアが『ダイヤモンドの意志』を歌う。もうアクアが振袖を着ていても誰も騒がない。アクアの普通の衣装と思われている。
加えて、アクアはやはり女の子になってしまったのだろうと思っている人もひじょうに多い。多分国民の3割がそう思っている。そして国民の3割は最初からアクアを女の子アイドルだと思い込んでいる!(残り4割は関心の無い人、つまりアクアが男の子と思っている人はほとんど居ない!)
続いてラピスラズリが『愛のドテ焼き』(誰だ?この選曲したのは?)、姫路スピカが『夏のうきうきデート』、と続き、品川ありさ、高崎ひろか、花咲ロンド、石川ポルカ、原町カペラ、桜野レイア、山下ルンバ、川崎ゆりこと続く。そしてゲストアーティストとして、三つ葉、ボニアート・アサド、ColdFly5、羽鳥セシル、キャロル前田とアドベンチャー(全員華麗に女装していて「美しい!」という声があがっていた)、ハイライトセブンスターズ、Havai'i 99、スカイロード、バインディング・スクリュー、ファレノプシス、フラワー・サンシャイン、更にバーチャル・アイドルの宮城イナイまで登場したのは視聴者に驚かれていた。そして私たちローズ+リリーがゲストの最後を締めくくらせてもらった。
(視聴者の間では「一部を除いて今いちばん旬(しゅん)のアーティストの揃い踏みだ」と言われていた。
今日の放送はこの“余興”だけでも見る価値充分だったようである。視聴率も高くて、スポンサーさんがご機嫌であった。
最後は、西宮ネオンの感謝の挨拶の後、両親への花束贈呈シーンで番組は終了した。(その後オマケで白鳥リズムと白雪1200kmの6人が、切り分けられたウェディングケーキを食べているシーンが5秒間流れた)
ネオンたちはこの後、会場ともなったホテルで初夜を過ごした後、Honda-Jet
Red(§§ミュージック所有の機体)で、全国を“飛び回るだけ”の新婚旅行をしてくる予定である。気兼ねが要らないようにと、千里の友人のパイロット、エリッサ・ヴェルニエさんが1週間操縦してくれる。
彼女はスペイン国籍だが、日本の永住権も持っているらしい(日本名:工藤映玲南/コロナ以降はずっと日本国内に居るということ)。元々は千里が一時期スペインに長期派遣されていた頃(それいつよ?千里いつも日本にいたじゃん?)親しくなった人らしい。自動車の国際C級ライセンスも持っているが、飛行機も多数の飛行機の操縦経験があるらしい。30代に見えるが千里の友人にはとにかく、スーパーウーマンが多いようである。
時間的には前後するが、3月31日(水)には、Wooden Four のサヨナラコンサートが深川アリーナで無観客・ネット中継(あけぼのテレビ方式)で行われ、100万人を越す有料視聴者が回線接続した。例によって抽籤で選ばれた1000人+1000人の映像・音声参加者+4000人の書き割り参加者が見守る深川アリーナのステージで、2時間半のステージ・パフォーマンスが行われた。
ウドゥン・フォー(うどん4ではない)は、2005年にデビューした男性4人組。デビューした当時は大林亮平17, 森原准太15, 木取道雄14, 本騨真樹12という年齢構成で、ほんとに“可愛い男の子”4人組だった。特に当時はまだ最年少の本騨くんは声変わり前で、彼をメインボーカルにして、まさに男の子アイドルユニットという感じで売っていた。
ユニットの名前はメンバー全員が、偶然にも木に関する漢字が入っていることによる:大林亮平(林)森原准太(森)木取道雄(木)本騨真樹(樹)。
本騨くんの声変わりの後は、どうしても路線変更することになり、いちばん歌のうまい大林君を中心に、大林(トップテナー)・本騨(セカンドテナー)のツインボーカルをメインにしたポップ・ボーカルユニットとして活動していく(森原・木取はコーラス:実はこのユニットはバス音域の出るメンバーが居ない)。
しかし一番人気のある本騨くんの結婚(2015年)以降は、どうしてもセールスは落ちていった。各メンバーは次の年に結婚している。
本騨真樹−山村星歌 2015.09.05
森原准太−桜野みちる 2019.02.24
大林亮平−原野妃登美 2020.04.19
木取道雄−秋風コスモス 2021,01.21
そしてこの日、Wooden Fourは、16年間にわたる活動を終了することになった。デビュー当時中学に入りたてだった本騨君は人生の半分以上をWooden Fourとして送ってきたことになる。
彼らは2015年以降、毎年08年組主催・震災復興支援イベントに女装でFlower Fourの名前で出演している。わざわざ公式ホームページまであるが、そちらのプロフィールでは、Flower Fourのメンバーは、亮平(りょうへい)准太(じゅんた)道雄(みちお)真樹(まさき)に“そっくり”な亮平(りょうこ)准子(じゅんこ)道子(みちこ)真樹(まき)の女の子4人組ということになっている。
(真樹だけ字は変えずに読み方を変えている:読み方で性別が変わるというのは藤原栄子の漫画『うわさの姫子』の登場人物・岡真樹(おかまさき)が学芸会の劇で女役をして、パンフレットに“岡真樹”と書かれているので「“おか・まき”ちゃんか。可愛い子だねなどと言われたというのが元ネタである:ついでに彼は自分を女の子と思ってスカウトしようとした劇団の人に“おかま”の“さき”でーす、などと自称した:彼は別に女の子になりたい男の子ではなく、普通の男子なのだが「今度の劇では主役がしたい!」と言ったら、主役は女だったために女役をするハメになった。このネタは、アクアが学習発表会の劇で主役に立候補したら『サウンド・オブ・ミュージック』のマリアだった、というネタにも転用している。もっともアクアの場合は、あまり“普通の男子”ではない気がする)
Flower Fourというユニットの発端は実は、マリがテレビ番組で「全員性転換して女の子になってFlower Fourと改名しなよ」と言ったのが発端だと、私は亮平から聞いた。(マリ本人はきれいに忘れている)
Flower Fourは元々のWooden Fourのファン以外にもわりと受けていた、震災イベント以外には出演しないものの、その名義でCDをリリースしたり、写真集!まで出たこともある。亮平は「黒歴史にして」と言っていたが、この年の写真集ベスト10に入る凄い売れ行きだった。マリは熱心に眺めて楽しそうにしていた。
写真集はメンバー4人が女の子の格好で昔話のお姫様のような雰囲気で、お城の広間やテラス、かぼちゃの馬車!、7人の小人などと写っているというもので、とても可愛かった。
CDはWooden Fourの人気曲のカバーをした実質ベスト盤だが、音声を電気的に女の子の声のように変換して収録している:ピッチを上げただけでなく響きもうまく処理しているので自然な感じで(スーパーコンビュータで処理したらしい)、本当に女子のユニットが歌っているように聞こえる。
なお震災イベントはリアルタイムで歌うので、普段の男声のまま歌っている。
今回のラストコンサートでは、最初に“前座”と称して、可愛いドレス姿のFlower Fourが出て来て“口パク”で郷ひろみの『男の子・女の子』を性別逆転バージョンで歌う(本当に歌ったのは後述の“Blossom Four”)。つまり「君たち男の子、僕たち女の子」と歌って笑いを取る。
(ネットではなぜ「私たち女の子」じゃなくて「僕たち女の子」なんだ?とツッコまれていたが「字数が合わなかったから」と亮平(涼子)は後で言い訳していた)
その後、早変わりで男子の姿に変身(性転換 *1)して、Wooden Fourの16年間の軌跡を辿るようにヒット曲を歌い続けた。
(*1)ロングヘアのウィッグは即外す。ドレスを脱ぐとその下に本編用の衣装を着けていた。女の子メイクはスタンバイしていたスタッフがクレンジングで素早く落とした。
幕間のゲストタイムには“Blossom Four”なるユニットが登場した。
これが何と、山村星歌・桜野みちる・原野妃登美・秋風コスモスという、Wooden Fourのメンバーの奥さん4人で構成されるユニットであった。史上初のコラボで、この後もめったに見られそうにない組合せなので、物凄い歓声があがっていた(「本編より受けてた」と亮平が苦笑しながら言っていた)
歌が圧倒的にうまい桜野みちるがリードボーカル、結構うまい山村星歌がそれに3度下で合わせ、歌手はしててもあまりうまくない原野妃登美がコーラスや合いの手を入れる。そして秋風コスモスはキーボード KORG NAUTILUS-88 (私物)を前に置いて歌わずに伴奏していた!(コスモスが歌わないのは賢明だというみんなの評)
後半も人気曲を中心にWooden Fourはエネルギーを全て消費しきるかのように歌い続け、感動のフィナーレとなった。最後は同じ事務所の後輩 Green menのメンバーたちから花束が渡された。
「そういえばFlowerとBlossomの違いって何ですかね?」
とライブが終わった後、川崎ゆりこが私に訊いた。
「例外もあるみたいだけど、基本的には木に咲く花がBlossom, 草に咲く花がFlower」
と私は答えた。
「へー!」
「だから桜の花は Cherry blossom, イチゴの花は Strawberry Flower」
「なるほどー」
「桃の花は peach blossom であり、 peach flower とは言わない」
「確かに言わない気がします」
「たんぽぽは dandelion flower だね。dandelion blossomとは言わない」
「確かに確かに。例外と言うと?」
「Orangeは本来 Orange blossom なんだけど、Orange flower という言い方もある」
「へー!!」
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