広告:まりあ†ほりっく2(MFコミックス)
[携帯Top] [文字サイズ]

■春逃(4)

[*前p 0目次 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 
前頁 次頁目次

↓ ↑ Bottom Top

真珠は、2月10日(木)には、青葉さん・千里さんと一緒に、放送局から千里さんの Honda CX-5 に乗ってS市まで行き、人形美術館にウォーキングドールのマリアンを預けてきた。翌日2月11日の美術館リニューアル・オープンまで取材して、CX-5で青葉さん・千里さんを運んで金沢に戻る。
 
そして2/11夕方、テレビ局での編集会議の後、20時過ぎに、CX-5で青葉さん・千里さんを津幡・高岡に送ろうと思ったら、千里さんは離脱した。それで千里さんのためにCX-5を残し、マーチ・ニスモに青葉さんを乗せて津幡まで行った。
 
「私は月曜までここで泳ぐから、まこちゃんは帰ってて」
と青葉さんは言う。
 
「すみません。バイクを放送局に置いたままで」
「だったら、マーチで金沢に戻るといいよ。マーチは放送局じゃなくて、まこちゃんち(邦生のマンションのこと!)の近くの時間貸し駐車場にでも駐めといて。何かで急に頼むことがあるかも知れないし」
 
↓ ↑ Bottom Top

と言って「駐車場代」と言って1万円渡された。
 
それで真珠はマーチ・ニスモに乗って金沢に戻り、邦生のマンション近くのTimes 駐車場に車を駐めたのである(結果的にバイクは放送局に置いたまま)
 
そして12-13日は、邦生と2人で(甘い時間?を)過ごしたが、12日は邦生の妹で大学4年生の瑞穂さんが来て緊張した。でも瑞穂さんとはすぐ仲よくなったのでホッとした。
 
瑞穂さんは「新婚家庭を邪魔しちゃ悪いし」と言って、夕方には高岡に戻る。彼女はミラ・ココアに乗ってきていて、その車で帰宅した。
 
つまり、12日夜の時点で、邦生のマンション近くにはマーチ・ニスモが駐められたままである。青葉さんは月曜日まで泳いでいると言っていたから、多分呼び出しがあるのは、月曜の夕方くらいかな、と真珠は思っていた。
 
↓ ↑ Bottom Top


2月13日(日).
 
朝御飯を食べている最中、唐突に邦生は言った。
 
「まこ、指輪買いに行こう」
「指輪って?」
と言って、真珠は戸惑っている。
 
「エンゲージリングだよ」
 
真珠は口に手を当てて驚いたように邦生を見ている。
 
「受け取ってくれる?」
と邦生が確認すると、真珠は声も出せないまま頷いた。
 

↓ ↑ Bottom Top

それで朝御飯を終えた後、出掛けようとするのだが、邦生の格好に真珠はダメ出しをした。
 
「エンゲージリング買いに行くのにライダースーツはあり得ない」
「そうか?」
「スーツ着よう」
「でも唯一のスーツは銀行に置きっぱなしだし、休日は中には入れないし」
 
銀行はセキュリティが厳しいので、勤務時間外に中に入ることはできない。
 
「このスーツがあるじゃん」
と言って、真珠は“スカートスーツ”を出してくる。
 
「女装して指輪買いに行くとかあり得ない」
「くーにんは、男物着てても女にしか見えないから、男物着るのも女物着るのも一緒」
「そんなあ」
 
でも着せられた!
 
ついでにお化粧もされた!!
 
『これじゃまるで女装してるみたいじゃん』
と邦生は思った。
 
↓ ↑ Bottom Top

女装以外の何だというのか?
 

真珠は可愛い白のドレスを着た。
 
邦生はドキッとした。この白いドレス、どこかで見た気がした(1/28明け方の夢で見ている)
 
ちなみに真珠は自分の服はほぼ全部こちらに持って来ており、実家には2〜3日分の着替えしか置いていない。教科書やパソコンもこちらに置いており、12月の内にほぼ引っ越して来てしまっている。(実は押し掛け女房では?)
 
邦生も女物の服を着るのは今更なので「まいっか」と思い、その格好で出掛ける。むろん冬なので厚手のウォームタイツを履いた。
 
「でもどうやって町に出る?歩いて行く?」
 
ここからは金沢市の中心部・香林坊(こうりんぼう)まで歩いても7-8分で行ける。
 
↓ ↑ Bottom Top

「青葉さんのマーチ・ニスモを借りよう。近くに駐めてるんだよ」
「私用で使っちゃダメだろ」
「青葉さんからは突然呼び出しがあるかも知れないから、ぼくがすぐ行ける場所にあったほうがいい。ガソリンは個人的な補給しておくし」
「そうか。だったら借りようか」
 

↓ ↑ Bottom Top

ということで、ふたりはTimes駐車場に移動し、マーチ・ニスモに乗った。11日夜からの料金は夜間料金と日中の上限料金に掛かって、2泊2日6000円だった。これ月曜(2/14)夕方まで駐めていたら10000円になって、ちょうどもらった1万円ジャストになっていたなと思った。
 
11夜1000 12日2000 夜1000 13日2000 夜1000 14日2000 夜1000
 
それでマーチに乗って香林坊(こうりんぼう)に出て、香林坊の地下駐車場に駐めた。
 
そして一緒に百貨店・大和(だいわ)に入る。これが10時過ぎだった。
 
ここには、1階の化粧品・アクセサリーコーナーの一角にスタージュエリーと4℃が入っている。
 
「どっちにする?」
と邦生は小声で訊いた。
 
↓ ↑ Bottom Top

「そうだなあ」
と真珠は悩んでいたが、やがて言った。
 
「そっちじゃダメだよね?」
と言って、真珠はスタージュエリーと4℃の間を指さす。
 
「うっ」
 
そこにはティファニーのわりと広い店舗があるのである。
 

↓ ↑ Bottom Top

「うーん・・・」
「やっぱ無理?」
と訊く真珠が可愛い。
 
その可愛さに負けた!
 
「入っちゃおうか」
「やった!」
 

↓ ↑ Bottom Top

それで、邦生と真珠はティファニーに入っちゃったのである。
 
「いらっしゃいませ。どのようなものをお求めですか」
とスタッフが訊く。
 
「婚約指輪を買いたいと思って」
「はい」
と言ってから、
 
「申し訳ございませんが、ご予約は?」
と訊かれる。
 
「あ、予約が必要でした?」
「はい。コロナの折、時間待ちを減らすため、エンゲージリング・マリッジリングをお求めの方には、ご予約をお願いしております」
 
「予約が必要だって。他の所にしない?」
と邦生は言う(正直びびっている)が、真珠は店員さんに訊いた。
 
「私たち、今朝、指輪を買おうよって話がまとまったんです。今日中に買うことできません?」
 
店員は(訓練されているので顔には出さないが)内心、婚約指輪を夫予定者本人を伴わずに夫予定者の姉妹か何かと、妻予定者で買いに来たのだろうかと疑問を感じていたのだが、真珠のことばで“この2人が”結婚するのかと理解した。こういうお客様はわりと時々居る。
 
↓ ↑ Bottom Top

「でしたら、今ご予約頂きましたら・・・」
と言って、別のスタッフに確認している。
 
「17時からでしたら、御商談可能ですが」
「じゃそれで予約します」
と真珠は言った。
「かしこまりました。お名前と、よろしかったら携帯の電話番号を頂けますでしょうか」
 
それで邦生が
「吉田です。電話番号はこれです」
と言って、自分の銀行の名刺(女子の名刺にしか見えない!)とスマホの画面を提示した。
 
それでスタッフはその情報を端末に入力していた。
 
スタッフは邦生の名刺を見て、銀行員なら上客だと判断した。
 
「ちなみに、大雑把なご予算あるいは石の種類とサイズだけでも承ってよろしいでしょうか」
 
「サイズは、ほれ、まこ、指出して」
「うん」
 
↓ ↑ Bottom Top

それで、真珠が左手薬指を出すので、お店の人はサイズを計っていた。同時に指輪を付けるのはこちらかと思ったようであった。この時点まで、どちらがどちらに贈るのか、判断できなかった。
 
「石はダイヤモンドのソロで。大きさは・・・」
と言って真珠が邦生を見る。
「1カラット程度で」
 
「承知いたしました。そのあたりのランクのカタログをご用意しておきます」
「よろしく」
 
(エンゲージリングは女がデザインを、男が石を決めるとされるので、2人の応答はとっても正しい)
 

↓ ↑ Bottom Top

それでふたりはいったんお店を出た。
 
「5時まで、何してる?」
 
「折角車で来てるし、少しドライブする?」
「そんなに私用で使っていいのかなあ」
「もし青葉さんから呼び出しがあったら、車と一緒に居るのが、一番素早く対応できるからね」
「それは確かにそうかも知れない」
 
というので、津幡からあまり離れない範囲で、というのでマーチに乗る。百万石通りを広坂方面に東進して、橋場交差点方面、城北大通りを進む。
 
ここで“タクシータダ乗り幽霊”の調査をしたなあ、と邦生は懐かしくなった。
 
あれ(2017.8)が自分にとっても、青葉にとっても『霊界探訪』との関わり始めである。当時はまだ真珠はこの番組の編集グループには関わっていなかった。真珠が関わってきたのは、御神木伐採事件(2019.8)からである。だから邦生と真珠の関わり合いは2年半程度なのだが、邦生は真珠との関わり合いっていつからだっけ?4年くらい?などと考えていた。
 
↓ ↑ Bottom Top


とっても乗り方が分かりにくい梅田ICから、山環(金沢外環状道路山側幹線)に乗り、そのまま、初心者なら恐怖に震える大合流点・今町JCTで津幡バイパスに合流する。
 
津幡バイパスからは、(高岡方面の)津幡北バイパスではなく(能登方面の)月浦白尾インターチェンジ連絡道路に進み、狩鹿野ICで降りてイオンかほくに行った。
 
羽咋(はくい)まで行こうかとも思ったのだが、急に呼ばれた場合、羽咋からだと1時間近く掛かる恐れがある。
 
イオンでは、まずユニクロで真珠にジーンズのパンツを買ってあげたら、真珠は邦生に可愛いスカートを買ってくれた!?(かくしてスカートがまた増える)
 
セリアで適当に1000円くらい買ってから、スタバで石窯フィローネとコーヒー(邦生はショートドリップ、真珠はキャラメル・マキアート)をテイクアウトした。邦生も真珠も“外食”は原則として禁止されている(真珠が大学の学食で食べる分はOK)。
 
↓ ↑ Bottom Top

車に戻り、アイドリングしている車内で食べた。石窯フィローネは2種類買ったのをシェアして半分ずつ食べた(恋人同士だとこうするのが楽しいのである)。
 
「お腹も満ちたし、セックスする?」
と真珠は言うが
 
「さすがにまずいよぉ」
と邦生は言った。
 
「そだね。昼間だし人に見られるかも知れないし」
 
そういう意味では無い!
 
他人の車の中でセックスするのはさすがに倫理違反。
 

↓ ↑ Bottom Top

でもセックスはせずに車内で横になって仮眠した。
 
真珠はリアシートの上、邦生はその足元の床である!
 
(この車は車中泊しやすいように、座席や床をフラット化するためにカットした発泡スチロールも積んである)
 
毛布はいつも積んであるので、それを借りて身体に掛ける。むろんアイドリングしたままである。エンジンを停めたら凍死しないまでも確実に風邪を引く。
 
12:58.
 
真珠のスマホが鳴る。
 
青葉からである。
「まこちゃん、今大丈夫?」
「全然OKです。真珠(まこと)は100%稼働しています」
「じゃちょっと津幡まで迎えに来てくれない?幸花とか明恵には内緒で」
「いいですよ。ただ、吉田と一緒なのですが、吉田はどこかに置いていきましょうか」
 
↓ ↑ Bottom Top

邦生は頷いている。後で迎えに来てもらえばよい。
 
「ああ。くにちゃんなら一緒でいいよ。どのくらいで来れる?」
「今イオンかほくなので、多分15分です」
「了解。デート中にごめんね」
「いえ。すみません。勝手に私用に使ってて」
「それは全く問題無い。車のそばに居て欲しいから、デートするなら、車も一緒に持ってってもらったほうが助かるから」
「ありがとうございます。すぐそちらに向かいます」
 
それで邦生は「お前はもう少し寝てろ」と言って、自分が運転席に座り、給油して満タンにした上で津幡のプライベートプールに向かった。給油した後、10分で到着した。
 
真珠を起こす。真珠は指示通りに青葉のスマホを鳴らした。
 
↓ ↑ Bottom Top

守衛室に入り、トイレを借りてから待っていたら、守衛室のエレベータから青葉が出て来た。
 
「くにちゃん可愛い!」
と青葉が言った。
 
「うまく乗せられて着てしまった」
「くにちゃん、そういうの似合うから、普段からもっと着ればいいよ」
「ですよねー」
と真珠は言っている。
 
それで3人でマーチ・ニスモに乗る。
 
「小松空港に向かって欲しい」
「分かりました」
と真珠は言って、車をスタートさせた。
 
「理由とか聞かないんだね?」
「よけいなことは聞いてはいけないと明恵・初海とも話し合っています」
「じゃ、私の行動は、他の人には言わないで」
「守秘義務がありますから、誰にも言いませんよ」
「ありがとう」
 
↓ ↑ Bottom Top

それで真珠は助手席に邦生、後部座席に青葉を乗せて、小松空港まで行った。
 
「車は火曜日以降に、高岡に戻しといてくれる?」
「分かりました。火曜日以降ですね」
 
真珠は火曜日まで駐めておくと駐車場代が合計14000円になるのですがと言った。すると青葉は「ごめんねー」と言って、念のためと言い、あと1万円くれた。
 
11夜1000 12日2000 夜1000 13日2000 (小計6000)
13日2000 夜1000 14日2000 夜1000 15日2000 (小計8000)
 
「無理に急がなくても都合のいい時でいいからね。足が出たら言ってね。すぐ振り込むから。ただ14日の日中までに戻すのは困るんだよ」
 
「分かりました」
 
やがて空港に到着する。
 
「ありがとう。デートの邪魔してごめんね」
「いえ、何も問題ないですよ。お気を付けて」
「ありがとう」
 
↓ ↑ Bottom Top

それで、青葉は無事?逃亡したのである!
 
 
↓ ↑ Bottom Top

前頁 次頁目次

[*前p 0目次 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 
春逃(4)

広告:生徒会長と体が入れ替わった俺はいろいろ諦めました-ぷちぱら文庫Creative-愛内なの