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■春逃(3)

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2月11日(金).
 
夕方、〒〒テレビで編集会議が行われた。
 
青葉・千里・真珠が2月10日にS市の人形美術館に行ってきて、この日の昼頃戻って来た。邦生は7-9日は高山市まで研修に行っていたのだが10-11日は出社している。それで邦生が銀行の勤務を終えた時間に、こういうメンツが集まったのである。
 
神谷内、幸花、明恵、真珠、初海、双葉(初海の妹)、邦生、青葉、千里
 
番組の構成について再度検討し、だいたいの流れを決めたので、あとは実際のビデオの編集を幸花・明恵・真珠・初海の4人でやることになる。多分ほとんどの作業は明恵と真珠ですることになる。多分邦生も手伝わされる。
 
それでこの日は20時頃で解散した。
 
青葉は真珠が津幡まで送ることになった。
 
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千里は邦生が何か考えている風なのが気になった。
 
(それでこの後、除霊してあげることになる)
 

2月12日(土).
 
熊谷の§§ミュージック分室で、信濃町ガールズの本部生昇格オーディションが行われた。このオーディションに、信濃町ガールズ北陸からは、福井県の糸川穂美ちゃんが参加して合格した。
 
彼女は金曜日の夕方、Honda-JetSilverで小松空港から熊谷に連れて行き、土曜日のオーディシションの後、2月13日(日)に、同じ機体 Silver で小松空港に送り届けた。(Silverは本来高崎三姉妹と姫路スピカの優先機。実際には水森ビーナが使うことが多い)
 
送り届けたパイロットは、青葉も顔なじみの間宮優杏さんである(ムーランエアーのサイトに表示されている)。青葉は小松空港まで来て、ホンダジェットが着陸し、駐機場に移動した所で彼女の(業務用)スマホに電話した。こういう電話番号を知っているのはごく一部の関係者に限られる。
 
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「こんにちは、間宮さん。大宮万葉ですが、急ぎの用事で東京方面に向かいたいのですが、帰りの便に乗せてもらえません?」
 
「大宮先生。お世話になっております。今どこにおられます?」
「小松空港に居ます」
「だったら、機体の整備と給油が終わったらご連絡しますね」
「よろしくお願いします」
 
ということで、青葉は2月13日(日)の午後、誰にも告げずに熊谷に“逃亡”!してしまったのである。
 
青葉は熊谷に着くと、ホテル昭和のマネージャーに電話して、コテージ“さくら”を取り敢えず25日までリザーブ(13日間・上得意様の特別割引で91万円!)すると、そこに入り、まずは郷愁プールに行って、ひたすら泳いだ。
 
青葉は翌日14日の昼間になってから幸花に「東京に戻ります。後は編集で適当によろしく」とメールしておいた!
 
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そういう訳でこの後しばらく、ケイやコスモスは青葉が高岡にまだいると思い、幸花たちは青葉が浦和に移動したと思って、青葉はどちらからも干渉されずに、練習に集中できる日々を送ることができたのである。ホテル代は90万円掛かったけど!
 
(さくらの良い所は他の宿泊客とほぼ顔を合わせることがなくプライバシーが保てることである。もちろんムーラン・エアーのパイロットやグランドホステスは守秘義務により、誰を乗せたかは一切口外しない。日誌に書くだけである。この日誌は基本的に誰も見ない。パスワード制御されており、上司でも理由なく閲覧はできない)
 
ちなみに津幡プライベートプールは青葉個人の所有物だが、郷愁村の50mプールは千里個人の所有物である(25mプールはムーランリゾート所有)。それでどちらも津幡組が独占して使用できる。最近の津幡組の(特に長距離陣の)成績の良さは独占して練習できる環境があることによるものが大きい。公共のプールでは特に長距離選手は充分な練習ができない。
 
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2月12日(土).
 
(除霊してもらった翌日)
 
邦生と真珠のマンションに、邦生の妹・瑞穂が来た。
 
「ああ、瑞穂ちゃんもH銀行に入るんだ?」
と真珠が言う。
 
「うん。“姉貴”のコネ」
「別に俺は紹介とかもしてないんだけど」
 
瑞穂が“姉貴”と言ったことはスルーしておく。
 
「金沢店の吉田さんの妹さんですか。お姉さんとよく似てますね、と言われた」
 
「確かにわりと顔立ち似てると思うよ」
と真珠も言う。
 
多分邦生がここ数年女子化してきたことで、結果的によく似た顔立ちになったのだろう。また邦生は高校時代は「大学生さん?」とか言われたりして、結構年上に見られていたのが、ここ5年ほどの“女子化”で見た目年齢も年相応、時には若く見られることが増えた。『霊界探訪』の視聴者の中には、邦生を真珠たちと同年代と思っている人も多いようだ。
 
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(邦生は1997.8.28生まれ、真珠は2000.6.30生まれ:誕生石は真珠!なお邦生の月サインは蟹11.97で、真珠の太陽サインも蟹8.79。ふたりは結婚相性が良い)
 
「どこに配属になるか分からないけど、金沢市内の店舗になったら、ここから通勤しようかな」
と瑞穂が言うと
 
「ああ、いいよ。家賃は要らないから」
と“真珠”が言っている。
 
「俺は他の店に異動になるかも知れない。もう2年勤務してるから」
と邦生は言っておく。
 
銀行では不正行為防止のため、特に他の人に代われないような特殊な業務をしている人を除いては、だいたい2〜3年で異動になるのか常である。特に新人の内は転勤サイクルが短い。また特殊な業務の人でも5年程度以内には異動する。しかも不正行為をしていた場合に証拠隠滅できないよう、内示などはせずにいきなり辞令を渡され、3〜4日以内に後任の人に引き継いで異動しなければならない。(但し海外支店への転勤はパスポート・ビザの関係で2-3ヶ月前に言われる)
 
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「単身赴任頑張ってね〜。ぼくは後1年ここから通学するほうが楽だし」
などと真珠。
 
うーん。俺が遠隔地の店に異動になったら、もしかして真珠と瑞穂がここで暮らすのか?女子行員の集会所は継続される訳だ!そして俺は週末同棲?
 

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2月14日(月).
 
邦生は融資課から呼ばれた。青葉の融資の件かなと思って行くと、応接席にとっても怪しい風体の2人組が居るので、邦生は思わず頭を押さえた。
 
「吉田さん、こちらのお客様が、吉田さんの知り合いだというのだけど」
と松浦係長が(明らかに不審そうな顔で!)言うので
 
「まあ知り合いですね」
と邦生は投げ槍気味に言った。
 
2人は笑顔で手を振っている。
 
「こちらは、津幡の〒〒スイミングクラブに所属している月見里(やまなし)姉妹の“お父さん”の月見里折江(やまなしおりえ)さんで、片町でスートラという二毛作店を経営しています」
と邦生は説明した。
 
月見里姉妹とは先日プールで会ったばかりだ。
 
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「二毛作?」
 
「お昼の時間はごくふつうのランチ専門店、夕方からはオカマバーですね」
「経営者は同じなんだ?」
「スタッフは丸ごと違いますが、経営者はどちらも月見里(やまなし)さんです」
 
(正確には、スートラのホステスさんの中で本当に女にしか見えない数人はランチ店でも普通のウェイトレスとして働いている。また調理スタッフにも兼任者が居る)
 
「オカマバーのスートラでは、スートラバンドというバンドを組んでいて、そのステージが店の目玉になっています。これまでにCDを確か10枚くらい」
と邦生が言うと
「12枚」
と折江は訂正する。
 
「まあそのくらい出していて、他地域に住んでいる人の中にもファンがいるし、度々雑誌に紹介されているんですよ」
「ほほお」
 
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こんな話を聞かなかったら、きっと松浦さんは到底こいつらを信用する気にはならないだろうなと邦生は思った。
 
「そしてこちらは、桜田安芸那さん。現在の芸名はサクラ・アキナですが、以前は新田安芸那の名前で、東京でタレントをしていてテレビとかにも出ていたんですよ。この人がそのスートラバンドのボーカルです」
 
「へー。じゃ人気あるんだ?」
「一定のファン層は居ますね。まあオカマバーとしては、わりと営業成績は安定してるかも。少なくとも娘2人が水泳活動をして、国体とかには出られる程度には稼いでいるみたいです」
 
「娘さん2人というのは学生さん?」
「いえ、一応金沢市内の普通の会社に勤めています。26と24くらいかな」
「27と25ね」
「まあそんなものですね。彼女たちは度々競技会に参加するのと練習時間確保のため、正社員ではなく、敢えてパートで働いています。でもパートの給料では遠征費も辛いし、その前に公式水着買うのだって大変なんです」
 
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「ああ、そういうのも高いんだろうね」
「高い上に数回しか使えませんし」
「大変だね!」
 
「有名選手だとスポンサーが付くけど、そうでない場合は、親に経済的なゆとりが無いと結構大変だと思いますよ」
「なるほどね」
 
「まあこの2人、風体は怪しいですけど、中身はわりとしっかりしてますよ」
と邦生は言ったが
 
「まあ風体が怪しいとか失礼ね」
などと折江は言っていた。
 

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