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■春化(12)

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星良(つつ・あきら)は2000年8月31日10:21福岡県前原市(*2)に生まれた。兄2人(星好:たかし・星佳:まこと)の下の三男であった。
 
(*2)前原は1992年に前原町が単独で市政施行して前原市となり、2010年に二丈町・志摩町と合併して糸島市となった。
 
兄弟3人の名前の特徴は、全く読めない!ということと3人とも「よし」と読める漢字が使用されているということである。実際、良は自分の名前をまともに読んでもらったことがない。「よし」さん?とか「りょう」さん?と読まれることが多く、時には苗字とくっつけて「せいら」さん?と言われることもある。
 
実際小さい頃からの友人は「せいら」ちゃん、と良のことを呼んでいた。良のことを「せいらちゃん」と呼ぶひとつの理由は、良がほとんど女の子だったからというのもある。両親は男ばかり3人生まれて、1人くらい女の子が欲しかったというのもあり、良に女の子の服を着せて育てた。それで幼稚園に行くまで、良はスカートを穿いて過ごしていた。幼稚園は男女で制服が違わない所だったので、幼稚園に入っても、友人たちは良を女の子とみなしていて(本当に女の子と思い込んでいる子もたぶん多かった)、幼稚園時代はふつうに女子トイレを使っていた記憶がある。
 
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それで小学校の入学式の時は「なんで、せいらちゃん男の子みたいな服を着てるの?」などと言われた。
 
ちなみに父の名前は星平(ほし・とおみ)、母の名前は星和(ほし・なごむ)で、母の旧姓は森である。母は署名する時に「森和」と書くと「苗字だけでなく下の名前まで書いてください」とよく言われていたらしい。そして結婚する時は絶対2文字苗字の人と結婚しようと思っていたらしいが・・・・
 

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前原市は福岡市のベッドタウンであり、福岡都市圏の中にある。良は小さい頃から福岡市に出るのは「町の中の移動」の範囲だった。両親に連れられて兄たちと一緒に筑肥線(福岡市営地下鉄に直通運転)で、よく天神に出て、天神地下街を歩き、三越や大丸などで買物をしていた。三越前のライオンは良にとって原風景のひとつである。
 
そういう時、女の子みたいな格好をしている良は、わりと親切にしてもらえることが多く、女の子って得だなと思っていた。つまり女の子ライフに味をしめた。
 
良は小学5年まで前原市/糸島市で過ごしてから小6になる時、長兄の高校進学に合わせて一家で福岡市内に引越し、良も福岡市内の公立中学を経て、同市内の公立高校に通った。結構な進学校で良は物凄く勉強を頑張った。それで大阪大学理学部に合格し、2019年春から豊中市のアパートに引越し、そこから通学することにした。
 
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兄たちは、好(たかし)兄は第一薬科大学、佳(まこと)兄は久留米大医学部に進学しており、親からは「理学部なら、九大でもいいじゃん」と言われたのだが、良はひとり暮らしがしたいという気持ちが強かった。それは女装したいから!であった。
 

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合格通知をもらった後、母と一緒に新幹線で大阪に出て、豊中市内で安いアパートを探した。ただ母は、安くても住宅環境や建物そのものに問題のある所は困ると言って、不動産屋さんと交渉しててくれた。結果的には大学まで歩いて15分と少し遠いものの、家賃3万円のアパート(鉄骨構造なので業界基準的にはマンションに分類されるらしい)の4階を契約した。
 
「ここは安いですけど入口は常に施錠されていて電子キーが無いと開けられませんから、オートロックではないのですが、それに近いんですよ。女子学生さんは何かセキュリティの仕組みがあった方が安心ですよね」
とスタッフさんは言った。
 
母は「ん?」という顔をしたもののスルーしてくれた!
 
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後から契約書をよく読むと、どうもこのアパート(マンション?)は女性専用で男子禁制のようである。四等親以内の親族(従兄弟まで)以外の男性を中に入れてはいけないと書かれていた。
 
不動産屋さんを出てから母に「いいんだっけ?」と訊いてみたのだが
 
「あんた“女の子”でしょ?」
と言われた。
 
そうだよね!
 

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「大阪では女の子の服を着て暮らすの?」
と母はストレートに良に訊いた。
 
「そうしたいなあと思ってる」
「だったら服を買うのに付き合ってあげるよ」
と言い、良を連れてバスでイオンモール伊丹まで行き、買物に付き合ってくれた。
 
まずは女学生らしいスカートとか春先は使いそうなカットソー・チュニックなどの類い、それから下着類、ショーツ、キャミソール、ブラジャーなどを買う。ブラのサイズは売場のお姉さんに測ったもらってB65にした(実はシリコン製のバストパッドを入れている)。
 
そして「少しお化粧も覚えた方がいい」と言って、資生堂のビギナーズセットを買ってくれた。
 
母は最後に言った。
「入学式までに性転換手術受けちゃう?」
 
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ドキッとする。手術受けたーい。
 
「あれは予約してから1年くらい待つみたい」
「大変ね!」
「それにお金もかかるし」
「いくらくらい?」
「だいたい120万円くらいかなあ」
「そんなに掛かるんだ!だったらあんたバイトして貯めなさいよ。10万円くらいなら出してあげようかと思ったのに」
「10万円で性転換できたらいいね」
 
と良は笑顔で言った。でも私が女の子になってもいいみたい。
 
「父ちゃんが、良が女の子だったら、早く赤ちゃんの顔見られるのにとか言ってたよ」
 
確かに女子の方が概して結婚年齢は低い。しかも兄たちは6年制の学部である。順調にいけば、良は次兄の佳と同じ年に卒業することになる(大学院まで行かない場合)。
 
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「赤ちゃん産むのはせめて大学卒業してから」
と良は焦って言う。
 
「まあそれがいいかもね」
と母は言った。
 
でも私、赤ちゃん産めるかなあ。あまり自信無いなあ。
 
良は母と別れた後イオンに置いてあったバイト情報誌を見て、マクドナルドに面接に行き、採用してもらった。ちょうど春休み中だし一週間くらい研修を受けて、その後は大学の授業が始まったら、週2回くらいシフトを入れようかということになった。それでまずは制服の袋を渡されて着換えて来てと言われるる
 
それで言われた更衣室に入り、着替えようとして「あっ」と思った。
 
ボトムがスカートである。
 
つまり・・・自分は女子と思われたようだ。
 
まあいいよね、と良は思い、そのままスカートの制服を着て、その日の研修を受けた。ある程度教えられたところで、受付にも立ったが、そつなく笑顔で接客できたので「君、すじがいいね」と褒められた。なお、半年間試用して、よければ本採用ということであった。
 
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ところで理都だが、やはりブラジャーを買うお金がどうも足りない感じだったので、母に素直に頼んでみることにした。
 
母は結構文句も言いながらも理都の“女装女子中学生生活”に協力してくれている。実はセーラー服の冬服は自分のお小遣い(祖母からもらった入学祝い)で買ったものの、夏服のセーラー服を作るお金がなくて困っていたら、母が出してくれたのである。
 
理都は母に言った。
 
「合宿に行くのにさ、私が持ってるブラジャー、全部けっこう傷んでいるのよね。新しいの買いたいから、お金もらえない?」
 
「あんた合宿に女の子下着つけて行くつもり?」
「だめ?」
「まあいいか。それで他の参加者にからかわれても知らないよ」
「それは慣れてるから平気」
 
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それで母は理都に3000円渡してくれた。理都は、しまむらに行き、店のお姉さんにバストサイズを計ってもらって新しいブラジャーを4枚も買った。ジュニア用の可愛いデザインのものが買えた。しまむらって結構可愛いよね、などと思う。代金はついでに買ったワゴンセールのショーツ3枚も含めて3693円(税込)になったが、不足分は自分のお小遣いのストックで何とかなった。
 
ちなみに理都のバストサイズはB65だと言われた。実はC65でもいいと言われたのだが、Cカップなんて“恐れ多い”気がして今回はBにした。そもそもCカップのブラとかつけてたら、母に不審に思われて女の子になっちゃったことがバレるかもという気もした。今の段階では理都としても、いつ男の子の身体に戻るかも知れないので、女の子になっていることを親に知られたくなかったのである。
 
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理都は夏休み中はだいたい自宅で身体を鍛えながらそその合間に学校の宿題などもしていたのだが、8月16日(金)は、新キャプテン・2年生の早希さんから「市立グラウンドの予約が取れたから久しぶりに練習しよう」という連絡があり、出かけて行った。サッカーボールに触るのも練習試合以来、3週間ぶりだ。
 
これは3年生が1学期までで抜けて秋からの2年生以下による新チームの初動となった。中学サッカーでは3年生は夏までという所が多い。秋以降の大会は参加資格が2年生以下である。
 
今回の練習では「動きがよくなっている」と言われた。
 
理都としては、女の子になっちやって筋力が落ちているから、そのことを指摘されるのではと、ヒヤヒヤだったのだが、みんなはむしろ向上しているように感じたようだ。実際チームメイトたちと1on1をやったら、誰も理都に勝てず「さすが都の合宿に呼ばれただけのことある」と2年生の先輩たちから言われたる
 
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「やっぱり練習してた?」
「ジョギングとかしてただけ」
「ああ。でもジョギングがいちばん鍛えられる」
「でも2kmを10分くらいのゆったりとしたペースなのに」
「ゆっくり走ることで速く走れるようになるんだよ」
「へー!」
 
そういう訳でこの日は気持ち良く練習を終えることができた。
 

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練習が終わった後、顧問の伊ノ木先生がマクドナルドをおごってやるぞというので歓声があがった。練習のあと汗を掻いた服を着替えてから市民グラウンド近くのショッビングモールにあるマクドナルドに行くことにする。着替えはグラウンド付属の更衣室を使ったが、理都は女のの身体になっているので、堂々とみんなと一緒に着替えた。(今までも堂々と女子と一緒に着替えていたが!)
 
マクドナルドでは、ハンバーガーセットを食べながら、みんなで楽しくおしゃべりをする。
 
秋の大会のことが話題になるが、新キャプテンになった早希さんや、それに続く存在の瀬奈さん、そして1年生の治美ちゃんや理都などもいて、今年の陣営は充実しているから組合せ次第では都大会BEST8くらい狙えるかもなどという話をした。
 
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「でも理都ちゃん、前はもっとおっぱいが小さかった気がする」
などと同じ1年の明梨が指摘するので理都はギクッとする。
 
先月までは小さいというより実は全く無かったからなあと思う。今日、理都は汗を吸ったブラジャーを交換するのに、生おっぱいを曝している。先月までは着替える時に絶対にブラジャーを外していない。
 
「おっぱいも成長期なんだよ」
と理都は言った。
 
「サッカーも成長期、おっぱいも成長期、いいね」
「私のおっぱいも成長して欲しい」
などといった声が出ていた。
 

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マクドナルドで解散になったが、理都は何となく月季、由利、羽奈と4人でショッピングモールの中を歩いた。月季(つき)ちゃんは、理都と同じクラスで、理都をサッカー部に誘った張本人である。由利(ゆり)は月季と小学校の時に同じクラスだったらしい。羽奈(はな)は特に深い関係があるわけではないが、何となくくっついてきた。
 
4人はダイソーを覗いてあれこれ見ていたが、結局何も買わずに出る。理都はお小遣いが残り500円しかないのであまり大したものは買えない。
 
楽器店を覗いて、展示してあるキーボードを由利が弾いてみていた。
 
「手つきがいいね。ピアノか何か習ってる?」
「エレクトーン習っているよ」
「すごーい。あれ足でも弾くんでしょ?」
「そうそう。両手両足使うから全身運動」
「よくそんなに動くね」
「まあ慣れだね」
「でもエレクトーンは持ち歩けないからね。ギター弾きがうらやましい」
「ああ、ギターくらいなら持ち歩けるね」
 
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「フルートもお嬢様っぽくてよくない?」
「お金持ちのお嬢様って感じだよね」
「フルート自体も高いんじゃない?」
「吹奏楽部の美千代ちゃんが使っているフルートは総銀製で60万円だって」
「恐ろしい!!」
「だけど私が弾いているエレクトーンだって160万円だよ」
と由利。
「ひぇー!」
「なんで楽器ってそんなに高いの?」
「ピアノは1桁上。ヤマハのコンサートグランドピアノは2000万円」
「安いマンションが買えない?」
「いちばん高いのはヴァイオリンかな。これは上限が無い」
「上限が無い?」
「ストラディヴァリウスとかグァルネリとかは数億円」
「うっそー」
「そんなの誰が買えるの?」
 
「昔は有名なヴァイオリニストが自宅を売却してそのお金でストラディヴァリウスを買ったといって話題になったらしいけど、今や自宅を売ったくらいではとても買えない」
 
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「何かもうお金の感覚が分からないね」
などと言いながら、何も買わずに楽器店を出る。
 
「あ、そうだ。ナプキンが残り少なくなってたから買わなくちゃ」
と由利が言い、それにみんな付き合う。
 
理都は女の子がナプキンを買うというのにドキッとした。ナプキンというものが何のためのものかくらいは知っているが、小学生までの理都には無縁のものだった。
 
それでドラッグストアに入る。
 
「ゆりちゃん、何使ってるの?」
と羽奈が訊く。
「私はスリムガードの羽つき。やはり運動してると、羽無しはズレるんだよね」
「ああ、それは問題だよね」
「はなちゃんは?」
「私はコンパクトガード・羽つき」
「やはり羽つきだよね〜」
 
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「私はお母ちゃんが買ってきてくれるのをそのまま使ってる。センターイン。羽はついてないかな」
と月季が言う。
「ズレない?」
「ズレてる時はあるから、生理用パンツ穿いてる」
「あれは蒸れる気が」
「うん。確かに蒸れるかも」
 

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そんな会話を3人が交わしていたが、月季は
「りっちゃんは?」
と訊いた。
 
焦る!
 
生理用品のブランドとかに関する知識が全く無い!
 
そもそも“羽つき”“羽なし”って何なんだ!?
 
でも知らないのはおかしい。何か答えなければと思う。
 
「私もやはり羽つきかなぁ」
「やはりそうだよね」
「りっちゃん運動量多いから、羽つきでないとズレるよね」
「どこのブランド?」
 
ブランド名を知らない!!
 
その時、理都は近くに“きれいスタイル”2P 400円というポップがあるのを見る。それで理都は言っちゃった。
 
「きれいスタイルかな」
 
ところがこれは“外れ”だった。
 
「パンティライナーじゃん」
 
あれぇ。なんか違う商品だった?と焦る。でもパンティライナーって何?その時、近くの棚に別の商品名があるのを見る。多い日用とか特に多い日用とか書いてあるの、これたぷんナプキンだよね?ね?それで言ってみる。
 
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「ナプキンはしあわせ素肌かな」
「ああ。お肌がわりとデリケートなのかな」
「そうかも」
 
良かった。当りだった!!
 

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「りっちゃん、合宿いくのにストック充分ある?」
「うーん。生理は来ないと思うけど」
 
実際これまで生理なんて来たことないもんね。
 
「でも合宿みたいに環境の変わる所に行くと急に来ることもあるよ」
「そうそう。旅行なんかでも予定無かったのに急に来ることあるもんね」
 
「だったら買っといた方がいいかな」
「うん。そうしなよ」
 
それで理都は生まれて初めて生理用品なるものを買ってしまったのである。ロリエ・しあわせ素肌・昼用・羽つき、1パック 税込み475円のお買い上げ。
 
これでお小遣いは残額25円である!
 
買った時、ナプキンはレジのお姉さんが、由利のも理都のもいったん黒いビニール袋に入れてから普通のレジ袋に入れてくれたので、へー、ナプキン買うとそうするんだ?と今まで知らなかった“女の子事情”をひとつ覚えることになった。
 
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しかし理都は生理用品なんて持っているのがバレたらお母ちゃんに叱られる気がしたので合宿に持っいく予定のバッグにレジ袋ごと押し込んでおいた。
 
 
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