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■夏の日の想い出・胎動の日(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2013-05-05

 
高校1年の12月中旬。私は小学校の時の友人、有咲・奈緒・若葉と一緒にドーナツ屋さんでおしゃべりしていた時、私と政子との関係が恋愛関係ではないかと指摘された。若葉が「タロット引いてみて」と言うので、私が引くと「Lust(愛欲)」
というカードが出た。
 
12月25日。私は高校の図書館でバッタリ政子と会い「クリスマス会するから来て」
と言われた。てっきり友だち数人呼んでのクリスマス会かと思っていたら、私と政子(と政子のお母さん)だけであった。
 
「花見さんは?」と彼氏のことを尋ねると「日曜日にデートしたからいい」
などと言う。しかも健全に?キスもセックスもせずに夕方には別れて帰ってきたらしい。
 
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お母さんが
「もしかして政子、あんた啓介さんから冬さんに乗り換えるの?」
と言うので、私はドキっとしたのだが、政子は
「冬は友だちだよ〜。私としては『女の子の友だち』感覚。クリスマスの夜を彼氏とは過ごしたくない。女の子同士で過ごしたい」
などと言うので、私は少しがっかりしたような、ホッとしたような気分だった。
 
中学3年の時に不本意に女の子の同級生と恋愛関係になってしまい、自分が男としては振る舞いきれなかったこともあって、悲しい結末になり、自分としてはもう女の子と恋はしたくない気分だった。
 
ただ、中学の時の友人たちは、それは私が「男として」女の子と恋愛するのが無理だということだけであって、私自身「女として」女の子同士のレスビアンになるのは可能な筈だと指摘していた。
 
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しかし政子は啓介さん以外にも「校内で見つけた可愛い女の子」と愛を暖めているということをしばしば話していたので、当時私は政子とそういう関係になることもないだろうと思っていたのだが・・・・
 

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さて政子が花見さんとデートしていた23日、私は中学の先輩の絵里花と一緒にクリスマスパーティーに行っていて、絵里花の先輩の歌手・晃子のステージを見るつもりだったのだが、その晃子がダウンしてしまい、急遽私が彼女の代役を務めてしまった。
 
その謝礼に3万5千円ももらってしまったので、絵里花は私に
「学校の女子制服を買っちゃったら?」
などと唆した。
 
実は高校の女子制服は、夏服は絵里花が「私の家族を装って」勝手に注文を入れてしまい、持っていたのだが、冬服については「その内その気分になったら注文する」と絵里花には言っていた。でも実は必要に迫られて密かに買っていて、奈緒・有咲・若葉、詩津紅、和泉や小風などKARION関係者、また従姉のアスカなどにも見せてはいたのだが、絵里花や貞子たち中学の時の友人や、またほとんどの高校の友人にはそれを見せていなかった。
 
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そこで私は「擬装用」にこのお金でスクールブレザーにチェックのスカートという「女子高生制服風の服」を買って、絵里花に見せた。その後もこの服は政子をはじめとする高校の友人たちには、かなり晒していたので、みんな私が、女子制服を着たいけどそれを買って着てくる勇気が無いのだろうと思っていてくれたようで、私が実は高校の女子制服を夏服・冬服ともに持っていたことを知っていた同じ高校の友人は詩津紅と奈緒だけだったと思う。
 

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年が明けて1月2日。私と政子は一緒に初詣に行ったが、その日は私も音源製作に関わったKARIONのデビュー日であった。実際のCDはKARIONの3人からサイン入りのものをもらっていたのだが、私は初詣の後、政子と別れてから町に出てCDショップで1枚買ってきた。そしてそれを自宅で掛けてみて、あらためて自分も、いづれは和泉たちと同じ道を歩みたいという気持ちを新たにした。
 
そんなことを考えていた時、政子から携帯に電話が入った。
 
「ね、冬、来月の連休、何か予定ある?」
「連休って、2月の9,10,11日?」
「そそ」
「ちょっと待って」
 
私は急いでダイアリーを確認する。1件予定は入っていたが、キャンセル可能だ。
 
「予定は入ってるけど空けられるよ」
と私は答えた。
「良かった。じゃ、スケジュール入れておいて」
「えっと、何日?」
「9日と10日。たぶん疲れて11日は寝てることになると思う」
「何するの?」
「後で説明する。じゃ、よろしくー」
 
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と言って政子は電話を切った。
 
何なんだ!?と思いつつ、私は2月10日に入っていた予定を先方に連絡してキャンセルした。政子からの電話は1時間後に掛かってきた。
 
「えっとね。泊まりがけでスキーに行くから」
「へ?」
 
「書道部の1年の女子で突然話が出てさ。行き先は山形の白湯温泉スキー場」
「そこ知らないや」
「実は今から宿が取れるところを電話しまくった結果、そこになった。スキーはそこの観光協会から借りられる。新幹線を降りてからローカル線で20分くらい行ったところ」
 
「ふーん。ローカル線で20分なら、まあまあ不便でもないんじゃない?」
「結局参加するのは私と冬と理桜と圭子の4人になった。カオルも誘ったんだけどその日、従姉の結婚式で大阪に行くらしいのよ」
「へー。あれ? ちょっと待って。それ部屋はどう取るの?」
「温泉旅館だからね。和室1室だよ」
「えー? 男女混じっちゃまずいんじゃない?」
 
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「今更何言ってる? 夏のキャンプでは女の子のバンガローで寝たじゃん。理桜も圭子も冬ならOKと言ってるよ。ただし、宿には宿泊者名、唐本冬子で伝えてあるから。女装で来てよね」
「あはは・・・」
 

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ところが冬休み明けに、書道部でこの話をしていたら、それを聞きつけた花見さんが、
「何〜? 政子がスキーに行って、唐本も行くだと? だったら俺も行く」
と言い出した。
 
「女の子だけで楽しみたいんだけど」
「だって唐本は?」
「冬ちゃんは女の子だよ。夏にも女の子の格好してるところ見たでしょ?」
「いや、それでも俺は行く」
 
などというので、渋々政子は旅館に連絡を入れて、あと1部屋取れるか聞いてみた。政子は取れない方が助かるような雰囲気だったが、幸か不幸か1部屋取れてしまった。
 
「私たち女の子4人で遊んでるから、啓介はひとりで適当に遊んでてね」
などと政子は言っていた。
 
「部屋は本物女子3人で1つ、唐本は俺と一緒だ」
などと花見さんは言ったが、
 
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「啓介、冬ちゃんと浮気でもする気?」
などと政子が言うと、花見さんは真っ赤になって
「そんな訳がないだろ!?」
と言った。
 
すると理桜が
「あ、なんだったら花見さんと政子で1部屋使って、私と圭子と冬ちゃんでもうひとつの部屋で寝ればいいよ」
などと言う。
 
しかし政子は
「私、結婚するまではセックスするつもりないから、その案は却下」
とあっさり言う。
 
花見さんは何か言いたげだったが、取り敢えず我慢したようであった。谷繁部長と静香さんが忍び笑いをしていた。
 

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1月12-14日の連休はKARIONのデビュー記念イベントをするので、参加しない?という打診があった。バックミュージシャンとしてならいいですよ、というお返事をしたら、それではキーボード兼コーラスでということで言われた。
 
この時期はまだ後日KARIONのバックバンドとして定着するトラベリングベルズのメンバーは固まっていない。実際デビュー曲『幸せな鐘の調べ』の音源製作の時には、後のトラベリングベルズのメンバーは和泉と私以外ひとりも入っていないのだが、このデビューキャンペーンには後にトラベリングベルズのメンバーになる相沢さん(ギター)と黒木さん(サックス)が参加していた。なお、この時は私にしても相沢さんや黒木さんにしても、この3日間だけのお仕事である。(契約書も交わしていない)
 
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バンドとしては、ギター、ベース、ドラムス、キーボード、ヴァイオリン、フルート、サックス、グロッケンシュピールという8ピース構成。私以外は手配屋さん経由で参加した人である。この他、同じ事務所に出入りしていて、まだデビュー前の女性歌手2人がコーラス隊として参加していた。従って、出演者は、KARIONの3人に、バックバンド8人(内私はコーラス兼)、コーラス隊2人の合計13人。これに畠山社長自身と、事務所の女性アーティスト全般のお世話係である三島さん、という15人の大所帯であった(最初は!)。
 
なお、バンドメンバーの内、ヴァイオリン・フルート・グロッケンの奏者が女性で、私も当然女性奏者としての参加なので、男性4人・女性4人のバックバンドということになる。宿泊はあまり予算が無いのでビジネスホテルのツインルームベースでお願いしますということになっていた。
 
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イベントは12日に東京・名古屋(福岡泊)、13日は福岡・広島(大阪泊)、14日は大阪・金沢(はくたか・新幹線で帰京)という日程だった。
 
私は両親には、正直にアルバイトをしているスタジオの関連(嘘では無い)で楽器の伴奏の仕事ということを言って出かけた。スタジオの仕事はしばしば深夜になることもあったし、民謡の伴奏では結構休日に遠くまで出かけることもあったので、これまでどちら系統でも宿泊まで入ることは無かったものの、今回のも似たようなものと思ってもらえたようであった。携帯で定時連絡を入れることだけ約束させられた。
 

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初日、東京都内のCDショップ控室で顔合わせする。
 
ここで演奏曲目の譜面を渡してそれを読んでもらいながらスケジュールについて説明していたのだが、ヴァイオリンの松村さんが突然言い出す。
 
「待って下さい。私は3日間というのは聞いてないのですが」
「え?」
「今日1日のみの仕事ということで手配屋さんから聞いて来ました」
と言って、松村さんは手配屋さんからの発注書を見せる。
 
「なぜこうなってる?」
と畠山さんが事務所に電話して書類を確認させると、こちらから手配屋さんへの発注書類が誤っていて、ヴァイオリンだけ1日のみのアサインになっていた。この時期、KARION関係ではこの種の手配ミスがひじょうによく起きていた。
 
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畠山さんが頭を抱え込む。
「すみません。松村さん、ちなみに、明日・明後日のご予定は?」
「別件で演奏の仕事が入ってまして」
「分かりました」
 
仕方無いので、今日の東京・名古屋だけ参加してもらうことにする。手配屋さんに明日・明後日に、福岡・広島・大阪・金沢で、ヴァイオリンで入れる人で「初見に強い人」がいないか照会したが、そのスケジュールで動くとなると若い人しか無理だろうが、ポップス系に強いヴァイオリニスト自体がそう多くない上に、連休なので若くて上手い人はたいていアサインされているということで、念のため探してみるが期待しないでくれと言われた。
 
「蘭子ちゃん、ヴァイオリン弾けたよね?」
と唐突に和泉が言う。
 
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「え、うん少しは」と私は答える。
 
「明日以降は、蘭子ちゃんがヴァイオリン弾きなよ」
「じゃ、キーボードは?」と私は訊く。
 
「三島さん、キーボード弾けますよね?」
「えっと、弾けるといっても趣味の範囲で。私、エレクトーン8級ですよ」
「じゃ8級で弾ける程度にアレンジを変更すればいいですよ」と和泉。
「うーん、この際それで乗り切るか」
 
ということで私は誰かに自宅に置いているヴァイオリンを持って来てもらうことにする。私が女の子の服を着て女声でしゃべっているのを見ても、あれこれ言わない人、それでいて突然私の家を訪問して、母が例のヴァイオリンを預けてもいいと考える人、ということで私は奈緒に電話をした。幸いにも奈緒は自宅に居た。
 
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「了解、了解。場所はどこ?」
 
ということで奈緒にヴァイオリンを持って来てもらうことになった。午前中のイベントが終わった後、東京駅で落ち合うことにした。
 

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